2102【射場下水道課長】 それでは、武蔵野市下水道総合計画(2023)(案)及び武蔵野市下水道事業経営戦略(2023)(案)の概要につきまして御説明いたします。お手元の計画案本編につきましては詳細な説明は省略させていただき、概要版に基づきまして、ポイントを絞って御説明させていただきます。
まず初めに、武蔵野市下水道総合計画(2023)(案)概要版を御覧ください。第1章、計画の基本的事項となります。本市下水道の背景となりますが、昭和26年に都市計画決定し、昭和62年に普及率100%を達成しており、現在も浸水防除、公衆衛生の確保、公共用水域の水質保全に寄与しております。
本市の下水道は整備時期が早かったため、市内の9割が合流式下水道を採用しており、また、法定耐用年数50年を超える管渠の割合が、今後急速に増加する見込みとなっております。
また、近年は地震や局地的大雨の自然災害のリスクが増大しており、それらへの適切な対応が必要となっております。
一方経営面では、下水道事業の財源について、汚水処理経費は私費、下水道使用料で、雨水処理経費は公費、税金で賄うことが原則であり、令和2年度の公営企業会計移行に伴い、企業経営のさらなる健全化が求められております。
そのため、本計画の目的としましては、限られた財源の中で下水道事業が抱える課題を解決するため、本市下水道のあるべき姿と実現に向けた段階的な取組を示した下水道課のマスタープランとしまして、平成21年度に下水道総合計画を策定し、その後2度にわたり改定を行っております。前回の計画改定から5年が経過し、これまでの取組の評価や事業内容の見直し、法制度の改正や社会情勢等の変化を踏まえ、下水道総合計画の見直しを行うものでございます。
計画の位置づけにつきましては、図に記載のとおりですが、公営企業会計移行に伴いまして、企業経営の視点の強化を図るため、個別計画である経営戦略の記載内容の充実化を図っており、それによりまして、総合計画は下水道事業の方針や施策を記載した事業計画として、経営戦略は総合計画の事業を実施していくための経営計画として、両計画が車の両輪となり、整合、連携を図りつつ事業運営を行っていくものでございます。
計画期間につきましては、令和5年度から24年度までの20年間、8年ごとに見直しを行ってまいります。なお、今回の計画見直しにおきましては、下水道総合計画見直し及び下水道事業経営の在り方等検討委員会を設置いたしまして、下水道総合計画と下水道経営戦略などの経営面について同委員会から御意見をいただき、両計画の整合を図りながら計画案の策定を行っております。
委員構成や検討経過につきましては、本編の70ページを御参照ください。
次に、第2章、基本理念につきましては、策定当時の考え方を継承しており、記載のとおりでございます。
第3章、現状と課題については、1の浸水・地震対策から10の情報発信と啓発活動までの10のカテゴリーに分けて整理しており、記載のとおりでございます。
第4章、基本方針を御覧ください。基本方針につきましても大きな変更点はございませんが、安全・安心なまちづくり、良好な環境への貢献、持続可能な経営基盤の確保、市民・事業者とのパートナーシップの4つの方針を定めております。
2ページ目、3ページ目には、5章といたしまして、4つの基本方針の主要な施策と事業計画について記載しております。
まず、2ページ目の1、安全・安心なまちづくりにおきましては、浸水・地震対策の推進、下水道施設の適切な管理、広域的な汚水処理への対応の3つの施策を挙げております。
特徴的なものといたしましては、1の1、浸水・地震対策の推進の1)雨水排水能力の向上にあります雨水管理計画(仮称)の策定と、同計画に基づく段階的な整備となってございます。市内の下水道施設は流下能力不足地域があり、また、近年気候変動により降雨量が増加しており、浸水被害が発生するリスクが高まっております。そのため、今後新たに浸水対策を実施すべき区域や目標整備水準、施設整備方針などの基本的事項を定めた雨水管理計画(仮称)を策定し、中長期にわたり段階的な整備を進めてまいります。
資料右側、2、良好な環境への貢献におきましては、水環境の保全・創出、臭気対策の推進、環境負荷低減への取組の推進の3つの施策を挙げております。
特徴的なものといたしましては、2の1、水環境の保全・創出の1)健全な水環境の確保にございますグリーンインフラの調査・研究、仕組みづくりとなります。本市は戸別訪問PRによりまして、雨水浸透施設等の設置促進を進めてまいりましたが、近年、流域治水を推進するための方策の一つとして注目されているものに、グリーンインフラがございます。今後グリーンインフラの普及に向けた調査・研究、仕組みづくりを進め、水循環や浸水対策のさらなる推進とともに、良好な景観形成を進めてまいります。
3ページ目を御覧ください。3、持続可能な経営基盤の確保におきましては、経営の健全化・安定化、人材育成・執行体制の確保、新技術の活用の3つの施策を挙げてございます。
3の1、経営の健全化・安定化におきましては、下水道使用料の適正な在り方、企業債の抑制、計画的な積立て、経営戦略の見直しについて、これまでの総合計画の考え方を継承し、4年に一度適宜見直しを行っていくこととしております。
また特徴的な施策といたしましては、3の2、人材育成・執行体制の確保の2)にあります長期包括契約方式の導入となります。令和6年度からの試行的導入に向けて、現在準備を進めておりますが、試行期間中におきまして課題の抽出や事業効果の検証等を行い、本格導入に当たっては、事業効果が最大限発揮できるよう検討してまいります。
資料右下、4、市民・事業者とのパートナーシップにつきましては、市民・事業者への情報発信と行動促進を施策としており、記載のとおりでございます。
以上が総合計画の概要版の御説明となります。
引き続きまして、武蔵野市下水道事業経営戦略(2023)(案)の概要版について御説明させていただきます。
1、経営戦略改定の趣旨ですが、下水道事業経営の強化を図り、今後の方向性を示す計画としまして、平成30年度に策定した下水道事業経営戦略の見直しを行っております。見直しに当たりましては、総合計画同様に委員会に意見聴取を行い、計画案の策定をしております。
2、経営の基本方針ですが、総合計画に定める基本理念や基本方針に基づき、持続的な下水道事業に向けた経営基盤の確保を図ることとしております。
3、計画の位置づけ、計画期間ですが、タイトルの計画期間の「間」が抜けておりましたので、大変申し訳ございませんが、訂正のほどよろしくお願いいたします。計画の位置づけですが、総合計画同様となってございます。計画期間は10年間で、4年ごとに計画の見直しを行います。
4、事業の概要につきましては記載のとおりでございます。
5、将来の事業環境ですが、今後30年間の見通しとしまして、処理区域内人口は増加傾向にあるものの、収入となる有収水量は横ばいの見通しとなっている一方で、今後の建設改良費は増加していく見込みとなってございます。
6、将来に向けた経営課題としましては、計13の課題を挙げております。主な課題といたしましては、(1)収入・財源面では、大口利用者の有収水量の減少に伴う使用料収入への影響や、国庫補助金等の減少、(2)投資・経費面では、老朽管渠の更新需要の増加や、労務単価や材料費の高騰、(3)その他といたしまして、人材育成と執行体制の確保を挙げております。
裏面を御覧ください。7、数値目標ですが、今回の経営戦略におきましては、公営企業会計移行後初めての改定となります。企業会計における経営指標のうち、経営上の数値目標の設定につきましては、委員会での専門家の意見等も踏まえて経常収支比率及び経費回収率を100%以上とし、その上で30年間の長期にわたる平均の資金収支がプラスで推移することを目標としております。
次に、8、投資・財政計画のシミュレーション条件です。総合計画(2023)(案)では、中長期にわたる建設投資の増加を見込んでおります。経営戦略の計画期間は10年間となっておりますが、長期的な視点に立って健全な経営を行っていくために、30年間のシミュレーションを実施し、今後10年間の投資・財政計画を作成いたしました。
投資・財政計画の前回からの大きな変更点といたしましては、公営企業会計に基づきまして、減価償却費や長期前受金戻入といった期間損益計算が考慮された点や、当期純利益などの経営成績が明確になった点でございます。
次にシミュレーション条件ですが、投資面では、近年の労務単価や材料費の物価上昇や金利の上昇、財政面では有収水量の予測を行い、先ほど御説明いたしました数値目標の達成に向けて、4年ごとの使用料見直しを想定してございます。また企業会計移行に伴いまして、基金積立てを取りやめまして、今後は利益剰余金として経理する方式に変更することを想定し、令和5年度中に基金条例を廃止し、基金を取り崩すこととしてございます。
次に、資料右側の9、投資・財政計画を御覧ください。こちらは計画期間である10年間の収支の見通しとなります。
まず収益的収支ですが、収入は約27億から28.5億円、支出は約25.5億から27億円で推移し、全期間におきまして、当期純利益を確保できるバランスの取れた財務状況となる見通しでございます。収益的収入の主なものである下水道使用料につきましては、約13.3億から14.9億円で推移すると見込んでおります。
次に、図の右上の資本的収支ですが、収入は約5億円から11億円、支出は9億円から16.5億円で推移し、ストックマネジメント計画の老朽化対策や大型建設事業等により、資本的支出は今後増加する傾向にございます。
企業債につきましては、今後も20%の企業債発行額の抑制を行い、将来負担の軽減を図るものの、建設投資の増加に伴いまして、企業債残高と公債費は増加していくことを見込んでおります。
図の一番下となりますが、数値目標に掲げた経常収支比率・経費回収率につきましては、いずれも目標値の100%を上回り、また資金収支につきましても、一時的にマイナスはあるものの、平均ではプラスで推移することを見込んでおりまして、健全な企業経営が維持される見通しとなっております。
資料左下、10、その他の取組といたしましては、広域化・共同化・最適化、投資の平準化、民間活力の活用など、投資・財政計画以外の取組を挙げており、記載のとおりでございます。
最後に、11、経営戦略策定後の検証・更新についてですが、4年ごとの定期的な計画の見直しの中で、経営戦略の分析・検証・評価を実施し、投資・財政計画や目標等を適宜見直していきます。
最後に今後の予定でございますが、2月8日から28日までの3週間、総合計画(2023)(案)と経営戦略(2023)(案)につきまして、パブリックコメント、意見募集を行い、3月の委員会での意見聴取を経まして、4月に両計画を公表する予定でございます。
説明は以上でございます。