90【吉村子ども子育て支援課長】 それでは、文教委員会資料、武蔵野市子どもの権利条例(案)における素案からの主要な変更箇所についてを御覧ください。
令和4年11月から12月までにかけて、武蔵野市子どもの権利条例(仮称)素案について、武蔵野市自治基本条例第15条第2項の規定に基づくパブリックコメント手続等を実施し、総数1,628件、うち子どもからは853件の意見提出がありました。こちらについては令和5年2月13日に、議案送付とともに、ホームページで公表し、議員の皆様に送付、市民の皆様へは、市報をはじめ、市公式LINE、すくすくナビなど、SNSで広くお知らせするとともに、子どもたちには「こどものけんりってなぁに?」第5号を作成し、パブリックコメント等の結果などをお知らせしております。これらの意見を踏まえ、武蔵野市子どもの権利条例(案)の内容について、素案から以下の表のとおり変更いたしました。こちらは主要な変更箇所のみ記載しております。
まず、表の説明に入る前に、こちらには記載しておりませんが、全体的なところで、素案は32の項目であったところを、条例案は全31条といたしました。なくした条については、素案で、「23 いじめの禁止」、「24 いじめの防止」とあったものを、第23条いじめの防止に、一つにまとめました。また、素案の「30 推進計画」、「31 推進体制」とあったものを、第30条推進計画と、一つにいたしました。追加した条は、後ほど表の中でも御説明いたしますが、第25条武蔵野市いじめ問題対策委員会です。
それでは、表を上から順に御説明いたします。議案書では22ページとなりますので、併せて御覧ください。
目次には、前文、第1章から第8章までと、最後に付則がございます。こちらで大きな変更箇所としましては、第3章の章題を「子どもの権利を守るための役割」から「子どもの権利を保障するための役割」と修正いたしました。11月の文教委員会で委員より、「権利を保障するため」としたほうが、目的が市民に分かりやすいのではとの御意見を受けまして、修正しております。
次に、前文です。議案書では22ページの一番下の最後の段落です。ここは、子どもたちが考えた、子どもたちの言葉の部分です。資料のほうに目を戻していただくと、素案では「わたしたちは、知りたいことを学び、教育を受けることで成長できます。おとなは、未来の社会をつくる子どもに、十分な教育を受けさせます。」と、2つの文章でした。この素案の最初の文章の主語が「わたしたちは」となっており、次の文章の主語が「おとなは」となっております。パブリックコメントで、子どもたちの言葉であるのに、主語が「わたしたちは」から「おとなは」に変わっており、日本語の文章としておかしいのではとの御意見をいただきました。また、子どもからは率直に、「受けさせます。」という表現が少し引っかかったという御意見をいただきました。そこで、素案の2つの文章を一つにまとめ、主語を「わたしたちは」に統一し、「未来の社会をつくるわたしたちは、知りたいことを学び、十分な教育を受けることで成長できます。」と修正をいたしました。なお、修正した部分につきましては、子どもたちの言葉を考えてくれた中高生の子どもたちに確認をし、了承を取っております。
続きまして、第1条目的です。こちらは、素案では「この条例は、児童の権利に関する条約に基づいて、」としておりましたが、条例案では、これに「日本国憲法その他関連する法令など」を加えて修正いたしました。パブリックコメントの御意見では、日本国憲法や、こども基本法、そのほか教育基本法、学校教育法、児童福祉法、児童虐待防止法、いじめ防止対策推進法などにも言及するようにと御意見をいただきましたが、検討した結果、全てを記載するのではなく、「日本国憲法その他関連する法令などに基づいて、」と追記したものです。また、こちらは11月の文教委員会で委員からも、日本国憲法や、こども基本法、既に施行されている東京都のこども基本条例などとそごはありませんかとの御質問をいただき、そごはないと御回答いたしましたが、この御意見も踏まえ、憲法や法令にも基づいているということをきちんと記載したものでございます。
続きまして、第2条言葉の意味、第2号市民です。素案では市民の定義が、「武蔵野市の区域内に住所がある者、市内にある学校に在籍する者、」となっておりましたが、これでは市外から市内の保育園に通っている子どもが含まれないのではとの御指摘を文教委員から、またパブリックコメントでもいただきました。御指摘のとおりと考え、条例案では「学校」を「育ち学ぶ施設」と修正いたしました。
第2章に参りまして、第3条、子どもにとって大切な子どもの権利の第4号です。議案書は24ページです。素案では「(4)子どもが休む権利」となっておりましたが、こちらも文教委員をはじめ、教育委員、市民の方からも様々な御意見をいただきました。文教委員からは、休むこととサボることは区別されるべきですが、外形的には見えづらいです。休息したいという気持ちを子どもが言いやすいことや、周囲がその気持ちを知るという環境をつくることが大切であると考えますという御意見をいただきました。まさに市も御指摘のとおりと考えておりまして、休息、レストということが明確となるよう、「休息する権利」と修正いたしました。
裏面をお願いいたします。第5章、第13条自分らしく居られる場所の第3項です。議案書では25ページの一番下になります。第3項は、もともと「子どもが休息を必要とする場合に、学校、その他の活動などを休み、」としておりましたが、こちらも文教委員や教育委員、市民からも御意見をいただきました。教育委員からは、様々な場面で休む権利は保障されるのだから、最初に学校に言及しなくてもよいのではとの御意見をいただきました。また文教委員からも、学校を明記することについては慎重に考えてほしいとの御意見をいただきました。これらを受けまして、条例案では「市は、子どもが休息を必要とする場合に育ち学ぶ施設の活動その他の活動などを休み、」と修正いたしました。
続きまして、第14条年齢、発達などに応じた居場所の第4項、その下の第16条子どもからの相談の第3項です。議案書では26ページになります。第14条第4項、第16条第3項は2つとも、素案では主語が「教育委員会は、」としておりました。この主語を「育ち学ぶ施設の関係者は、」と修正しております。こちらも複数の文教委員の皆様から、教育委員会が主語であると市立の学校に限定され、私立の学校が入らないのではとの御指摘を受け、「育ち学ぶ施設の関係者は、」と修正しております。これにより、私立や都立の学校、また保育園や幼稚園もこの条文に含まれることとなります。
続きまして、第18条子どもの参加、第6項です。議案書は27ページです。こちらは教育委員より、学校の様々な活動の中でも、子どもたちが参加する、決定に関与するという経験を積むことができることが大事との御意見をいただき、条例案に「決定に関わることができるよう」という文言を追加して修正いたしました。
続きまして、第6章子どもの安全と安心の確保、第21条子どもの安全です。議案書では28ページです。第21条第1項ですが、もともと素案では「子どもの安全の確保に必要な施策を推進します。」としておりましたが、中高生世代のワークショップで、市や地域全体で子どもを見守るという視点を入れたらよいという御意見をいただき、市でも検討しまして、右側条例案の下線部分ですが、「市民と協力して」と追記しております。
続きまして、第22条です。まず、下線は引いておりませんが、条の題名が「暴力および虐待の防止」であったところを、「暴力、虐待および体罰の防止」と、「体罰」を加えております。第22条第1項ですが、素案では「子どもに対する暴力および虐待はあってはならない行為であり、子どもの権利を侵害する行為です。」としておりましたが、パブリックコメントを受け、はっきり禁止をする形で、「子どもに対する暴力、虐待および体罰は、子どもの権利を侵害する行為であり、誰であっても、どのような理由があってもしてはなりません。」と修正しております。
次の第23条いじめの防止ですが、こちらも文教委員の皆様をはじめ、市民からも、「子どもは、」と子どもを主語にして禁止をしているところに多くの御意見をいただきまして、「いじめは、子どもの権利を侵害する行為であり、誰であっても、どのような理由があってもしてはなりません。」と修正いたしました。
また、その下の第23条の第3項です。こちらは子どもから、どうしていじめをしてしまったのかなど、いじめた側へのフォローも考えてほしいという御意見をいただきました。また、市職員からも、いじめた側に対する教育も盛り込めるとよいとの御意見をいただきまして、第23条第3項の文末を「被害にあった子どもを守るとともに、いじめをした子どもに対しても必要な支援を行います。」と修正いたしました。
続きまして、第24条の第1項と第2項です。素案では、主語が「教育委員会は、」とありましたところを、「市は、」と変更しております。これらの条文は、いじめ防止対策推進法第12条及び第14条第1項の規定に基づき記載しておりますが、この法律では地方公共団体が行うことが規定されていることから、主語を「市」とすることが適当であると判断し、修正しております。
第25条いじめ問題対策委員会は、条を追加しております。条文については、議案書29ページを御確認ください。こちらは、条文にありますとおり、いじめ防止対策推進法第14条第3項の規定に基づき、教育委員会の附属機関として、武蔵野市いじめ問題対策委員会を置くものです。附属機関の設置については条例の定めるところによることが必要となるため、設置、所掌事務のほか、委員の構成や委員の任期等、組織等に必要な事項を規定するため、条を追加いたしました。
第26条武蔵野市いじめ問題調査委員会については、第2項から第6項について、項を追加しております。こちらは設置、所掌事務の規定だけでなく、委員の構成、委員の任期等、組織等に必要な事項を追加したものです。
最後に、第7章子どもの権利擁護の仕組み、第27条武蔵野市子どもの権利擁護委員です。議案書は30ページです。こちらもパブリックコメントで御意見をいただきまして、擁護委員を市長が委嘱するというのは市長の権限が強過ぎるのではないかなどの御意見のほか、権利救済の第三者的機関が置かれることは必要だが、その独立性は明記されるべきといった御意見もいただきました。これらの御意見の御趣旨を踏まえ、第27条第7項に「市は、擁護委員の独立性を尊重しなければなりません。」という項を追加いたしました。
主要な変更点のみとなりますが、説明は以上になります。