23630【小島監査委員】 それでは初めに、大変申し訳ございませんが、お手元に配付いたしました決算等審査意見書に誤りがあることが分かりました。恐れ入りますが、お配りした正誤表を御覧ください。
審査意見書の9ページ、処分事由別不納欠損処分額の表中、最下段右から2列目合計金額の欄、1億1,179万6,450というふうにありますが、正しくは1,179万6,450でございます。おわびして訂正申し上げます。今後このようなことがないよう、十分注意してまいりたいと思います。このたびは大変申し訳ございませんでした。
それでは、令和5年度各会計決算等の審査について、審査意見書に沿って御説明いたします。
意見書の1ページをお願いいたします。審査の対象は、令和5年度の一般会計歳入歳出決算、3特別会計歳入歳出決算及び各会計の決算付属書類並びに基金の運用状況を示す書類です。水道事業会計及び下水道事業会計決算については、後ほど説明いたします。
審査期間は、6月3日から8月20日までです。
審査に当たっては、武蔵野市監査基準に従い、一般会計、3特別会計の決算書及び付属書類並びに基金の運用状況を示す書類について、地方自治法等関係法令に適合しているか、決算の計数は正確であるかを検証するとともに、予算は適正に執行されているか、基金は適正に運用されたかなどを主眼として、関係書類、帳票類と照合その他通常実施すべき審査手続により実施しました。
審査の結果ですが、ただいま述べた審査の方法のとおり審査した限りにおいて、一般会計、3特別会計の決算書及び付属書類は、法令に適合して作成され、決算の計数は、関係諸帳簿及び証拠書類と照合した結果、正確であると認められました。また、これらに伴う会計事務処理は、法令等に従って適正に執行されており、さらに、基金の運用状況を示す書類の金額は、基金出納簿及び証書類と符合し、計数は正確なものと認められました。
2ページをお願いいたします。審査の概要ですが、まず、決算の規模について説明します。全会計の決算については、歳入は1,103億1,909万6,000円、歳出は1,063億261万3,000円で、歳入から歳出を差し引いた残額40億1,648万3,000円を翌年度に繰り越され、繰越明許費の翌年度へ繰り越すべき財源を除いた実質収支額は39億3,173万8,000円となりました。
なお、会計間の繰入金、繰出金による重複分を除いた純計決算額については、58ページの別表2に示しています。
各会計別の決算の概要及び資金収支状況については、4ページまでに記載のとおりです。
それでは、5ページからの会計ごとに主な部分を御説明します。
まず、一般会計については、最近5年間の決算規模の推移は表とグラフで示したとおりです。令和5年度の歳入決算額は793億9,853万3,000円、歳出は761億7,840万5,000円で、歳入歳出差引額は32億2,012万8,000円となりました。
歳入の内訳及び前年度の比較は、6ページの表に示したとおりです。
7ページからの第1款市税について御説明します。市税総収入額は447億8,059万円となり、前年度に比べ16億4,819万7,000円増加しました。市民税の現年課税分は、前年度に比べ1億9,879万5,000円の増加となっており、その内訳を見ますと、個人分は前年度に比べ5億7,604万8,000円増加し、法人分は3億7,725万3,000円減少しています。固定資産税の現年課税分は、前年度に比べ13億2,411万円増加しました。
8ページの表に示したとおり、市税の徴収率は99.1%で、前年度と同率でした。収入未済額は、前年度に比べ4,886万5,000円増加し、不納欠損処分額は426万7,000円減少しています。
処分事由別の不納欠損処分額については、9ページの表に示したとおりです。
第2款地方譲与税から第20款諸収入までは、記載のとおりです。
13ページの第21款市債については、前年度に比べ3億6,400万円減少しています。当年度の借入・償還状況と年度末現在高の推移は表に示したとおりですが、元金の償還額が新たな借入額を大きく上回っているので、当年度末の現在高は前年度に比べ11億8,729万8,000円減少しています。
14ページの財源区分別の歳入決算状況については、前年度に比べ、自主財源比率が0.9ポイント上昇しています。
続きまして、15ページからの歳出について御説明いたします。歳出総額は761億7,840万5,000円で、前年度に比べ10億6,432万1,000円増加しました。予算現額に対する執行率は96.0%で、前年度に比べ0.4ポイント上昇しています。歳出を款別に見ると、構成比率の大きなものは民生費、総務費、教育費の順となっています。前年度に比べ増加額の大きなものは、同じく民生費、教育費、総務費等で、減少したものは衛生費、商工費、土木費等です。
款別の執行状況については、16ページの第1款議会費から21ページの第13款予備費まで、記載のとおりでございます。
22ページをお願いいたします。性質別の歳出決算状況については、表に示したとおりで、主な項目の増減要因については23ページまでに記載しています。
5年間の推移については、24ページにグラフで示しました。
25ページ、予算の流用については、当年度の流用件数は126件、流用総額は5,396万9,000円で、前年度に比べ、件数は17件減少し、金額は70万2,000円増加しました。
次に、翌年度繰越額を除いた不用額は25億3,916万5,000円で、前年度に比べ7億1,557万8,000円減少しています。
人件費を除いて費目の節ごとに1,000万円以上の不用額を生じたものは、26ページの表に示したとおりです。
次に、28ページからの特別会計について御説明します。
初めに、国民健康保険事業会計について御説明します。歳入決算額は139億1,315万9,000円で、前年度に比べ1億5,036万5,000円(1.1%)増加し、歳出決算額は136億9,749万4,000円で、前年度に比べ1,507万1,000円(0.1%)増加しました。歳入のうち、国民健康保険税の収入済額は30億1,566万5,000円で、前年度に比べ1億6,100万5,000円減少し、徴収率については0.5ポイント低下しました。
最近の5年間の徴収状況については、29ページの表に示したとおりです。
31ページからの歳出については、主に被保険者数が減少したことにより、保険給付費が前年度に比べ8,944万6,000円減少しました。
33ページをお願いいたします。後期高齢者医療会計の歳入決算額は42億2,632万8,000円で、前年度に比べ1億1,214万1,000円(2.7%)増加し、歳出決算額は42億1,233万2,000円で、前年度に比べ1億1,781万7,000円(2.9%)増加しました。
歳入の主なものは保険料と繰入金で、歳出の主なものは広域連合への負担金です。
36ページをお願いいたします。介護保険事業会計の歳入決算額は127億8,107万5,000円で、前年度に比べ3億5,888万8,000円(2.9%)増加し、歳出決算額は122億1,438万2,000円で、前年度に比べ3億7,452万7,000円(3.2%)増加しました。
歳入のうち保険料は、前年度に比べ2,634万2,000円増加しています。
38ページの歳出については、主なものは保険給付費で、訪問系、医療系在宅サービス給付費等の増により増加しています。
39ページからの実質収支に関する調書、財産に関する調書については記載のとおりですが、41ページの立木、工作物、証券等のうち有価証券の当年度末残高は32億2,143万7,000円であり、前年度に比べ31億7,988万7,000円増加しています。これは会社法第767条等に定める株式交換により増加したことによるものです。43ページの基金については、前年度末に比べ60億6,344万3,000円増加し、年度末の現在高は606億1,018万5,000円となりました。5年間の推移は、各基金の決算年度中の増減及び年度末の現在高をグラフと表で示しています。
45ページの基金の運用状況については記載のとおりです。
次に、46ページからの普通会計による決算について御説明します。普通会計は、国が地方公共団体相互の比較を可能とするために定めたもので、当年度においては、健康診査上乗せ分に係る経費を一般会計から除いたものが普通会計の総額となっています。
1の決算の収支状況等は、表に示しています。
47ページをお願いいたします。2の主な財政分析指数のうち、財政力指数は、3か年平均の数値が1.507で、前年度に比べ0.023ポイント上昇しました。公債費負担比率は2.4%で、前年度に比べ0.2ポイント低下しました。
48ページの経常収支比率は、79.5%で、前年度に比べ、1.7ポイント低下しました。
続いて、49ページからの「第6 まとめ」について申し上げます。
コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進む中で、景気は緩やかな回復基調にありましたが、地政学的な要因などによる原材料やエネルギーの価格高騰の波に加え、大幅な円安への為替変動が拍車をかけ、生活に欠かすことのできない物やサービスの価格が上昇し、市民生活を直撃しました。また、夏は全国各地で記録的な豪雨や猛暑が観測され、元日には能登半島地震に見舞われました。
こうした中、本市では、国や都の物価高騰対応のための交付金、補助金を活用した子育て世帯・低所得世帯向けの給付金事業等に係る経費について複数回に及ぶ補正予算を計上し、市民や事業者の支援に取り組んできました。本市で実施された事業の中には、コロナ禍前よりもさらに工夫しながら、同規模で再開されたものもありました。
第六期長期計画・調整計画の策定については、策定委員会の答申後、市長が任期途中で辞職、退任することとなりました。12月には新市長が誕生し、第六期長期計画・調整計画は決定しましたが、武蔵野市長期計画条例第3条の規定に基づき、第六期長期計画・第二次調整計画の策定に向けた庁内の議論が始まりました。
令和5年度予算は、「誰もが安心して暮らし続けられるまちへ 平和が続く未来をつくる予算」として編成されました。実施された事業については、長期計画の分野ごとに記載しましたソフト、ハードの両面で様々な事業に取り組まれ、積極的に展開されました。
50ページをお願いいたします。一般会計の財政状況については、歳入歳出決算額は、ともに増加しています。市税は、個人市民税、固定資産税、都市計画税がいずれも堅調で、市税全体では16億4,820万円、3.8%の増となっています。将来の支出に備えるための基金は、前年度末に比べ、60億6,344万3,000円(11.1%)増加して、606億1,018万5,000円となり、一方、将来世代が負担することになる市債の年度末残高は11億8,729万8,000円(10.6%)減少して、99億7,899万3,000円となりました。財政力指数、公債費負担比率、経常収支比率は、引き続き良好な数値を保っています。
次に、監査委員としての意見・要望です。
初めに、実質収支額と不用額については、ともに前年度に比べて減少しています。不用額は、前年度に比べ、件数、金額ともに減少したものの、1,000万円を超える不用額が発生した費目が昨年度を上回っていることから、最終補正予算時における執行見込みをさらに適正に行い、限られた財源を有効に活用するよう努めてほしいと思います。
51ページをお願いします。市税等の徴収についてです。今後とも未納者へのきめ細かな対応と職員のスキル向上に取り組み、徴収率のさらなる向上に努めてほしいと思います。
次に、ふるさと納税についてです。ふるさと応援寄附については、約3,400万円の寄附を受けましたが、ふるさと納税による税額控除の影響額は約14億5,100万円と、年々影響額が拡大し、看過できない状況にあります。引き続き、ふるさと納税の制度を取り巻く様々な課題に適切に対処してほしいと思います。
次に、補助金等の交付や委託料等の執行についてです。補助金等の交付の執行に当たっては、実績報告書等における課題が一部に見受けられました。補助金等の申請時や委託等の契約時だけでなく、事業や業務完了後の確認や検査にも注力し、適切な執行となるよう取り組んでいただきたいと思います。さらに、検査担当については、公共施設の大更新期の突入に伴い、契約金額が大きな委託や財産の取得が増えることが予想されることから、適正な執行を確保するためにも対応を検討してほしいと思います。
52ページをお願いいたします。国民健康保険事業会計についてです。一般会計からの、いわゆる赤字補填目的の繰入金の額は前年度より増加しています。今後も国や東京都の動向を踏まえ、国民健康保険財政健全化計画の改定も視野に入れ、適正な国民健康保険事業の運営に取り組んでほしいと思います。
次に、内部統制体制の整備についてですが、議会の議決を経ずに買入れを行った事象等や定期監査の報告を十分に踏まえ、実情を認識された上で早急な対応をお願いしたいと思います。令和6年度は内部統制検討委員会を立ち上げ、具体的な検討を開始したようですので、実効性が担保された制度となるよう期待します。
次に、基礎的知識の定着と知見の承継についてです。市議会臨時会が開催され、追認議案が提案されました。会計課での審査の過程で判明したようですが、会計課審査係では、誤った伝票の対応や各課からの様々な問合せに追われていると聞きます。本市では、職員が知識を習得する機会は十分であるにもかかわらず、一部知識の定着が図られていないケースが見受けられるように思われます。事務手続等の誤りを減らしていくには、システムによる対応も一つの方法ですが、日常業務の実践によって定着させるとともに、各課内での指導や決裁時のチェックが重要であると考えます。経験豊富であるはずの職員の知見が生かされておらず、また、そもそも知識の定着が十分でない等の背景もあると思われます。今後、特に次世代を担う職員への基礎的知識の定着や、先輩職員が持つ知見の承継が進むよう、実務及び研修等に係る実効性の向上について研究してほしいと思います。
以上が、一般会計、3特別会計の審査結果です。
令和5年度は、前述のように、市政をめぐり状況に様々な変化があった中、オンラインを活用した意見交換会や傍聴の実施、子どもの権利条例の施行に伴う周知や啓発、子どもの手当・助成に関する窓口DX、気候市民会議を踏まえた取組、5年ぶりにリアルでのイベントとして開催された桜まつりなどは、時勢の変化に即した取組として評価します。株式交換による上場株の取得に係る配当金や株主優待券については、資産の有効活用を図ってほしいと思います。また、基金の管理に関しては、透明性を図りながら、今後も安全性に留意しつつ、確実で効率的な運用に努めてほしいと思います。
財政指標では、引き続き健全な財政を維持しています。当面税収増が期待されるものの、社会保障費の増や税制改正等を鑑みると、先は見通せない状況です。さらに、公共施設の大更新期に突入し、多額な経費を要するとともに、物価高騰や労務単価の引上げ等の影響による費用の負担の増加により、財政状況は厳しくなることが予想されます。歳入の確保に取り組み、行政サービスの質の維持向上を図りながら業務の効率化に努め、行財政改革を進めつつ、これまで以上に財政規律をもって健全な財政運営を維持していく必要があると考えます。
今後とも多様化する市民ニーズや高度で複雑化する行政課題に的確に対応しながら、健全で安定した市政運営に尽力されるよう要望します。
なお、55ページ以降には参考資料を添付しています。
続きまして、令和5年度水道事業会計決算の審査について御説明します。
85ページをお願いいたします。審査の対象及び審査の期間については、記載のとおりです。
審査の方法は、武蔵野市監査基準に従い、決算報告書、財務諸表及び決算付属書類が地方公営企業法その他関係法令に適合しているか、決算の計数は正確であり、かつ、関係諸帳簿と合致しているか、これらの書類が当年度水道事業の経営成績及び財政状態を適正に表示しているかどうかを審査しました。あわせて、事業の経営内容を分析し、年度比較を行い、事業の経済性の発揮と公共の福祉の増進という観点から考察しました。
審査の結果ですが、ただいま申し上げました審査の方法のとおり審査した限りにおいて、決算諸表は、地方公営企業法その他関係法令に適合し、かつ、正確であることを確認しました。また、決算諸表は、水道事業の経営成績及び財政状態を適正に表示しているものと認められました。
次に、審査の概要についてです。まず、当年度の業務実績ですが、給水人口は14万8,079人で、前年度に比べ0.1%減少し、年間総給水量は増加しましたが、年間総有収水量は減少しました。有収率は、前年度に比べ、0.8ポイント低下し、98.0%となりました。
次に、予算の執行ですが、収益的収支の状況は87ページに記載のとおりで、収益的収入は36億6,059万6,000円、収益的支出は36億1,265万9,000円となり、その結果、当年度収入支出差引額は4,793万7,000円のプラスとなりました。
資本的収支の状況は88ページに記載のとおりです。
資本的収支とその不足額の補填の3年間の推移については、89ページの表で示したとおりです。
続きまして、90ページからの経営成績について御説明します。令和5年度については、93万8,000円の純損失となりました。なお、5年間の損益計算書は106、107ページを御参照ください。
収益のうち、給水収益については、前年度に比べ、531万4,000円増加しています。91ページの表に示したとおり、収納率は、現年度分と過年度分を合計すると0.1ポイントの上昇となりました。今後も収納率向上に努めていただきたいと思います。
不納欠損及び還付不能の状況については、91ページの記載のとおりです。
92ページの費用については、総費用は前年度に比べ2,079万6,000円増加しましたが、これは営業費用が2,500万2,000円増加したことによるもので、委託料や修繕費が増加したことが要因です。主な費用のうち、受水費については、受水量が増えたため増加しています。
また、93ページには、本市と同様、単独で水道事業を行っている昭島市、羽村市と比較した表を示しています。
続きまして、財政状況について御説明します。資産、負債、資本の状況については94、95ページに記載のとおりで、資産は前年度に比べ3,612万6,000円減少しました。負債についても、前年度に比べ3,518万9,000円減少しています。なお、企業債については、当年度の残高は23億4,305万7,000円となっています。資本のうち、資本金については、前年度に比べ1,603万9,000円増加し、剰余金は1,697万6,000円減少しました。積立金の額は、減債積立金をはじめ、合計34億516万6,000円となりました。未処分利益剰余金について、当年度純損失93万8,000円は、利益積立金を取り崩し、補填されました。また、減債積立金を取り崩したことにより、当年度未処分利益剰余金は1,170万9,000円となり、全額資本金への処分が予定されています。
96ページの資金収支の状況については、業務活動、投資活動、財務活動のそれぞれのキャッシュ・フローに伴う資金増減額が2億975万1,000円のプラスとなり、資金の期末残高は17億7,726万3,000円となっています。
97ページからの経営成績・財政状態の分析ですが、企業債残高対給水収益比率は、健全とされる低いほうの比率に振れていますが、総収支比率、経常収支比率はやや上昇したものの、料金回収率は低下しており、厳しい状況を示しています。経営の安定性を示す自己資本構成比率は前年度に比べ0.1ポイント低下していますが、短期の流動性を示す流動比率は一般に適正とされている比率を超えています。
有収水量1立方メートル当たりの給水収益と給水原価の推移は、98ページの表に記載していますが、供給単価が1円90銭上昇し、給水原価も3円3銭上昇しました。その結果、差引きはマイナス16円42銭となり、前年度に比べ、1円13銭マイナス幅が大きくなりました。
次に、施設整備の状況ですが、工事請負契約及び執行状況については99ページに記載のとおりです。
100ページの老朽化の状況については、管路の更新ペースを表す管路更新率及び管路の老朽化を表す管路経年化率は前年とほぼ同様ですが、資産の老朽化を示す有形固定資産減価償却率は上昇し、老朽化が進んでいることを示しています。
最後に、101ページからの「まとめ」について御説明いたします。
1の水道事業を取り巻く状況ですが、地政学的な影響、為替変動、物価高騰等、依然として社会経済情勢は厳しい状況にありました。さらに、能登半島地震においては上下水道施設に甚大な被害が生じ、上下水道の重要性が改めて注目されました。本市の水道事業においては、店舗や事業所等の大口径の水道使用量が増加したものの、委託料の増加等により費用がかさみました。
2の業務状況は記載のとおりで、有収率は微減しましたが、引き続き高い水準を維持してほしいと思います。
3の施設整備状況については、安全で安定的な水道水の供給に向け、配水施設の整備や、原水及び浄水施設の整備、管路整備を今後も計画的に推進していただくようお願いいたします。
4の経営状況については、予算の執行、経営成績、財政状態の項目で説明したとおりです。
全体のまとめとして、5の今後の経営について御説明します。令和5年度は給水収益が微増したものの、3年連続で純損失を計上しました。一般会計から繰り入れられた物価高騰対応臨時補助金がなければ、令和3年度から連続して数千万円の単位の損失が見込まれていました。純利益を計上できない状況が続けば、財政状態が不安定となり、さらに今後も不確実性の高いリスクを抱えながらの経営となることが予想されます。
都営水道一元化に向けた協議については、令和6年4月に市長が都知事に対して、都営水道への早期統合に関する要望書を提出しており、協議進捗への追い風になることが期待されます。この機を逃すことなく、水道事業運営プランを早急に策定し、計画的かつ合理的な経営を行い、経営基盤の強化と財政マネジメントの向上を図ってほしいと考えます。
水道料金の収納については、市民サービスの向上のため、新たな収納方法の導入に向けた研究にも取り組んでいただきたいと思います。
健康被害のリスクの可能性があるPFASについて、引き続き同化合物も含めた水質検査を継続的に実施するとともに、検査結果を公表し、市民の不安解消に努めていただきたいと思います。
前述した能登半島地震では、上下水道施設に甚大な被害が発生しました。耐震化未実施の施設が被災したことで広範囲での断水が発生し、復旧が長期化したとも言われていますので、今後も配水管路の耐震化の推進に努めていただきたいと思います。
結びに、市民の信頼に応え、安全で安定的な水道供給の持続性を高めるため、都営水道事業との一元化の実現に向けた取組を一層推し進められるよう、期待するものです。
なお、105ページから117ページに参考資料を添付しております。
続きまして、令和5年度下水道事業会計決算の審査について御説明します。
123ページをお願いします。審査の対象及び審査の期間については、記載のとおりです。
審査の方法としては、武蔵野市監査基準に従い、決算報告書、財務諸表及び決算付属書類が、地方公営企業法その他関係法令に適合しているか、決算の計数は正確であり、かつ、関係諸帳簿と合致しているか、これらの書類が当年度の下水道事業の経営成績及び財政状況を適正に表示しているかどうかを審査しました。また、経営内容を分析し、年度比較を行い、事業の経済性の発揮と公共の福祉の増進という観点から考察しました。
審査の結果ですが、前述した審査の方法のとおり審査した限りにおいて、決算諸表は、地方公営企業法その他関係法令におおむね適合し、かつ、正確であることを確認しました。また、決算諸表は、下水道事業の経営成績及び財政状態を適正に表示しているものと認められました。
次に、審査の概要についてです。まず、当年度の業務実績ですが、処理区域内人口は14万8,079人で、前年度に比べ0.1%減少し、年間総処理水量及び年間有収水量も減少しています。有収率は前年度に比べ0.3ポイント上昇し、100%となりました。
124ページをお願いします。次に、予算の執行です。収益的収支の状況は125ページに記載のとおりで、収益的収入は28億976万5,000円、収益的支出は26億8,985万1,000円となり、その結果、当年度収入支出差引額は1億1,991万4,000円のプラスとなりました。
資本的収支とその不足額の補填の状況は、126、127ページに記載のとおりですが、令和5年度は基金の取崩し収入があったため、資金不足にはなっていません。その他の予算の執行として、企業債は表で示したとおりです。また、一般会計からの負担金及び出資金として繰入れがなされ、記載のとおり、下水道事業会計に充当が行われました。
続きまして、128ページからの経営成績について御説明します。令和5年度については8,720万3,000円の純利益が発生しました。収益のうち、下水道使用料については13億16万円で、129ページの表に示したとおり、収納率の現年度分と過年度分の合計は0.6ポイント上昇しています。今後も収納率向上に努めていただきたいと思います。
不納欠損及び還付不能状況については、記載のとおりです。
費用については、130ページ上段の表を御覧ください。総費用は25億8,818万円で、性質別に見ると、流域下水道等管理費及び減価償却費が大半を占めています。
続きまして、財政状況について御説明します。資産、負債、資本の状況については131、132ページに記載のとおりで、資産は前年度に比べ1億3,483万円減少し、負債についても前年度に比べ2億4,593万8,000円減少しました。資本のうち、資本金については前年度に比べ2,390万4,000円増加しました。当年度未処分利益剰余金は8,720万3,000円で、全額、建設改良積立金への処分が予定されています。
133ページの資金収支の状況については、各活動のキャッシュ・フローに伴う資金増減額が4億8,786万1,000円のプラスとなり、資金の期末残高は13億7,239万9,000円となっています。
134、135ページは、経営成績・財政状態の分析です。低いほうが健全とされる企業債残高対事業規模比率が低下している以外は、全て、指標が上昇しています。特に流動比率は、基金を取り崩し、流動資産が増加したことにより、大幅に上昇しました。
有収水量1立方メートル当たりの料金単価と汚水処理原価は135ページの表に示したとおりで、料金単価が94銭上昇し、汚水処理原価は9銭下落しました。その結果、差引きはプラス2円89銭となり、前年度に比べ1円3銭プラス幅が大きくなりました。
次に、施設整備の状況ですが、施設等の老朽化の状況を示す指標は136ページの表のとおりです。管渠改善率は上昇し、更新した管渠延長の割合は上がったものの、有形固定資産減価償却率及び管渠老朽化率も上昇しており、老朽化度合いが進んでいることが分かります。
最後に、137ページからの「まとめ」について御説明します。
1の下水道事業を取り巻く状況については、コロナ禍後のインバウンド需要や個人消費の復調等により、大口利用者数が増加し、下水道使用料収入は前年度を上回ったものの、物価高騰等により、費用面での影響を受けました。さらに、近年の集中豪雨による災害や、能登半島地震における上下水道施設の甚大な被害から、改めて上下水道の重要性が注目されました。
2の業務状況については記載のとおりです。
3の施設整備状況については、下水道ストックマネジメント計画等に基づき、計画的な整備の推進に一層努めていただくようお願いします。
4の経営状況については、予算の執行、経営成績、財政状態の項目で説明したとおりです。
全体のまとめとして、5の今後の経営等について御説明します。下水道事業は、全国的に経営健全化の取組が求められている中、本市においても、有収水量は今後も減少傾向にあると予想されている一方、管渠の修繕・改築需要が増大していく状況にあります。こうした中、令和5年度の下水道使用料収入は増加傾向にあり、純利益は8,720万3,000円となり、前年度との比較では2,289万4,000円の増となっています。今後も安定した経営を維持するため、さらなる経営基盤の強化への努力をお願いいたします。
本市の下水道事業は、都市型浸水や地震による被害へのさらなる対策、望ましい水環境の保全・創出の役割も求められています。また、能登半島地震により、耐震化未実施の基幹施設が被災したことによる復旧の長期化が指摘され、耐震化の重要性が再確認されました。下水道施設の老朽化への対応や、効率的・安定的な事業運営等の実施を目的とし、令和6年度から長期包括契約方式を試行的に導入するとのことですが、最適なストックマネジメントが計画にのっとって行われることを期待するものです。
本決算審査の中で、固定資産の計上が漏れていたものが1件ありましたが、台帳への登録漏れ及びシステムへの連携漏れについては、再発防止に努め、正確で公正な業務の遂行を希望します。
結びに、市民の下水道事業に対する信頼に応えるため、将来にわたり安全で安定的な下水道事業を推し進められるよう、計画的な取組をお願いするものです。
以上で令和5年度決算等審査意見書の説明を終わります。