令和5年第1回定例会

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4793◯市 長(松下玲子君)  本日ここに令和5年第1回市議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、御健勝にて御参集いただき、心より御礼申し上げます。
 それでは、ただいま上程されました令和5年度の各会計予算を提案するに当たり、市政に関する基本的な考え方並びに予算の規模及び特色を御説明申し上げ、市民の皆様並びに議員の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
 初めに、市政運営の基本的考えについて申し述べます。
 新型コロナウイルス感染症の発生から3年が経過し、武蔵野市新型コロナウイルス感染症対策本部会議の開催回数は110回に及んでいます。対策本部会議では、感染拡大防止や生活支援、経済支援などの視点から、様々な議論を行った上で具体的な対策を決定してまいりました。この間の市民の皆様の取組に、心から感謝を申し上げますとともに、新型コロナウイルスに感染し療養中の方々にお見舞い申し上げます。また、日々感染リスクと向き合いながら、懸命に現場で御尽力されている医療関係者の皆様や、私たちの生活を支えるため、サービスの提供に従事されている事業者、各種団体の皆様に感謝申し上げます。
 国の方針見直しにより新型コロナウイルス感染者の全数把握が行われない現在では、正確な感染者数は明らかになりません。しかし、いまだ続くコロナ禍において、感染拡大防止対策と生活・経済対策の両面から取り組み、さらには物価高騰という難局を、市民の皆様と共に力を合わせて乗り越えてまいりたいと思います。
 今後も国のワクチン接種の方針や新型コロナウイルス感染症の取扱いの変更など、状況を把握しつつ臨機応変に対応してまいります。本年も、皆様の御理解と御協力をお願いいたします。
 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から2月末で1年が経過します。戦争と戦争犯罪により多くの貴い人命が奪われ、そして今なお続いているという恐ろしい現実に心が痛むと同時に、強い憤りを感じます。一日も早い終戦と平和がウクライナに訪れることを願ってやみません。
 ロシアのウクライナ侵攻により明らかになったことは、一たび戦争が起きると、終結はとても難しいという事実です。戦争は簡単には終わらせることができないからこそ、絶対に始めてはいけません。いかに戦争をしないか、戦争にならないかを考え、行動しなければならないのです。
 国際情勢の大きな変化や、コロナ禍の変化からも外交・安全保障政策をどうしていくかは、私たち自身の問題でもあり、外交努力や話合いで、戦争にならないように努めなければならないと考えます。日本は戦争がもたらした悲惨な歴史から学び、日本国憲法第9条に戦争の放棄を規定しました。憲法は人権を守ると同時に、国家権力を縛る力を持ちます。
 武蔵野市では非核都市宣言平和事業実行委員会との共催で、様々な平和事業を行っています。昨年の8月には市内の中学生・高校生が被爆地長崎市を訪れ、長崎平和推進協会が実施する青少年ピースフォーラムに参加しました。未来を担う若い世代を含む多くの市民の皆様と共に、今後も積極的に平和活動に取り組み、一人一人の思いや行動で戦争のない平和な社会をつくるための努力を続けてまいりたいと考えています。
 武蔵野市は、昨年11月に市制施行75周年を迎え、これを機に、市政運営の基本的なルールなどを明文化した武蔵野市自治基本条例への理解が広がるよう、周知活動に取り組みました。その一環として自治基本条例のポイントを分かりやすく記載したリーフレットの全戸配布や自治基本条例に関するシンポジウムを開催したほか、現在は若手職員チームが製作したPR動画も公開しています。こうした周知活動で心がけていることは、市政情報を分かりやすく市民の皆様にお伝えすることです。1年前、令和4年度施政方針「市政運営の基本的考え」の中で、「伝える」「伝わる」広報を心がけていきたいと思うと述べました。1年を通じて、「伝える」だけではなく「伝わる」ための工夫を凝らし、情報の受け手である市民の皆様がどのように感じるか、受け取るかということをできるだけ考えるようにしてまいりました。「伝える」「伝わる」は、広報に限らずコミュニケーションを取る上で欠かせないことと実感しています。市民の皆様の立場に立って、正しい情報を適時適切なタイミングで、分かりやすく、親しみやすくお届けできるかはこれからも追求し続けるべき課題です。
 とりわけ難しく分かりにくい行政用語の例を挙げると「地域包括ケアシステム」という言葉がありますが、これを「まちぐるみの支え合いの仕組みづくり」と言い換えるなど、難しいまま使用するのではなく、聞いた人が理解しやすい言葉を用いて説明するなど、市民の皆様と情報を共有して、より市民参加が進むように、工夫してまいりたいと思います。
 昨年、お招きいただき参加した板橋区でのシンポジウムで、元厚生労働事務次官の村木厚子さんのお話を伺いました。村木さんは何かを伝えたい、知ってほしいというときにどうするかというお話の中で、「手を替え品を替え、あの手この手で伝えることが大切」とおっしゃっていました。本市においても、大切なことは何度でも繰り返し、様々な手法で伝える努力を続けてまいりたいと思いました。
 武蔵野市自治基本条例の「計画に基づく市政運営」の大原則に基づき、昨年から第六期長期計画・調整計画の策定が始まり、今月には討議要綱を公表しました。パブリックコメントや意見交換会を通じて、より多くの御意見をお聴きしたいと思います。ぜひ、多くの皆様の積極的な御参加をお願いいたします。
 市民の皆様との意見交換や議論を重ねる中で、改めて自治基本条例とは自治の主体、主権者である市民のためのまちづくりのルールであるという認識を持ちました。自治基本条例が「自治体の憲法」と言われるゆえんは、市民が自治の主体、主権者であることを大前提として、自治の基本原則を定めたことにあるとの思いを強くしています。
 昨年以来、自治体主催としては全国初の武蔵野市気候市民会議に注目が集まり、テレビのニュースや新聞でも数多く取り上げられました。今年の元日には、毎日新聞の社説において、今まさに民主主義自体が危ぶまれている中にあって、地方からの期待すべき動きとして御紹介いただいています。
 気候市民会議は市民が生活者としての視点で、地球温暖化対策について話し合うための会議で、一昨年、2期目の市長選挙で公約に掲げました。市民の方にも参加していただき公約づくりを行う中で、気候市民会議を武蔵野市で実現しようと話題になったことがきっかけです。気候市民会議の取組の前例を調べる中で、地球温暖化対策や気候危機打開のためには自治体が旗を振るだけではなく、市民自らが考え自分にできることに取り組むことに意味や意義があると考えて公約に掲げました。市長就任後に早速、気候市民会議の参加者を募る方法について職員とも議論を重ね、公募により自ら手を挙げた人のみならず、「無作為抽出」という方法を採用することに決めました。気候市民会議で出た意見などを踏まえ、市として「気候危機打開武蔵野市民活動プラン(仮称)」を作成し、市民の皆様の理解を深め、取組につなげていきたいと考えています。
 「無作為抽出」とは、分かりやすく言えば、くじ引きで参加者を決める方法です。自ら希望して参加する市民が、気候問題への関心が高いのに比べ、無作為抽出で選ばれる市民の関心の度合いは一様ではありません。関心の度合いが様々な市民同士が議論することで、より市民の関心、心情に近い議論ができる可能性があります。
 無作為に選ばれた市民が討議を行い、その結果を行政の意思決定や政策に反映させる、くじ引き民主主義による熟議が、多様な意見を集めるために有効と考えられています。武蔵野市の取組は、そうした点からも注目されているのだと思います。今年1月4日の北海道新聞の社説の中でも、「新たな民意探る試み」と題して武蔵野市気候市民会議が紹介されています。実際に会議を傍聴されて、「『節水や節電は若者でもできる』『公立校でもっと環境教育を』こんな意見を交わす女子高生2人の隣で、中年の男性がフランス出身の男性と住宅の断熱化について語り合っていた」と昨年11月の気候市民会議の一幕を御紹介いただき、最後は「市民会議は、既存の代議制では解を出せない閉塞感を打破するために、異なる仕組みで新たな民意を探り出す試みと言えよう。」と締めくくられています。
 市民の皆様一人一人の声をいかに聴き、政策に反映させるか。熟慮と熟議を通じて論点を明らかにし、合意形成を図ることができるか。意思決定過程をできるだけ公に明らかにすることで、より納得感のある市政運営に努めたいと思います。そして、コロナ禍、世界情勢や国政の民主主義軽視の動きに不安を抱くとともに、憤りを感じますが、そのような中にあっても市民の皆様に身近な市政において、焦らずおごらず諦めずに、今年も精いっぱい、明るく楽しく共感の輪を広げ、様々な課題の解決に向けて取り組んでまいりたいと思います。
 多様性を認め合う支え合いのまちづくりについて。
 昨年10月、公益社団法人経済同友会は政策提言「『生活者共創社会』で実現する多様な価値の持続的創造─生活者(SEIKATSUSHA)による選択と行動─」を公表し、その中で次のように述べています。「失った30年は政治・行政・企業による不作為 日本が抱える未解決の課題には、かねてより指摘され対策論議も尽くしたにも関わらず実行・実現できていないものや、想定外であったとはいえ対処が遅れたものなどが多い。戦後日本は焦土からの復興を遂げ、1968年には世界第2位の経済大国となった。その後の高度経済成長やバブル経済崩壊を経た2010年、実に42年にわたって維持してきた第2位の地位を中国に明け渡すこととなった。振り返ってみれば、バブル崩壊後、成熟経済期を迎えた日本は、社会のあり方を自ら変革すべきであったが、変わらなかった、変われなかったことについては、不作為があったと言えるのではないだろうか」
 低迷する日本経済を「失われた30年」ではなく、「失った30年」としているのです。日本が抱える未解決の課題を認識しながらも、その解決に向けて自ら主体的に関わってこなかった不作為の結果と捉え、反省の意味を込めて「失った」と他人事ではなく自分事としているようです。つまり「失った30年」とは、時代の変化、人々の変化に対応できずにいたことや、多様な考え方、価値観を大切にしてこなかったことに大きな理由があるのではないかと思われます。
 例えば「選択的夫婦別姓」も「同性婚」も日本ではいまだに認められていません。この30年間の様々な調査を拝見すると、選択的夫婦別姓への支持は増え、制度の是非を問う段階から、いつ成立するのかという段階に進んでいるとも思えます。誰も不幸にせず、困っている人を助けることができるのに、政府与党内にも賛成者がいるにもかかわらず、一部の反対者の意見で法改正は行われず制度が実現されることなく、今日に至ります。武蔵野市では国で法改正がされないために、不利益を被っている人たちを少しでも支えようと、令和4(2022)年4月にパートナーシップ制度を確立しました。同性同士の関係だけでなく、事実婚関係の異性のカップルも利用できることが武蔵野市のパートナーシップ制度の特徴です。市としてできる範囲で努力をしていますが、やはり一日も早く法改正がなされて、誰も取り残さず、別姓を希望する人は別姓を選ぶ選択的夫婦別姓制度や、同性婚の制度が確立されることを切に願います。社会のあらゆる場面で困り事を発見し、課題解決に取り組む中で多様性を重視し、違いも認め合っていくことにより、個人の幸福感が増し、社会に活力がみなぎるのだと思います。「失った30年」において、多様な考え方や価値観を大切にしてこなかったため、社会が変わることなく個人の負担や困り事が増えてしまったのではないかと思えてなりません。武蔵野市から多様性を認め尊重し合う平和な社会の実現に向けて、できる取組を進めたいと思います。
 未来ある子どもたちが希望を持ち健やかに暮らせるまちづくりについて。
 市長に就任以来、一貫して「子ども子育て応援宣言のまち武蔵野」を目指し、子どもと子育て家庭への支援に取り組んでいます。折に触れ、年間出生数と合計特殊出生率の推移についてお話しし、少子高齢社会への対応を最重要課題と位置づけて、保育園の待機児童対策や使用済み紙おむつの保育園での処理、子どもの医療費助成事業の拡充など、武蔵野市でできることを国や都に先駆けて取り組んでまいりました。日本の昨年1年間に生まれた子どもの数は過去最少、80万人を割り込む見通しであると言われています。急速な人口減少が社会に与える影響はとても大きく、子どもと子育て家庭への支援は、子育てをしている保護者のみならず、社会全体で取り組むものと発想を転換し、政策を大胆に変えなければ、今の制度のままでは瞬く間に立ち行かなくなってしまいます。子育て支援策は経済・産業振興政策でもあり、保育園待機児童対策はまさに子育てをしながら働く人々を支え、産業振興につながる事業だと切に思います。つまり、子育て支援は社会全体で、皆で支え合いながら取り組むものであり、まさに公共的な事業と言えるのではないでしょうか、公共事業として取り組んでいかなければならないはずです。
 学童クラブは児童数と入所率の増加により、クラブ室を増やす対応を取っていますが、市立小学校内に設置している学童クラブのクラブ室を増やすことはなかなか難しく、昨年新たに民間学童クラブ2施設の開設を支援いたしました。年度途中での新設でしたが、新年度入所に向けてお申込みをいただいています。武蔵野市では私立や国立の小学校に通う児童も市立小学校内の学童クラブに入所いただいていますが、民間学童クラブの開設により、利用者にお選びいただける選択肢を増やすことができたと思います。また、現状小学校3年生まで待機児童を出さない方針で学童クラブ事業を行っていますが、民間学童クラブでは高学年の児童にも対応しており、希望により選択いただけると思います。今後も利用者のニーズや利用状況を把握しながら、就学後の放課後児童対策を行ってまいります。
 子どもの最善の利益を尊重する社会の実現に向けて、武蔵野市子どもの権利条例を制定することでより一層の取組を推進するために、今市議会定例会に議案を提出いたします。令和3(2021)年5月に武蔵野市子どもの権利に関する条例検討委員会を設置し、2か年度にわたる活発な御議論、御検討をいただきました。また、昨年5月と11月に、パブリックコメント手続や市民意見交換会などを実施し、この2回を合わせて3,200件を超える多くの意見をいただきました。そのうち当事者である子どもたちからは、1,700件を超える意見が寄せられ、条例制定の必要性をさらに強く感じています。子どもたちから意見を聴取するに当たり、市内在住、在学の小・中・高校生に分かりやすい概要版のチラシを配布したり、市立の小・中学校の児童生徒に貸与している学習者用コンピューターを活用したりするなど、子どもが安心して自由に意見を出すことができるよう様々な工夫を凝らしました。子どもからの自由意見の一つ一つを拝見すると子ども自身が子どもの権利について知り、真剣に考えてその思いを伝えてくれていることが分かりました。「遊具やボールで遊べる公園や、遊んだり勉強したりできる場所が欲しい」という意見が多数ありました。「学校ではいじめとまではいかなくとも、ちょっと嫌な思いをすることがある」「試験の結果が悪くて親から怒られてつらい」「相談できる場が欲しい」などとても貴重な意見をたくさんいただくことができました。また、中学生と直接話す中では、「試験前に学校に残って勉強できる場所が欲しい」という要望もありました。今市議会定例会に提出する武蔵野市子どもの権利条例案の前文に掲げる「子どもたちのことば」には、権利の主体である子どもたち自身が考えた気持ちや願いが込められています。今後も一人一人の子どもの気持ちや願いを尊重し、子ども自身が自分のことを大切に思い、幸せを感じられるよう、地域社会全体で子どもに優しいまちづくりを推進してまいります。
 コミュニティを育む市民自治のまちづくりについて。
 3年間に及ぶコロナ禍で、私たちは様々な制約を余儀なくされました。その中でもコミュニティセンターでは、感染防止のための市の公共施設の利用基準に基づき、定期的な換気や消毒など施設の状況に応じた対策に取り組んでいただきました。この間のコミュニティ協議会や利用者の皆様の取組に感謝申し上げます。国の示す基準等に基づき利用基準は順次緩和をしておりますが、新型コロナウイルスが全くなくなることはないと思われますので、これからもウイルスと共存しながら日常活動や経済活動を止めることなく、工夫しながらの生活を続ける必要があります。コロナ禍によって人と人とのつながりが希薄になり、直接のコミュニケーションが減少していることでの弊害も現れていると思われます。しかし、身近なコミュニティで直接交流しながら、仲よく楽しく活動することで地域の課題解決にもつながり、何より人と人が知り合うことで、いろいろな可能性が広がっていきます。昨年はコミュニティセンターにWi-Fiを導入し、通信環境を整備しました。オンラインのよさを取り入れつつ、対面のコミュニケーションも大切にしながら、豊かなコミュニティを育んでいただきたいと思います。
 新たな市民参加の権利として自治基本条例で定められた住民投票制度について、本市の市民自治にふさわしい制度とするため、有識者や市民の意見を参考に論点整理を行います。そもそも住民投票制度とはどういうものか、例えば、自治基本条例に基づく住民投票制度は、選挙や地方自治法等に基づく住民投票制度とは全く異なることなど、本市の制度について、市民の皆様に知って考えていただけるように努めます。
 このまちにつながる誰もが住み・学び・働き・楽しみ続けられるまちづくりについて。
 昨年は都立武蔵野中央公園で農産物品評会とCO+LAB MUSASHINO(コラボむさしの)事業を同時開催しました。品評会は3年ぶりの開催となりましたが、品評会終了後の農産物販売を求めて多くの皆様に御来場いただき、長蛇の列ができていました。生産者の皆様は、農産物を心を込めて育てられ、自然と向き合いながら品評会に合わせて一番よい状態になるように苦心されていらっしゃいます。そして早朝から収穫し、武蔵野中央公園に農産物の数々が集まりました。色とりどり、すばらしい農産物を拝見し、身近に農ある暮らしが潤いや喜びをもたらすことを感じました。CO+LAB MUSASHINOは、昨年からまずは試行事業として武蔵野商工会議所等と共に始めた市内の様々な事業を連携する取組です。昨年は、「食と農のおいしい出会い」をテーマとして市内産の農産物を市内事業者に活用していただき、できた商品を市民の皆様に提供しました。イベントでは事業成果のお披露目として一部の商品を販売しましたが、こちらも長蛇の列ができていて、早くに売り切れて食べられなかった方も多数いらっしゃったようです。「食と農のおいしい出会い」はイベントそのものが目的ではなく、継続してお店で販売していただけるよう、市等が間に入り、農家見学会等を通じて市内産農産物の魅力を知っていただき、直接事業者同士が交流できるきっかけづくりを行うなど、事業者と生産者の出会いをサポートする取組です。今後もこのプロジェクトを契機に事業者同士が相互に連携し、新たな商品開発や事業を始める仕掛けづくりの場を提供してまいります。
 農業ふれあい公園や吉祥寺東町農業公園でも収穫イベントがあり、久しぶりに市民が農に触れることのできる事業が行われた昨秋でした。食と農への関心を高め、「生きることは食べること」「おいしく食べて健康な身体をつくること」「地産地消でフードマイレージを小さく」「農業の脱炭素化で持続可能な食を」など食に関する様々なテーマを考えてまいります。
 改めて様々なイベントが制約を受けたコロナ禍を、人と人のつながりを育む様々なイベントや事業を見直すきっかけとして捉え、行政が取り組む意味や目的を整理し、検討を進めてまいります。
 子どもたちの学びの場を充実する取組を進めています。市立小学校では「教科担任制」を進め、市独自で採用するいわゆる市講師の方々に、専門性の高い教育を行っていただいています。高学年の児童にとっては、外国語、理科、体育、家庭、書写などを担任以外の先生から学ぶ機会を増やすことで、より質の高い教育が受けられ、担任にとっては余裕時間を生み出すことで子どもたちに向き合う時間のほか、授業準備や研究にかける時間を増やすことができます。市講師の採用については、5年前に市長に就任して以来継続して取り組むことで、学校現場でも評価を得てきたため、今後もさらに進めてまいります。学校図書館は単に本を借りたり読んだりするだけではなく、子どもたちの学校内の教室以外の居場所や試験前など放課後の自習場所として、より活用していきたいと考えます。そのため学校図書館サポーターの名称を学校司書と変更し、勤務時間等を拡充するとともに、学校図書館を利用する児童生徒の対応や教員との連絡調整等の役割を充実させてまいります。
 限りある資源を生かした持続可能なまちづくりについて。
 公共駐輪場の利用方法を見直して3年、ようやく市内の公共駐輪場全ての定期利用が3年使用制限制度から1年ごとの契約となり、定期利用と一時利用の割合を調整することができます。かつて武蔵野市では、市内3駅で駅周辺に放置自転車があふれた時代がありました。平成3(1991)年度、国の調査で、吉祥寺駅周辺の買物時間帯(午後3時から午後4時まで)における放置自転車台数が4,949台で全国ワースト1位になるという不名誉な経験などは、今では信じられませんが、放置自転車対策は市の最重要課題という時期もあったのです。その後駅周辺における公共駐輪場の整備や、放置自転車に対する指導・警告・撤去、商店会や関係団体等との連携などの対策に継続して取り組んだ結果、現在では放置自転車は大幅に減少しました。しかし、次なる課題として、定期利用契約は100%に近い状況にあるものの、利用頻度が低く、空きがあるのに対し、一時利用は常に満車で自転車を止めたくても止めることができないという状況が起きていました。その理由の一つとして、例えば一度定期利用契約をした方は、月額1,500円で無期限的に特定の定期利用の公共駐輪場を借り続けられるため、毎日利用しなくとも、月に数回利用するだけでも一時利用と比較して低額な状況がありました。つまり定期利用契約したものの、実際には利用頻度が少ないため定期利用の公共駐輪場が空いているという現象が起きてしまっていたのです。一方、定期利用契約ができなければ、一時利用の公共駐輪場を毎日通勤や通学で使うことになるため、一時利用の公共駐輪場はほぼ満車となり、朝遅めの時間帯や日中に買物や通院等で利用したい方が利用できないという結果をもたらしていました。自転車を利用する全ての皆様が目的や利用時間に応じて、必要なときに利用できる公共駐輪場となるように時間をかけて利用方法の見直しを行い今日に至ります。公共駐輪場対策はこれで終わりではありません。駅前や周辺で土地をお借りして運営している規模の小さい公共駐輪場は、いつ所有者から返還を求められるか分からず、安定的ではないため、集約化と恒久化が必要と考えます。同時に駅周辺の産業振興や交通安全対策などまちづくりの視点も踏まえて、公共駐輪場の再編を行っており、今後も継続して取り組んでまいります。吉祥寺東部地区や三鷹駅北口エリアのまちづくりにおいても、公共駐輪場の再編等を行いながら、利便性や安全性の高い、より歩行者中心の魅力的なまちづくりを行ってまいります。
 公共施設の建て替えや大規模改修等、一つ一つをここで取り上げることはできませんが、それぞれ進捗状況を踏まえて、適時適切に情報共有を行った上で意思決定を諮り進めてまいります。第六期長期計画・調整計画策定に向けた取組の中でも、今後の方向性や方針を決めるべく課題については、しっかりと議論をしてまいりたいと思います。
 コロナ禍を3年経験してさらに、人は一人では生きていけないということを痛感しています。人と人が出会い、交流し、支え合い、学び合い、励まし合って生きていると実体験から感じています。顔が見えない中で、匿名性の高いネット社会ではばり雑言を浴びせたり、誹謗中傷やうそが飛び交ったりする現実があり、悲しく思います。面と向かってであれば絶対に言わないと思われる言葉も匿名の仮想空間では日常的に飛び交っています。名誉毀損や誹謗中傷などに関してプロバイダーへの開示請求が容易にもなっていますが、個人が開示請求や代理人を立てて争い訴訟を行うことはまだまだハードルが高く、インターネット上のリテラシーやマナー向上が望まれます。メタバース、仮想空間やDXといったこれまでとは全く異なる手法や価値観に接し、新たに変化していくこと、大切に守り継続することを取捨選択しながら事業を進めてまいります。
 人は一人一人違うからこそ、その違った個性がぶつかり合う中で新たな価値や文化が生まれ育まれているのだと思います。違いを認め合い、悩みや不安は一人では抱え込まずに共有し、共に乗り越えていきたいと思います。感染防止と生活・経済活動の継続は生きていく上では不可欠です。目に見えないウイルスと闘いながらも、差別や偏見を持たずに尊厳ある生を一人一人が全うするために、公の役割を果たしていきたいと思います。市民の皆様と共に誰も取り残さない支え合いのまちづくりを推進してまいります。
 続きまして、令和5(2023)年度の主要な施策について申し述べます。
 第1は、健康・福祉についてです。
 まちぐるみの支え合いを実現するための取組について。
 新たに設置する健康福祉施策推進審議会において、令和4(2022)年度に実施した各種実態調査等の結果を踏まえ、第4期健康福祉総合計画・第6期地域福祉計画・第2期成年後見制度利用促進基本計画・再犯防止推進計画、高齢者福祉計画・第9期介護保険事業計画、障害者計画・第7期障害福祉計画及び第5期健康推進計画・食育推進計画・自殺総合対策計画を策定します。
 令和4(2022)年度から健康長寿のまちを推進するため、9月を「健康長寿のまち武蔵野推進月間」と定めました。令和5(2023)年度も「楽しく!元気に!長生き!!」をスローガンとして、高齢者を中心に幅広く市民への認知症及びフレイル予防の普及啓発をし、健康づくりを実践できるきっかけづくりとなる講演会等の様々な事業を実施します。
 国民健康保険被保険者の健康寿命の延伸と国民健康保険事業の適正な運営を目指し、データヘルス計画・特定健康診査等実施計画の改定を行います。
 心のバリアフリー出前講座、障害者差別解消法に係る講演会、親なき後講座等の実施を通して、障害のある方への理解を深める取組や権利擁護を推進するほか、地域生活支援拠点の整備を進め、誰もが安心して暮らせる支え合いのまちづくりに取り組みます。
 生命と健康を守る地域医療充実への取組と連携の強化について。
 令和2(2020)年度より毎年東京都に対し、保健所の体制強化を要望しております。引き続き多摩府中保健所武蔵野三鷹地域センターを感染症対策の機能を有する支所として拡充することを要望していきます。
 新型コロナウイルスに感染した疑いのある市民が、身近な医療機関でPCR検査を受けられるよう、引き続き体制を整備するとともに、感染拡大防止対策として、重症化するリスクの高い高齢者施設及び障害者施設の利用者及び職員のPCR検査等を実施した事業者に対して、その費用を助成します。
 新型コロナウイルス感染症の自宅療養者支援については、感染状況や国及び都の動向を踏まえつつ、必要な支援を実施します。
 新型コロナウイルスワクチン接種については、市民の生命及び健康を守るため、国が示す方針に従って実施します。
 将来的な国民皆歯科健診を見据え、40歳以上の市民全員に歯科健康診査受診券を発送することで、健診を受けやすい環境を整え、健診をきっかけとしたかかりつけ歯科医の推進を図ります。
 安心して暮らし続けられるための相談支援体制の充実について。
 「8050問題」やひきこもり等多様かつ複合的な課題を抱える方からの相談窓口として、令和3(2021)年4月に設置した福祉総合相談窓口では、引き続き個々の相談に対し分野横断的に関係機関と連携しながら課題の解決に向けた包括的・継続的支援を行います。
 多様な課題を抱えた生活困窮者に対し、包括的な相談支援を実施し早期自立を支援します。生活困窮世帯の子どもを対象とした学習支援事業の実施、住居確保給付金の支給のほか、生活困窮者への市独自の支援策として住居契約更新料給付金及び特別就職支援金の支給を引き続き行います。
 医療的ケアが必要な子どもの家族からの相談や関係機関につなぐ役割などを担う「医療的ケア児コーディネーター」を配置します。
 認知症高齢者や介護者が安心して暮らせるよう、認知症に関する普及・啓発を行うとともに、認知症初期集中支援チームの設置、相談・見守り支援事業の充実により在宅生活を支援します。
 高齢者本人が急病などで一時的な支援が必要な場合に、ひとり暮らしの高齢者、高齢者のみの世帯及び障害等がある65歳未満の方がいる世帯に対してレスキューヘルパー(高齢者等緊急訪問介護)事業を引き続き実施します。また、高齢者本人・家族が新型コロナウイルスに感染し自宅療養となった際には、感染症対応レスキューヘルパーを派遣します。
 福祉人材の確保と育成に向けた取組について。
 地域包括ケア人材育成センターの運営については、公益財団法人武蔵野市福祉公社に委託し、人材養成事業、研修・相談事業、就職支援事業、事業者・団体支援事業を柱に、福祉サービスを担う人材の確保・育成を一体的、総合的に行います。
 「ケアリンピック武蔵野」の開催を通して、介護・看護事業者における先進的な取組を共有し、サービスの質の向上を図ります。また、介護・看護職員が誇りとやりがいを持って働き続けられるよう支援します。
 介護職等の人材確保のため、市内の介護施設や障害者施設等に就職する方に対し、引き続き介護職・看護職Reスタート支援金を給付します。
 新しい福祉サービスの整備について。
 保健センターの増築及び大規模改修を行い、保健衛生機能の充実を図った上で、子どもと子育て家庭への支援施設を含む複合施設として整備します。令和5(2023)年度は前年度から引き続き基本設計を行い、実施設計に着手します。
 中・重度の要介護者の医療ニーズに対応するため、高齢者福祉計画・第8期介護保険事業計画に基づき、吉祥寺南町3丁目の市有地を活用した看護小規模多機能型居宅介護を整備・運営する事業者を公募により選定します。
 高齢者総合センターについては、第2期公共施設等総合管理計画及び保全改修計画に基づく大規模改修工事を行うため実施設計を行い、令和6(2024)年度から令和7(2025)年度にかけて工事を予定しています。
 障害者福祉センターについては、改築に向けて、令和4(2022)年度に基本計画を策定しました。令和5(2023)年度から令和7(2025)年度にかけて基本設計・実施設計を行います。令和7(2025)年度内に着工し、令和10(2028)年度の供用開始を予定しています。
 高齢者総合センター大規模改修及び障害者福祉センター改築工事期間中の移転先となる仮設施設を設置するため、設置予定地である旧中町自転車保管所敷地内の支障物を撤去するとともに、フェンスの設置やインフラ接続工事等を実施します。
 公益財団法人武蔵野市福祉公社と社会福祉法人武蔵野市民社会福祉協議会の現社屋の建て替えに向けて、単に狭小で老朽化した執務スペースの拡充・改善するためだけにとどまらず、本市における「地域共生社会推進の拠点」としての機能と役割を実現するために、本市ができる支援を引き続き検討します。
 第2は、子ども・教育についてです。
 子どもたちが希望を持ち健やかに過ごせるまちづくりについて。
 全ての子どもたちが健やかに育ち、全ての子育て家庭が安心して子育てできるよう、子どもに関する施策・事業を総合的に取り込む「第六次子どもプラン武蔵野」を2か年かけて策定します。子どもの最善の利益を尊重する社会の実現に向け、子どもの権利に関して、周知啓発等に取り組みます。また、子どもが意見を表明する機会を十分に確保するため、中高生世代ワークショップ「Teensムサカツ」について、一層の充実を図ります。
 全ての妊産婦・子育て家庭が安心して出産・子育てができるよう、妊娠から出産・子育てまで一貫して寄り添いながら相談に応じ、必要な支援につなぐ伴走型の相談支援の充実を図り、出産・子育て応援ギフトの支給による経済的支援を一体的に実施します。加えて産後ケア事業の充実を図ります。
 令和2(2020)年12月に開設した放課後等デイサービス施設「パレット」において、肢体不自由児や医療的ケア児等への安定した支援を継続的に行います。
 児童虐待を防止し、子育てに不安を持つ家庭を支援するために、相談支援事業の強化・充実、関係機関との連携を推進します。
 東京都において多摩地域に新たな児童相談所の設置が予定されており、管轄区域の再編案が示されました。今後の動向を注視していきます。
 安心して産み育てられる子育て世代への総合的支援について。
 子どもに係る手当や助成の申請等の手続に関して、タブレット等への入力により手続を行う「書かない窓口」を導入し、市民の皆様の申請手続の負担を軽減し、待ち時間、対応時間の短縮とともに職員の負担軽減と業務の効率化を図ります。
 市立保育園において、医療的ケアが必要な乳幼児の保育のための環境と支援体制を整備します。
 保育従事者を対象とした研修を継続するほか、保育事故防止支援指導員、保育総合アドバイザー、保育相談員等の巡回支援等により、市内保育施設における不適切な保育の防止及び保育の質の向上を図ります。
 地域の子育て支援ニーズに対応し、多様な主体による子育て支援を推進するため、民間団体による地域子育て支援拠点施設の運営費補助を行うとともに、新規施設の開設に向け、運営事業者の公募を行います。
 公益財団法人武蔵野市子ども協会に管理運営を委託している0123施設の開館時間の延長及び4・5歳児支援を引き続き試行し、親支援や異年齢交流の検証及び本格実施の在り方を検討します。
 就労等のため放課後に保護者の監護を受けられない児童の健全育成を図ります。児童増に対応するため第四小学校のクラブ室を増設します。また、大野田小学校学童クラブについては、児童増への緊急対応として、包括連携協定を結ぶUR都市機構及び自治会との協議の結果、緑町パークタウン内の集会所にクラブ室を設置し、育成を行うこととしました。
 就労等により子どもの学童保育の利用を希望する保護者が増加しているため、市立小学校内の育成スペースの確保が難しくなってきています。また、保護者の就労の多様化に対応する必要もあることから、民間事業者による学童クラブの市内での開設を引き続き支援します。
 子どもと子育て家庭を地域社会全体で応援する施策の充実について。
 東京都に先駆け、本市独自で実施した高校生等医療費助成制度が、東京都においても実施されることになりました。令和5(2023)年4月より、東京都高校生等医療費助成制度、通称「マル青」に制度を移行します。東京都が子どもの医療費助成制度の対象年齢を高校生相当まで拡充したことは、本市の地域社会全体で子育てを応援するというメッセージを東京都に後押ししていただけたものと受け止めております。今後も地域社会全体で子育てを応援するというメッセージを発信し続けていきます。
 なお、本市では引き続き、所得制限や一部自己負担金を設けず、ゼロ歳から高校生相当年齢まで、全ての子どものための医療費助成事業を実施します。
 子どもの「生きる力」を育むについて。
 市立自然の村については、青少年をはじめとする多くの市民が利用しやすい施設とするため、指定管理者と共に市も一体となって適正な維持管理を行います。
 セカンドスクール・プレセカンドスクールについては、令和2(2020)年度に行われた長期宿泊体験活動検討委員会の報告を踏まえ、活動の狙いを一層明確にした長期宿泊での自然体験や農業体験を通し、豊かな感性や自主性、協調性等を育む教育活動を実施します。
 令和3(2021)年度より市立小・中学校の児童生徒に1人1台整備した学習者用コンピューターを適切かつ効果的に活用する授業を引き続き実施します。導入3年目となる学習者用コンピューターについて、これまで蓄積した知見を生かし、活用の指針を令和5(2023)年度中に定めます。
 不登校対策については、スクールソーシャルワーカーを中心に個別の相談に応じ、在籍校と連携しながら支援します。また、市立小・中学校に配置している家庭と子どもの支援員を拡充し、登校支援や教室に入れない児童生徒への別室支援等、学校内での支援体制を強化します。
 児童生徒の教育的ニーズに対応するため、引き続き、障害種別ごとの特別支援学級、全小・中学校における特別支援教室を運営します。また、医療的ケアの必要な児童生徒のための支援体制の整備を行います。
 教育環境の充実と学校施設の整備について。
 本市の教育の現状と課題を整理し、目指す方向を明らかにするため、第四期学校教育計画を2か年かけて策定します。あわせて、令和5(2023)年度は、子ども、保護者及び教員を対象としたアンケート調査を行います。
 「開かれた学校づくり協議会」において学校運営協議会機能を活用し、地域学校協働本部機能と一体的に推進することで、学校・家庭・地域の協働体制の充実を図ります。令和5(2023)年度から2年間、モデル校2校で実施します。
 本市が独自で配置している市講師を拡充し、小学校高学年における教科担任制を推進することで、教材研究等の充実による授業の質の向上を図るとともに、教員の負担を減らし、働き方改革を進めます。また、放課後等に学習支援教室を実施するほか、学習指導補助員を配置することにより、個に応じた指導を一層進めます。
 中学校における部活動指導員は、教員に代わって大会等を引率することが可能であり、各種目の専門性を有する部活動指導員を各校1名から2名に増員し、より効率的・効果的な部活動を推進し、部活動の継続と教員の多忙化の解消を図ります。
 第一中学校及び第五中学校は、解体工事を完了し、改築工事に着手します。また、第五小学校及び井之頭小学校は、令和4(2022)年度に策定した改築基本計画に基づき、地域の意見を聴きながら、基本設計を実施します。
 関前南小学校については、児童増及び小学校35人学級の導入に対応するため、増築により普通教室を確保します。
 第3は、平和・文化・市民生活についてです。
 多様性を認め合い尊重し合う平和な社会の構築について。
 戦争の悲惨さや平和の尊さを次世代に継承していくため、市民と共に平和啓発事業を実施します。また、平和施策の在り方について有識者や市民から成る「平和事業のあり方懇談会(仮称)」の御意見を伺い検討を進めます。5月には市民に憲法への関心と認識を深めてもらう事業を行います。
 日本人と外国人が共に理解し、尊重し合い、活躍できる環境の整備を積極的に図るため、令和4(2022)年度に策定を進め、まもなく完成する武蔵野市多文化共生推進プランに基づき、多文化共生の取組を進めます。
 市役所窓口での外国人市民や聴覚障害のある市民等との言語障壁を取り除くため、タブレット端末を用いたオンライン通訳サービスを本格導入し、手話通訳サービスの追加及び機器の増設を行います。また、翻訳サービスにより申請書類等の多言語化を推進し、日本語を母語としない市民の手続の円滑化を図ります。
 男女平等の推進に関する条例に基づき、研修・啓発、情報収集・提供、団体支援、相談事業等を行うほか、パートナーシップ制度の推進や、次期男女平等推進計画の策定を行います。
 災害への備えの拡充について。
 国や東京都の防災計画の修正内容及び新型コロナウイルス感染症の対策等を踏まえ、国土強靭化地域計画や震災復興マニュアルなどとの整合を図りながら、令和4(2022)年度に地域防災計画の修正を行いました。今後も市民の生命や財産を守ることを目的に様々な発災を想定した訓練を実施します。
 老朽化した消防団第2分団詰所を建て替えることで吉祥寺地区の防災力の維持・向上を図ります。
 災害時に自宅での生活が継続できず、やむなくペットと同行避難する場合を想定し、避難所における行動マニュアルを周知するとともに、避難所14か所においてペット対策用物資の備蓄を行います。
 消防庁長官通知「消防団員の報酬等の基準等について」に基づき、消防団員の報酬改定を行い、消防団員の処遇改善を図ります。
 安全・安心なまちづくりについて。
 安全・安心を実感できるまちづくりを推進するため、市民安全パトロール隊やホワイトイーグル等によるパトロールの実施や、商店会等に対する防犯カメラの設置・管理支援、特殊詐欺被害防止対策等を行います。また、ブルーキャップの活動時間の延長や、吉祥寺ミッドナイトパトロール隊による指導の実施など、客引き行為等に対する体制を強化します。
 事件・事故など身近に起こり得る危機や、ミサイル発射やテロ発生などの様々な脅威に備えるため、危機管理対策訓練を行います。
 震災時における緊急輸送道路の機能を確保するため、引き続き東京都と連携し、耐震化に要する費用の一部を助成します。
 また、住宅やマンションの耐震化に要する費用の一部助成や専門家派遣等による支援を行い、耐震化緊急促進アクションプログラムに基づき、耐震化の促進を図ります。
 地域社会と市民活動の活性化について。
 第二期武蔵野市市民活動促進基本計画に基づき、市民活動への市民の関心と参加を促し、各種支援を充実させるとともに、市職員の市民との協働に対する意識の醸成を図ります。
 コミュニティ協議会によるコミュニティセンターの管理運営及びコミュニティ活動を引き続き支援します。施設の適切な維持修繕を行うとともに、コミュニティセンター整備計画に沿って保全改修を進めます。
 中央コミュニティセンターについては、エレベーター設置によるバリアフリー化に向けた調査・検討を行います。
 豊かで多様な文化の醸成について。
 令和4(2022)年度に発足した公益財団法人武蔵野文化生涯学習事業団については、合併に伴う事業分野の拡大を契機とした、ブランディングの強化とさらなる市民サービス向上への取組を支援します。
 武蔵野アール・ブリュット展については、市民による実行委員会との協働により、令和4(2022)年度の武蔵野プレイスなどでの周知に続いて、令和5(2023)年度は吉祥寺美術館での展示に取り組みます。
 武蔵野公会堂については、周辺エリアのまちづくりの動きを見据え、既存施設を活用した改修等により、老朽化した設備の更新やバリアフリー化とともに文化施設としての機能向上を図ります。令和4(2022)年度策定の基本計画に基づき、設計事業者を選定し、工事の設計に着手します。
 多様な学びや運動・スポーツ活動の推進について。
 誰もがスポーツを快適に楽しむことができるように総合体育館の長寿命化を図るため、保全と機能改善等の大規模改修に向けて、工事内容の精査及び調整を踏まえ、基本計画を策定します。また、陸上競技場については、第三種公認検定を受けるため改修工事等更新と備品の購入を行います。
 障害のある方への理解促進と障害者スポーツの周知を図り、障害の有無にかかわらず、誰もが気軽にスポーツをすることができる環境づくりに向け、障害者スポーツ教室や障害者のためのスポーツ広場などを引き続き実施します。
 図書館資料の安定的かつ効率的な収集と保存、提供を行うため、中央図書館地下書庫に設置されている電動書架のリニューアル工事を行います。
 まちの魅力を高め豊かな暮らしを支える産業の振興について。
 令和4(2022)年度に実施した、本市における産業の特性等の把握を目的とした基礎調査に基づき、第三期武蔵野市産業振興計画の策定を行います。
 令和5(2023)年度に市内の空き店舗または事務所へ出店し、かつ、商店会等に加入して事業開始時及び6か月経過時に申請をした事業者、または令和4(2022)年度に出店した事業者のうち、6か月経過時に申請をする事業者に対して支援を行います。
 商店会同士のさらなる連携強化やデジタル化の推進のために、地区商連等が実施する事業に対し、経費の2分の1を補助します。令和5(2023)年度は中央地区で試行します。
 平成30(2018)年に施行された都市農地貸借円滑化法に基づき、市内でも生産緑地の貸借事例が出てきています。直近では若手の農業者が新規に就農され、関前で様々な取組をされています。農地の保全につながるこの取組については、今後も引き続き関係機関と連携しながら、貸手と借手のマッチングを行っていきます。
 国の制度である認定農業者制度及び令和2(2020)年度に創設した本市独自の都市型認定農業者制度に基づき、生産目標を立てて達成を目指す認定農業者、都市型認定農業者による農業用機械の導入等に対して経費の補助を行います。
 農地の持つ防災や環境保全などの多面的機能の向上と地域住民に配慮した基盤整備を目的とし、市内農業者による土留め及びフェンスの設置について補助を行います。
 ふるさと納税制度により頂いた寄付金を活用して市民サービスの充実を図るとともに、体験型等も含めた地域の魅力的な返礼品の拡充に努め、市のPRや魅力発信、地域産業の振興につなげます。
 第4は、緑・環境についてです。
 刻々と変化する環境問題への対応について。
 喫緊の課題である地球温暖化・気候変動対策を広く市民に周知するため、気候市民会議の議論を踏まえた気候危機打開武蔵野市民活動プラン(仮称)及びそのプランを補完し具体的な対策を例示するブックレット等を作成し、市内全戸に配布します。
 市民一人一人の環境配慮行動を促すため、むさしのエコreゾートにおいて環境フェスタや環境の学校などを実施し、多様な環境啓発の拠点施設として活用を進めていきます。
 雨水浸透施設や雨水タンクを設置する市民に対して助成を行い、雨水浸透施設等の設置促進を通じ、河川や下水道への流出抑制及び水循環の推進を図ります。
 地球温暖化対策の推進について。
 気候市民会議を契機とし、市民の地球温暖化対策の取組に対する機運を高め、活動の輪を広げていくことを目的に、市民の優れた取組を表彰し、SNS等により紹介する「むさしのゼロカーボン大賞事業(仮称)」を実施します。
 2050年ゼロカーボンシティの実現に向けて、市域における再生可能エネルギー利用を促進するため、実質再エネ100%電気に切り替えた家庭に対し、協力金を支給するとともに、市が率先して、小・中学校等の主要な51の公共施設において、実質再エネ100%電力を導入します。
 分譲マンションの断熱化を促進するため、効率的なエネルギー活用推進助成事業における既設窓の断熱改修の交付対象にマンション管理組合を加え、拡大を図ります。
 「緑」を基軸としたまちづくりの推進について。
 緑の基本計画2019について、計画実施期間の中間まとめとして、計画の個別・具体の取組状況の把握・検証を行い、進捗状況を各分野と共有するとともに、令和6(2024)年度に予定している自然環境等実態調査に向けた調査項目・指標を検討します。
 八幡町2丁目地内に公園の新設を行うとともに中央高架下公園のリニューアル及びむさしの市民公園の木製複合遊具、西久保児童公園のコンクリート遊具の更新等を実施します。また、まちに潤いを与え良好な景観をもたらす街路樹の保全と更新を行います。
 民有地の緑の保全を推進するため、保存樹林等の指定を行い、樹木診断の実施や補助金によって所有者の維持管理の負担軽減を図ります。また、豊かな緑のある景観を継承するため、市指定文化財と連携した新たな助成制度を創設します。
 省エネルギー・省資源型の持続可能な都市の構築について。
 環境への負荷の少ない持続可能な都市を目指し、市民・市民団体、事業者との連携により、3R(リデュース・リユース・リサイクル)を適切に推進し、ごみ排出量の削減に取り組みます。
 様々な環境の変化に対応した良好な生活環境の確保について。
 市内3駅周辺に設置した閉鎖型喫煙所(喫煙トレーラーハウス)の利用を促進するとともに受動喫煙防止に向けた啓発を推進し、まちの環境美化と受動喫煙防止を図ります。
 東京都の浸水対策事業である石神井川上流第一調節池(仮称)については、周辺環境への配慮や適切な情報提供を引き続き求めていきます。
 第5は、都市基盤についてです。
 個性あふれる魅力的な地域のまちづくりについて。
 良好な道路景観の創出、防災機能の向上、歩行空間の確保を図るため、景観道路事業を推進します。令和5(2023)年度は、市道第16号線(かたらいの道)等の連系引込管工事や道路改修工事を行います。
 吉祥寺エリアでは駐車場付置義務が建物更新を阻害し、またまち並みの連続性を損なわせる傾向があります。東京都の条例改正により鉄道駅周辺における地域ルール制度が創設されたことを受け、柔軟な施設配置・集約化に向けた検討を行います。
 将来にわたり持続性ある都市基盤づくりについて。
 道路分野については、市内に約400基ある装飾街路灯は大半が高圧水銀ランプですが、「水銀に関する水俣条約」によりランプの製造・輸出入が禁止されたことにより、ランプ・灯具の更新ができなくなるため、令和5(2023)年度から2か年でLED化を進めます。
 橋りょう長寿命化計画に基づき、本村橋、八丁橋等8橋の定期点検及び曙橋等2橋の補修設計を行います。既に着手している「よろず橋架け替え工事」を令和5(2023)年度中に完了させます。
 八幡町2丁目の資材置場施設は、築後30年以上経過し、著しい劣化により安全性及び機能面において様々な課題があります。更新を図るに当たっては、公園の整備も併せて行います。
 水道分野については、円滑かつ効率的に水道水を供給していくため、施設保全計画に基づき、浄水場施設及び水源施設の維持・更新を進めていきます。また、今後も安全で安定的に水道水を供給できるように、配水管の新設・更新を行い、配水管路の耐震化を進めます。
 あわせて、水道事業経営の健全化を図るとともに、都営水道への一元化に向けた取組を進めていきます。
 下水道分野については、下水道ストックマネジメント計画に基づき、計画的な下水道施設の点検・調査、修繕・改築工事を実施します。
 今後の老朽化対策による事業量増加への対応や効率的な事業運営等を安定的に実施するため、令和6(2024)年度からの長期包括契約方式の試行的導入に向け、事業者選定や導入準備等を着実に進めます。
 誰もが利用しやすい交通環境の整備について。
 自転車安全利用講習会等を引き続き実施し、安全教育の充実を図ります。自転車駐車場のさらなる利便性向上のため、利用体系変更後の効果検証等を行います。
 放置自転車等の放置防止指導・撤去・保管及び返還業務を効率的に行い、道路や駅前広場等、公共の場所において良好な環境を確保します。
 市道第85号線(アジア大学通り)の交差点改良や歩道舗装改修に合わせて視覚障害者誘導用ブロック等を改善します。
 ムーバス運行事業については、市内のバス交通空白・不便地域において、利便性を踏まえた効率的な運行を図ります。また、持続可能な運行に向けた現状把握のため、フォローアップ調査を行います。
 安全で快適な道路ネットワークの構築について。
 交通の円滑化、防災性の向上等を図るため、現在事業中の区画道路の用地買収及び拡幅整備等を行います。
 安全で快適なまちづくりを推進するため、建築物の建て替え等に合わせて、狭あい道路の拡幅整備を行います。
 武蔵野プレイス西側の都市計画道路3・4・27号線の在り方については、武蔵境駅周辺における交通環境の変化等を踏まえた方向性を今後示した上で、引き続き検討を進めます。
 都市高速道路外かく環状線については、令和4(2022)年11月にオープンハウス形式の説明が行われ、同年12月に事業用地外の掘進に向け大泉側本線(北行)シールドトンネル工事が再開されました。今後の工事の状況を注視するとともに、適時適切な情報提供と事故の再発防止対策を踏まえた安全な工事の施工を事業者に対して求めていきます。
 外かく環状道路地上部街路(外環の2)については、話合いの会の中間まとめの早期取りまとめや、取りまとめ後の検討のプロセスに沿った進め方について、地域住民の意見や沿線区市の検討状況を踏まえた丁寧な対応を東京都に求めていきます。
 安心して心地よく住み続けられる住環境づくりについて。
 令和4(2022)年12月に「武蔵野市あんしん住まい推進協議会」を設置しました。住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の入居の円滑化に関し、市や関係団体等が連携し、必要な措置について協議・検討します。あわせて、既存の制度を見直し・再編して「あんしん住まい推進事業」を開始しました。住み慣れた地域で安心して住み続けられるように、入居前の伴走支援や入居後の見守り支援などを積極的に進めます。
 活力とにぎわいのある駅周辺のまちづくりについて。
 吉祥寺駅周辺については、周辺交通の円滑化と歩行者の安全性・利便性向上のため、事業継続中の吉祥寺駅南口駅前広場の用地折衝、用地取得、それに伴う用地測量及び暫定整備を進めます。
 吉祥寺駅南口を中心とした交通環境の改善に向け、令和4(2022)年度末に取りまとめた「吉祥寺駅南口交通環境基本方針の策定に向けた考え方」に基づき、関係機関との意見交換や技術的検討を行います。
 令和3(2021)年度から2か年度かけて、庁内プロジェクトにより作成している「(仮称)吉祥寺パークエリアまちの将来像立案に向けて」について、市民やまちの関係者に周知します。
 活力とにぎわいのある駅周辺のまちづくりを推進するため、(仮称)吉祥寺本町一丁目27番街区自転車駐車場の整備を行い、吉祥寺東部地区に点在する市有地を暫定利用している公共駐輪場の集約化を行います。
 三鷹駅周辺については、令和4(2022)年度に実施した「三鷹駅北口交通環境基本方針の策定に向けた考え方」に対する地域の方々等との意見交換を踏まえて、基本方針を策定します。
 武蔵境駅周辺については、平成29(2017)年度に事業採択された「第三次みちづくり・まちづくりパートナー事業(東京都)」に伴う都市計画道路3・4・2号線(天文台通り)の拡幅整備に向けて用地取得等を行います。
 第6は、行財政についてです。
 市民参加と連携・協働の推進について。
 令和6(2024)年度から計画期間が始まる第六期長期計画・調整計画の策定に当たり、市民委員で構成される策定委員会を中心に、パブリックコメントや意見交換会など多様な市民、議員及び職員参加の機会を通じ、全市的に議論を深め策定します。
 効果的な広報・広聴の仕組みづくりとシティプロモーションについて。
 市民と市長のふれあいトークは、直接市民と対話ができる貴重な場です。どなたでも参加できる多人数型の形式に加え、テーマに即した少人数型の対話を通じて、地域の課題や様々な意見、提案を聴き、今後の市政運営に生かしていきます。
 令和2(2020)年度より、市民意識調査と市政アンケートを隔年で交互に実施していますが、第六期長期計画・調整計画策定委員会において、その在り方が議論されています。議論の推移を見守るとともに、より効果的な広聴を検討します。
 公共施設等の再構築と市有地の有効活用について。
 吉祥寺本町一丁目23番街区の利活用について市民やまちの関係者の幅広い意見を取り入れながら、本町コミュニティセンターの施設移転を含め具体的な検討を進めます。
 令和4(2022)年度に登録有形文化財に登録された「旧赤星鉄馬邸」の利活用の検討を進めるため、有識者会議と並行してワークショップを実施します。また、一般公開やオープンハウス、社会実験を通して幅広く周知、検討を進めます。
 社会の変化に対応していく行財政運営について。
 物価や光熱費の高騰に対し、創意工夫により市として一層の経費節減と省エネに努めます。
 毎年度実施している事務事業評価に加えて、「新たな行政評価制度(案)」に基づく施策評価の試行を通して、社会の変化に対応した効率的で質の高い市政運営の実現と、市民への説明責任を果たしてまいります。
 改正個人情報の保護に関する法律及び武蔵野市個人情報の保護に関する条例の施行に伴い、個人情報ファイル簿及び個人情報事務ファイル簿の整備を行うとともに、事務取扱手引の作成、職員への研修を行い、制度の徹底を図ります。
 令和4(2022)年度に策定した第5期指定管理者制度に関する基本方針等に基づき、次期指定管理者の選定作業を進めます。また、指定管理者による人事・労務関係の法令遵守の状況について、社会保険労務士による点検を継続します。
 証明書交付手数料の支払方法の多様化、支払時間の短縮により、市民の利便性の向上を図るため、市民課、市政センター、市民税課の3課にて、自動釣銭機つきPOSレジ及びキャッシュレス決済端末を導入します。
 第七次総合情報化基本計画に基づき、市民目線の行政サービス、市役所業務の効率化、情報セキュリティの徹底を目指す、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進していきます。
 地方公共団体情報システムの標準化に関する法律に基づき、住民情報系システムを国が定める標準化基準に適合させるため、システム改修を行います。
 情報システムを運用するための仮想化基盤の更改により、システムを安定して利用できる環境を整備し、市民サービスを継続的に提供します。
 文書管理システムの更改と合わせて電子決裁の試行導入及び文書の電子化のルールを検討することで、業務効率化や意思決定の迅速化を目指します。
 多様な人材の確保・育成と組織の活性化について。
 税に関する法律や実務に精通した専門人材をアドバイザーとして活用することで、複雑化する滞納整理の適法性を確保するとともに、職員の法務能力の向上を図ります。
 障害のある方の就労支援及び障害や障害者就労に対する職員理解の促進を図るため、障害のある方を対象とした会計年度任用職員の任用を引き続き行います。
 次に、予算の規模及び特色について申し述べます。
 国及び東京都の予算についてですが、令和5(2023)年度の国の予算は、「歴史の転換期を前に、我が国が直面する内外の重要課題に対して道筋をつけ、未来を切り拓くための予算」として編成され、一般会計予算では、前年度当初予算に比べ6.3%増の114兆3,812億円となっています。歳入では、名目経済成長率の見通しをプラス2.1%とし、税収は前年度に比べ4兆2,050億円、6.4%増の69兆4,400億円としています。また、国の借入金となる公債金は前年度に比べて1兆3,030億円減の35兆6,230億円となり、公債依存度が31.1%と前年度当初の34.3%から減少しています。歳出では、前年度に引き続き新型コロナウイルス感染症対策及び原油価格・物価高騰対策予備費として4兆円を計上しているほか、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費を新たに計上し、社会保障関係費や防衛関係費などが増加しています。
 東京都では、令和5(2023)年度予算を「明るい「未来の東京」の実現に向け、将来にわたって「成長」と「成熟」が両立した光り輝く都市へと確実に進化し続ける予算」と位置づけ、一般会計の規模は、前年度に比べて3.1%増の8兆410億円で過去最大となっています。このうち都税収入は、前年度に比べて5,702億円、10.1%増の6兆2,010億円としています。政策的経費である一般歳出は、都市強靭化に向けた取組や、脱炭素社会の実現に向けた取組などに重点的に財源を振り向けた結果、前年度に比べて1.6%増の5兆9,354億円となっています。
 次に、市の予算についてです。
 予算編成方針として、新年度予算は、「誰もが安心して暮らし続けられるまちへ 平和が続く未来をつくる予算」と位置づけました。状況の変化に適切に対応しながら第六期長期計画に掲げられた事項を着実に推進するため、新規事業は原則として第六期長期計画に掲げられた事業のみとし、限られた財源を重点的かつ効率的に配分すること、併せて新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢等による原油価格・物価高騰により新たに生じた課題にも対応することを基本に予算を編成いたしました。
 予算の特色として、一般会計予算は729億2,200万円で、前年度に比べて23億3,600万円、3.3%の増となりました。
 市の歳入の根幹である市税については、前年度に比べ個人市民税は5,710万円の増、法人市民税は1億2,473万円の増を見込みました。また、固定資産税については、土地や家屋、償却資産それぞれ増を見込み10億8,130万円の増、さらに都市計画税については、1億2,870万円の増など、市税全体では前年度に比べ14億5,373万円、3.5%増の432億750万円を見込んでおります。
 国庫支出金は、保育所等運営費負担金の増などにより、前年度に比べて4億630万円、4.0%の増、都支出金は都市計画公園事業補助金の増などにより5億4,092万円、7.1%の増となりました。
 歳出につきましては、総務費はシステム構築作業終了による内部統合情報システム事業費の減などにより、前年度に比べ8,944万円、1.0%の減、民生費は国民健康保険事業会計繰出金や障害者自立支援給付等事業費の増などにより、前年度に比べ6億6,839万円、2.1%の増、衛生費は出産・子育て応援広域連携事業実施による母子保健事業費の増などにより3億6,798万円、5.4%の増、土木費は自転車対策事業費の減などにより9,129万円、1.4%の減、教育費は学校改築事業費の増などにより15億1,984万円、14.4%の増となりました。
 各特別会計及び水道事業会計、下水道事業会計について申し述べます。
 国民健康保険事業会計は、国民健康保険事業費納付金の増などにより、前年度に比べて4.7%増の138億9,018万円を計上いたしました。
 後期高齢者医療会計は、広域連合負担金の増などにより、前年度に比べて4.3%増の42億5,497万円といたしました。
 介護保険事業会計は、介護保険給付費の増により、前年度に比べて2.3%増の125億4,166万円を計上いたしました。
 水道事業会計は、収益的収入は38億185万円、収益的支出は37億5,594万円で、収益的収入から収益的支出を差し引いた税込みの利益は4,591万円を見込んでおります。資本的収入は3億923万円、資本的支出は9億434万円で、水道施設の維持更新に係るものは、配水施設費3億8,731万円、原水及び浄水施設改良工事費1億2,113万円で、資本的収入から資本的支出を差し引いた5億9,511万円の不足分は、消費税及び地方消費税資本的収支調整額、減債積立金及び損益勘定留保資金で補填する予定としております。
 下水道事業会計は、収益的収入は28億9,294万円、収益的支出は28億3,433万円で、収益的収入から収益的支出を差し引いた税込みの利益は5,861万円を見込んでおります。資本的収入は6億3,219万円、資本的支出は10億5,278万円で、その主なものは管きょ建設改良費4億5,536万円、企業債償還金3億4,925万円で、資本的収入から資本的支出を差し引いた4億2,059万円の不足分は、消費税及び地方消費税資本的収支調整額、損益勘定留保資金で補填する予定としております。
 以上、令和5(2023)年度の施政方針を述べるとともに予算の規模及び特色について御説明申し上げました。主要な施策の予算につきましては、予算参考資料や予算の概要にまとめましたので、御参照いただければと存じます。
 結びに、新型コロナウイルス感染症の収束とウクライナへの軍事侵攻の一日も早い終結を願うとともに、市民の皆様並びに議員各位の御理解と御協力を賜り、市政の一層の発展のために全力で取り組んでまいる所存でございます。
 よろしく御審議くださいますよう、お願い申し上げます。

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