
小美濃安弘
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5141◯文教委員長(小美濃安弘君) ただいま議題となりました議案第6号 武蔵野市子どもの権利条例の文教委員会における審査の概要と結果について御報告いたします。
なお、議案審査に当たっては、当委員会に付託された陳受5第1号 子どもの権利条例(仮称)の審議についてに関する陳情、陳受5第8号 議案第6号 武蔵野市子どもの権利条例を継続審議とすることを求める陳情、陳受5第10号 武蔵野市子どもの権利条例の慎重な審議を求める陳情についても一括して審査を行いました。
主な質疑は次のとおりでした。
1)子どもの権利条約では「父母及び法定保護者」としているところを、本条例案では「保護者」としていることに対して見解を伺う。また、検討委員会の報告書では、「保護者は子どもの主たる養育者である」とされているが、本条例案ではなくなっている。どのような議論があったのか伺う。答え、児童福祉法、子ども・子育て支援法においても「保護者」という言葉が主流となっているので、「保護者」とした。また、「保護者は子どもの主たる養育者」の部分を本条例に入れなかったのは、第2条の言葉の意味の「保護者」のところに「子どもを現に養育する親」と記載し、整理したためである。2)本来は保護者に養育されることが子どもにとって幸せだと考えるが、そういう表現は避けているのか、見解を伺う。答え、子どもにとっての幸せから考えたときに、虐待等がある場合など、その親に育てられたら幸せではない場合もある。子どもにとっての幸せから発信していくのが本条例案では重要だと考え、条文化している。3)素案では「休む権利」とされていたものが、条例案では「休息する権利」と改められた。理由を伺う。答え、11月の文教委員会の議論やパブリックコメントをいただいて検討した。4)改めて休息する権利とはどういうことか。答え、子どもは、教育または何らかの努力から一時的に開放されて、十分な時間が与えられることが必要ということである。それは何かの権利を侵害するものではないと考える。5)条例素案では休む権利について、自分の意思で学校を休むという説明があった。本条例案ではこの意味は含まれるのか。答え、子どもが自分の未来のために休む必要があると思うときは、自分の意思で休むことも選択できることを、趣旨説明で書いていきたい。6)休息を必要とする場合に、育ち学ぶ施設を休むことを判断するのは子どもであり、子どもがどう判断するのかが問題だ。学校現場ではこのことが混乱のもとにならないか不安に思っている。「休む」という文言を入れないほうがよいと考えるが見解を伺う。答え、保護者や学校がどうしてその子が休息を必要としているのか、そう判断したいのか、しっかりと捉え、そこで話し合い、子どもの思いを聞き取ることが大事だと考えている。7)条約にはある両親と好きなときに会う権利が本条例にないのはなぜか。答え、司法の話になるので、そちらは国の議論になる。8)私立学校についてのアプローチは条例策定の中でどのようにされてきたか伺う。答え、パブリックコメントを行うに当たり、市外の学校に通う子どもも含め、市内在住の小・中・高全ての子どもに条例の概要版を配布した。9)陳情では条例案の審議に関して継続を望んでいるが、議会が継続審査とした場合どうなるか。答え、継続になると本条例案は廃案になる。10)周知不足、また議論不足だという声があるが、どのように考えるか。答え、市報の1面に1年のうちに2回掲載したことをはじめ、あの手この手を使って周知はしてきたつもりだ。11)こども基本法では、こども大綱、市町村子ども計画というものが出てきているが、本市ではどういうものに当たるか。答え、市町村子ども計画は、今ある第五次子どもプランを充てることを考えている。第六次子どもプランでは、こども大綱も併せて条例の推進計画として議論していきたい。12)他の自治体ではいじめ防止対策推進条例というような形で、いじめ対策に関しては別条例にしている例もあるが、今回本条例案に入れた意図について伺う。答え、本条例案は理念条例であるだけでなく、実効性のある条例であり、いじめ防止関係者連絡会、いじめ問題対策委員会、いじめ問題調査委員会は、いずれも条例で設置する機関であるため、条例に明記した。13)第3条には保障されるべき子どもの権利が掲げられているが、具体的にはどのように保障していくのか。答え、来年度、第六次子どもプランを策定していく中で具体的なところを判断していく。14)第5条には、市と育ち学ぶ施設の関係者は、子どもが子どもの権利を知り、自分と他人の権利の大切さについて主体的に学ぶ機会を保障する、とあるが、どのような形で保障していこうと考えるのか。答え、市内の学校に通う子どもについては、学校でその機会が保障されるよう、研修や環境整備について、市としても必要な支援に取り組む。市外の学校に対しては直接働きかけができないが、啓発パンフレットを作成し、保護者が子どもに教える、また、子ども同士で学び合うなどで趣旨を広めていくことになると考える。15)児童相談所や子どもの権利擁護委員、関係機関が協力して必要な取組を行うとあるが、権利擁護委員はこの関わりの中でどういう動きをするのか。答え、子どもの相談先として、親、学校の先生、民生委員などがあるが、権利擁護委員も相談先の選択肢の一つになると考える。権利擁護委員の組織などについては市長が別に定めるとなっており、これから検討していく。16)権利擁護委員の法的根拠は。答え、本条例に子どもの権利擁護委員を置くと定め、それが根拠になる。17)権利擁護委員に法律の根拠があれば強い権限で動けると思うが、市の条例では市外の学校などでは通用しないのではないか。答え、市外の学校でのトラブルなどでも権利擁護委員は相談には乗ることができる。権限は及ばないかもしれないが、関係機関と連携し、必要な支援は行うことができると考える。18)条例が制定されればこれを頼って陳情などが出てくることが予想されるが、そういったシミュレーションはしているのか。答え、条例の検討が始まる前に世田谷区などに視察に行った。条例施行後、権利擁護委員については2年以内に施行するとして準備期間があるので、他市の状況を見ながら、武蔵野市らしい権利擁護委員を検討していく。19)いじめは子どもの権利を侵害するものであり、命に関わる場合もある。早い段階で警察が介入すれば手後れにならないケースもあると思うが、どのように考えるか。答え、現行の関係者連絡会には警察にも入ってもらい、警察と連携協力できる体制を整えており、改めて学校にも指導していく。20)条例施行後、検証体制はどのようになるのか伺う。答え、子どもプランを推進計画と位置づけ、その推進計画の実施結果の評価と検証を子どもプラン推進地域協議会が行う。21)権利の主体である子どもから直接意見を聴いたことは評価する。大体どのくらいの子どもが関わったのか伺う。答え、Teensムサカツの活動において子どもの権利に関するワークショップを開催するために、令和3年度は15名の実行委員が集まった。2022年3月に開催したワークショップには34人の子どもが参加した。22)国や都が子どもの権利についてしっかりしたものをつくっていくことは重要だが、実際に子どもが暮らしている武蔵野で条例をつくっていくことは大事なことだと考えるが、見解を伺う。答え、国や都はそれぞれの考えで法律や条例をつくっている。武蔵野市の条例はいじめ関連の事項を入れるなど、総合的なものである。他とは違った武蔵野市独自の条例であり、意義があると考える。23)子どもの最善の利益をどう考えるか。答え、子どもに関することが決められるときには、その子どもにとって何を第一に考えるかということである。24)条例の施行は令和5年4月1日であり、ほとんど日がないが、関係者への周知は大丈夫なのか。答え、条例を認めていただいたなら、広報についてはリーフレットを作るなど周知していきたい。25)様々な事情で自己主張ができない子どもに対してはどう対応するのか。答え、市、市民及び育ち学ぶ施設の関係者は、その子どもの意思を酌み取り、必要に応じて子どもの意見を代弁するよう努めるとしている。また、子どもの意見表明を支援する人材の育成に努める。
以上で質疑を終了し、取扱いを諮ったところ、大野あつ子委員外1名の委員より修正案が提出されました。その内容は、「第8条中「保護者は」の次に「、子どもの主たる養育者であり」を加える」というもので、提案理由は、父母、保護者は唯一無二の存在であり、父母、保護者からたくさんの愛情を受けることが子どもの成長に大変重要だと考える。分かり切っていることだから書かないとなると、この条例は必要がないということにもなってしまうため、修正案を提案するというものでした。
修正案についての主な質疑は次のとおりでした。
1)様々な家庭がある中、保護者の責任を過度に強調することは、保護者、特に母親に息苦しさを与える懸念がある。文言を追加しなければいけない理由は質疑では見当たらなかったが、見解を伺う。答え、赤ん坊が生まれたとき、愛着を持ってかわいがるのは生物としての人間にとって非常に重要な部分だ。そのようなことができない父母もいるかもしれないが、保護者が愛情を持ってその子を守っていくという大前提があって、その上でできない場合は支援していくという意味だ。この前提が必要ないということはおかしいと考える。
以上で質疑を終了し、取扱いを諮ったところ、採決との声があり、修正案及び原案に対する討論に入りました。討論者は5名で、修正案に賛成し、原案に賛成の討論2名、修正案に反対し、原案に賛成の討論3名でした。
修正案に賛成し、原案に賛成の討論の趣旨をまとめて御紹介いたしますと、父母、保護者が唯一無二の存在であり、保護者からたくさんの無償の愛情を受けていることが子どもの成長に大変大事であると考えるため、保護者が子どもの主たる養育者であるとの文言が必要だ。またこの条例が間違った解釈をされたり、学校現場の混乱を招いたりすることは避けてほしい。適切な運用を求め、修正案に賛成し、原案に賛成するというものでした。
次に、修正案に反対し、原案に賛成の討論の趣旨をまとめて紹介いたしますと、家庭という問題についてはいろいろと微妙な問題もあり、そのことでさらに負担が強いられてしまうことになってはいけないので、修正案には反対する。子どもの権利を条例で明文化することは極めて大切だ。市民参加の下で条例案がつくられ、子どもの声が反映された内容になっている点も高く評価する。子どもの権利を大切にする社会の実現に向け、至るところで努力が開始されることに期待し、修正案に反対し、原案に賛成するというものでした。
以上で討論を終わり、修正案及び原案の採決に入りました。
まず、修正案については、賛成少数で否決すべきものと決しました。
次に、原案について採決を行い、全会一致で原案のとおり可決すべきものと決しました。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。