20144【深田委員】 このたびの陳受6第10号の三井不動産(株)が進める「(仮称)東京都武蔵野市吉祥寺東町三丁目計画」、こちらの陳述をいただき、大変重たいテーマを投げかけていただいたと思っています。お申し越しは大きく5点であります。
1つは、この手続が本市のまちづくり条例という手続にのっとったとしても、これがコミュニティ軽視が非常に甚だしい状況になっているという点が1つ。2つ目が、こうしたいわゆる一種住専地域がおおむね広がっているような地域の中で、この規模のマンションの開発と、それから建物の敷地内の位置、これが大きく住民の生活環境に影響するということ。それから3つ目が、具体的には美大通りの安全歩行の確保。そして生活の中で昨今増えています荷さばきの問題。こうしたことが3つ目。そして4つ目が緑化の規制、これが大きく建物の設計に影響しているということ。そして5つ目が、その緑化の一環として自主管理公園の在り方。この大きな5点を御指摘いただいております。
そもそも本市はこれまで、まさに要綱行政、こちらが全国で有名でした。著書にも残るほどです。武蔵野市は昭和46年10月、後藤喜八郎市長の決断によって、全国で初めて中高層マンションの建設を規制するため、武蔵野市宅地開発等に関する指導要綱を制定し、すなわちこれからの高度経済成長時代に突入する中で、マンション開発、このことによる宅地の在り方のまさに紛争のエリアでもあり、武蔵野市はマンションの開発が非常に早かったです。昭和37年ぐらいから開発が始まっているので、現在も非常に古いマンションが残っている。
ある意味では、住みたいまち、住んでいいまち、これからの新しい時代をこのまちで暮らしたいという多くのニーズがあった結果、行政はこうしたまちの在り方、環境整備との戦いであったということが、この本の中に記されているわけであります。そのことは今日も続いているわけです。
その中で、東町3丁目のこの3番街区では、法政一中・一高が移転するということから大きなマンション紛争となり、三鷹の北口、梅林であったところが民間の開発に手渡されるということで、100メートルを超えるタワーマンションが建ち上がる。これはまだ武蔵野市が、まさにこの要綱行政の中にあったときの話でありました。その後、住民の声もきちんと反映してほしいと、紛争の中心はそこでした。
どんな建物が建ち、皆さんにどんな影響が及ぼされ、そしてまちの景観はこのように変わるというようなことを、これまで指導要綱に基づいて住民を守ってきたという自負は、武蔵野市にはあったとは思います。しかしながら、これからは説明責任を果たすという時代の中で、住民に説明会もなく、いきなりお知らせ看板が貼られる中で、三鷹のタワーズも竣工されるというような事態になり、住民の皆さんはまさに寝耳に水ということで、私が議員になって一番最初の宿題がまさにそこでした。
そういう意味では、まちづくり条例が本市においては協議型、そしてできる限り住民参加型ということで、時間をかけながら、ある意味事業者さん泣かせなのですけれども、歩み寄りをしながらつくり上げていくということで、手間をかけていることには間違いがないのですけれども、協議型といっても住民は一般市民です。専門的知識のある方がいれば事業者と渡り合うこともできますけれども、多くの方々はそうではない。
今回三井不動産さんのほうも胸襟を開いて、まず第1弾として一定程度の譲歩、まちへの歩み寄りを見せたという姿勢が持てる事業者だからこそ、今この状況にあるのだと思います。しかしながら、これが強権発動的に、いや、条例に沿って何ら建築基準法違反もございませんというような事業者さんであれば、これはもう太刀打ちがいかないわけであります。そういう本市の、言ってみれば、善意の事業者を前提としたまちづくり条例の協議型手続条例であるということに対して、一定程度リスクヘッジをしていかなければならない可能性があるということを、今回御指摘いただいているものと思っています。
その中で、まずは事実確認をもう一度やらせてください。先ほど陳述の中で、地域の住民の皆様から御指摘をいただき、説明をいただきました話と、今度は行政側のほうでの確認をさせていただきたいと思います。先ほど他の委員からの質問の中で、令和3年の3月に土地の取得を事業者さんがしているということが1つ目。
その後なのですけれども、この2023年春と書かれている資料、これは令和5年ですよね。令和5年にお知らせ看板を出すに至り、その後一度そのお知らせ看板を下げて、先ほどの住民の方の御説明では、その間に敷地をさらに拡大して土地を買収し、当初地下に予定されていたものが、地下の計画はなくなったというお知らせ看板が令和6年6月に出たという経過に間違いがないかどうかが1点。
それから、この新たな用地買収、用地拡大によって、市は何かこの事業者さんに指導をしたのかどうか。すなわち、もうたちまちにして南西の住民の皆さんの生活環境に影響が及ぶことは、これはもう素人が見ても明らかです。この設計変更に対して何らかの協議があったのか、なかったのか、指導したのか、しなかったのか、そこをまず確認させてください。