16876【高丸統括指導主事】 それでは私から、武蔵野市学習者用コンピュータ活用指針について報告いたします。
資料を開いていただいて目次を御覧ください。本指針は、学校、家庭、教育委員会の役割など、7つの大項目と参考資料で構成しております。
内容について説明いたします。2ページを御覧ください。まず、本指針の位置づけですが、本市はこれまでも、体験活動の充実、市民性の育成などの教育活動を総合的に進めてきました。本指針で示すデジタル・シティズンシップを含む情報活用能力の育成もその一つであり、学習者用コンピューター活用事業はその柱をなすものでございます。
令和2年に総合教育会議で協議し、「武蔵野市学習者用コンピュータ活用に関する基本的な考え方」を教育委員会で決定、そして児童生徒が自ら学習に必要な文具として市で調達し、対応しました。
試行期間の取組の概要につきましては、2ページ、3ページを御覧ください。
続いて、学習者用コンピューター活用の成果と課題について、4ページを御覧ください。全国学力・学習状況調査の児童生徒質問紙や、令和5年7月に実施した武蔵野市学習者用コンピュータ活用に関するアンケートの結果から、今後の課題として、4ページの下段に書きました5つの課題があるというふうに考えております。1つ目、教科によって学習者用コンピューターの活用状況に差がある。2つ目、ICTの活用技術に不安を抱えている教員が3割程度いる。3つ目、家で学習者用コンピューターを使う約束がない家庭が多いなどでございます。
5ページを御覧ください。そのほかの課題として、活用が進むにつれ、故障台数も増加をしております。修理の予算も限られており、今後、児童生徒が自分の端末として責任感を持つような工夫が必要となってきます。また、学習者用コンピューターを含めた持ち物の重さについても改善の要望が寄せられ、次期端末の導入の際に、重量を併せて検討する必要があると考えております。
さらに、児童生徒のICTを扱うスキルも向上しましたが、市内の学校で学習者用コンピューターの不適切な使用が発生し、ICT機器は使い方によっては、いじめや性犯罪等を助長させてしまう温床となる面もあることを教えていく必要があります。そのため、情報モラルと、その大本としての人権意識の育成等が必要でございます。
6ページを御覧ください。3段目になりますが、こうした現状を踏まえて、デジタル・シティズンシップを含む情報活用能力の育成を計画的に進めるため、武蔵野市版育成を目指す情報活用能力を作成しました。能力の詳しくは、参考資料2を後ほど御覧ください。
続いて、学校の役割でございます。7ページを御覧ください。学校では、4つのことが重要と整理をいたしました。1つ目が、文具としての活用です。特に段落最後に示しましたが、不登校支援や学級閉鎖の対応等、学びの機会を確保する手段として積極的な活用を進めていきます。2つ目に、本市の特色ある教育活動をより効果的にするための活用でございます。そして3つ目、児童生徒への育成を目指す情報活用能力の明確化、4つ目、児童生徒の意見を踏まえた校内外における適切な活用方法の作成でございます。
8ページでは、学校の役割の2つ目として、教員のICT活用能力の向上を示しました。
9ページを御覧ください。12月に発生しました学習者用コンピューターを使った児童間の盗撮の件を受け、情報活用能力のうち、特にデジタル・シティズンシップ教育の指導事例について内容を充実させました。さきに述べましたとおり、ICTは扱い方によっては、いじめや性犯罪等を助長させてしまうことをしっかりと教えていく必要があります。その際、教員らが関係法令を理解し、発達段階に応じて指導するとともに、児童生徒が遵守するといったことが前提として大切になってきます。
その上で、四角囲みにあるような情報モラルやクリティカル・シンキングなどに関する力を、様々な場面で継続的に指導し、その成果を定期的に確認するなどの工夫が必要です。また、全てを規制し、ICTを児童生徒から引き離すことは、自律的な活用にはつながりません。そのため、児童生徒が自分の判断でICTを適切かつ効果的に活用できるよう、学習者用コンピューターへの規制は、フィルタリングの設定など最低限にとどめ、学校、家庭が連携して指導してまいります。
10ページについては、そういった具体的な取組の実践例を紹介しております。
11ページ、12ページは、家庭や地域との連携について明記をしてございます。家庭では、学習者用コンピューターの使用に関する約束づくり、地域と関係機関との連携では、ICTにたけた地域人材の協力や、警察や情報通信に関する企業等と連携し、最新の知見に基づいた取組を進めることが考えられます。
最後に教育委員会の役割ですが、13ページを御覧ください。教員研修や家庭、地域への啓発等を今後も進めてまいります。
そして13ページ下段にございますが、次期端末の調達については、これまでの経緯や課題、本指針の内容や学習者用コンピュータ活用検討委員会における意見を踏まえ、1、児童生徒が自ら管理する学習に必要な文具という考え方を継続する。2、本指針で述べてきた取組の一層の推進、課題の解決といった視点を基に、令和8年度以降に導入する学習者用コンピューターの機種、導入ソフトについて検討していく。3、令和6年度に学習者用コンピュータ選定委員会を開催し、学校から意見聴取をする機会を設ける。次のページのほうになりますが、4、国からは補助金の見込みがあり、本市としても申請をしていく。そして5、その上で、調達方法としては、CYODなど、児童生徒が自分の機材として責任を持って利用するとともに、保護者への負担を考慮した方法を中心に検討すると明記をいたしました。
次ページ以降は、参考資料及び指針の概要版をA4、1枚で用意させていただきました。
学校には、昨日、教育長名で本指針を発出したところでございます。
また今後ですが、本内容を紹介した学習者用コンピュータ通信を保護者、地域向けに、学校緊急メールにて案内する予定でございます。
最後に1ページに戻っていただき、はじめにを御覧ください。このはじめにの段落、最後のところでございますが、本指針は、教育のDXや生成AIの進化など、ICTを取り巻く社会情勢が日々変化することを鑑み、必要に応じて見直しをしてまいります。
私からの説明は以上です。