17659【茂木スポーツ推進担当課長】 それでは、武蔵野市営プール整備方針(案)について御説明をいたします。
まず、整備方針策定の目的でございます。市営プールは、平成元年に竣工した温水プール、昭和57年に竣工した管理棟、さらに戦前より使用されている温水プールから成り、老朽化による施設の不具合が多く見られ、修繕に多額の費用を要している状況でございます。また、この間のバリアフリー化の推進やスポーツの多様化など、社会的ニーズの変化により、部分的な改修や修繕のみでは対応は難しく、施設の全面的な更新が必要な状況となっている状況でございます。
このことから、障害の有無にかかわらず、幼児から高齢者まで快適かつ安全・安心に、年間を通して利用できるプールであることが武蔵野市のスポーツ施設としての役割であるとともに、見るスポーツ、障害者スポーツの促進、エリア一帯の良好なまちづくり、災害への対応など、複合的な取組を検討していくことを目的とし、本整備方針を定めるものでございます。
最初に、今後のスケジュール等を申し上げておきます。まず、11月6日、教育委員会の定例会において協議をいただきました。本日の行政報告を受け、パブリックコメントを実施します。パブリックコメントの実施後、必要な修正を行った上で、令和7年1月8日、教育委員会定例会にて議決をいたします。令和7年度に基本計画を策定し、令和8年度から9年度にかけて基本設計と実施設計を行います。令和9年度から11年度にかけて工事を行うものでございます。
それでは、方針案をお開きください。本整備方針は4章から成っております。まず1章で背景と目的、課題、2章では、これまでの検討経緯を述べております。スポーツ推進計画を令和3年度に策定してお示ししてから、本年度の有識者会議、そしてこの方針に至るまでを記載してございます。第3章は、市営プール整備に向けた基本方針でございます。求められる機能等を記載してございます。4章は、今後検討すべき課題として、4つの課題を挙げてございます。
1ページ目をお開きください。背景と目的は、最初に申し上げたとおりでございます。
2ページ、現状と課題でございます。
施設の概要でございます。若干繰り返しになりますが、市営プールは、温水プール、屋外プール及び管理棟で構成されております。温水プール棟は平成元年(1989年)竣工、管理棟は昭和57年(1982年)竣工で、屋外プールに至りましては戦前から使用されているものでございます。
基本情報としまして、2ページ、3ページを記載してございます。御一読ください。
4ページは、直近の修繕工事の状況でございます。多額の修繕費用がかかっております。
その下が年間の利用者数でございます。令和2年(2020)から令和4年(2022)年度はプール利用制限があったため、除外をしてございます。
5ページをお開きください。使用方法でございますが、市営プールを全面貸切りで行っている大会は、春季・秋季の市民スポーツ大会、それから水球の競技、アクアスロン大会の、年4回でございます。このうち屋外プールも使用する大会は、市民スポーツ祭の水泳大会、それからアクアスロン大会の2回のみでございます。
7ページをお開きください。施設の課題でございます。主な現状の課題点を建屋ごとに記載してございます。
まずは管理棟でございます。屋外プール用に建設されたもので、屋内温水プール増設後も管理棟として継続利用されているため、利用者の動線やバリアフリーに関わる課題が非常に多い状況でございます。また、エレベーターの設置がございません。ウエットエリアとドライエリアの明確な区分もできていない状況です。老朽化による衛生環境が悪い状況です。
温水プールです。プール床材が劣化しております。また、近年に見られる屋内の幼児用プールやジャグジー等の施設がございません。可動式の壁と天井が劣化のため、一部開閉できない状況でございます。
屋外プールでございます。床材の劣化が激しいものがございます。また、水深が深く、使い勝手が非常に悪いものになってございます。プールサイドは休憩時に日よけがなく、炎天下の利用に支障が出てございます。
プール周辺でございます。外構の部分を含めて、敷地内への車両進入路の幅員が狭く、クランクしており、緊急車両等の通行の障害となってございます。また、歩道幅員が狭く、安全な歩行空間創出のためには、現状よりセットバックする必要があると考えられます。
8ページから10ページに至りましては、課題箇所を5つの視点から平面図に落とし込んでございます。外部から見た視点、安全性、運営面、ユニバーサルデザイン、快適性について記載してございます。
11ページ、2章に入ります。整備に向けた検討経緯でございます。
まず、令和3年度に第二期武蔵野市スポーツ推進計画策定の中で、市営プールの在り方について、災害への取組や周辺のまちづくり、スポーツ施設の再編、施設の現況、利用状況、敷地内における通行などを複合的に勘案して、3つの検討案を検討いたしました。3つの検討案を下に記載してございます。この中で、案3の温水プール・管理棟を建て替え、屋外プールを廃止し、屋内プールの機能を拡充する、この方向性をお示しいたしました。
12ページは、令和4年度に行いました市民ニーズ等を把握することを目的にしたアンケート調査等でございます。調査結果でございますが、アンケート調査には、案3を6割弱の方が支持する結果が出ております。また、現地のヒアリング調査では、利用者の7割弱が案3を支持する回答を得ています。ワークショップでも多くの建設的な意見をいただきました。
13ページを御覧ください。第六期長期計画・調整計画の策定でございます。令和4年度から5年度にかけて策定されました第六期長期計画・調整計画の中で議論されまして、市営プールについては、現在の課題を解消しつつ、さらなる市民のスポーツ推進を図るため、屋外プールの廃止を支持する市民アンケートの結果も考慮し、誰もが利用しやすいプールの充実を検討する、このように記載されてございます。こちらを受けて今年度、スポーツ推進計画で示された方向性、また、長期計画・調整計画策定委員会の議論を踏まえて、有識者の意見を聴取し、または助言を求めるため、本年度、有識者会議を設置したものでございます。5名の委員の皆様から多くの意見をいただきまして、会議は4回の会議と2回の実地踏査を実施してございます。
14ページから16ページについては、会議で委員から主な意見及び助言をいただいた要旨でございます。まず、14ページのアとして、建て替えの必要性について、建て替えを行うことで大概の課題が改善できると考える。エレベーターが未設備なのは致命的である。既存施設の改修ではどうしても改善できない点が幾つか見られた。
15ページに行きまして、イでございます。屋外プールについて、屋内プールに一本化する方針でよいと考える。周辺施設と一体的に活用できるスペースとして整備することも考えられる。屋外で幼児や親子が水に親しむことができるスペースの整備も考えられるというものでございます。
ウとして、バリアフリー設備でございます。多目的更衣室は、一般更衣室エリア内に整備することが望ましい。車椅子の方でも一般の更衣室を使えるように整備していくことが望ましい。プール以外の更衣室など、面積も十分確保する必要があるというもの。それから、家族更衣室等は優先度が高い内容であり、異性の介助、家族の介助、知的障害者の利用など、必要な設備である。
エとして、誰もが利用しやすいプール施設について、今までの施設だと使えなかった、または使うことを控えていた人たちを、改築によって利用してもらえるようにすることが大切であるという意見でございます。また、子育て支援の視点を取り入れた計画が重要であるというもの、屋外プール廃止により生まれるスペースを、日常使いができる子どもたちが遊べる場所として整備する等の意見をいただきました。
16ページは、周辺整備や付帯機能について意見をいただいております。プールの顔となる部分が市道17号線側にも開く構成となり、隣接施設と全体を結ぶ場所づくりを考慮した計画が重要であるというもの。また、付帯施設として、エリア内の連携を、スポーツの用途と関連した機能と考えることも重要である。大会や団体利用、チームなどが集まって休憩したりするスペースも必要であるという意見もいただきました。
また、その他として、隣接するクリーンセンターの廃熱利用施設とし、周辺施設と連携したエネルギー有効利用の取組を積極的にアピールしていくことも重要であるというものでございます。
その下の全体配置図は、会議の中で配られた資料でございます。詳しくは報告書のほうを御一読いただければと思います。
17ページは、これまでの検討の流れを表にしてございます。まず令和3年度、スポーツ推進計画の中で、市営プールについて方向性を示しました。令和4年度は市民アンケート調査等を実施しまして、結果は先ほど述べたとおりでございます。令和4年度、5年度で、第六期長期計画・調整計画の策定の中でも議論いただきました。専門的な視点を持った検討の必要が指摘されてございます。令和6年度は有識者会議を設置しまして、検討案の検証、今後の整備に向けた意見と助言をいただいて本方針を策定したものでございます。
18ページに入りまして、3章でございます。
基本方針でございます。これまでの検討経緯を踏まえ、基本方針を「現在の課題を解消しつつ、さらなる市民のスポーツ推進を図るため、誰もが利用しやすいプールの充実を図る。」といたしました。現状の市営プールでは様々な課題があり、建て替えをもって解決していくことが必要であり、誰もが利用しやすいという視点で、一般的な競泳用屋外プールの設置ではなく、屋外の開放感やレジャー要素を含んだ施設、多目的なコミュニティスペース等を整備する等、エリア全体のサービス向上につながるような付加機能、付加価値を考えた整備を目指すものでございます。
本方針の位置づけでございますが、最上位には長期計画がございまして、その下に公共施設等総合管理計画がございます。その下に、並列ではございますが、スポーツ推進計画と類型別施設整備計画がございます。そして、本方針がございます。
基本方針の中で、5つのコンセプトを定義いたしました。
まず、19ページでございます。アとして、誰もが利用しやすいプール、誰もが気軽に利用できる環境を整備する。競泳利用のみならず、健康増進からレクリエーション利用まで、幅広いニーズに対応できる施設の充実を目指すものでございます。
イとして、市民の交流の場を創出でございます。利用者同士の交流が自然と生まれる、明るく開放的な空間を整備するものでございます。エリア全体の憩いや休憩スペースとしての整備も検討するものでございます。イラストは整備方針作成時のイメージ図でございます。
20ページを御覧ください。ウとして、安全性・快適性への配慮でございます。緊急時の安全管理を徹底する。プールの水質管理や、清潔で使いやすい、安心で快適に使える施設を目指すものでございます。
エとして、環境に優しいプール。クリーンセンターの廃熱利用、省エネ機器の採用等、環境に優しい施設を目指すものでございます。周辺施設と連携し、エネルギーの有効活用の取組を積極的に発信できるものとしております。
オとして、周辺施設との一体的なまちづくりでございます。安全な歩行空間の創出、それからエリアの玄関口としての広場整備等、誰もが訪れたくなる魅力的なまちづくりを実践していくものでございます。また、災害時の活動拠点としての機能向上も考えております。
その下に、5つのコンセプトと各計画等の相関図を示しております。
21ページを御覧ください。求められる機能として、設備ごとに記載してございます。
1)メインプールでございます。競技用プールとしての機能はもちろん、入水用のスロープ、誰もが利用しやすいプールとして、十分なレーン数の確保等を検討します。
2)として、サブプールでございます。親子スイミング、ウォーキング、リハビリ等の多目的に利用できるプールを整備するもの。
3)として、レクリエーションプールでございます。水に親しむことのできる施設として、幼児利用や家族のレクリエーションでも利用できるようなプールを想定してございます。
4)として、プール利用を快適にするための機能でございます。ジャグジー機能やサウナ等の機能を検討するものでございます。
5)として、多目的スペース。大会時、それから招集のスペース、それから団体利用、フィットネス利用、多目的に利用できるスペースを整備するものでございます。
6)として、飲食・休憩スペースでございます。利用者の交流スペースとなる、明るく開放的なラウンジを整備するものでございます。誰もが気軽に立ち寄ることのできるスペースとして整備していくものでございます。
7)として観覧ラウンジ。観覧できるラウンジを整備するものでございます。
8)は、多目的トイレ・多目的更衣室でございます。障害者、親子利用等、多目的なトイレ、多目的な更衣室を整備するものでございます。
22ページは、第4章になります。今後検討すべき課題でございます。4つの事項に関して検討を進めて、整備に関する基本計画を策定するものでございます。
まず1番目として、「市営プールの整備方針及びコンセプトを満たし、利用者の利便性に考慮した機能を最適に配置できる施設規模とする」というものでございます。
2番目として、「「第3章 市営プール整備に向けた基本方針」の「2 求められる機能」に基づき、利用者のニーズ等を考慮したうえで、導入する設備や機能の詳細を決定する」ものでございます。
3は、整備スケジュールと事業方式の検討でございます。令和8(2026)年度から令和10(2028)年度に予定されている武蔵野総合体育館の大規模改修のスケジュールとの整合を図ったうえで、現実的な事業方式と整備スケジュールを決定するものでございます。
4として、社会情勢等に配慮した整備計画でございます。昨今の急激な建設費高騰の影響は大きく、今後さらに公共施設や都市基盤施設の更新、整備等に多額の費用が見込まれます。市営プールの整備に関しましても、これらの社会情勢等に配慮した整備を進めていくといったものでございます。
以上、長くなりましたが、方針案の説明をいたしました。よろしく御審査のほどお願いいたします。