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令和6年第1回定例会

2月20日(火曜日)

令和6年第1回定例会
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11841◯市 長(小美濃安弘君)  本日ここに令和6年第1回市議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、御健勝にて御参集いただき、心より御礼申し上げます。
 令和5(2023)年12月24日に執行されました武蔵野市長選挙におきまして、第7代の市長を拝命いたしました。市長は14万市民の代表であります。今後は、全市民の皆様の声をしっかり聴かせていただき、武蔵野市のさらなる発展、そして市民の皆様の安全・安心を守るため、全力で市政運営を行ってまいります。
 市長就任後初の市議会定例会におきまして、今後4年間の市政運営についての基本姿勢とともに具体的な政策を述べさせていただきます。市議会議員各位並びに市民の皆様におかれましては、何とぞ御理解と御協力をお願い申し上げます。
 本年1月1日、石川県能登半島沖を震源とする最大震度7の大地震が発生し、甚大な被害が出ました。お亡くなりになった方々に対して哀悼の意を表しますとともに、被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。武蔵野市との友好都市である、山形県酒田市、新潟県長岡市及び富山県南砺市は震源地に近い日本海側にあり、元日から3日間は被害状況の情報収集を行いました。最も被害が大きかったのは南砺市でしたが、幸いなことに人的被害はなかったと聞いております。市では、市議会と共に、石川県内や富山県内において大きな被害があった自治体に物資の供給や職員派遣等を行っている南砺市への支援金を1月25日に送りました。今後も余震などに注意し、必要に応じて各種対応してまいります。
 また、翌日の1月2日には羽田空港で旅客機と海上保安庁の航空機が衝突するという事故が発生いたしました。旅客機の乗員・乗客は奇跡的に全員無事でしたが、残念ながら海上保安庁の職員5名がお亡くなりになりました。心よりお悔やみを申し上げます。
 大きな自然災害と事故で始まった令和6(2024)年ですが、改めて命の大切さを胸に刻むとともに、市長として14万市民の命を守る決意をいたしました。
 さて、令和6(2024)年度から、武蔵野市第六期長期計画・調整計画がスタートいたします。この調整計画は、市民参加・議員参加・職員参加による策定をはじめとする武蔵野市方式での丁寧な議論を積み重ねて策定に至りました。計画策定に当たっては、多くの方々に御尽力いただいたことに感謝しております。策定の最終段階で市長が交代することになりましたが、私はこの武蔵野市方式により策定された答申を尊重し、市長として計画決定をいたしました。
 一方で、選挙における公約は、市民の皆様からの負託を受けたものであり、任期の中で実現したいと思っております。この公約の中には、調整計画の記載からは読み取れないものもあると考えており、基本的には武蔵野市方式で策定された調整計画に基づいて市民サービスを着実に前進させつつ、公約に関わる幾つかの論点については、庁内でしっかり議論をし、次期計画の策定委員会で御検討いただきたいと考えています。また、4年後の選挙と第七期長期計画策定に係る計画のローリング時期についても調整が必要という認識を持っておりますので、具体的な策定項目やスケジュールなどを検討してまいります。
 次に、基本姿勢について申し述べます。
 約3年半にわたる新型コロナウイルス感染症の流行により、私たちの日常生活は激変いたしました。感染症法上2類相当と位置づけられたことで、対面での会合や外出の自粛などにより、市民の日常生活だけでなく、多くの事業者も大打撃を受けました。
 また、コロナ禍は、地域のコミュニティ活動にも大きな影響を及ぼしました。対面での活動が制限され、インターネットを介しての会話や会合などが多く行われました。また、マスクの着用が常態化したため、会話をするにも、相手の表情を確認できない、相手の顔が分からないといった問題点も指摘されました。対面での活動制限は、市民と職員との信頼関係にも影響を与えたと考えております。コロナ禍では、市民と対面で関わることが制限されていたため、どうしても電話やメールでの対応が多くなり、信頼関係が希薄になってしまうおそれもありました。
 昨年、新型コロナウイルス感染症は、感染症法上の取扱いが2類相当から5類に変更され、様々な制限が解除されました。地域活動や市のイベント等も活発になり、コロナ禍前の日常が戻ってきております。
 私が市長に就任した際の職員への最初の訓示で、2つのことをお願いいたしました。1つ目は、職員自らがどんどん地域に出て、市民の声を聴き、今、地域で何が起き、市民が何を感じているのかを知ってほしいということであります。その上で、一緒に市民のためになることを考え、市民目線の施策につなげること。私自身も多くの市民の皆様との直接の意見交換の機会をつくりたいと考えております。
 2つ目は、市の情報を正しくスピーディに提供してほしいということであります。特に政策形成段階での情報提供と市民の意見を伺うことが大切だと感じています。
 また、事務事業の見直しやデジタル技術の活用によるDXの推進などにより、効率的で効果的な業務の執行に努めるのはもちろんのこと、市民の皆様の目線で事業の在り方を考え、適切な支出を行ってまいります。市民の皆様のお力をお借りしながら、職員と共に無駄を省き日本一市民のために働く市役所を目指してまいります。
 続きまして、基本政策について申し述べます。
 1点目は、市民の命が最優先、首都直下地震から市民の命を守るであります。
 30年以内に70%の確率で首都直下地震が発生する可能性が指摘されております。令和4(2022)年度修正版武蔵野市地域防災計画の武蔵野市における被害想定の概要では、最も被害が大きい想定を次のように記載しております。多摩東部直下での地震、冬、夕方、風速毎秒8メートル、最大震度6強での想定で、屋内収容物の転倒などによる死者数3人、負傷者数82人となっております。阪神・淡路大震災の例でも、お亡くなりになった方の大多数は、家具などの下敷きになったことが原因でした。
 首都直下地震はいつ発生してもおかしくないと言われております。まず、家具転倒防止金具等を全世帯の皆様に設置していただけるよう施策を進めてまいります。また、建物の耐震診断、耐震補強への助成の対象を拡充するとともに、ペットの同行避難についても武蔵野市ペット同行避難マニュアルに基づき、実施してまいります。
 2点目は、AI教育は時代の流れ、オンライン授業の実施、二中・六中の統廃合は白紙にであります。
 AI(人工知能)を活用した教育の時代がもうすぐやってまいります。しかし、AI教育においては不確かな情報などにより、児童生徒が思わぬ被害に遭うおそれもあります。何が事実で何が危ない情報なのか、これから始まるAI教育の中でしっかり学べるよう、教員の研修が充実するよう支援し、万全な対応をしてまいります。一方、AIなどバーチャルな教育を進めるだけでなく、自然体験、職場体験、福祉体験などリアリティのある教育も大切であります。先般、武蔵野市の代表的な教育施策であるセカンドスクールの宿泊日数が短縮されました。事業本来の目的に立ち返り、また、教員の働き方改革にも十分に留意の上、この見直しが児童生徒に及ぼした影響について調査を行い、経年の変化を分析いたします。その上で、必要に応じて宿泊日数を元に戻すなどの検討を行ってまいります。
 令和2(2020)年には、新型コロナウイルス感染症の影響により、市立小・中学校が全校一斉休校となりました。当時、児童生徒が大切な学校生活を友達と送れなかったことや、部活動を思う存分できなかったことなどを考えると、本当に切ない気持ちになります。また、学業の遅れなどを心配する保護者の皆様から、ぜひオンライン授業を行ってほしいという要望が、市長や市議会に寄せられました。既に、学習者用コンピューターが1人1台貸与されておりましたが、当初はその活用が十分に図られていなかったため、オンライン授業を全校一斉に実施するには至りませんでした。新型コロナウイルス感染症の位置づけは2類相当から5類へと変更されましたが、完全な収束には至っておらず、次のパンデミックが起こる可能性もあります。また、インフルエンザも猛威を振るい、市立小・中学校で学級閉鎖や学年閉鎖が発生するなど、現在でも学業が遅れることを心配する保護者から、オンライン授業の実施を望む声が上がっております。コロナ禍での教訓を生かし、必要な場合には、オンライン授業が実施できるよう、条件整備を教育委員会と共に進めてまいります。
 第二中学校と第六中学校を統合し、第六中学校の跡地に第二小学校を移転するという検討案があります。学校改築時のコスト面等を考えると効率がよいということも理由の一つであります。しかし、学校の統廃合は、そのような理由から行うものではありません。かつて、桜堤小学校と境北小学校を廃止し、現在の桜野小学校を設置いたしました。そのときは、境北小学校で1年生から6年生まで全て単学級になり、全校児童数が約180名になってしまったため、やむを得ず統廃合を行ったというものであります。地域住民の多くの方々から、今回の第二中学校・第六中学校の統廃合に関しては納得していないという声を伺いました。確かに、将来を展望したとき、昭和の時代に建設された第一中学校から第六中学校までの6校が必要かどうかという議論はしていくべきであります。しかし、その場合でも20年から30年後の学校教育を予測して、どのような学校を建設するのかという議論が必要であります。今、第二中学校と第六中学校だけについて統廃合の議論をすることは適当ではなく、この件については一度白紙に戻し、市全体の学校建て替えの中で議論を進めてまいります。
 3点目は、吉祥寺に再投資のとき、三鷹駅北口の改良もであります。
 吉祥寺駅北口駅前広場の完成から35年以上が経過いたしました。この間、吉祥寺は来街者も楽しめる都内有数の商業地に成長いたしましたが、一方で、駅周辺の商業地を支える都市基盤の機能向上が求められております。特に南口では駅前広場の整備が遅れており、パークロードではバスと歩行者とが交錯し、安全性や快適性が著しく低下しております。また、特定緊急輸送道路の井ノ頭通り沿道をはじめ、吉祥寺駅周辺では建物の高経年化が進行しております。南口は再整備のために広く面としてのグランドデザイン(将来像)を立案し、その中で武蔵野公会堂の位置づけなども考えていく必要があります。吉祥寺が北口、南口ともに市民の皆様、来街者の皆様に愛されるまちとなるよう、再投資をしてまいります。
 三鷹駅北口駅前広場は、公共交通や歩行者動線と一般車両動線のふくそうなどの課題を抱えております。課題解決に向け交通環境の視点から基本方針を策定することにより、街づくりビジョン改定の中で三鷹駅北口の目指すべき姿を改めて示し、市民や市民団体等、多くの関係機関の皆様と連携しながら取組を進めてまいります。駅前広場を拡張する候補として西側または北東側のエリアが考えられますが、拡張の範囲や街区の特性を生かした検討の深度化を図り、安全な駅前広場・周辺道路の再整備につなげてまいります。
 4点目は、子育ては大変だけど楽しいであります。
 子育ては経済的な面のみならず、肉体的にも精神的にも大変だと思います。しかし、子育てにより親が学ぶこともたくさんあり、大変な中にも大きな喜びを感じるという方も多いと思います。子育てが楽しいと思えるよう、市としても様々な支援をしていきたいと考えております。
 0123施設は、地域で孤立しがちなゼロ歳から3歳までの乳幼児とその親を対象に、親子でいつでも自由に来館し、楽しく遊び、子育てについて学び合う施設であります。4、5歳児支援など、この間様々な試行がされてきましたが、設立当初の理念に立ち返り、0123施設の機能や配置について、児童福祉法の改正も踏まえ、今後の在り方を検討いたします。
 子育て世代への支援施策のさらなる充実を図るため、近年小・中学校の給食費無償化を検討する自治体が増えております。また、物価高騰により給食の質が低下するのではないかと心配する保護者の声もあります。詳細はまだ明らかになっておりませんが、東京都も保護者の負担軽減に取り組む市区町村を支援するため、最大で半額を補助するという方針を示しておりますので、給食費を無償化しながらも、給食の質は市が責任を持って担保する仕組みを検討し、令和6(2024)年度中には実施できるよう進めております。また、将来的には、市立小・中学校に通っていない児童生徒を持つ市内の保護者にもどのような支援ができるのか研究してまいります。
 産前産後の方々は定期的に安心して病院などに行く必要がありますが、公共交通機関を乗り換えての移動は負担が大きいと思います。例えば、公共交通機関を利用することが困難な高齢者や障害のある方の外出支援事業として、ドア・ツー・ドアで移送するレモンキャブがありますが、子育て世帯の移動支援についても研究してまいります。
 5点目は、CO2削減は全市民力を合わせてであります。
 世界中で異常気象による被害等が起こっております。豪雨、河川の氾濫、干ばつ、山火事など地球温暖化による影響と考えられる様々な現象は、全人類が真剣に考え、取り組まなければならない問題であります。地球温暖化の解決策の大きな一つがCO2削減です。平成27(2015)年にCOP21で採択されたパリ協定では、今世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出量を実質ゼロとすることが規定されました。武蔵野市としても、2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを目指す2050年ゼロカーボンシティを表明いたしました。武蔵野市地球温暖化対策実行計画2021(区域施策編)2022改定版では、令和12(2030)年までに温室効果ガス排出量を平成25(2013)年度比で53%削減することを目標にしております。この目標を達成するためには、市はもちろん、市内企業や市民の皆様の協力が不可欠であります。市では、象徴的な事業として市内を循環しているムーバスを路線バス事業者の協力の下、車両更新の際に、水素を燃料とする燃料電池バスやEV(電動)バスなど環境に配慮した車両に変更する検討を進めてまいります。
 これまでの市民の皆様のごみ減量と効率化への御協力に感謝しております。ペットボトルについては、隔週収集だと、今週はごみを出せる週なのか分かりづらい、毎週収集してほしいという声が寄せられております。ペットボトルを収集日に出せないと次に出すまで大量に保管しなければならず、多くの御家庭で御苦労されているようであります。コロナ禍における生活様式の変化などでペットボトルの収集量は増加し、現在もこの傾向が継続しております。これまでに武蔵野市ごみ収集の在り方等検討委員会における議論、パブリックコメント等により、広く市民の皆様の御意見を伺ってきておりますので、改めてペットボトルを隔週収集から毎週収集に戻すための検討と合わせて、プラスチック製品の分別収集、資源化等の検討を始めます。
 6点目は、健康で豊かな高齢期を、支え合うまち武蔵野であります。
 武蔵野市は、健康長寿のまち武蔵野を推進しております。そのために有効とされていることの一つが社会参加です。高齢者自身の就労を含めた社会参加が、効果的な介護予防や健康寿命の延伸に寄与するとともに、それが少しでも収入につながれば、毎日の生活に張りも出てきます。例えば、年金など現在の収入に加えて毎月5万円程度収入が増えれば、御自身の趣味の充実に活用することもできます。健康で豊かな高齢期を支えるために、高齢者のさらなる社会参加の仕組みを研究してまいります。
 令和5(2023)年6月に共生社会の実現を推進するための認知症基本法が成立いたしました。この法律では認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総合的かつ計画的に推進することを目的としております。本市では、まちぐるみの支え合いの仕組みづくり(武蔵野市版地域包括ケアシステム)をさらに充実させることで、元気な高齢者も介護を必要とする高齢者も、誰もが生き生きと安心して、いつまでも住み慣れた地域で生活が送れるように努めてまいります。
 武蔵野市は、障害のある方も住み慣れた地域でいつまでも生活できることを推進しております。令和6(2024)年度からは、健康福祉分野における各個別計画がスタートいたします。武蔵野市第4期健康福祉総合計画では、武蔵野市ならではの地域共生社会の実現を基本理念に置き、健康福祉分野の施策を総合的に推進することとしております。障害者福祉分野においても新たな取組が始まりますが、中でも特に住まいに関する課題に取り組んでいきたいと考えています。市内には障害者支援施設である障害者地域生活支援ステーションわくらす武蔵野をはじめ、グループホームに入所している方が多数いらっしゃいます。障害のある方が地域生活を継続していくために、事業者のグループホームの整備支援に継続して取り組むとともに、地域移行支援や親亡き後の支援を見据え、民間住宅への入居支援に関する取組を進めていくために必要な支援についても研究してまいります。
 7点目は、コロナに学び、次のパンデミックに備えるであります。
 私たちはコロナ禍で学んだことをしっかりと検証し、それを教訓とすることで次に来るかもしれないパンデミックに備えなければなりません。新型コロナウイルス感染症では、密閉空間に多人数で長時間滞在するとウイルス感染する確率が高くなることを学びました。学術的には、空気中の二酸化炭素濃度(通常420ppm)が、1,000ppmを超えることでウイルス感染の確率が格段に高くなるということであります。逆に言えば、密閉した部屋でも適切な換気を行い、室内の二酸化炭素濃度を1,000ppm以下に抑えていればウイルス感染の確率は低く抑えられるため、公共施設に二酸化炭素モニターを設置し、二酸化炭素濃度を可視化することで、ウイルス感染を抑制してまいります。
 吉祥寺地区の病院ベッド数が減少しております。医療体制については、広域で考える必要があると認識しておりますが、吉祥寺地区にある病院の中には、二次救急医療機関や災害拠点連携病院もあり、本市の医療連携や休日診療、災害時医療体制においても重要な役割を担っております。今後も引き続き、関係医療法人、東京都などと連携し、吉祥寺地区の病院ベッド数を確保するための検討を行ってまいります。
 8点目は、都市農業や産業の支援であります。
 武蔵野市内には約26ヘクタールの農地があります。この農地は市民に新鮮で安全な野菜・果物などを提供しているだけでなく、いざ災害時には延焼防止や一時的な避難場所としての役割も期待されております。また、市内産農産物は、市立小・中学校の給食にも使用されております。現在学校給食に使用されている市内産の農産物の割合は20%強ですが、市の目標は35%となっています。市内農業者などと密に連携し、目標達成に向けて支援を続けてまいります。
 また、市内では商工業をはじめとした様々な産業がまちを支えております。長引くコロナ禍からの立て直しができるよう、現在策定中の第三期武蔵野市産業振興計画を柱とし、武蔵野商工会議所、武蔵野市商店会連合会とも連携して、市内の産業を支えてまいります。
 9点目は、生きる楽しみとなる文化の振興であります。
 音楽・演劇・美術・読書・スポーツなどは、人が生きていくに当たり、人生を豊かにしてくれる大切なものであります。コロナ禍により、こうした文化・芸術・スポーツなどは、見ることも行うことも制限されてきました。コロナ禍以前のように、市民の皆様が、文化・芸術・スポーツを思い切り楽しめるよう、様々な支援を行ってまいります。
 10点目は、住民投票制度の議論は凍結であります。
 令和3(2021)年に市議会で審議された武蔵野市住民投票条例案は否決という結果となりました。この条例案は、全国的なニュースとなり、市役所や議員にメールやファクスなどが大量に届きました。まちには大音量の街宣車が走り回り、駅ではデモ行進が起こるなど市内も騒然といたしました。また、条例案に賛成の市民と反対の市民が対立する場面もありました。これらは条例案否決によって一旦は収まりましたが、再び条例案提出の動きが出ると、また、あのような騒然とした市になるのかと、多くの不安の声を聞きました。武蔵野市自治基本条例第19条では、住民投票制度の実施のための具体的な要件等は別途条例で定めることになっておりますが、その期日については記されておりません。今、住民投票条例制定についての議論を進めることは、再度、同じような状況を引き起こすおそれがあります。これらのことを総合的に勘案し、住民投票制度についての議論は凍結することといたします。
 次に、令和6(2024)年度の予算の規模及び特色について申し述べます。
 国及び東京都の予算についてですが、令和6(2024)年度の国の予算は、歴史的な転換点の中、時代の変化に応じた先送りできない課題に挑戦し、変化の流れをつかみ取る予算として編成され、一般会計予算では、前年度当初予算に比べ1.6%減の112兆5,717億円となっております。歳入では、名目経済成長率の見通しをプラス3.0%とし、税収は前年度に比べ1,680億円、0.2%増の69兆6,080億円としております。また、国の借入金となる公債金は前年度に比べて1,740億円減の35兆4,490億円となり、公債依存度が31.5%と前年度当初の31.1%から増加しています。歳出では、こども家庭庁予算として前年度比5,000億円増となる5兆3,000億円を計上しているほか、令和6(2024)年能登半島地震対応に係る予備費を新たに計上し、社会保障関係費や文教及び科学振興費などが増加しています。
 東京都では、令和6(2024)年度予算を「変化する社会情勢の中、東京・日本の輝かしい未来を切り拓くため、産業や経済、社会の構造転換に挑み、一人ひとりが輝く明るい『未来の東京』を実現する予算」と位置づけ、一般会計の規模は、前年度に比べて5.1%増の8兆4,530億円で過去最大となっています。このうち都税収入は、前年度に比べて1,855億円、3.0%増の6兆3,865億円としています。政策的経費である一般歳出は、子どもから高齢者まで全ての人へのシームレスな支援や、イノベーションを生み出す戦略的な枠組みを早期に確立するための取組などに重点的に財源を振り向けた結果、前年度に比べて7.3%増の6兆3,702億円となっています。
 次に、市の予算についてであります。
 予算編成方針として、新年度予算は、「変化する時代 命を尊重し安全・安心な未来を築く予算」と位置づけました。初年度となる第六期長期計画・調整計画に掲げられた優先事項を着実に推進するとともに、新たな課題に対応することにより持続可能な市政運営を行っていけるよう、限られた財源を真に必要性・緊急性が高い事業に重点的かつ効率的に配分することを基本に編成いたしました。
 予算の特色として、一般会計予算は815億2,300万円で、前年度に比べて86億100万円、11.8%の増となりました。
 市の歳入の根幹である市税については、前年度に比べ、個人市民税は定額減税などによる減はあるものの4億29万円の増を見込み、法人市民税については2億7,700万円の減を見込みました。また、固定資産税については、土地や家屋、償却資産それぞれ増を見込み10億5,167万円の増、さらに都市計画税については1億2,550万円の増など、市税全体では前年度に比べ13億2,246万円、3.1%増の445億2,996万円を見込んでおります。
 国庫支出金は、新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業費補助金の減などにより、前年度に比べ3,761万円、0.4%の減、都支出金は障害者日中活動系サービス推進事業補助金の増などにより9億2,806万円、11.3%の増となりました。
 歳出につきましては、総務費はシステム構築作業による住民情報系システム事業費の増などにより、前年度に比べ34億1,883万円、36.7%の増、民生費は高齢者総合センター大規模改修事業費や児童手当の増などにより、前年度に比べ31億7,012万円、9.7%の増、衛生費は新型コロナウイルスワクチン接種事業費の減などにより1億3,309万円、1.9%の減、土木費は都市計画道路3・4・2号線事業土地購入費の減などにより4億1,732万円、6.3%の減、教育費は学校改築事業費の増などにより26億22万円、21.5%の増となりました。
 各特別会計及び水道事業会計、下水道事業会計について申し述べます。
 国民健康保険事業会計は、保険給付費の増などにより、前年度に比べて3.9%増の144億2,999万円を計上いたしました。
 後期高齢者医療会計は、広域連合負担金の増などにより、前年度に比べて5.1%増の44億7,378万円を計上いたしました。
 介護保険事業会計は、介護保険給付費の増などにより、前年度に比べて3.1%増の129億2,807万円を計上いたしました。
 水道事業会計は、収益的収入は38億4,629万円、収益的支出は37億9,597万円で、収益的収入から収益的支出を差し引いた税込みの利益は5,032万円を見込んでおります。資本的収入は3億8,228万円、資本的支出は10億1,766万円で、水道施設の維持更新に係るものは、配水施設費4億6,591万円、原水及び浄水施設改良工事費1億7,871万円で、資本的収入から資本的支出を差し引いた6億3,538万円の不足分は、消費税及び地方消費税資本的収支調整額、減債積立金及び損益勘定留保資金で補填する予定としております。
 下水道事業会計は、収益的収入は29億393万円、収益的支出は28億3,152万円で、収益的収入から収益的支出を差し引いた税込みの利益は7,241万円を見込んでおります。資本的収入は6億5,174万円、資本的支出は10億6,199万円で、その主なものは管渠建設改良費4億7,642万円、企業債償還金3億5,983万円で、資本的収入から資本的支出を差し引いた4億1,025万円の不足分は、消費税及び地方消費税資本的収支調整額、損益勘定留保資金で補填する予定としております。
 以上、施政方針を述べるとともに、令和6(2024)年度の予算の規模及び特色について御説明申し上げました。なお、主要な施策につきましては参考として、次ページ以降の主要な施策について、及び予算参考資料にまとめましたので、御参照いただければと存じます。
 結びとなりますが、私はこのたびの選挙で与えられました4年間の任期において、市民の皆様からの負託に応えるため、また、武蔵野市のさらなる発展のため、全力を尽くしてまいります。選挙では339票差という僅差での当選ではございましたが、選挙が終わればノーサイドであり、応援してくれた方もそうでない方も含め、全市民の皆様の声をしっかり聴かせていただき、地域課題の解決を図るとともに、助け合い励まし合う日本一のまちを目指してまいります。
 市民の皆様、議員の皆様におかれましては、何とぞ御理解と御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。