12076◯3 番(大野あつ子君) 市議会公明党の大野あつ子でございます。
この1月、2月を振り返りますとき、去る1月20日、JAXAは無人探査機SLIMで重力がある月に着陸、しかも、38万キロも離れたこの月に目標地点から半径100メートル以内を目指すピンポイント着陸を成功しました。ただ、エンジンの不具合により太陽電池が西を向く格好になったため、太陽光が当たらず、一時休眠状態になりましたが、マイナス170度になる苛酷な月の夜、2週間耐え、2月25日、再起動し、通信を回復したとのこと。そもそもSLIMは月の夜に耐える設計にはなっていなかったそうですが、耐えてくれたということで、日本の技術のすばらしさに大感動いたしました。また、H3ロケット打ち上げにも成功しており、日本の宇宙技術は遅れているというふうに心配をされておりましたが、成功したこと、本当によかったと思いますし、これからますます若い技術者の育成を進めていただきたいと思うところであります。
さて、元旦に話を戻しますと、この元旦、能登半島地震がございました。震度7の地震。家族と共に穏やかに過ごしたい、この元旦という日に、このような大きな災害があり、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈りいたします。そして、地震は全く他人事ではありません。去る平成28年4月、熊本においても2度にわたる大きな地震がありました。その直後の第2回定例会一般質問において、新たなソーシャル・キャピタルの創出による地域コミュニティの活性化等についてを取り上げ、地域コミュニティをどう充実させていくかについて質問させていただきました。このたび、能登半島地震の状況を報道等で知る中で、改めて災害に強いまちづくりの必要性を実感しております。無電柱化などのハード面を整えていくことはもちろんでありますが、ソフト面の重要性も浮き彫りになっていると感じております。地域においてソーシャル・キャピタルを高めていくことが、いざというとき、共助につながっていくと考えます。しかし、時代はますます、地域でのつながりより、共通の趣味などによるつながりが優先され、地域活動の後継者がなかなか見つけづらくなっております。首都直下地震などの災害に備えるためにも、少子高齢化社会を支えるためにも、多世代が交流し、ソーシャル・キャピタルを高めていく手助けが必要ではないでしょうか。
そこで、大きな質問の1つ目、多世代の居場所づくりについて。
厚生労働省のホームページで、重層的支援体制整備事業について見ますと、「日本の社会保障は、人生において典型的と考えられる課題の解決を目指すという、基本的なアプローチの下で発展してきました。このため、日本の福祉制度・政策は、子ども・障がい者・高齢者といった対象者の属性や要介護・虐待・生活困窮といったリスクごとに制度を設け、現金・現物給付の提供や専門的支援体制の構築を進めることで、その内容は、質量ともに充実してきました」というところから始まります。本市においても、それぞれの所管課がそれぞれの支援に当たっていただいているわけですが、8050問題やダブルケア、この2つ目に取り上げておりますヤングケアラーの問題など、1つの世帯に複数の課題が存在している状態が幾つもあり、どこにどのように相談していいかすら分からない、その結果、その世帯が孤立してしまうというような現象も起きてまいりました。本市において、これらの助けとして、福祉総合相談窓口を設置いただいたことは、大変に有効だったと思います。国が進めている地域共生社会という概念に基づいて、市町村が創意工夫をもって包括的な支援体制を築いていく重層的支援体制整備事業をさらに拡充していかなければならないと思います。
そこで、1の1、第六期長期計画・調整計画29ページ、「地域活動の活性化を図るために世代・属性を超えて交流できる場や、居場所の確保を整備する地域づくり事業の実施など、重層的支援体制の充実に向けてさらなる取組みを推進する」との記載があります。ソーシャル・キャピタルを高めていくためには、これらの重層的支援事業をどう展開していくかが大きな鍵になってくると考えますが、本市の今後の取組について伺います。また、多世代が交流できる居場所づくりでは、既に武蔵野市民社会福祉協議会において、身近な地域の居場所づくり助成支援事業があります。しかし、あまり知られておらず、市民に浸透し拡大するよう工夫が必要ではないかと考えますが、既存事業との兼ね合いはどのようにされるのか、多世代が交流できる居場所づくりは進めるべきと考えますが、分野横断的な取組の必要もあり、どのように連携していくのか、見解を伺います。
1の2、東京都は、令和6年度予算案に、TOKYO長寿ふれあい食堂推進事業を提案しています。本市では、いきいきサロン事業やテンミリオンハウス等、先進的に高齢者の居場所づくりに取り組んでこられましたが、現在の本市のお元気な高齢者の居場所づくりの現状と、国や都が出してくる補助事業の活用について、どのようにお考えか、伺います。また、高齢者の子の世代は別居している場合も多いので、どこに高齢者の居場所があるのか、見える化することが有効と考えますが、いかがでしょうか。御見解を伺います。
1の3、武蔵野市中央地区商店連合会では、事務所の休みの日を活用し、多世代交流を行っており、子どもから高齢者まで様々な世代の方々の交流が実現しているようです。これらの取組が広がっていくよう、市として支援してはどうかと考えますが、御見解を伺います。
大きな設問の2つ目、ヤングケアラーの支援について。
ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どものことです。ヤングケアラーは、本当なら享受できたはずの勉強に励む時間、部活に打ち込む時間、将来に思いを巡らせる時間、友人とたわいもない時間といった、子どもとしての時間と引換えに、家事や家族の世話をしています。そして、ヤングケアラーは表面化しにくいという特徴があります。困っている家族を助けるということから始まるので、本人にも家族にも自覚がなかったり、子どもが困ったと考えていてもどういう支援があるのかを知ることは困難ですし、家庭のマイナスの面を外で話すことが怖いと考える場合もあるでしょう。そもそも、病気や障害の方への支援はありますが、その家族を介護しているヤングケアラーを助けるという考え方はやっと最近出てきたことです。政府は、令和4年度から3年間を、ヤングケアラーへの支援を強化する集中取組期間と定め、支援を拡充しています。本市においても、さらにヤングケアラーの発見に努め、支援を拡充させていただきたく、以下質問をいたします。
2の1、家族の世話や介護を担うヤングケアラーについて、政府は、子ども・若者育成支援推進法を改正し、ヤングケアラーを法律に支援対象として明文化する方針を決めたと報道されております。ヤングケアラーが支援対象として法的に位置づけられた場合、本市におけるヤングケアラー支援の主となる所管課はどちらになるのか、伺います。また、このことにより本市の支援がどのように進むのか、伺います。
2の2、2の1の法改正では、ヤングケアラーを18歳未満の子どもだけでなく、家族のケアのために働けないなど支援が必要な18歳以上の若者も対象に含めているとしていますが、本市ではヤングケアラー支援の対象をどのように考えているのか、伺います。
2の3、府中市では、民間と連携をし、ヤングケアラー相談窓口を開設し、LINEによる相談も受けています。SNS活用による相談体制について、御見解を伺います。
大きな設問の3つ目、こども誰でも通園制度について。
ちょうど1年前、令和5年第1回定例会の一般質問において、専業主婦家庭も定期的に利用できる保育制度について取り上げました。御答弁としては、現状でゼロから2歳児の定員の空きが少なく、国が示している保育所の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業の実施は今は難しいのですが、余裕活用型の一時保育の拡充等を通して、保育施設等を利用している世帯だけでなく、家庭で保育をしている世帯の支援もさらに進めていきたいというものでした。この公明党が進めてきた家庭で保育を行っている世帯の支援についての政策は、令和5年6月13日閣議決定された、こども未来戦略方針において、こども誰でも通園制度(仮称)の創設として明記され、子育て家庭が孤立した育児にならないよう支援を進めていくとされております。
このこども誰でも通園制度は、親が就労していなくても子どもを保育所などに預けることができる制度で、令和8年度の本格実施を前に、令和6年度は試行実施されることになっております。この制度により、生後6か月から3歳未満の子どもを一定時間預けることができるので、産後うつの早期発見や予防、子育て支援に大変有効な制度であり、親子が早い時期から地域の社会資源につながる契機となり、様々な情報交換も可能になると考えます。しかし、本市も含め、都市部では保育園の定員に余裕がなく、受皿をどうするかが課題となっています。
3の1、本市において、こども誰でも通園制度の受皿はどのようなところが考えられるのか、伺います。
3の2、幼稚園においては、保育の無償化が進む中、さらに少子化もあって、園児が減少傾向にあると伺っております。幼稚園をこの制度の受皿と考えるときの課題を伺います。
大きな設問の4つ目、生活困窮世帯の大学生等に対する給付型奨学金について。
未来の宝である若者が家庭の経済的事情で進学を諦めてしまうことがないよう、公明党は長年にわたって高等教育無償化を訴え続け、支援を拡大してまいりました。その中で、大学生等に対しては、平成29年、初めて給付型の奨学金が一部の学生を対象に創設され、さらに令和2年にリニューアルし、給付型奨学金と授業料免除を大幅に拡充、その後も公明党は対象者を中間所得層に拡大することや奨学金返還支援の拡充を政府に何度も提言し、令和6年度からは多子世帯や理工農系の学生の中間層に対象を拡大しています。
このように国の支援は徐々に進んでおりますが、まだ十分ではないこと、初年度の学費は入学前に振り込まなければならないことが課題と考えております。初年度平均の学費の総額は、専門学校では125.5万円、国立大学が81.7万円、私立文系大学が116.7万円、私立理系大学が154.4万円、私立医科歯科大学は482.9万円であるそうです。奨学金の支給は進学届等を出してから1〜2か月かかるとのことなので、入学手続を行う際に初年度の教育資金を用意しなければなりません。このことは、経済的に大変な家庭にとって、進学への大きなハードルとなります。
一方で、2023年、文科省が発表した短大や専門学校なども含めた高等教育機関への進学率は84.0%で、過去最高となっております。高等教育は、もはや一部の子どもだけが受ける特別なものではなくなっております。だからこそ、本来は国がさらなる支援をしていただきたいと思いますが、国が追いつくまでの間、武蔵野市が独自で支援することはできないでしょうか。武蔵野市は、そもそも全国初の児童手当を昭和42年に創設しており、また、高校生に対しても独自の支援を行ってきた、すばらしい実績がございます。今、高等教育がスタンダードになりつつある中で、武蔵野市の子どもたちが経済的理由で学ぶことを諦めることがないよう支援していただきたく、以下質問をいたします。
4の1、生活保護世帯のうち、大学等在学中の子を持つ世帯は何世帯か、伺います。
4の2、生活保護世帯の子どもが大学等に進学した場合、世帯分離となり、その子どもは生活保護の対象から外れ、世帯の生活保護費が減額となり、そのことが進学を諦めることにつながっているとして、東京・世田谷区はこうした子どもに新年度から給付型の奨学金の支給を始める方針を決めています。貧困の連鎖を断つ意味からも、国の制度のはざまを埋める意味からも、本市においても大学等進学をする生活保護世帯の子どもに対して給付型の奨学金を支給してはどうでしょうか。生活保護世帯の子どもが大学等に進学する場合、どのような支援をお考えか、御見解を伺います。
4の3、4の2同様、低所得世帯においても、子どもの大学等進学は大きな経済負担となります。国の支援制度はありますが、支払い時期と給付時期がずれるため、初年度において、保護者はこの2月から3月において100万円から160万円くらいの教育資金を用意しなくてはならず、大きな負担となっています。低所得世帯の子どもについても、大学等進学する場合、給付型の奨学金支援をお願いしたいと考えます。低所得世帯の子どもが大学進学する場合についてどのような支援をお考えか、御見解を伺います。
以上、壇上からの質問といたします。御答弁よろしくお願いいたします。