12129◯19番(橋本しげき君) 日本共産党の橋本しげきでございます。今回の一般質問、私は、健康保険証廃止問題について、有機フッ素化合物(PFAS)問題についてと題して、大きく2点の質問をいたします。
昨年12月24日に行われた市長選挙で、小美濃安弘新市長が誕生いたしました。今回の一般質問は、過去にも取り上げたテーマですが、市長が替わりましたので、改めて市の対応について伺うものです。
まず、大きな1つ目に、健康保険証の廃止問題についてです。マイナ保険証のトラブルが続出し、多くの国民が反対しているにもかかわらず、岸田政権は、今年12月の健康保険証の廃止を強行しようとしています。
昨年末には、マイナンバーカードの保険証利用を登録した人たち向けに、新たに発行する資格情報のお知らせを、A4判の紙1枚で発行することを決めました。この資格情報のお知らせは、患者が医療機関や薬局にかかった際、マイナ保険証が読み取り機でエラーになるトラブル時に提示するものです。トラブルが発生したときだけではなく、医師が高齢で読み取り機の導入が義務化対象外の施設もあり、その場合も資格情報のお知らせの提示が必要になります。結局カード1枚で受診できるという国の説明と違い、マイナ保険証だけで受診できない事態が起きているのが実態です。この資格情報のお知らせの紙を毎回持ち歩けというのでしょうか。
また、マイナンバーカードを取得していない人などには、健康保険証の代わりに紙かプラスチック製の資格確認書を、当分の間だけ申請なしで交付いたします。資格情報のお知らせも健康保険証代わりの資格確認書も、現行の健康保険証を存続すれば不要です。高齢者施設では、入居者のマイナンバーカードや暗証番号を預かって管理することへの不安が切実です。政府は、暗証番号が不要な顔認証カードを発行するとしていますが、現行の健康保険証をなくさなければ解決する話です。健康保険証を廃止しなければならない理由はますますなくなってきました。
では岸田政権は、なぜこんなに破綻した複雑怪奇なことを強引にやろうとしているのでしょうか。それは財界の要求だからです。日本経団連は2020年の新成長戦略で、健康保険証、運転免許証、在留カードの公的証明書、また診察券や学生証等のデジタル化とマイナンバーカードへの一元化を要求しています。財界が推し進めようとしている個人情報ビジネスのために国民が犠牲になる。こんなことが許されていいのでしょうか。そして財界は、大企業の税や社会保険料を削減し、国民に負担を押しつけることを狙っています。そのためにマイナンバーで個人ごとの負担と給付を把握し、必要な人に必要な医療を提供するのではなく、負担に応じた給付により、社会保障を市場原理化していこうというわけです。
健康保険証は国民皆保険制度の根幹です。医療機関の窓口で見せるだけで保険診療を受けられます。この制度を投げ捨て、巨額の予算と人手をかけて、欠陥だらけのマイナ保険証に一本化しようというのは、愚策と言うしかありません。健康保険証の廃止を強行すれば、混乱が今と比べようもなく広がることは明らかです。
以上を踏まえて、健康保険証の廃止問題について、以下質問いたします。
1点目の質問です。国と武蔵野市のマイナンバーカードの普及状況について、市長の見解を伺います。
2点目の質問です。マイナンバーカードのトラブルについてです。岸田首相は昨年12月12日、マイナンバーのひもづけの誤りに関する総点検が終了したとして、結果を公表しました。誤って登録されていた公的情報は1万5,907件で、このうち健康保険証が8,695件と半数以上でした。保険診療を混乱させたことへの反省はありません。健康保険証以外のひもづけの誤りは、障害者手帳が5,645件、公金受取口座が1,186件と、国民生活の広い分野で混乱を招いています。
そもそもこの総点検は、総点検といいながら、対象を限定した不十分なものです。マイナンバーとひもづいた個人情報全てに登録の誤りがないかを調べたわけではありません。ひもづける際の手順に間違いがあったことが判明した8,208万件だけが対象でした。調査対象にならなかったひもづけでも、誤った情報が登録されていた事例が見つかっています。総点検とは別に厚生労働省がマイナ保険証を点検したところ、住民基本台帳の氏名や住所と一致しないものが約139万件ありました。この確認作業はまだ続いています。マイナンバーカードの普及状況からして、ひもづけられた個人情報は合計で数十億項目と見られます。おざなりの調査で健康保険証を廃止するのはあまりにも乱暴です。
一方、全国保険医団体連合会(保団連)は、1月31日に、同会が実施したマイナ保険証トラブルに関するアンケート結果を公表しました。このアンケートは、昨年11月から今年1月にかけて行われました。昨年10月以降、マイナ保険証やオンライン資格確認システムでトラブルがあったかどうかを調査しました。8,672医療機関が回答し、そのうちの約6割に当たる5,188医療機関でトラブルがあったと回答しました。トラブルへの対処法としては、その日に持ち合わせていた健康保険証で確認したが4,300医療機関、資格が確認できず、一旦10割負担を患者に請求した事例も、403医療機関で753事例ありました。
昨年末の政府による総点検後もトラブルは続いています。システム自体が不完全だと言わざるを得ません。大規模災害が起きた際や停電による通信インフラの遮断で、マイナ保険証を使うシステムの利用が困難になることが考えられます。元日に能登半島地震が起こって間もなく、河野太郎デジタル大臣は、被災地でのマイナンバーカード利用促進をSNSで発信しましたが、電源もない大変な状況の被災地でどうするというのでしょうか。あまりにもひどい言動だと思います。
そこで質問です。全国で相次いでいるマイナンバーカードに関するトラブル──これはマイナ保険証以外のトラブルも含みます──について、市長の見解を伺います。
3点目の質問です。市の姿勢についてです。2015年9月30日の市議会本会議で、武蔵野市特定個人情報の保護に関する条例に関する付帯決議が全会一致で可決されています。この中では、1、マイナンバーを使用する業務は必要最小限のものに限ること、2、特定個人情報を含む個人情報取扱業務の執行においては、万が一にも情報漏えいなどの事故が起こらぬよう、設備を万全にし、職員の対応能力を向上させることなどの項目が盛り込まれています。この決議は、当時市議会議員だった小美濃市長も提出者となっています。これまでの私の質問に対して、市としてはこの決議に基づいて、マイナンバーの利用事務については必要最小限でセキュリティに配慮していくとの答弁がされています。
そこで質問します。武蔵野市では、マイナンバーカードの利用拡大に慎重な姿勢を取っていると認識しますが、今後もその姿勢は変わらないのか、市長の見解を伺います。
4点目の質問です。現行の健康保険証廃止で市民が不利益を被らないようにすることについてです。武蔵野市の国民健康保険証は昨年10月に更新されました。2年間は現行の健康保険証が使えることになっています。しかしその後の状況は不透明です。昨年9月7日の私の一般質問に対して、当時の市長は、被保険者が医療を受診しにくくなるなどの不利益を被ることがないよう、職権による交付のほか、周知を行うなど、遺漏のないよう努めてまいりたいと答弁しています。被保険者が不利益を被ることがないようにすべきと考えますが、市長の見解を伺います。
5点目の質問です。現場での混乱や負担についての市長の認識についてです。医療機関や薬局で、これまでなら健康保険証を提示するだけでよかったのに、マイナ保険証によって、現場ではかえって手間や時間がかかっていると考えられます。マイナ保険証が読み取り機でエラーになるトラブルが発生するだけではなく、読み取り機の導入が義務化対象外の施設もあります。先ほども述べましたように、そういう状況であります。結局、関係者や被保険者にとっては、混乱と負担が増えているだけではないでしょうか。市長の見解を伺います。
6点目の質問です。市の業務への影響についてです。健康保険証廃止によって、保険者、つまり市は様々なシステム改修を迫られると考えられます。現行保険証の交付機能の停止、確認書やお知らせの交付機能の整備、交付対象、交付状況の管理機能の整備などで、現行の健康保険証を存続すれば不要な作業と経費です。国の迷走により自治体が振り回され、市の業務はさらに複雑化し、業務量が増えることが想定されます。現状において、健康保険証に関する市の業務がどう変化すると考えられるか、また市の新たな費用負担はどのように発生すると考えられるか、市長の見解を伺います。
7点目の質問です。国に現行の健康保険証廃止の中止を求めることについてです。医療機関で保険資格の確認にマイナ保険証が使用された比率は減り続け、今や利用率は5%未満です。特に若年層の利用率が低くなっています。ポイント目当てでマイナカードを取得したものの、利用するメリットが感じられず、実際に使うことはないというのが実態ではないでしょうか。マイナ保険証の利用率が5%ない下で先ほどのようなトラブルが発生しているわけですから、もし多くの方が利用したら、さらに大変な事態が起こることは明らかです。ちなみに薬局でのマイナ保険証の利用率は2%しかありません。
岸田首相は政府の総点検本部の会合で、まずは一度マイナ保険証を使ってメリットを感じていただきたいと述べました。しかしマイナ保険証を使ってもメリットが感じられないからこそ、利用率が減り続けているのではないでしょうか。メリットどころか不信を募らせている国民の声を聞くべきではないでしょうか。
そこで質問です。国に対して現行の健康保険証の廃止の中止を求めるべきだと考えますが、市長の見解を伺います。
次に、大きな2つ目に、有機フッ素化合物(PFAS)問題についてです。有機フッ素化合物(PFAS)による汚染により、市民の不安が広がっています。昨年12月にもこの問題について一般質問を行いましたので、詳細は繰り返しませんが、大事な点については確認しておきたいと思います。
PFASとは有機フッ素化合物の総称で、約4,500種類とも1万種類以上あるとも言われています。代表的なものにPFOSとPFOAがあります。耐水性や耐油性に優れ、フライパンや炊飯器のフッ素コーティング製造、ハンバーガーなどの食品の包み紙、泡消火剤などに幅広く使われています。ほとんど分解されず、残留性、生物蓄積性があり、永遠の化学物質、つまりフォーエバー・ケミカルと呼ばれています。
動物実験で健康影響が確認され、人間でも発がん性のほか、新生児の体重増加抑制、免疫抑制、脂質異常など、健康被害が指摘されています。日本も加盟している残留性有機物汚染物質に関する条約、いわゆるストックホルム条約で製造、保有、使用が禁止されています。日本国内では水道の水質管理目標設定項目に位置づけられ、PFOSとPFOAの合計が、1リットル当たり50ナノグラム以下となっています。1ナノグラムは10億分の1グラムです。
現在、各地の井戸水や水道水などからPFASが検出されていますが、汚染の実態はまだよく分かっていません。米軍基地や工場周辺の地下水など、各地で汚染が広がっています。世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関(IARC)は、昨年、PFASの一種であるPFOAについて、人に対して発がん性がある可能性があるから2段階引き上げ、人に対して発がん性があるに認定しました。PFOSについては新たに、人に対して発がん性がある可能性があるに認定しました。
しかし、日本政府のPFASに対する評価は非常に甘いものになっています。国の食品安全委員会は今月6日、PFOAとPFOSの人の1日の許容摂取量について、それぞれ体重1キログラム当たり20ナノグラムとする指標値を定めた評価書案を了承しました。PFASの一種であるPFHxSについては、指標値の算出は困難としました。これについては3月7日までパブリックコメントが行われています。
欧州食品安全機関が2020年に定めた許容摂取量は、これら3種類とPFNAを含む4種類のPFASの合計で、1週間に体重1キログラム当たり4.4ナノグラムです。これと比べると、日本の指標値は60倍を超える高いものです。指標値の算出に当たっては、海外評価機関が厳しい値を出している人の疫学研究を排除し、動物実験のみを根拠として使いました。また先ほど述べたIARCの評価結果で、PFOAを人に対して発がん性があるという分類にしているにもかかわらず、今回の国の評価書案では、情報が不十分などとして十分な根拠を示すことなく、指標値算出の際に発がん性を考慮しませんでした。
この指標値を前提とするならば、体重50キログラムならPFOAとPFOSをそれぞれ毎日1,000ナノグラム、合計では2,000ナノグラム接種しても問題ないということになってしまいます。小泉昭夫京都大学名誉教授は、この指標値について、世界で健康が懸念されているレベルが日本では安全だとされてしまうと警鐘を鳴らしています。小泉氏の試算によると、この量を毎日摂取した場合、全米アカデミーズやドイツの専門委員会が健康への影響の可能性が懸念されるとする勧告値の十数倍になってしまいます。
小泉氏は、食品安全委員会の評価書案について、あまりにも高い血中濃度を容認する内容に加え、IARCが、PFOAを人に対して発がん性があるに、PFOSを人に対して発がん性がある可能性があるに分類した判断を無視している、新生児の体重増加抑制効果や免疫毒性を示すデータをきちんと評価していないなどの問題点を指摘しています。小泉氏は、経済安全保障の観点から位置づける半導体分野などで不可欠なPFASを規制したくない国策への忖度があるのではないかと述べています。
PFAS規制に当たっては、予防原則に立って国民を守るべきです。市長が替わった下で新市長はどのような認識に立っているのか、また市としても必要な対策を取ることが求められていると考えますので、以下質問します。
1点目の質問です。PFAS汚染が広がっていることに対する市長の認識を伺います。
2点目の質問です。武蔵野市の水道水の現状認識についてです。武蔵野市の水道水におけるPFASの値は、暫定目標値の50ナノグラム/リットル以下となっていますが、市内の水源によっては、数値は上昇傾向であると考えられます。避難所用井戸については、場所によってPFASの値が50ナノグラム/リットルを超えており、浄水器を購入することになりました。武蔵野市の水道水の現状認識について、市長の見解を伺います。
3点目の質問です。市のホームページの記述についてです。市のホームページには、水道水における有機フッ素化合物への対応についてという項目が掲載されています。その中では、水道水が水質基準に適合して安全であることを確認した上で水道水を供給しておりますので、御安心いただければと存じますと書かれています。しかし、50ナノグラム/リットル以下という水質基準に適合しているということと、安全であるかどうかということは、同じとは限らないのではないでしょうか。
アメリカの環境保護局は昨年3月、PFOSとPFOAの基準値を、いずれも4ナノグラム/リットルとする案を公表しています。日本政府も暫定目標値の取扱いについて検討を進めています。市のホームページの記述を見直して、水道水が水質基準に適合していることを確認した上で水道水を供給しておりますと、事実を客観的に書くのが適切なのではないでしょうか。市長の見解を伺います。
4点目の質問です。そもそもPFASの値が50ナノグラム/リットル以下であれば安全であるというのが市長の認識なのかを伺います。
5点目の質問です。財政支援を求めることについてです。昨年12月の私の一般質問に対して、国や都に財政支援を求めているとの答弁がありました。国に対しては、PFAS除去に対する財政支援、都に対しては、市が実施している調査対策に対する財政支援を求めているとの答弁でした。具体的にどのような内容で、どの程度の規模の財政支援が必要と考えているか、市長の見解を伺います。
6点目の質問です。多摩地域のPFAS汚染の最大の汚染源と見られている米軍横田基地について、なぜ汚染状況の実態把握が進まないのか、市長の見解を伺います。
7点目の質問です。周辺自治体とも協力して、米軍横田基地について、国と都に対して全面的な調査と対策を強く求めるべきだと考えますが、市長の見解を伺います。
8点目の質問です。血液検査等についてです。昨年12月の私の一般質問に対して、国や都、自治体、排出事業者等が協力しながら健康調査を行うことが望ましいとの答弁がありました。改めてPFASによる汚染の実態を把握するために、国や東京都に対して希望者の血液検査等を行うよう求めるべきだと考えますが、見解を伺います。
9点目の質問です。浄水器の設置についてです。一般的な浄水器でもPFAS除去の効果があると言われています。12月の一般質問でも指摘したように、多摩地域で650人を対象にした血液検査では、住民に浄水器を使用しているか、使用していないかも聞き取りしています。使用していると答えたグループは、使用していないと答えたグループよりもPFASの血中濃度が低いことが分かりました。これはPFASの主な摂取経路が水道水となっていることを示唆しており、かつ浄水器は効果があるということが示されていると考えられます。住民はPFASの被害者であり、住民に責任はありません。
私が12月の一般質問で浄水器の設置の補助を求めたのに対し、担当副市長は、現在のところ国の暫定目標値を超過していないことから、今のところ浄水器の設置やその補助については予定しているところではございませんと答弁しました。しかし私は、住民の健康を守るため、学校、保育施設、福祉施設、公共施設などへの浄水器設置や、市民が浄水器を設置した際の補助を行うことを改めて求めますが、見解を伺います。
以上、大きく2点について答弁を求めまして、壇上からの質問を終わります。