12329◯厚生委員長(宮代一利君) ただいま議題となりました議案第11号 武蔵野市介護保険条例の一部を改正する条例の厚生委員会における審査の概要と結果について御報告いたします。
主な質疑は次のとおりでした。
1)基金が積み上がった要因を伺う。答え、施設サービスの利用が減少し、在宅サービスの利用が増えることで、1人当たりの給付の単価が減少し、当初見込みを下回ったためと分析している。2)基盤整備の必要性と市民ニーズについて伺う。答え、認知症高齢者の支援のためには、一定の入所施設に対し、ニーズはあると考えている。第9期介護保険事業計画において、小規模多機能型居宅介護事業所(小多機)と認知症対応型共同生活介護事業所(認知症グループホーム)の整備を進める予定である。3)今回の介護報酬改定は現場の報酬に反映されているか伺う。答え、実際の報酬改定率が1.59%であるうち、0.98%分は介護職員の処遇改善に充てられている。4)準備基金の取崩しについて、残額を発生させた理由と残額に対する考え方を伺う。答え、第1段階から第7段階の保険料を据え置くために基金を取り崩し、2億5,000万円程度を残額とした。また、今後のシミュレーションを実施し、保険料は、2030年の第11期には8,000円台、2040年の第14期には9,000円台との見込みになっているため、少しでも財政的余力を残しておく必要があると考えて判断した。今後も期ごとに個別具体的な判断が必要と考えている。5)高齢化率の上昇や要介護認定率の上昇といった流れにおいて、介護保険料を引き上げないために市として取り組むべきことは何か伺う。答え、介護予防のメニューを増やすことや地域包括ケアシステムの充実など、健康長寿を市が支えることが一番だと考えている。6)保険料の所得段階の設定による累進性の確保について、市が独自に工夫している点は何か伺う。答え、武蔵野市は国の基準よりも多い20段階の所得段階設定となっており、全国1,571保険者の中で同水準の保険者は4保険者だけである。多段階化により累進性を高め、低所得の方に配慮できている。これは武蔵野市民の所得、資力が高いという背景がある。7)第8期の保険料は据置きだったのに、第9期の保険料は据置きにしなかった理由を伺う。答え、武蔵野市は施設及び在宅サービスが比較的充実している。高齢者の比率が増え、サービスの利用も増加し、給付費が増えている。さらに、第8期中に整備を進めた施設の利用者が増えた後の給付費を第9期に反映しているため、保険料にも影響が出ている。8)介護保険料の基準月額は第1期で3,000円程度だったのが、第9期では6,600円と倍以上になっていることについて見解を伺う。答え、高齢化と生産年齢人口の減少により、全国的に値上がりの傾向にある。さらに、本市では受けたいときにサービスを受けることができる環境を整備しているため、給付費が増え、その結果、負担をお願いしているところである。9)令和元年に全国1位となっていたインセンティブ交付金が、現在都内31位となっている現実について見解を伺う。答え、従来から一般財源で事業を推進してきたテンミリオンハウス、いきいきサロン、レモンキャブなどの事業が、インセンティブ交付金の評価ワーキングにおいて正当に評価されていないという課題がある。10)健康長寿を延ばすために、アウトリーチ型のアプローチは考えていないのか。答え、介護予防としては、自ら外出し、社会参加できることが重要と考えているが、適切なサービスにつなげる情報のアウトリーチという意味では、今後も推進していきたい。
以上で質疑を終了し、討論に入りました。討論者は1名で、反対討論でした。
その趣旨を御紹介しますと、前提として、介護を社会全体で支えることを目的にできた介護保険制度は、国の責任でやるべきことである。今回基金に余剰金が出たのに値上げをしており、全部とは言わないが、さらに取り崩せば、値上げをしないで済む階層を増やすことができるため、反対するというものでした。
以上で討論を終わり、採決に入りました。採決の結果、賛成多数で可決すべきものと決しました。
よろしく御審議をお願いいたします。