12342◯13番(さこうもみ君) よろしくお願いいたします。議案第12号 武蔵野市指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の議案に、賛成の立場で討論を行います。第13号議案も関連いたしますので、関連することはまとめて申し上げます。今回の議案に関しては、賛成の立場ではありますが、介護の質を下げないために留意するべき点が多くあるというふうに考えるため、今回は討論を行いたいと思います。
今回の条例は、デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するための変更です。つまりICTツールなどを介護現場で効果的に使っていくことにより、人材の不足などの介護業界の課題を解決していこうというものです。武蔵野市の介護職員・看護職員等実態調査の中でも、介護分野以外の仕事に転職したい理由として、賃金が低い、慢性的な人材不足による業務負担が多い、業務内容が体力的につらいなどという理由が、仕事を続けられない理由として挙げられているように、介護の業界では人材不足は本当に深刻な問題であり、働き方においても多くの課題があることは明らかです。
業務負担の軽減のためのICTツールの導入、デジタル化は、これからさらに推し進めていく必要があります。委員会の答弁においても、手書きでの資料作成、ファクスの使用など、非常に負担の多い業務が、特にケアマネジャーさんの業務において多いという現状をお伺いいたしました。その点について、改善は急務であり、デジタル化の推進自体を否定することはもちろんございません。武蔵野市としても、ツールの導入などはぜひ御支援をお願いしたいと思っています。
ですが、その上で、デジタル化、ICTツールの導入によってできた余裕は何に使うべきなのかということを考えることが重要だと、質疑の中でもお伝えをいたしました。今回の改正において、ケアマネジャーが1人当たりに担当できる基準人数を増やす、それから管理者については、これまで同一敷地内であれば兼務が認められていたところが、同一敷地内ではなくても、事業所の管理に支障がなければ基準を緩和するなどの緩和がありますが、これらの変更は、1人当たりの業務負担の増加、介護の質の低下を招くリスクもあるものだと考えます。
一方で、ケアマネジャーの面談をテレビ電話に置き換えることができるという緩和についてお伺いする中で、テレビ電話に置き換えることの実現可能性という観点でお伺いをいたしました。本当に実態に即しているのかという点を不安に思っていましたが、例えば、御本人だけではなく、遠方に住んでいる家族の参加をできるようにするなど、ケアの質の改善につながっていく活用方法もあるということが分かりました。人が足りないから、1人当たりができる業務の量をどうにか増やそうという基準緩和ではなく、介護の質を上げ、よりよいケアを届け、働き手にとっては働きがいを持って働ける環境をつくっていくための効率化という観点で、市としては指導を行っていっていただきたいと思います。
委員会の中でも、介護の質を落とさないことが大前提という趣旨の答弁が何度もありました。ケアマネジャーの武蔵野市の実態調査では、所属事業所以外で実施している研修やセミナーに参加しない、参加できない理由は何ですかという問いに対し、通常業務で忙しいためと回答した方が60%いらっしゃいます。本来ICTツールの導入などでできた時間は、こういったセミナーや研修に参加するなど、スキルアップ、ケアの質の向上のために使っていくべきものであり、それができるような、余裕のある働き方をつくっていくために活用していただきたいと思います。
ICT化、デジタル化、DXという名の下に、ただでさえ負担の大きい介護事業の従事者たちにさらなる負担を強いることになれば、働き方は悪化し、より深刻な人手不足も招きかねないと考えます。介護事業の従事者が働きがいを感じながら、大きな負担を負うことなく働き続けることのできる環境の整備に努めること、介護の質、ケアの質の維持向上に、市としても引き続き注視をいただき、現場の声に耳を傾けていただくことを求め、以上、賛成の討論といたします。