13254◯21番(本間まさよ君) では一般質問を行います。今回の質問は、公契約条例の制定を求めること、会計年度任用職員の待遇改善について、ケアマネジャーへの支援についての3点についてです。いずれも、普通に働けば普通に生活できる賃金の保障や雇用の安定を求める質問です。
最初の質問は、公契約条例制定を求めることについてです。
公契約条例とは、地方公共団体が契約を結ぶ際、入札基準や落札者決定で、契約先における労働者の賃金や雇用の安定、男女共同参画、障害者雇用、環境、地域貢献など、一定のルールを定めるものです。同条例制定により、契約先、委託先の働く人の人件費の最低ラインを、行政が条例によって定めることが可能になります。公契約条例は2009年に千葉県野田市で制定され、現在23区で13区、多摩地域では日野市、国分寺市、多摩市の3市、全体では88の自治体が同条例を制定しています。
日本で最初に最低賃金を盛り込んだ公契約条例を制定した野田市では、最低賃金ぎりぎりだった業務委託の賃金が、時給で100円程度アップしました。川崎市でも、事務の臨時職員の賃金が引き上げられました。杉並区では、岸本区長になり、公契約条例による報酬限度額を1,138円から1,231円に引き上げ、8.17%の引上げが行われました。このように、公契約条例による賃金等の労働条件改善の効果が確認されています。
全会派の賛成で2015年4月から施行された世田谷区の公契約条例の最大の特徴は、ダンピングの横行による事業者の置かれた厳しい実態、不安定雇用による低賃金労働者の出現を指摘した上で、事業者の経営環境の改善と労働者の労働条件の改善で公共事業の品質を確保し、区民の福祉を向上させるという目的にあります。そして出発点は官製ワーキングプアをなくすことで、そのことは条例に強く反映をしています。
公契約条例施行規則第5条の公契約の範囲等では、工事の請負に係る契約は3,000万円以上、委託等それ以外に係る契約は2,000万円以上、6条では、賃金、労働時間、社会保障の加入の有無、その他の労働条件が適正であることを確認するために、指標である労働条件確認帳票の提出を求める契約は50万円以上、指定管理者の業務に係る規定に当たってはゼロ円とし、適用範囲を広く、対象も建設のみならず、委託や指定管理者等幅広く設定をしています。
世田谷区の労働報酬下限額は、2024年度、工事請負契約の熟練労働者は公共工事設計労務単価の85%、見習い・手元等の未熟練労働者、年金等受給による賃金調整労働者は公共工事設計労務単価の軽作業員比70%とし、その他の時給は1,330円に引き上げられました。また、臨時職員の日額は50円から750円、学童クラブの総合事業の指導員が日額2,700円から5,000円、保育業務、調理が1,700円から2,200円、それぞれ引き上げられました。
物価高騰が続く今こそ、委託先が下請で働く市民の所得をしっかりと底上げし、営業と暮らしを守っていく必要があると考えます。そこで質問をいたします。
1、武蔵野市が発注する公共事業や業務委託、指定管理の下で働く労働者について、賃金などの実態把握は行われているのか、お伺いをいたします。また、適正な賃金が確保されるためにどのような施策を講じているのか、お伺いをいたします。
2点目に、武蔵野市が発注する公共に関わる仕事をしている中で、官製ワーキングプアがあってはならないと考えますが、市長の見解を求めます。
3点目に、この間、公契約条例の制定を求める質問に対し、他の自治体の状況等も参考にしながら、条例の制定の効果や研究をするという趣旨の答弁がありましたが、その後の動きについてお伺いをいたします。
4点目に、公契約条例に対する小美濃市長の見解を求めます。
5点目に、適正な労働環境と賃金、労働条件が確保できるよう、公契約条例の制定を求めます。答弁を求めます。
大きな2点目に、会計年度任用職員の待遇改善を求めることについてです。
会計年度任用職員制度は、非正規職員の法的地位を明確にし、待遇を改善するという趣旨で、2020年に創設されましたが、その趣旨は生かされているのでしょうか。そもそも新自由主義台頭の下で、公共の役割と責任が縮小され、業務の民間委託と公務員の大幅削減が進められてきました。しかし行政のニーズが減少したわけではなく、正規公務員削減の代わりに非正規公務員の増員が行われました。その結果、現在公務員全体の約4割が非正規です。多くの仕事が会計年度任用職員によって支えられているということです。
日本共産党は2023年10月、明日に希望が持てる、人間らしい労働条件とジェンダー平等の働き方の実現へと題する、非正規ワーカー待遇改善法を提案いたしました。これがその提案の中身が記されているものです。
最初に、先進国の中で劣悪な日本の非正規雇用の実態をここで紹介しております。そして非正規ワーカーの待遇改善法では、ここを変えますと4つの柱を示しており、1つ目は、不当な雇い止め、解雇をなくし、非正規ワーカーの雇用の安定を図ることを目的としています。2つ目は、非正規ワーカーへの差別・格差をなくします。3つ目は、非正規雇用の待遇改善でジェンダー平等を進めるということです。そして4つ目は、国、自治体が率先して非正規雇用の待遇改善を進めることを提案しています。
国、自治体の提案の中を一部紹介させていただきますと、医療、保健、福祉・介護、保育などのエッセンシャルワーク、ケアワークに携わる公務員や、災害対策、公共交通に従事する公務員を増やす必要があること。教員も臨時教員、非正規講師など非正規を拡大するのではなく、正規教員を増やすことが必要であることも訴えています。
民間の男女間の賃金格差は、正規雇用の男性を100とすると非正規の女性は56ですが、公務員は、非正規の男性を100とすると非正規の女性は43と大きな格差があります。ジェンダー平等を実現するためにも、正規と非正規、男性と女性との格差を是正する必要があります。
会計年度任用職員は、フルタイム、パートタイムなどを合わせると全体で約90万人、うち女性は約8割の70万人を超えています。保育士、看護師、介護士、消費生活相談員、図書司書、婦人相談員、調理師、栄養士など、女性が多く占める専門的な資格職ほど非正規化が進み、会計年度任用職員となっています。しかし年収200万円未満の人が6割も存在し、しかも職員の4分の1は家計の主たる担い手であり、そのほとんどが女性であることも指摘をしています。早急な待遇改善を図る必要があると考えます。
では武蔵野の実態はどうなっているのか、お伺いをいたします。過去5年間の正規、非正規、会計年度任用職員の人数、今年度の職種別、保育、福祉、教育、図書館司書など、正規と非正規の人数、また非正規の男女別人数をお伺いいたします。
次に、会計年度任用職員の待遇改善を求めることについて、具体的にお伺いをいたします。本日の議会でも複数の議員より、総務省が正規職員と同じ月数で支給するよう自治体に通知したにもかかわらず、非正規職員のボーナスの支給月数が正規職員より少ない自治体の一つに武蔵野市があったことが分かりました。この点についてお伺いをしたいと思います。他自治体と比較し、武蔵野市のボーナスが正規と非正規で格差が生じていることが指摘されましたが、見解を伺うとともに、改善を求めます。
次に、ボーナスの支給月数だけではなく、給与・報酬、退職手当、休暇などの待遇について調査をした都議会議員の調査結果や、現に働いていらっしゃいます会計年度任用職員の方たちのお話を伺いますと、自治体により大きな差があることが分かります。26市で見ますと、会計年度任用職員の退職手当があるのは、フルタイムで八王子市、昭島市、日野市で、パートタイムで退職手当があるのは東村山市1市です。休暇や忌引などにも大きな違いがあることが分かります。
勤務時間や職種などによって違いはありますが、図書館に勤務する職員の時間換算で比較をしてみますと、武蔵野市が約1,840円、立川市が約2,202円、東村山市約1,987円、多摩市約2,288円となります。多摩市と比較しますと、武蔵野市と年収で100万円もの差があるということが分かります。また、時給制の会計年度任用職員については、東京都の最低賃金の引上げに伴い改定をしていますが、パートナー職員は制度導入以来据置きとなったままです。会計年度任用職員の基本給が据え置かれたままになっていること、他の自治体と比較して武蔵野市は、決して先ほどの答弁のように高いとは言えないと思います。この認識についてもお伺いするとともに、低いところは引き上げていく、このことについて求めますが、御答弁を伺います。
杉並区では、岸本区政になり、会計年度任用職員のうち、43%に当たる職種の報酬額が引き上がりました。有給で生理休暇などの取得もできる待遇なども改善をしています。武蔵野市も他市と比べ、様々な改正、改善、これを求めたいと思います。
3つ目に、非正規のボーナスの支給月数が少ないことについて、再任用職員に月数を合わせていると市の担当者の説明がありましたが、府中市では再任用職員への支給率も引き上げられました。武蔵野市でも検討すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
最後の質問はケアマネジャーへの支援についてです。
保育や介護職の処遇改善については議会で何度も取り上げてきましたが、今回はこの間、市民の方から施設入所などの相談を受けた関連で、ケアマネジャーの支援について質問をいたします。ケアマネジャーはかつて、介護職からケアマネジャーになるのがキャリアアップとされてきましたが、際限のない業務以外の仕事なども多く、キャリアダウンと思えるような報酬の低さなどで、ケアマネジャーの不足が今課題となっています。
利用者のおうちに月1回以上の訪問が義務づけられ、現在受けているサービスが実態に合っているのか、修正の必要性やチェックも行われます。利用者だけでなく家族とも、困っている課題などについて対応も求められます。在宅での生活が困難になった場合の施設入所の相談にも対応します。しかし、今、介護保険制度でも極めて重要な役割を担っているケアマネジャーの高齢化、仕事量の多さなどもあり、ケアマネジャーの確保が課題となっています。これは介護サービスを受ける側にとっても大きな問題となり、ケアマネジャーへの援助、研修などが重要だと考えます。市の認識を伺います。
また、支援についてもお伺いをいたします。ケアマネジャーが不足するとケアプランが作成できません。介護サービスが必要な方にサービスそのものが提供できなくなります。ヤングケアラーや介護離職も増加する可能性もあります。また利用者や家族との関係でも、一度契約したケアマネジャーを変更することは可能ですが、次に替わるケアマネジャーがいなければ、変更するということはできません。家族の方から、あまりにもケアマネが忙しくて、施設入所などの相談ができにくいというお話も伺っています。市としてさらなるケアマネジャーへの支援を求め、壇上からの質問を終わります。よろしくお願いいたします。