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小林まさよし
映像ID: 2681
12450◯9 番(小林まさよし君) 陳受6第2号 子どもを性犯罪、性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないために市内教育機関において「生命の安全教育」及び発達の段階や子どもの実態に応じた包括的性教育を充実させることに関する陳情について、自由民主・市民クラブを代表して、委員長報告に反対、陳情に反対の討論をいたします。
今回の件につきましては、保護者の方を中心に、直接的に関与する方、間接的に関与する方が存在します。そして陳情の賛否に対しても、強い思いを持つ方もいれば、騒ぎ立てないことを望む方もいらっしゃいます。様々な御意見がある中で、今回の陳情において非常に難しい対応が求められました。今回の陳情に関連した御意見を伺いたいと、100名を超える方にお声がけをし、様々御意見がある中、包括的性教育の実施について、とても重要である、保護者の方々の理解を得ることは難しいということが確認されました。
なお、今回の件においては、非行行為をした子どもたち以外に、自主的に止めようとした子どもたち、そして先生に相談した子どもたちがいたということが確認されています。その事実について認識されていない方もまだいるようですが、私たちはその非行行為を止めるために行動した子どもたちの勇気と、彼らの道徳感、倫理感を評価しなければならないと考えます。また子どもたちのこの行為は、これまでの家庭、地域、学校教育において積み重ねてきた人権教育などの成果であるということも、きちんと評価、認識しなければならないと私は考えます。
それでは、反対する3つの理由をお知らせしたいと思います。
1つ目です。まず、教育委員会は生命の安全教育を実施してきましたが、問題としては、どの子にもその教育内容を習得できるほど徹底できていなかったということを問題点として挙げていました。しかし先ほど申し上げたとおり、これまでの教育の成果として、非行行為を止めようとした子どもたちがいたという評価すべき事実を、一方でしっかり認識しなければならないとも思います。
文部科学省は、子どもたちを性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないための生命の安全教育の教材及び指導の手引きを作成し、全国の学校での取組を推進しています。反対の理由の1つは、子どもたちが性に関して正しく理解し、適切な行動が取れるためには、学習指導要領に基づき着実な指導に努めるとともに、生命の安全教育の推進などに徹底して取り組んでいくことが、教育委員会の対応として重要だと考えるためです。
2つ目です。包括的性教育の実施について、保護者から賛成と反対の意見がそれぞれあったようですが、私が保護者などの関係者から確認いたしました、5つの意見を御紹介したいと思います。
1つは、今回の件はタブレット使用のルールの問題であり、性教育とは関係ない。2つ目は、市は生命の安全教育の取組や性教育を実践してきており、その検証がまずは必要である。3つ目、公教育で、ユネスコの国際セクシュアリティ教育ガイダンスに基づく包括的性教育を自治体が推進するのはどうなのか。4つ目が、道徳的教育が必要であり、家庭と学校が密接に関わるべきである。家庭で善悪や道徳を教える必要がある。5つ目は、道徳的教育を充実させるべきという保護者の方の御意見ですが、今回の件を性教育の問題として騒ぎ立てるのはどうか、被害者と保護者をないがしろにするものにならないか、今よりも心に傷を負うことにならないのか。
私が確認したこれらの意見は反対の意見が多かったわけですが、今回の件を受けて、およそ50件の問合せが市にあったということです。そのうち市への包括的性教育についての問合せは1件、性教育が1件であったことも、答弁で確認されています。児童の権利に関する条約第18条、家庭教育について定めた教育基本法第10条では、父母や保護者が児童の養育等について第一義的責任を有するという趣旨の内容を定めています。
反対の理由の2つ目は、第一義的に責任を有する保護者を中心に、包括的性教育を実施することについて理解を得なければならないと考えますが、賛否については様々御意見があるものの、実際に保護者の理解を得ることは難しい状況にあると考えたためです。騒ぎ立てないでほしいと考える方々の気持ちも尊重しなければならないと思います。
3つ目です。国によって価値観や文化は大きく異なります。私は学生時代に英語圏とスペイン語圏、半年ずつ、計1年間滞在した経験があります。多様性を経験することもできました。その中でもスペイン語圏では、親しい知人、友人には、挨拶で頬にキスしたりハグするのが慣習となっています。しかしながら日本に帰って、私は挨拶で頬にキスしたことは一度もありません。性に関する指導に対しても、その価値観は国によって異なると考えます。キスやハグを日常において行う国々においては、国際セクシュアリティ教育ガイダンスがベースとなる包括的性教育を実施することも妥当だと判断されるかもしれませんが、現在の日本においては、中央教育審議会の議論を経て策定された学習指導要領に基づき、児童生徒の発達段階に応じて必要な教育を行っていくことが望ましいと考えられます。
反対の理由の3つ目は、包括的性教育を実施する国々と大きく価値観や文化が異なる日本においては、国際セクシュアリティ教育ガイダンスをベースにする包括的性教育を実施するのではなく、学習指導要領に従った教育が望ましいと考えるためです。
以上から、陳情の記書きの2にある、発達の段階や子どもの実態に応じた性と人権に関する指導(包括的性教育)を一層充実させるということについて、メリット、デメリットはそれぞれあると考えられますが、現時点においては最終的に子どもの最善の利益につながらないと考えるため、反対いたします。
なお、教育基本法第13条では、「学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする」とあります。教育委員会にはこのような非行行為が二度と発生することがないように、1、特に家庭との連携を強化すること、2、子どもたちには、自他の尊重という思いやる気持ちや自己指導能力を育むことができるよう、人権教育、道徳教育、情報モラル教育、生命の安全教育を徹底することを強く要望いたします。また、日本の未来を担う子どもたちが、その未来に希望を持てるための生きる力を育むことを最優先課題の一つとして教育環境を整備していただくことも、強く要望したいと思います。
以上をもって反対の討論とさせていただきます。