令和5年第1回定例会

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4958◯4 番(桜井夏来君)  おはようございます。4番、小さな声を活かす会の桜井夏来です。事前の通告に基づきまして、大きく3つのテーマで質問をさせていただきます。今回の3つの質問の根底にあるのは、社会の持続可能性、まちの持続可能性という観点です。3年に及ぶ新型コロナウイルス感染症の世界的流行と、ロシア軍のウクライナ侵攻による国際情勢の不安定化、それに伴うエネルギー価格の上昇と物価高騰という流れの中で、私たちの社会を取り巻く環境は急速に変化をしています。先日の松下市長の施政方針演説の中では、失った30年に対する言及がありました。これは、日本社会が直面する課題に対して有効な手だてを打てなかった結果、停滞、あるいは緩やかな衰退を招いてしまった、この30年間を表す言葉です。
 しかしここに来て、緩やかに下降しながらもソフトランディングを模索していた状況から、急速な状況の悪化によるハードランディングが危ぶまれる事態に移りつつあるのではないか、すなわち、私たちの社会は、このまま行けば持続可能性を失う事態に直面するのではないかという危機感を覚えています。こうした状況にどう向き合っていくのかということは、武蔵野のみならず、日本社会全体にとっての喫緊の課題であり、来る統一地方選挙においても大きな論点となるのではないかと考えています。
 そうした中、ここ武蔵野市においては、新年度の予算を、「誰もが安心して暮らし続けられるまちへ 平和が続く未来をつくる予算」と位置づけることが報告されました。これはまさに、不安定化する社会の状況に対して、基礎自治体として市民の暮らしにしっかりと寄り添い、まちの持続可能性を守るために取り組んでいく、そういう決意を込めたものと受け止めております。この予算案については、来る予算委員会の中で具体的な議論を行わせていただくことになりますが、本質問ではそれに先立ちまして、このまちの持続可能性ということについて、市のお考えを再確認させていただきたいというふうに思っております。
 では、具体的な質問に入っていきたいと思います。
 まず、大きな質問の1点目、武蔵野市における産業振興・事業者支援の取組についてです。物価の上昇、エネルギー価格の高騰は、個人の生活にはもちろん、事業者にとっても大きな負担となり、まちの経済を冷え込ませる要因となっています。そうした中で武蔵野市としては、今後どのように産業振興、商業支援の取組を進めていくのか、すなわち、武蔵野市における産業分野の持続可能性をどう守っていくのかという観点から質問をさせていただきます。
 質問の(1)市内における倒産や休廃業の件数については、これまでも予算や決算の資料の中で逐一御報告をいただいておりますけれども、直近の状況についてもデータをお示しいただければというふうに思います。
 また倒産の要因として、これまではコロナ禍の影響が大きな割合を占めていたのではないかと思われますが、ここに来て、物価高騰の影響も出始めているものと推察をいたします。市として把握している状況や分析している点があれば、お聞かせいただければと思います。
 (2)武蔵野市における産業振興の指針である第二期武蔵野市産業振興計画が、2023年度をもって最終年を迎えることとなります。今後、次期計画、第三期の計画の策定に向け、改定作業が行われるものと承知をしておりますけれども、今現在のコロナ禍や物価高騰の状況を一時的な現象と捉えるのか、あるいはこの先も長く続いていく、そういうものと捉えるかによって、第三期の計画の方向性には大きな違いが出てくるのではないかと考えます。この点について、なかなか予測は難しいこととは思いますけれども、市としてはどのように議論を進めていくお考えなのか、御見解を伺わせていただければと思います。
 (3)武蔵野市では2014年に商工会議所や地域の信用金庫などと連携して、むさしの創業サポートネットを立ち上げました。その後、2021年にはむさしの創業・事業承継サポートネットへと名称を新たにし、新規の出店の相談や、あるいは資金調達などに関して相談に対応しているという状況だと認識をしております。この間、さきに述べたようなコロナ、あるいは物価高等の社会経済状況の急激な変化により、その業務の内容にも大きな影響が及んでいるのではないかと考えますが、この創業・事業承継サポートネットの近年の取組、実績と、現在の社会状況下における課題の認識について、お伺いさせていただければと思います。
 (4)武蔵野市では2月1日より、くらし地域応援券の第3弾を実施し、家計支援と地域経済活性化に取り組んでいます。このくらし地域応援券については、私も参加しました今年の地元の商店会の新年会におきまして、商工会議所の高橋会頭が御挨拶の中で、地域経済浮揚策の切り札であるとして非常に高く評価している旨の御発言がありました。私も非常にその御発言が印象に残りました。
 武蔵野市の産業構造を見ますと、事業所数並びに従業者数ともに、小売業やサービス業が非常に大きな割合を占めています。そうした小売業、サービス業の消費喚起に直接つながる本くらし地域応援券事業は、非常に有効な政策であると私も考えておりますけれども、しかしその一方、個人の顧客を対象としない業種には恩恵が及ばないという側面があるのも事実です。このくらし地域応援券事業に関しては既に第3弾を数えておりますが、その一方で、今後こうした、この事業によって恩恵を受けられない、抜け落ちてしまう業種へのフォローということも考えていかなければならないのではないかと思いますが、市として具体的に考えている取組等があれば、お聞かせいただきたいと思います。
 (5)武蔵野市の産業構造を見ると、売上高において飲食業に次ぐ2番目の位置にあるのが、不動産業となっております。武蔵野市は居住地として人気が高いことから、これまで周辺地域に比べて比較的高めに家賃相場が維持されてきました。しかし物価高騰の影響もあり、市内の不動産事業者や個人の賃貸物件経営者からは、借手が見つかりにくくなった、物件が埋まらなくなったという声も聞きます。市としてはこのような状況をどのように把握しているのか、またこうした状況に対する何らかの対策を考えているのか、お伺いしたいと思います。
 次に、大きな質問の2点目、武蔵野市における福祉・介護分野の取組についてです。昨年12月20日、厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会介護保険部会から、介護保険制度の見直しに関する意見が公表されました。その中では、85歳以上人口の割合が上昇し、サービス需要や給付費が増大していく反面、生産年齢人口は減少する状況が強調されまして、サービスの抑制と自己負担の増加へとかじを切っていく方向性が示されたものになったと感じています。一方、介護事業者や介護従事者が置かれている環境も、物価の高騰等によって急速に悪化が進んでいます。2022年の介護事業者の倒産件数は前年比の1.7倍となるなど、サービスの持続可能性が脅かされる事態にまで至っています。
 こうした状況の中、武蔵野市では、福祉・介護水準の上昇を図るために、人材育成や福祉総合相談窓口の開設、支え合い事業など、独自の取組が行われてきました。これらは市民の福祉向上に資する取組として前向きに評価すべきものと受け止めておりますが、しかし全体としての状況が悪化している中、これらの取組が十分に的を射たものとなっているのか、改めて検証する必要はあるのではないかと考えています。武蔵野市における福祉・介護分野の持続可能性を維持するという観点から、以下の質問をさせていただきます。
 (1)武蔵野市では平成30年に武蔵野市地域包括ケア人材育成センターを立ち上げ、介護人材の育成や就業相談等に取り組んでいます。この間、具体的にどの程度の人数が初任者研修や、あるいは認定ヘルパー養成研修を修了し、市内で介護の業務に従事しているのかをお伺いします。
 また、同センターでは介護従事者の悩み相談の窓口も設けていらっしゃいますが、具体的にどのような相談がどれぐらいの件数寄せられているのか、またどのような解決が図られたのか、この点についてもお答えをいただければと思います。
 (2)介護保険法の一部改正により、2015年から介護予防・日常生活支援総合事業が始まりました。これは、支援の必要性が比較的軽いと認定された要支援1・2の人を介護保険の給付対象から外して、代わりに区市町村の独自事業によるサービスへと移行を図っていくという趣旨のものです。全国一律のルールに縛られず、地域の実情に応じてサービスの内容や報酬を定められるメリットがあるとされてきました。武蔵野市でも独自の総合事業として認定ヘルパー制度を設け、いきいき支え合い事業を実施しています。
 しかし実際には通常の介護保険事業との報酬単価の差もあって、サービスの担い手が確保しづらい状況があるというふうに聞いております。このいきいき支え合い事業の実施状況と、これを事業として引き受けている事業者の数をお伺いしたいと思います。
 次に、(3)武蔵野市では介護従事者のモチベーションの向上を意図し、平成27年以来、ケアリンピックを開催しています。先進的な介護事例の発表や、長年介護に携わってこられた方への表彰を通じて、介護職が専門性を持ったプロフェッショナルな仕事であるということを世間にアピールする、そういう効果は確かにあるというふうに思っておりますけれども、しかしその一方で、介護の現場からは、このケアリンピック事業に参加することに伴う負担感や、あるいは介護の現場で抱えている現実的な問題の解決になかなかつながっていかないというような不満の声が聞こえてきているのも事実です。
 私は、介護の現場を本当の意味でエンパワーメントするためには、こうした声に真摯に耳を傾けて、事業の在り方をいま一度見直していく必要があるのではないかと考えておりますが、市としての御見解をお伺いしたいと思います。
 次に、(4)福祉・介護分野をめぐる状況で、私が最も強く懸念しているのは、この分野に携わってこられたNPOの疲弊が著しく進んでいると感じられる点です。介護保険法の成立は1997年、NPO法の成立は翌1998年ですが、両者はそのスタートの時点から密接な関係にありました。営利だけでは成り立たない介護制度を支える上で、NPOの果たした役割は非常に大きかったというふうに思います。
 しかし今、国は介護保険制度の見直しを進め、介護事業を大きく2つの極に分けようとしています。このうち介護保険本体のほうでは、介護現場の生産性向上、あるいは経営の大規模化、共同化といった方向が打ち出されています。具体的には、介護ロボットの導入やデジタルトランスフォーメーションによる経営の効率化といったことが課題として挙げられていますけれども、これは小規模な地域のNPOにとっては対応することが難しく、結果的には、大規模な営利事業者に集約されていく結果になるのではないかというふうに感じています。
 一方、もう一つの極である総合事業においては、高度な専門性を求めない代わりに、サービス報酬を抑えるという方向が打ち出されており、NPOにとっては、必要最小限の採算性を確保するのも難しい状況になりつつあると感じています。こうした状況の下、本来であれば、介護の社会化とまちぐるみの支え合いの根幹を担うことが期待されていたNPOの中から、事業の継続を断念する動きが出始めており、早急に支援が必要な状況であると考えます。具体的に言えば、例えば事務所の確保、あるいは事務作業の負担軽減、事務作業を担う人材の育成といった部分で支援の余地があるのではないかと考えますが、市としてのお考えをお聞かせください。
 (5)介護を取り巻く様々な問題の根本には、介護従事者の給与が低い状況が改善されないということがあると思います。幾ら新たな介護人材を育てても、介護職から離職する人が止まらない状況では、なかなか人材が増えていかない。あるいは、例えばケアリンピックによってモチベーションの向上を図っても、一番大切なところである介護収入、報酬が上がらない状況では、それも限界がある。こうしたことを感じておりますけれども、厚生労働省の令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、介護職の平均月収は31.7万円、年収にして430万円前後という数字が示されています。これは全産業の平均値から見ると依然として低い数値であるものの、かつてに比べれば大分差が縮まってきた、そういう見方をすることもできます。
 しかし、ここに来て急激な物価高騰に直面し、他の業種ではそれに対する賃上げの動きも進む中、介護分野では介護報酬が法律によって定められている関係で、なかなか簡単に賃金が上がらないという状況がある。こうした状況の中で、ますます介護分野の職種の賃金が取り残されていく、相対的な差が開いていくという状況も懸念されると考えています。
 こうした状況は、当然国のほうでも対応が必要であるという議論がなされていまして、例えば介護職員処遇改善支援補助金等の交付の取組なども行われていますけれども、こうした取組をさらにしっかりと後押ししていくために、例えばこの介護職員処遇改善支援補助金の交付に、さらに市独自で上乗せするようなことを検討していただくことができないかということを質問させていただきたいと思います。
 最後、大きな質問の3番目としまして、武蔵野市における空き家対策の取組についてもお伺いいたします。政府は増え続ける空き家への対策強化のために、今国会に空家等対策特別措置法改正案を提出する予定であると報道されています。情報によれば、具体的な改正内容としては、管理不全空き家という区分を新たに設けて、管理が不十分な物件を指定して、固定資産税の軽減特例解除等の措置を講ずるということが議論されていると報道されております。
 一方武蔵野市では、昨日の道場議員の質問の中でも御答弁がありましたけれども、市内における空き家の状況を正確に把握するためにということで、平成29年度に、水道の使用状況等も参考にした全数の実態調査を行ったと承知しております。しかしその後、コロナ感染症の拡大等の影響もあって、今日状況はさらに悪化しているのではないかという実感を持っております。こうした状況も踏まえ、本市の空き家対策の取組、言わば、まちの持続可能性をどう守っていくかという取組について質問をさせていただきたいと思います。
 (1)平成29年に市が行った空き家調査から5年が経過しようとしています。この間には新型コロナ感染症の拡大など、大きく社会の状況に変化をもたらす出来事もありました。改めて現在の市内における空き家状況を調査する必要があるのではないかと考えますが、その御予定があるかを伺います。
 (2)昨日の御答弁にもあったとおり、平成29年度の調査では、特定空き家は確認されなかったという結果が示されています。しかしその一方で、管理上不適切な状態にある物件が31戸あったという報告がなされています。この31戸について、調査報告書の中では管理不全空き家という名称が使われておりますけれども、これらの物件に対して何らかの指導や働きかけを行ったのか、またその後状況が改善されたのかどうか、追跡調査を行われているかどうかをお伺いしたいと思います。
 (3)今、国会で審議されています空家等対策特別措置法の改正に当たっては、新たに管理不全空き家という区分を設け、放置すれば特定空き家になってしまうおそれのある物件を指定して、指導、改善を促すという方針が示されています。この管理不全空き家という言葉が、平成29年度の市の調査報告で使われた言葉と同じであるがために、非常に分かりにくい状況になっておりますけれども、この両者は基本的に同じ基準で判断されていると考えていいのか、あるいは両者は別物であると理解したほうがいいのか、この点についてお答えください。
 (4)空き家の建て替えが進まない原因の一つに、家屋を取り壊して更地にすると固定資産税が6倍に跳ね上がってしまうという、税制上の仕組みがあることが指摘されています。埼玉県の久喜市などでは、建て替えを後押しするために、空き家を撤去すれば一定期間固定資産税を減額する取組が行われていますけれども、武蔵野市において同じような施策を検討する考えがあるかどうか、この点についてお伺いさせていただきます。
 (5)空き家の問題というのは、空き家があることで、例えば防犯上、あるいは防災上、まちによくない影響があるという点もありますけれども、それだけではなくて、本来であればそこに人が住むことができる物件が空き家としてそのまま置かれていることで、住む機会の損失につながる側面もあるというふうに思っています。武蔵野市は、限られた面積の中に割とぎっちり家が建っている状況ですので、人が住んでいない物件があるということは、それ自体が非常にもったいない状態だなというふうに思うわけですけれども、こうした状況の解決という意味で、武蔵野市では、空き家住宅のストック活用、そして住宅確保要配慮者に対する居住支援、その両方に取り組む組織として、昨年12月にあんしん住まい推進協議会を設立されたと認識しています。
 この空き家住宅の活用ということと、それから住宅確保要配慮者、なかなか御自分で住む場所を見つけることが難しい、福祉的な観点からの支援が必要な方に対する支援という、この2つのアイデアを一挙両得で実現するための組織のように見えますけれども、しかし実際には両方の機能ともに、専門性が必要な分野ではないかというふうに考えています。両機能の専門性が十分に担保されるのかという点に関して、市としてはどのように運用を考えていらっしゃるのか、この点についてお聞きしたいと思います。
 以上、大きく3つのテーマに関しまして、壇上からの質問とさせていただきます。御答弁のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

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