4959◯市 長(松下玲子君) 桜井夏来議員の一般質問に順にお答えをしてまいります。
まず1点目の質問、(1)についてです。昨年9月にお示しした令和2年1月から令和3年12月までの件数以降では、令和4年1月から8月までの件数を把握しており、それぞれ令和4年2月、3月、6月、7月に、各1件ずつのコロナ関連倒産が確認されています。また、現時点において物価高騰を理由とした倒産は把握しておりません。
帝国データバンクによりますと、インフレの悪影響、特に燃料や電気などエネルギー関連費用の高騰が企業経営に打撃を与えるケースが目立つようになっており、多くの業種に影響を与えることから、倒産の増加傾向がはっきりしていく可能性は否定できないとの見通しが示されております。なお、武蔵野商工会議所や武蔵野市商店会連合会等を通じて、電気代の高騰による影響や飲食店での21時以降の客足が回復しないなどの御意見も伺っております。
(2)についてです。御指摘いただいたように、第二期産業振興計画の計画期間が令和5年度までとなっていることを踏まえ、既に令和4年度より第三期産業振興計画の策定に着手をしております。第三期産業振興計画の策定に当たっては、従前は1年間であった策定期間を2年間とし、審議会と、それにひもづく専門部会による重層的な体制で策定に取り組んでいます。コロナ禍並びにウクライナ侵攻、円安等に伴う物価高の影響については事実として受け止めつつ、国の経済政策、国際情勢等にも注目をしております。一時的なものか、社会構造を大きく変えるものなのかを評価することは大変難しく、現段階で明言することはできず、計画策定の中でもしっかりと検討していく必要があるものと認識をしております。
(3)についてです。むさしの創業・事業承継サポートネットのうち、令和3年度の市における相談受付実績については、相談者数57名で、創業者数19名、事業承継に関する相談者数は3名です。むさしの創業・事業承継サポートネット全体としては、令和3年度は、支援対象者数340名、創業者数114名となっています。現在の社会状況下における課題については、特にコロナ禍や物価高騰等による特別な影響は把握しておりません。コロナ禍以前からの課題といたしましては、市内で創業を希望する場合においては家賃が高額なことや、事業承継では後継者の不在や経営の不振等が挙げられます。
続いて(4)についてです。くらし地域応援券は、直接的な効果としては、市民への生活支援と応援券が使用できる事業者への支援ということになりますが、間接的な効果として、応援券が使用できる事業者に関連した製造業や運送業などの事業者にも消費が拡大し、結果として地域経済全体が活性化することを期待したものであります。また現在、福祉サービス提供事業所や公共交通事業者等、限定的な業種にはなりますが、物価高騰対策として、食材費、光熱費、燃料費等の支援事業を行っております。今後の支援につきましては、景気の動向や国、都の支援策等を注視しながら、その必要性や対象業種、方法について検討してまいります。
(5)についてです。市内の空き店舗、空き事務所の状況につきましては市で把握することが難しく、令和2年度から始まりました商店会活性出店支援金事業の申請状況を見る限りでは、現在においても申請の動きに大きな変化はないと言えます。市内の不動産事業者にヒアリングをした結果でも、空き物件の動きとしては落ち着いてきているのではないかということでありました。
ただしその理由としては、大規模な空き物件が残り続ける一方、小規模な空き物件がほとんどなくなっているということでした。また家賃については、コロナ禍で空き物件の家賃は下がる傾向にありましたが、最近では、さらに入居後一定期間の家賃を無料とする、いわゆるフリーレントが増加傾向にあるということでした。これらの状況を踏まえ、商店会活性出店支援金事業については、令和5年度の当初予算として、今回の予算案に計上しており、4月から継ぎ目なく実施したいと考えていますが、これまでの事業成果を踏まえ、事業の必要性や制度の見直し等も併せて検討していきたいと考えます。
2点目の御質問、(1)についてです。平成30年12月に武蔵野市地域包括ケア人材育成センターを設立して以降、現在までの間に、介護職員初任者研修を修了した方は38人で、そのうち市内で介護業務に従事している方については25人です。認定ヘルパー養成研修について、これまでの累計の研修修了者は215人で、そのうち認定ヘルパーとして事業所に登録している人数は90人です。これまでセンターに寄せられた相談件数については166件で、主な相談内容は、介護職からの就労相談、各種研修の実施内容などについてでございます。
(2)についてです。いきいき支え合いヘルパーは、介護予防・日常生活支援総合事業の市独自基準の訪問型サービスに従事しており、同サービスの利用者は令和4年12月実績で58人です。同サービスを提供する事業者は3事業者です。
(3)についてです。ケアリンピック武蔵野は、介護と看護に従事する方々が誇りとやりがいを持って働き続けられるよう、人材の確保、育成を目的として実施し、今年度で7回目の開催を迎えました。ケアリンピック武蔵野の企画、運営につきましては、介護サービス事業者などの委員で構成する実行委員会形式で実施しており、年度テーマの決定から当日の準備に至るまで、委員の皆様の協力の下、継続できている事業であります。
先進的事例を発表する演題発表については、市内事業者へ共有、横展開が行われることで、現場での課題解決に資するものであると認識をしており、今年度のアンケートを見ましても、「やや満足」を含めて、約90%の方が「満足」との回答結果を得ています。また自由記述では、取組が参考になった、モチベーションの向上につながった、励みになるなど、前向きな意見を頂戴しています。実行委員や発表者から負担に関する御意見は、直接伺ってはおりませんが、関係者の負担感にも配慮しつつ、市としては引き続き事務局として実行委員会を支え、人材確保、育成につなげてまいりたいと考えます。
(4)についてです。本市では介護保険制度開始時より、市町村レベルでは全国初のケアマネジャー研修センターの開設に始まり、各サービス種別に事業者連絡会議を設置して、市がその事務局を担い、情報交換や研修を行うなど、事業者支援に力を入れてまいりました。実務的な面においても、サービス提供の相談や法的解釈、各種加算や新制度の運用などの支援を継続して実施してきており、これらの事業者支援については、地域で福祉サービスを提供する小規模事業者を含む介護保険事業者から評価をいただいているところです。
介護現場の生産性向上に係る取組につきましては、単なる効率性重視の偏重や人員削減を目的とするのではなく、業務の見直しや効率化等により生まれた時間を有効活用して、利用者に向き合う時間を増やすなど、市民に質の高いケアを届けることを目的とした取組となるよう、事業者連絡会議を通じた、きめ細やかな事業者支援を引き続き実施してまいりたいと考えております。
(5)についてです。介護職員の賃金等の処遇改善につきましては、制度設計を行っている国が行うべき課題であると認識をしておりますが、次期介護保険事業計画策定の実態調査等から把握した現場の課題について、必要に応じて国に要望を行っていきたいと考えております。本市独自の取組としては、新たな人材の確保と定着支援策として、市内で新たに就職する方、再就職する方を応援するため、介護職・看護職Reスタート支援金を実施しています。引き続き、本市の高齢者を支える人材の確保と、長く働き続けられるよう、取組を進めてまいりたいと考えます。
3点目の御質問の(1)についてです。本市では、平成29年度に空き家等実態調査を実施し、その後は職員による現地調査や武蔵野大学と連携した調査により、現状把握を行ってまいりました。一定期間が経過し、この間、市民からの通報で新たに発覚した空き家や、建て替え、除却による減少もあり、実態調査からの変化の確認が必要と考えています。そのため水道閉栓情報等を活用した追跡実態調査を行うことを検討しております。
(2)についてです。平成29年度の空き家等実態調査で管理不全空き家31戸を確認し、その後、倒壊等保安上危険となるおそれがあるものについては、所有者に連絡するなど、早急に対応した経緯がございます。建物以外の面で管理が行き届いていないものについても、所有者と連絡を取るなど適正管理を働きかけましたが、全ての所有者が対応できているわけではありませんので、それらは調査、観察等を継続しております。
(3)についてです。国土交通省では、社会資本整備審議会の中の住宅宅地分科会空き家対策小委員会で議論が進められ、空家等対策特別措置法の一部改正の準備を進めていることは認識しております。その中で、特定空き家には至らない管理不全空き家を新たに区分し、状態の悪化を未然に防ぐことで、空き家対策の強化を図っていく考えと聞いております。しかし具体的な判断基準については示されていないため、本市の判断基準と同様なものかは、今後国からの情報を待って、確認でき次第、適切に運用、対応を図っていきたいと考えます。
(4)についてです。住宅用地は本来、固定資産税の課税標準が200平米以下の場合は6分の1、それを超えると3分の1に軽減されます。通常、住宅を除却し更地にすると、住宅用地特例が適用されなくなるため、土地の税額が上がります。
埼玉県久喜市では、老朽化した空き家等の除却後の土地の固定資産税を、一定の条件の下、最大3年間減免しています。しかし老朽化した空き家の除却後には空き地が発生し、ごみの不法投棄など新たな問題が生じるおそれもあり、空き家対策については、地域特性をしっかりと見極めて検討することが重要と考えます。そのため、現在準備を進めています空き家実態調査に合わせ、所有者に支援方策等についてアンケート調査を行うなど、必要性を含め、本市にふさわしい対策を検討していきたいと考えます。
(5)についてです。令和3年3月策定の第四次住宅マスタープランでは、空き住宅等のストック活用と住宅確保要配慮者に対する居住支援への取組を、一体的、総合的に実施していく必要があるとお示しをしています。昨年12月に設立したあんしん住まい推進協議会では、福祉や不動産団体等と連携し、民間賃貸住宅を活用した居住支援の取組を推進していく考えです。特に不動産団体とは連携を密にして、空き住宅等の活用を進めることで、空き家対策の推進にもつながるのではないかと考えております。現段階では居住支援の取組が先行している形ですが、不動産団体とは、空室の提供だけではなく、空き家の福祉的な利活用を含めた検討を進めていきたいと考えています。
以上です。