5297◯12番(内山さとこ君) 会派自治と共生を代表し、2023年度、令和5年度武蔵野市一般会計、3特別会計、水道事業会計、下水道事業会計予算に賛成の討論をいたします。
現在、第六期長期計画・調整計画の策定が進んでいますが、間もなく始まる令和5年度は、その調整計画につながる、長期計画4年目に当たる年度です。しかし、2020年度が初年度の第六期長期計画の始まりは、人類史に残るパンデミックとその対策に翻弄され続けた3年間でありました。そして、昨年2月のロシアによるウクライナ軍事侵攻から1年以上が経過する中、私たちは、当たり前に思えた何げない日々の暮らしがいかにかけがえのないものであるか、心に刻むことになりました。新年度に向けて、この間、本市の直面する課題だと申し上げてきたコロナ禍で衰えた人の心と体、暮らしの回復、それを図る公共のセーフティネットの構築について、そして、今、労務単価や資材が高騰する中で、学校をはじめとする公共施設の着実な更新と改修についてを公共の果たす役割の柱であると考え、予算審査に当たりました。審査の中で明らかになった事実を基に、長期計画の分野に沿って、幾つか意見と要望を申し上げます。
まず、健康・福祉分野では、高齢者のデイサービスや会食を伴う事業の減少が顕著となり、QOLの低下やフレイルが大変心配される状況です。在宅介護・地域包括支援センター、また、民間事業者とも連携、協力して、市民の心と体の回復に全力を注いでいただくようお願いいたします。また、困窮者支援の現場では、令和2年度のピークは過ぎたというものの、今年度の新規相談件数が419件あり、継続して支援が必要な方々と併せて、伴走支援に当たる職員体制の強化が急務です。
子ども・教育分野では、第四期学校教育計画、各学校施設の更新計画の際には、特別な支援を必要とする子どもたちの増加を念頭に置いて、学級編制、教職員体制を検討していただきたいと思います。また、保健センターの増築、複合施設化に当たって、オールステージにわたる子どもの育ちと子育て家庭を支える機能、そして子どもの学びと居場所を充実するよう、さらに検討を進めてください。
次に、平和・文化・市民生活分野です。残念なことに、一部の人々の無理解や恐怖心が増幅されたことによるものか、不寛容な空気が感じられることが多くなりました。互いを理解し合い、認め合う、多様性を尊重する社会の実現に向けて、多文化共生・交流事業と平和事業とを一体的に進めるよう要望します。また、旧赤星邸利活用に象徴されるように、緑・環境分野と横断的に連携し、武蔵野が誇る緑豊かな文化のまちづくりをさらに進めてください。
都市基盤分野では、長期的視野に立って、市民、関係者の参加と協議が求められる、まちの面的整備が展望されています。公が責任を持って解決すべき都市基盤の課題について本腰を入れていただくとともに、将来的なまちの更新に向かって良好な市街地を形成するため、市民の理解を得るよう説明責任が重要です。質疑で明らかになった、東京都と武蔵野市とが協力し検討している駐車場、駐輪場の吉祥寺地域ルールについては、民間建築物の更新を促し、人中心のウォーカブルなまちの魅力を高める方向に向かうことを期待しています。
行財政分野です。住民投票制度確立に向けた論点整理は、自治基本条例第19条に定めた、市民が直接意見を表明できる制度として、どのような在り方が望ましいか、原点に立ち返り、議論する必要があると考えております。様々な角度から論点を整理していただきたいと思います。
最後に、予算特別委員会では触れなかったことですが、新年度から施行される子どもの権利条例に関して、どのように子どもの意見表明、参加を保障していくか、全庁的に各施策にわたって検討を進めていただきたいと思います。子どもは社会の鏡であると言われます。子どもの曇りのない眼に何が映っているか。それを私たち大人が受け止めることは、子どもから学ぶことでもあり、まちの元気を回復させることにもつながると思っています。このことは、我々議会も共に取り組んでいくべき課題と考えています。
結びに、新年度予算の編成、審査に当たった職員をはじめ、市民生活の安心のため、公共の役割に努めてくださった全ての方々に感謝申し上げます。武蔵野の自治の力で、先の見通しが難しい不安な社会状況にあっても、一人一人の人権が尊重され、自分らしく暮らすことができる平和なまちであることを願いまして、賛成の討論といたします。ありがとうございました。
(11番 落合勝利君 登壇)(拍手)