
落合勝利
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5298◯11番(落合勝利君) それでは、市議会公明党を代表しまして、令和5年度一般会計、3特別会計、上下水道会計の予算に賛成の立場から討論いたします。
3年余り続いたコロナ禍も収まりを見せ始め、今月よりマスクの着用も個人の判断に委ねられるようになりました。5月には5類感染症への移行も示される中、感染症防止対策は継続して推奨されるものの、あらゆる場面での人数制限、行動制限が緩和される動きとなっております。そうした状況の中、令和5年度を迎えるわけでありますが、人々の心の中では、ようやく元の生活に戻ることができるという安堵感とともに、本当に大丈夫なのだろうかという不安感が入り交じっているのが実態ではないでしょうか。マスク一つを取っても、理由はともかく、すぐに外すという行動にためらう結果が出ていることも、その表れかと受け止めております。新年度は、アフターコロナ、ウィズコロナを希望を持って暮らしていけるためにスタートする大事な1年であろうかと考えております。
そこで大事なのは、どれだけ不安な要素を解消できるかということであろうと思っております。新たな感染拡大が発生した折に医療体制は大丈夫だろうか、事業は続けられるだろうか、友人との交流はどうか、子育ては大丈夫だろうか等々、コロナで傷んでしまった心は様々な不安感を残していることと思います。そうした不安感こそ払拭していくのが、政治の役割であり、責任であると考えています。そうした思いで私どもも新年度に向かっていきたいと決意をしております。
さて、新年度予算についてでありますが、委員会でも、率直な感想として、物足りなさを感じると申し述べました。新規事業の面においても、拡充事業の面においても、基本的にはこれまで予定されていた事業が予算化されたのであって、どこに重点を置いているのか。特に、コロナ禍から脱却し、生活様式や市民意識、経済活動も大きく変化をしている中、新たに希望を持って進み出そうとしているときに何を柱としていくのかという点が漠然としているように感じられてなりません。委員会では、メッセージ性という表現を使わせていただきました。過去に待機児童問題が大きな社会問題化していた折、本市では、賛否はともかく、保育施設の拡充が柱となり、一定の成果を上げてきたものと受け止めております。強いメッセージ性を持った施策の推進であったと思います。そうした意味から、福祉の分野ではここを手厚くした、市民活動ではこんな取組を考えた、子育て支援ではこんな工夫をした、経済対策ではこんな新規事業を推進したいといった施策がより盛り込まれるべきだったのではなかったかと思っております。金額の多寡ではありません。突拍子もない新規施策を出せというものでもありません。第六期長期計画の理念にもある、誰もが安心して暮らし続けられることにつながる施策の今後の展開を強く念願するものであります。
それでは、各分野について少々申し上げたいと思います。
まず、歳入についてであります。新型コロナ感染症拡大以来、税収への影響も懸念してまいりましたが、比較的安定した推移を見せております。新年度の税収見込みも増加傾向にあり、市民の担税力の強さを改めて感じています。しかしながら、物価高騰の影響も予断を許すことはできません。経済状況の変化や所得の悪化など、懸念されます。また、滞納者の増減も注視すべきと考えます。様々な動向の分析を重ねながら対応していただきたいと思います。特に、滞納者への対応については、これまで同様、丁寧に進めていただきたいと思います。
次に、健康・福祉分野について申し上げます。健康長寿のまち武蔵野推進月間の実施については、期待しております。認知症に対する正しい理解の普及啓発等を引き続き推進するとともに、フレイル予防の普及啓発の推進を強く求めておきます。推進月間の取組とともに、年間を通じての取組として、様々な機会を捉えて推進されることを期待しております。
高齢者の健康寿命延伸を図る取組である、いきいきサロン、シニア支え合いポイント制度の取組については、コロナ禍により外出自粛や活動の制限が続き、健康維持に対する影響が心配されましたが、オンラインを活用した活動なども定着してきたように伺います。今後もこうした活動が進められることと思いますが、感染症対策をした上での対面式の活動がより展開され、安心して外出できる体制の支援を求めたいと思います。
新型コロナ感染症対策については、今後の国の動向に注目しながら、臨機応変の対応が取れるよう体制整備に努めていただきたいと思います。
福祉総合相談窓口については、設置後2年が経過いたします。この間の取組で得た知見を生かし、さらに充実した窓口となるよう推進していただきたいと思います。また、現在の窓口がよく分からないという声も聞かれますが、場所の問題や周知の仕方にも工夫をしていただいて、相談者にとって利便性の高い窓口としていただけるよう期待しております。
福祉施設の再整備についてでありますが、高齢者総合センター改修工事の設計と障害者福祉センターの改築工事の設計が予定されております。利用者をはじめとする関係者の声をしっかり受け止め、着実に進めていただくよう要望いたします。また、両施設の仮設施設が設置される旧中町自転車保管場所での準備工事が実施される予定でありますが、周辺の住民にはまだ周知が行き届いておりません。安全対策や事業の周知徹底をお願いいたします。保健センター整備事業においては、令和4年度予算の付帯決議を踏まえた予算執行を重ねて求めておきます。
次に、子ども・教育分野であります。新年度はこども家庭庁が発足し、国としての子ども施策が新たにスタートいたします。子ども政策が社会の大きな柱となるよう期待しているものでありますが、本市としても、国の動向を注視しつつ、子ども施策の充実を図ることができるよう求めておきます。
第六次子どもプランの策定については、根拠条例となる、子どもの権利条例が成立いたしました。本条例の議論では、特に実効性について様々な意見も交わされました。これらの議論を踏まえ、子どもの権利条例の理念が達成されるよう、しっかりとした実効性を持った策定となるよう要望いたします。
子どもの手当・助成に関する窓口DXの試行として、書かない窓口が行われることは高く評価いたします。IT分野の急速な進歩を受け、行政においてもDXを進めていくことは必要不可欠と考えます。ぜひ、デジタルネーティブである若手職員の意見や利用者である市民の意見を聞き取り、使いやすいDXを進めていただきたいと思います。そして、ソフト面の充実を図るためにはシステム構築が必要となり、委託料が増えていくことが予想されます。これらは未来への投資的な意味合いが強く、従来の物件費の定義である消費的性質の経費とは違ってきているように思います。DXを進めていくことで、今後の財政計画においてはこれらのウエートが多くなっていくことを含めたものにしなくてはならないと考えます。そして、DXによる効率化と同時に、対面サービスの重要性も増しています。何をデジタル化し、どこの対面サービスを充実させていくのか、適切な見極めをお願いいたします。
本市独自の取組である市講師の配置拡充については、評価をしております。これまでの取組において、教育の質向上、教員の働き方改革に一定の成果が上げられているとの報告もありました。引き続き進めていただくことで、子どもたちの教育環境の充実を図っていただきたいと思います。
学校改築事業については、物価高騰の中、大変厳しいかじ取りを強いられることと思いますが、社会情勢、経済動向を注視しつつ、着実に進めていかれるようお願いいたします。
次に、平和・文化・市民生活の分野についてであります。吉祥寺本町1丁目23番街区の利活用に関する検討について、幅広い関係者との意見交換を求めますが、特に適時適切な情報提供をお願いしたい。これは現在の暫定駐輪場をいつまで使うのかといったことなども含まれるものとして、所管課との連携も踏まえ、丁寧に行っていただくよう強く要望しておきます。
耐震化促進事業については、これまでの耐震化促進計画に基づき、地道に推進していただいていることに感謝をいたします。緊急輸送道路沿道の建物における耐震化においては、費用などの面から進捗に課題があることは承知をしておりますが、東京都とも連携を深めながら、早期に改善していけるよう、ぜひお願いをしたいと思います。
武蔵野公会堂改修関連事業でありますが、市民の関心が非常に高い事業と受け止めております。進捗状況を市民に示すとともに、様々な意見を受け止めていただき、事業執行に当たっていただきたいと思います。
コロナ対策の中で緊急経済対策として取り組まれた武蔵野市くらし地域応援券事業は、現在も進められている最中ですが、多くの市民、事業者より評価をいただいております。コロナ禍で疲弊した事業者支援、生活者支援に寄与するものとして、今後の取組の参考になったのではないかと思います。事業の成果を検証していただきながら、現在の物価高騰への対策として活用していくことも検討していただきたいと思っております。
次に、緑・環境分野です。市内の公園等における樹木の管理については、実施が行き届いていないとの市民の声も寄せられています。また、落ち葉の処理についても、時期は限られるものの、困惑している実態があります。高齢者にとっては、落ち葉の掃除も困難な作業で、特に雨どいなどにたまってしまった落ち葉の除去は対処できないという状況が続いております。何らかの方策を模索しながら、緑豊かな環境が継続的に維持できるようお願いしたいと思います。
公園整備については、地域特性を考慮しながら、利用者、近隣住民の声をしっかりと受け止めていただいて、安全に利用していただけるような整備をお願いいたします。
次に、都市基盤の分野です。吉祥寺のまちづくりについては、南口交通体系の検討、パークエリアの将来像策定、武蔵野公会堂の改修と、同時並行で進んでいくことになります。所管も複数にまたがっている一連の事業でありますので、くれぐれも横の連携は密にしていただいて、市民に対して全体像をしっかり理解していただけるよう進めていかれることを強く要望しておきます。
装飾街路灯LED化事業については、評価しています。物価高騰の折でもありますので、着実な推進をお願いいたします。
吉祥寺本町1丁目27番街区自転車駐車場整備については、昨年も申し上げましたが、市民理解がいまだ不十分かと受け止めています。この間、多くの市民との対話の中で指摘されてきたのは、これまでの経過、自転車駐車場の集約化、必要性などの市の方針がよく分からないということでありました。周知の取組もこれまで行ってきたと思いますが、より一層の対応として、利用実態のある比較的広範囲の市民にも整備の概要が伝わるような努力を要望いたします。
水道事業については、年々経営状況が厳しくなっているものと受け止めております。特に、最近では、燃料費の高騰による電気料金の高騰が経営に大きな影響を与えているものと理解しています。安定した水道供給を維持していくのは困難な側面が多々あることと思いますが、できる限りの経営改善に努めていただきながら取り組んでいただくようお願いいたします。
最後に、行財政分野であります。住民投票制度確立に向けた論点整理についてですが、まず、一昨年のような事態を繰り返すことは何としても避けたい。そのためにも、いまだ市民理解が進んでいるとは言い難い状況を払拭していく取組を求めたいと思っております。その上で、賛否はともかく、市民理解を前提とした論点整理を進めていただくことを強く要望いたします。
次期指定管理者の選定準備については、現在の指定管理者となっている財政援助出資団体の今後の事業展開や、これまで言われておりました団体の自立という側面も考慮していただきながら取組を進めていただきたいと思います。一般公募を予定している施設は限られたものではありますが、今後の施設管理の在り方も含め、検討を進めていただくことも併せてお願い申し上げます。
以上、様々述べてまいりましたが、新年度予算は第六期長期計画に基づく堅実な予算編成がなされたものと受け止め、了とするとともに、今後の社会変化に即応する臨機応変の対応を重ねて求めておきます。
最後に、予算編成に当たられた職員の皆様の御尽力に深く感謝をいたします。また、この3月で退職なされる職員の皆様の長年にわたる御尽力に深く感謝をするとともに、今後の御活躍を祈念し、討論といたします。ありがとうございました。
(20番 橋本しげき君 登壇)(拍手)