
橋本しげき
映像ID: 2447
5299◯20番(橋本しげき君) 私は、日本共産党武蔵野市議団を代表して、2023年度の一般会計予算、3特別会計予算、水道事業会計予算、下水道事業会計予算に賛成の立場で討論いたします。
今回の予算案は、「誰もが安心して暮らし続けられるまちへ 平和が続く未来をつくる予算」と題して編成をされました。
賃金が上がらず、長期低迷が続く日本経済に、41年ぶりの物価高騰が襲いかかるという危機に直面しています。ところが、岸田政権は、物価高騰の根っこにあるアベノミクスを改めることなく、国民の苦しみに対しては無策な状況です。この危機を打開するためには、政治の責任で抜本賃上げを実現し、消費税を5%に減税するなど、暮らしと営業を守る緊急対策を行い、新自由主義経済という日本経済のゆがみを根本から改めることが必要です。
武蔵野市の来年度予算案においては、電気料が4億3,700万円余りの増、ガス料が6,300万円余りの増が見込まれ、電気、ガスと合わせて5億円以上の歳出増となっています。増加分だけで5億円を超える状況です。2022年度の補正予算では、保育施設、高齢者施設、障害者施設などへの物価高騰支援策が実現しました。来年度においても、現場の実態を踏まえた物価高騰に対する支援策を行うことを求めます。
日本共産党武蔵野市議団は、「誰もが安心して暮らし続けられるまちへ 平和が続く未来をつくる予算」と題して編成された、この2023年度の予算が、市民の暮らしを支える予算であるかどうかを基準に審査に臨んでまいりました。松下市政の下で、全体として市民の暮らしを支える施策が進められていると評価できます。以下、今回の予算案で評価できる主な点を述べたいと思います。
1点目に、健康・福祉の分野についてです。新型コロナウイルス感染症の第8波においては、医療崩壊、高齢者施設でのクラスターの多発、救急搬送の困難など、第7波で大問題になったことがより深刻な形で繰り返され、2万人を超える死者が出ました。政府は、この反省もなく、新型コロナを5類に引き下げることと併せて、感染対策や検査、治療への公的責任を後退させようとしています。医療体制の強化など、住民の命と健康を守るための公的責任を果たすことこそが求められます。現状で、新型コロナウイルス感染症がなくなるわけではありません。徐々に日常の生活を取り戻しつつはありますが、新型コロナウイルスは当初より重症化率や致死率は下がっているとはいえ、現状においてもインフルエンザよりも感染力や致死率が高く、コロナの後遺症に苦しんでいる方も非常に多くいます。後遺症が発生するメカニズムもまだよく分かっていません。武蔵野市においても、コロナ対策への基本的な支援や感染拡大防止に対する公的責任を引き続き果たしていくことを求めます。
高齢者総合センターの大規模改修工事の実施設計と障害者福祉センターの改築工事の基本設計、実施設計の予算が含まれています。さらには、これらの2つのセンターが工事中の際の仮設施設設置関連工事の予算も盛り込まれています。これらの福祉施設のサービスが継続的に提供できるように、着実な取組を進められることを求めます。
ほかにも、引き続き、福祉総合相談窓口による支援、生活困窮者自立支援事業、高齢者等緊急訪問介護事業(レスキューヘルパー事業)、がん検診などの各種検診事業などが進められます。岸田政権は、来年度の政府予算において、社会保障の自然増を1,500億円も削減しました。岸田政権による社会保障改悪に対して、市民の暮らしを守る立場から福祉都市宣言を行っている武蔵野市にふさわしく、さらなる社会保障の充実を求めたいと思います。また、来年度予算案には盛り込まれていませんが、全国でも都内でも広がってきている加齢性難聴者への補聴器購入費の助成については、代表質問で取り上げました。次期高齢者福祉計画策定の中での議論を行うということですが、実現に向けて議論を進めていただきたいと思います。
2点目に、子ども・教育の分野についてです。2020年4月に、長年の懸案だった待機児童の解消が実現し、3年連続で待機児童ゼロを維持しています。今後は、保育の質のさらなる向上へ向けて、保育士の処遇改善や配置基準の拡充などを進めていただきたいと思います。
学校改築事業が進められています。来年度予算においては、第一中学校と第五中学校の解体工事が完了して、改築工事が進められます。第五小学校と井之頭小学校については、基本設計が行われます。地域の意見を反映し、着実な学校改築が進められることを求めます。
この定例会で、子どもの権利条例が可決成立しました。子どもの最善の利益を尊重する社会の実現に向けた取組を実現させるための予算が盛り込まれています。子どもの権利条約や日本国憲法に基づき新たに制定された子どもの権利条例を大いに生かして、子どもたちが希望を持ち、健やかに過ごせるまちづくりを進めていただきたいと思います。
学校図書館の機能の充実については、学校図書館サポーターの勤務時間等の拡充と、学校司書への名称変更が盛り込まれました。現状では都内の学校司書の中で報酬が最低水準であることから、質疑の中で待遇改善を求めたところ、時給を1,250円に引き上げるとの答弁がありました。今後の取組の充実に期待をいたします。
ほかにも、産後ケアの事業の充実、市立保育園における医療的ケア児受入体制の整備、教育の質の向上と教員の働き方改革の推進や、不登校対策と教育相談の総合的推進、特別支援教育の推進などが盛り込まれています。また、来年度予算案には盛り込まれていませんが、全国でも都内でも広がってきている学校給食費の無償化については代表質問で取り上げました。第六期長期計画・調整計画策定の中での議論を行うということですが、実現に向けて議論を進めていただきたいと思います。引き続き、子ども子育て応援宣言を掲げている松下市政にふさわしい施策をさらに進めていただきたいと思います。
3点目に、平和・文化・市民生活の分野です。岸田政権は、大軍拡と大増税への大暴走を加速させようとしています。5年間で43兆円を注ぎ込み、軍事費を倍増させ、日本を世界第3位の軍事大国にしようとしています。敵基地攻撃能力の保有は、日本を守るためでは全くありません。安保3文書にも明記されているように、アメリカが起こす戦争に自衛隊が参加して先制攻撃を行うことが想定されています。まさに日本の側から全面戦争を仕掛けることで、日本が反撃されて、日本が戦場にさせられるリスクを生むものです。戦争国家への道を断じて許すわけにはいきません。今こそ、戦争をさせない声を大きく上げていく必要があります。
武蔵野市の来年度予算では、平和・憲法啓発事業において、平和施策の在り方について検討するための平和事業のあり方懇談会(仮称)が設置されることが盛り込まれています。平和施策のさらなる発展を期待します。
男女平等推進施策事業では、武蔵野市男女平等の推進に関する条例に基づき、研修・啓発、相談事業やパートナーシップ制度の推進などが盛り込まれています。政府与党の中から、ジェンダー平等を敵視する発言が相次いでいます。古い社会への逆戻りは許さず、多様性を認め、尊重し合う社会をつくっていくための取組を進めていただきたいと思います。
4点目に、緑・環境の分野です。岸田政権は、福島原発事故以来の原発政策を大転換し、原発の新規増設、老朽原発の稼働という原発回帰へと逆戻りしています。日本のエネルギー自給率は10%程度です。気候危機打開のために海外の化石燃料に依存する状況から、国産の再生可能エネルギーへの大胆な転換が必要です。国際的な燃料価格の高騰からも、再エネの開発普及が急がれます。政府の試算でも、日本の再エネの潜在量は現在の電力使用量の7倍もあります。
武蔵野市の来年度予算案には、気候市民会議を踏まえた取組として、様々な施策が盛り込まれています。気候危機打開武蔵野市民活動プラン(仮称)を作成し、市民への周知を行うこと、むさしのゼロカーボン大賞事業(仮称)を行い、市民の優れた取組を表彰して紹介すること、実質再エネ100%の電気に切り替えた家庭に対して協力金を支給する、家庭向け再エネ電気切替協力金支給事業を行うことです。また、小・中学校等の市内の主要な51の公共施設において、実質再エネ100%電力を導入することも計画されています。気候危機対策は待ったなしです。武蔵野市から気候危機を乗り越える取組が大いに広がることを期待します。
ほかにも、(仮称)八幡町二丁目公園や中央高架下公園の整備が行われます。緑豊かなまちづくりが進められることを望みます。
5点目に、都市基盤の分野です。装飾街路灯(水銀灯)LED化事業が2年かけて行われます。この間、小型街路灯や大型街路灯のLED化事業が進められてきました。引き続き、着実なLED化を進めてください。
景観道路事業については、災害に強いまちづくりの観点からも、電線類の地中化はさらに進めていただきたいと思います。
今年は関東大震災からちょうど100年となります。今日未明にも、宮城県沖を震源とする地震で、東北地方で震度4を観測しています。首都直下地震の危険が迫る中、民間住宅耐震化の促進に努めていただきたいと思います。
あんしん住まい推進事業が拡充されます。高齢者や障害者など住宅確保要配慮者への住宅確保が円滑に行われるように取組を進めてください。
ほかにも、吉祥寺のまちづくりや三鷹駅北口交通環境基本方針の策定についての予算も盛り込まれています。地域住民の意見が反映される形で進められることを求めます。
6点目に、行財政の分野です。住民投票制度確立に向けた論点整理の予算が盛り込まれています。住民投票という手法は、全国各地の実施例でも分かるように、住民の意思を地方政治に反映する点で効果的なものです。自治基本条例第19条で予定されている住民投票制度について、武蔵野市にふさわしい制度となるように、丁寧で理性的な議論が行われることを望みます。
以上述べてきましたように、全体として、暮らしを支え、平和を発信する市政が大きく発展してきたことを評価いたします。今回の予算案には、公共施設の改修や改築など、市民に必要な施設の更新を進める予算が盛り込まれています。市民サービスが途切れることのないように、着実な取組を進めます。
しかし、幾つかの課題について、以下申し上げます。
1つ目は、岸田政権が進めようとしている行政のデジタル化についてです。2021年9月に、デジタル庁が発足いたしました。2021年の通常国会で成立したデジタル関連法は、行政機関が保有する個人のデータを企業に開放し、企業のもうけのためにつなげるものです。住民の利益につながるデジタル化は否定されるものではありません。しかし、デジタル化の推進と個人情報保護の強化は一体で進められるべきものです。本人同意なしに個人情報を提供するなど、個人情報の利活用を図る国の制度から個人情報を守るために、市として取組を進めることを求めます。マイナンバーカードの押しつけが強められています。マイナンバーによって、地方自治体が持つ個人情報と国や民間の情報が関連づけられれば、所得や資産、教育や健康状態はもとより、思想、信条、交友関係、行動履歴などのプライバシーが丸ごと国家権力に握られてしまいます。徴税強化、給付の削減、監視国家につながるマイナンバー制度は、廃止をすべきです。武蔵野市としては、市民の個人情報を守り、自治体の利益を損なわないようにすることを求めます。
2つ目は、指定管理者制度についてです。2023年度予算には、次期指定管理者の選定準備についての予算が盛り込まれています。予算参考資料の説明では、次期指定管理者の選定に係る募集要項や要求水準書、選定基準等を作成するとあります。次期指定管理者の選定に当たって、一部の施設で公募制を導入する方針が示されています。公募するために余計に予算がかかることも質疑の中で明らかになりました。そもそも指定管理者制度は公募が前提とされており、この制度は公の施設の管理運営に営利企業が参入することを狙ったものです。武蔵野市において、公募制の導入は慎重にすべきです。市民の利益を第一に考えた運用を求めます。
3つ目は、基金についてです。2022年度末の見込額で554億円の基金が積み立てられており、前年度よりも23億円も増えています。医療や介護、子育て、地域振興や災害対策など、取り組むべき課題が山積しています。こうした課題の解決、住民要求に基金を適切に活用することが大事であると考えます。基金を計画的に活用して、市民サービスの拡充を図ることを求めます。
次に、特別会計と企業会計について述べます。
国民健康保険事業会計についてです。高過ぎる国保税の最大の責任は、国が国保財政に対する責任を放棄してきたことにあります。国が財政責任を果たすことが必要です。日本共産党は、全国知事会も提案している、公費1兆円の投入で高過ぎる国保税をせめて協会けんぽ並みに引き下げることを提案しています。一般会計から必要な繰入れを行うことなど、市の財政力を生かして、国保税を引き上げないことを求めます。また、政府によるマイナンバー保険証の押しつけは許されません。全国で怒りの声が広がっています。マイナンバーカードに保険証の機能を持たせるオンライン資格確認の目的は、国民一人一人の経歴、資産、健康状態を国が掌握しながら、社会保障のさらなる削減を進めることです。市として、国に対して、マイナンバー保険証の使用ありきはやめるべきだという意見を上げることを求めます。
介護保険事業会計についてです。2023年度は、2024年度から実施される第9期介護保険事業計画の策定が行われます。厚生労働省社会保障審議会の介護保険部会は、2022年度末に介護保険制度見直しの意見をまとめました。その中で、利用者2割負担の対象を拡大する所得基準引下げや、老健施設、介護医療院等の多床室(アイデア)の室料負担導入等は結論を先送りし、今年夏までに結論を得るとしています。結論を夏まで先送りしたことは、国会審議や統一地方選での争点化を回避する狙いと見られます。岸田政権による介護保険サービスの後退と負担増をストップさせ、国に対して財政責任を果たさせることが必要です。武蔵野市においては、引き続き現状のサービス水準を維持し充実させ、必要な施設整備を行うことを求めます。
下水道事業会計についてです。2023年度予算では、長期包括契約方式の試行的導入が盛り込まれています。今後の下水道経営においては、市民負担の増大につながらないよう経営努力を進めることを求めます。
最後に、現在、第六期長期計画・調整計画の策定が進められています。計画策定に当たっては、市民が主役の立場で、市民意見の反映に最大限努力されることを要望いたします。
以上述べてまいりましたが、この2023年度予算が、市民の命を守り、暮らしを支え、武蔵野市の発展に寄与するものとして適切に執行されることを求めまして、賛成討論といたします。