
西園寺みきこ
映像ID: 2447
5302◯24番(西園寺みきこ君) 令和5年度一般会計、3特別会計、水道事業会計、下水道事業会計について、会派を代表して、賛成の討論を行います。
令和5年度の予算は、人口の微増傾向、市民の皆さんの担税力に支えられ、前年度比3.3%増と、堅実な予算組みになったと捉えました。市債の残高、基金の備え、いずれを取っても、また、将来の人口予測や財政見通しに関する今回の予算審査の中でも、大きな心配のない、市民の信頼に応え得る状況にあると判断をいたしました。令和5年度の予算編成方針は、「新規事業は原則として第六期長期計画に掲げられた事業のみとし、限られた財源を重点的かつ効率的に配分すること、併せて新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢による原油価格・物価高騰により生じた課題にも対応する」と予算編成方針にあったように、大型の新規事業がなかったというのは事実と思います。しかし、市民生活に絶対必要不可欠、後回しにはできない小・中学校の改築の事業、高齢者総合センター、障害者福祉センター、保健センターの施設整備などはゆるがせにせず、着実に進めているということを評価したいと思います。
では、武蔵野市の市政運営について、会派から一言述べたいと思います。
武蔵野市は、昭和46年から市民参加と計画行政で進めてきました。この歴史を条文化したのが、2020年の自治基本条例。市民参加に基づく計画行政という大方針は、市長が交代しても変わらない。時の市長は、これをベースにして、自らの選挙公約を盛り込みながら市政運営に当たる。この自治基本条例の制定により、こういうことを市民に対して約束したわけです。つまり、自治基本条例は、市長が勝手に進めることを許さない。そのために条例をつくった。暴走をできない縛りをかけたのが、自治基本条例であると考えています。市長の暴走と主張している方々がまちの中におられるようですが、この自治基本条例の趣旨をどういうふうに理解、把握されておられるのか、私どもは不思議に感じています。
また、予算審査の中では、住民投票制度にはやはり議決が必要との発言があり、大変驚きました。自治基本条例第19条になぜ常設型の住民投票制度を書き込んだのでしょうか。西尾先生、天野先生と共に懇談会に参加、傍聴された方であれば、なぜ常設型と決めたのか、書き込んだのかはよく分かっておられると思います。それはこういうことだと思います。選挙で選ばれた市長も議会も市民の意見に耳を傾けないとき、つまり、どん詰まったとき、そのときに主権者である市民が諦める必要はない。市長や議会がうんと言わなくても住民投票にかけることができる。つまり、主権者は市民の側なのだからと。これをはっきり示すために、常設型でということを書き込んだと思います。議会の議決、つまり、承認を要するのであれば、この常設型にした、わざわざ書いた意味がありません。既存の制度でも構わないのです。その点を踏まえて、2020年に自治基本条例が全会一致で制定されたと私たちの会派は理解しています。さらには、昨年6月には、議長からの諮問を受けて、議会運営委員会で、第19条の削除は必要ない、執行部から再提案がなされた際は改めて検討すると答申がまとめられています。つまり、武蔵野市議会では、現在、第19条の削除は必要ないと判断を出しているということになるのです。このように、住民投票制度の非常に根本的な大前提となる考えが変更される、そういう発言をされるのであれば、納得できる理由をはっきり示すべきと考えます。予算審査の中では、納得できる発言はなかったと思います。
以上、武蔵野市の市政運営について会派の意見を申し上げました。
それでは、主に款別に会派からの提案を申し上げたいと思います。一部またがるところもあります。
最初に、総務費です。市の動画チャンネルの内容が示され、各部で様々な切り口で市民への広報の工夫が見て取れました。直接のやり取りがはばかられる、ひとり親のための話や、なかなか現場の様子は見学しにくい特別支援学級の紹介など、さらなる活用に期待をしたいと思います。
次に、組織内外のハラスメントについてです。ある高齢者施設で、議員が高圧的な態度を取り、職員が困っているとの話を伺ったため、取り上げました。いわゆるカスタマーハラスメントへの対応について、現場の職員を守る対策を提案したいと思います。
子どもプラン武蔵野の策定について。当事者である子ども本人の参加、参画は、子どもプランの策定、学校教育計画への参加と同様、実施する見通しであることが確認できました。子どもの権利条例策定プロセスでの経験を生かし、ぜひ子どもたちの声を広く集めていただきたいと思います。
さらに、保護者の意見聴取についても提案をいたしました。市保連以外の民間の保育園の保護者の皆さんにも参加していただけるように、保護者会がない保育園の方々の意見も集める工夫などを提案したいと思います。
男女平等の観点から、マイナンバーカードと保険証連携に当たって、DV被害者の個人情報が守られるかを質問しました。市が関与している国民健康保険、後期高齢者医療保険では、当事者の申請がなくても対応が取られるということが分かりました。マイナンバーカードと保険証連携には大きな問題があるということも指摘いたしました。
次に、民生費です。境南小の学童クラブのトイレにドアがない、男女の仕切りもないことを指摘いたしました。校庭から直接入れる構造であるため、週末の校庭利用の利用者さんで汚れることも多いと聞きました。早急な改善を求めます。
また、請求した資料に間違いがありました。校舎の中のトイレと学童のトイレ、管轄の違い、縦割りでのマイナス面が感じられたということは付け加えておきたいと思います。
次に、保育園や学童でのICT化です。教育費での学校のお便りのICT化を併せて、現状を伺いました。保育園では民間が先行、学校では小学校が先行していることが分かりました。保育園においても、また、学校支援システムの前進が期待できる公立学校においても、業務効率化につながる点は積極的に進めて、現場の先生方の負担を減らしていただきたいと提案したいと思います。
0123施設の対象年齢拡大に伴う安全性の確認について伺いました。試行期間中に利用者の意向を伺うと同時に、スペースの取り方、受け入れ可能人数など、安全の基準についても明確にしていただきたいと思います。市民から根強い要望がある3駅圏の子どもの居場所、4歳児、5歳児の居場所についても前進を求めます。
ダブルケア、トリプルケアの支援は、第7期介護保険事業計画や第3期健康福祉総合計画に記載がされ、介護老人施設入所指針に介護離職防止、ダブルケア等の対応の新たな評価基準が盛り込まれるなど、進んだことを評価いたします。今後は、保育園入所ポイント加算の導入、また、コロナで中断されていた出前講座の再開など、具体的な施策の実施を提案いたします。
総合事業を支える武蔵野市の認定ヘルパー研修にリスク回避の観点を盛り込むことを提案いたしました。今後、要介護1・2も地域に下ろしていくという国の方針は、重症化予防の観点で大きな問題があること、また、認知症への対応は重症化する前のできるだけ早い段階での適切な対応こそが重要であることを指摘いたしました。
次に、衛生費です。気候市民会議の成果を受け、ゼロカーボンシティを目指して、公共施設の実質再エネ100%電力の導入、家庭向け切替協力金の試みなど、一歩踏み込んだ取組を評価いたします。もちろん、国全体で再エネを増やさないとしようがない。創エネへの取組も一層必要であることを忘れてはならないと思います。
子宮頸がん予防ワクチンが2021年11月から勧奨再開となったことを受け、取り上げました。2021年の陳情が採択されたことを尊重し、副反応被害の情報を正しくお伝えし、無料だから接種すればいいという安易な選択に陥らないような周知を継続していただきたいと思います。
動物愛護事業について、全市立小・中学校や一部高校にケージの備蓄がなされ、着のみ着のまま避難したペットへの対応が前進することを評価いたします。災害時、混乱時には、声が出せない動物へのしわ寄せは大いに考えられます。飼い主とは別に、ペット用の水や食料の保管は再度提案したいと思います。
クリーンセンターにおけるリチウムイオン電池が原因となる発火事故件数については、最終日に取り上げました。全国に比べ、特段発火が多いというわけではなく、新年度はさらなる対応策が予定されていることが分かりました。武蔵野クリーンセンターは市役所にも住宅街にも近く、市民の関心が非常に高いことに大きな価値があります。また、そもそも価値が高いリチウムイオン電池がごみにならないような商品設計という大きな視点についても指摘をいたしました。
次に、農業・商工費です。コロナ禍が落ち着いてきた5年度、多くの人が集まるイベント、お祭りは一定必要と発言をいたしました。全てをコロナ禍前に戻せという意味ではありませんけれども、人と人が直接触れ合う場づくりは、やはりまちづくりには欠かせない、必要と申し上げておきます。
まちの魅力発信と観光推進事業で、何をもって活性化と判断するのか、指標をどうするのかを伺いました。何を指標とするのか大変困難であることは理解いたしますが、市民の目に耐え得る事業評価のための視点は常に失わないで持っていていただきたいと提案をいたします。
緑町市民農園の一角がシートをかぶったまま使用されていない点を指摘いたしました。市民の人気が大変高い市民農園です。生かされていないのは問題です。このままにせず、工夫と改善を求めます。
また、活用できていないところがあるという点では、総務費で文化会館2階のレストラン、また、教育費で桜堤給食調理場の食育スペースについても触れました。新年度の活用に大いに期待したいと思います。
土木費です。吉祥寺の暫定駐輪場売却の問題が引き続き議論されました。我が会派は、松下市長は長期計画と自治基本条例に沿い、吉祥寺イーストエリア全体の課題解決のために一貫して取り組んできたと考えております。暫定ではない恒久的な駐輪場が確保される。消防団の詰所がよくなる、改善される。そして、本町コミュニティセンターがバリアフリーで新築できる見通しが立ってきている。まさに、元市長時代に購入した市有地が種地となって、イーストエリア全体の大きな価値に生まれ変わっていく、有効に活用されていく、未来につながっていくと言って差し支えないのではないでしょうか。市長におかれましては、今後も市民への適時適切な周知に努め、よりよいまちづくりを一層進めていただきたいと提案いたします。
駐輪場については、駅近くに置くのか、離れた隔地に置くのかも議論となりました。蔵野議員も委員となっている武蔵野市自転車駐車対策協議会には、商店会からの代表の委員さんがいらっしゃって、商業の活性化には駐輪場の距離というよりもむしろ一時利用の台数が増えることが重要である、商業活性化につながるのは台数であるという発言があったことが紹介されました。駐輪場は、通勤の方や駅近でお買物をする方だけの利用ではない。自転車を使わない方もおられる。駅近くにお住まいの方、御高齢の方の生活環境なども総合的に考慮した、まちづくり全体を考えての駐輪場の配置をぜひお願いしたいと提案いたします。
4月から努力義務となる自転車ヘルメットについて質問いたしました。自転車で仕事をする市の職員の方々、外郭団体の皆様方、また、教育委員会では児童生徒、教職員の皆様方への周知など、出遅れることなく進めていただきたいと思います。
また、今後の動きが注目される電動キックボードの動向についても情報収集をお願いしたいと申し上げておきます。
次は、消防費です。防災備蓄のうち、飲食物については入札による選定とのことですが、そのタイミングと内容の精査を徹底し、無駄が出ないような適時適切な運用を求めたいと思います。また、実施できずにいた防災訓練など、対面活動の再開について取り上げました。首都圏の直下型地震、南海トラフ巨大地震など、様々なことを想定しながら、市民の皆様との取組を進めていただきたいと提案いたします。
教育費です。学校・家庭・地域の協働体制の充実を図るため、2年間、モデル校2校で実施するということを取り上げました。子どもたちを育てるために第一義的に責任を持つのは家庭でありますが、家庭とはこうあるべき、親とはこうあるべきというような理想や価値観を押しつけることのないように、開かれた学校づくり協議会の皆さんや複数配置となる地域コーディネーターの皆様方に、子どもの視点、最善の利益を尊重する理念をしっかりと御理解いただいて進めていただきたいと思います。
子どものランドセルが重いことについても取り上げました。ICT教育に向かう中、今は過渡期というふうには捉えておりますが、具体的な重さ、置き勉の状況など、現状把握は不可欠ではないでしょうか。過度な重さで、子どもの成長の妨げとならないように、調査を行い、改善策につなげていただきたいと提案します。
水道事業会計についてです。有機フッ素化合物の2回目の井戸ごと検査が実現したことを評価いたします。アメリカEPAの基準が厳しくなったこと、また、国での検討状況に注意深く注目し、独自の水道事業を担っている武蔵野市として、定期的な検査体制、また、迅速で的確な対応を怠らず、お願いしたいと提案しておきます。
以上、「誰もが安心して暮らし続けられるまちへ 平和が続く未来をつくる予算」と銘打った令和5年度の予算は、新規の大型事業が事実上困難である中、市民一人一人のニーズに寄り添い、市民との対話を一層進め、市政を前に進めるという目的に沿ったものであると判断いたします。予算編成に関わってくださった多くの皆様方に感謝を申し上げます。
今回の予算審査の冒頭で、私は、事実に基づいた議論になっているか、実のある、地に足のついた議論になっているかに注目すると申し上げて、幾つかの点を指摘いたしました。また、顔を合わせる関係の重要さと、適切なデジタル化、ICT化の導入による負担軽減は、必ずしも矛盾しないということも申し上げました。私たちが追求するのは、市民の福祉向上、安心して暮らせるまちづくりです。デジタル化一辺倒でないことはもとより、デジタル化を拒む必要もない。現場の市民の皆さんの声を生かし、コロナ禍の経験を生かしていっていただきたいと思います。
人類史を遡ると、自然災害、感染症、そして戦争、時代の大きな転換点にはこの3つの要素があるということが分かります。令和5年度が新しい戦前となることのないように、一人一人の命が最優先される市政が一層前進することを祈念いたしまして、会派を代表しての賛成討論といたします。ありがとうございました。
(9 番 木崎 剛君 登壇)(拍手)