
三島杉子
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学校給食の無償化を求めること等について
・学校給食の無償化を求めることについて
・子どもの最善の利益を保障するために市の派遣相談員及びスクールソーシャルワーカーの充実を求めることについて
・武蔵野市の健康診査に聴力検査を加えることを求めることについて
・英語スピーキングテスト(ESAT-J)の都立高校入試への活用見直しを求めることについて
5381◯20番(三島杉子君) 日本共産党武蔵野市議団、三島杉子です。通告に従いまして、大きく4つの柱で質問いたします。
1つ目の柱は、学校給食の無償化を求めることについて。
武蔵野市では、児童生徒の心身の健全な発達に役立つことを最優先に、安全に配慮した食材の厳選、食材本来の味を大切にする手作り給食、食文化を伝える和食献立などを特色とした、良質な、温かくおいしい学校給食が市内の児童生徒に提供されています。子どもたちは、学校給食から食べ物の知識を学び、成長や発達、病気にならない食生活など、多岐にわたり食の大切さを学びます。私の勤めていました学校でも、その日その日の給食献立の特色や食材の紹介が書かれた放送原稿が調理場より届き、給食中の放送で紹介されていました。子どもたちが考えた献立を取り入れたり、卒業生のリクエストを献立に取り入れたリクエスト給食という取組もありました。
学校給食は、単なる食事の提供ではなく、食育という義務教育の一環として提供されています。憲法26条は、義務教育は、これを無償とすると定めています。ところが実際には、給食費、ワークなどの副教材、体操服、ジャージ、上履き、水着の費用など、様々な経済的負担が強いられます。学校によりばらつきはありますが、武蔵野市の小学校で、上履きや体育着、水着などは除き、年間の教材費などが1年生で1万6,000円前後、6年生では、日光移動教室や卒業アルバムなどを入れて約4万5,000円前後かかっている例があります。中学校では、修学旅行に五、六万円かかる。その費用を除いても、二、三万円以上の負担が毎年かかる例があります。
様々に学校でかかる費用の中でも重い負担となっているものの一つが学校給食費です。武蔵野市は、昨年度の補正予算で学校給食費への補助を決め、今年度も当初予算に組み込まれており、物価高騰による学校給食費の値上げはないということは大変ありがたいです。それでも、年間の学校給食費は、武蔵野市公式ホームページの学校給食実施計画によると、令和5年度の小学生中学年で、標準の食数で5万3,730円、中学生では6万7,320円になります。複数のお子さんを持つ家庭では負担は大きく、10万円以上になってしまいます。子どもの健やかな成長を保障する上でも、子どもの貧困予防対策としても、未来を担う子どもを社会で育てる、そういう視点からも、子育て支援策としても、また、教職員の業務負担軽減という観点からも、学校給食の無償化は重要です。学校給食の無償化を求めて質問いたします。
1、全国で2022年度に無償化を実施した自治体は451自治体(日本農業新聞調べ)でした。東京では、もともと無償化していた1町4村に加え、13区1市──条件付や9月・10月から実施の自治体も含みます──が実施するなど、学校給食無償化が広がっています。隣の杉並区も先日、この間財政の持続性なども考慮し庁内で議論を行ってきましたが、今後の国の方針等を見極めた上で実施に向けた詳細を決定していく考えです、必要性は、杉並区だからではなく、他の日本全国の子どもたちと同様に全ての子どもたちにおいて必要性が高いと考えていますと、区長の記者会見がありました。このように、学校給食無償化が大きく広がっている状況をどのように受け止めていらっしゃいますか。認識を伺います。
2、子ども子育て応援宣言のまちを掲げ、子どもの権利条例を制定した武蔵野市で、子どもの健やかな成長、その保障、子どもの貧困予防対策、未来を担う子どもを社会で育てる、子育て支援策、子どもたちの命と健康をつなぐ食を社会で保障する学校給食の無償化を進めることを求めますが、見解を伺います。
3、食育であり、子どもたちの健やかな成長を保障する学校給食の無償化は、本来は国がやるべきことだと思います。国に向けて、学校給食無償化の意見を上げていただきたいと思いますが、見解を伺います。あわせて、東京都にも要請をしていただきたいと思いますが、見解を伺います。
2つ目の柱です。子どもの最善の利益を保障するために、市の学校派遣相談員及びスクールソーシャルワーカーの充実を求めることについて。
先日、家庭や専門機関をつないで子どもを支援するスクールソーシャルワーカーの増員や常勤化を求め、School Voice Project、大阪公立大学の山野則子教授、日本大学の末冨 芳教授、一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟の4者が文部科学省内で会見を開きました。NPO法人School Voice Projectの教員へのウェブアンケートの中間結果も公表されました。スクールソーシャルワーカーとの連携による早期介入で課題の深刻化を防止できると回答した教員は95%、スクールソーシャルワーカーの連携により、外部機関についての知識が増え、より適切な支援につなげることができると回答した教員は96%、児童生徒や家庭を見る多様な視点が学校に増えることで支援や関わりの選択肢が広がると回答した教員は95%ということでした。末冨教授は、子どものためにも、人手不足や多忙が指摘される教員のためにも、専門職であるスクールソーシャルワーカーの配置拡大が望ましい。子どもの権利の視点からアプローチする福祉的な専門家の果たす役割は大きい。山野教授は、適切に子どもをスクールソーシャルワーカーにつなげ、支援する仕組みが学校内に不可欠だと訴えました。
また、地域でお話を伺う中で、不登校の増加に胸を痛めている、中学生のお子さんがいらっしゃる方、御親戚に不登校のお子さんがいらっしゃる方など、複数の方から相談したいときに相談できたらどんなにありがたいか、毎日専門職の方がいてくだされば、そういうお声をいただきました。
子どもが抱える問題は複雑に絡み合い、多様化しています。ストレスフルな社会状況の中で、子どもの心理的ケアが必要な場面も増えています。また、解決していくのに、学校内だけでは難しく、地域や様々な機関と連携していかなくてはいけないケースもあります。教員以外に、子ども、保護者と課題を解決する専門職の拡充を図ることが求められます。
武蔵野市では、東京都のスクールカウンセラーに加えて、心理士の資格を持つ市の学校派遣相談員の週1日学校への派遣、スクールソーシャルワーカーを中学校区に1人配置と、教育相談の充実を図り、継続的な支援で問題の解消を図る取組が進められてきました。多くの子どもの最善の利益の保障につながってきたことに感謝し、子どもの最善の利益の保障のために、さらなる充実を求めて質問をいたします。
1、小学校から継続してスクールソーシャルワーカーが関わる中で、子ども、保護者との信頼関係が築かれていることが、中学校に入ってからの支援にも結びつきました。中学校卒業後も見通して、子ども、家庭に寄り添い、様々な機関との支援調整が継続的に粘り強く進められる中で、多くの子どもたちが救われています。スクールソーシャルワーカーが経験を積み、継続して子どもや保護者と関わり続けていくことは、相談機能体制の充実、不登校対策、家庭も含めた困り事の解決に大きな力になると考えます。スクールソーシャルワーカーが継続して子どもたちに関われるように、正規の専門職員として位置づけることを求めますが、見解を伺います。
2、武蔵野市では、都のスクールカウンセラーの週1回の相談に、市の学校派遣相談員の相談が週1回加わり、学校で子どもや保護者が相談できる機会が週2回と、充実が図られています。武蔵野市の教育相談という冊子によりますと、令和3年度の延べ相談件数は、都のスクールカウンセラーが小学校4,310件、中学校1,415件、学校派遣相談員が、小学校7,664件、中学校3,206件です。令和4年度は、伺ったところ、さらに増えているという回答をいただきました。これだけ相談がある実態です。子どもや保護者が相談したいときに相談できる機会が増えるように、また、安心感につながり、気軽に話をしに行ける人がいる場所が開かれている時間が増えるように、先ほど家庭と子どもの支援員さんのこともありましたが、教員との相談や情報共有がさらに進むように願います。教育支援センターでの現在の相談体制を維持しながら、学校派遣相談員の学校への派遣日数を増やすために、教育相談員の増員を求めますが、見解を伺います。
3つ目の柱です。武蔵野市の健康診査に聴力検査を加えることを求めることについてです。
武蔵野市の健康診査には、特定健康診査、がん検診、眼科健康診査、骨粗鬆症検診、歯科健康診査、人間ドックがあります。人間ドック以外は無料または安く健康診査が受けられます。このことは、健康維持、疾病の早期発見、治療につながり、フレイル予防にも大変有効だと考えます。実際に、私は市の眼科健診の案内を受け取ったことで、バーコードに誘われ健診を受け、緑内障が見つかり、治療につながりました。しかし、様々な健康診査が受けられる中で、聴力検査は、1万5,000円以上かかる人間ドックで受けられるのみです。きっかけがなく、聴力の衰えを意識せず、医療につながらないことが多くなってしまうのではないでしょうか。
この質問を書く中で、試しにネットの簡易検査をしてみましたら、60歳代レベルの1万ヘルツの音が全く聞こえず、実はショックを受けました。日本老年医学会誌の研究では、難聴有病率が65歳以上で急激な増加を示し、70から74歳男性で5割、女性で4割が、75歳から79歳では約7割の高齢者が難聴に該当していたと述べられています。日本耳鼻咽喉頭頸部外科学会でも、進行を遅らせる、加齢以外の原因を避けるという意味での予防は十分に可能であり、早期発見、早期治療が重要であると言っています。
日本老年医学会雑誌に、後期高齢者や認知症患者においても外耳道が耳あかで完全に塞がっている例は少なくない。もともと加齢性難聴のために軽度の難聴である高齢者が、耳あかで外耳道が塞がってしまい中等度の難聴となってしまった症例がある。そしてその症例では、耳あかを除去するだけでコミュニケーションが改善することもしばしばあるという内容の論文があります。高齢になり、耳あかを排出する力が弱くなり、気づかないうちに耳あかで塞がってしまう方がいらっしゃいます。医療機関につながり、耳あかを除去するだけで聞こえを改善できる、そういう場合もあるのです。
また、難聴の進行をそのままにしておくと、コミュニケーションが不足し、孤立が進み、最終的には認知機能の低下のリスクが高まるという研究報告があります。2017年、国際アルツハイマー病協会国際会議において、難聴は、高血圧、肥満、糖尿病などとともに認知症の危険因子の一つに挙げられていました。早めに補聴器を使うことで脳に音を届けることが重要です。補聴器の聞こえの保障は、認知症予防にもつながり、また、コミュニケーションの確保、生活の質の維持、尊厳の保障にもつながる点でも重要と考えます。先ほどの笹岡議員の一般質問への答弁の中でも、一人一人の尊厳がずっと維持していける、そういう答弁がありました。この聞こえの調査も、私はそこにつながると思います。
質問いたします。
1、進行を遅らせる、加齢以外の原因を避けるという意味での予防のための早期発見、早期治療ができるように、また、加齢性難聴の進行をそのままにして認知機能が低下するリスクを減らすためにも、武蔵野市の健康診査に聴力検査を加えることを求めますが、見解を伺います。
2、突発性難聴は早期発見・早期治療が必要です。耳の違和感や聞こえにくさに気づくこと、気づいたときに医療につながる意識をつくっていくことが大切です。聞こえの保障のために、耳のケア、難聴や補聴器の知識を知らせること、学ぶ機会をつくることが大切です。耳のケアや聞こえに関わる広報や事業の開催を求めますが、見解を伺います。
4つ目の柱です。英語スピーキングテスト(ESAT−J)の都立高校入試への活用見直しを求めることについて。
昨年度、武蔵野市議会では、中学校英語スピーキングテスト(ESAT−J)の検証を求める意見書が採択されました。英語スピーキングテストは、民間業者のテストの結果を入試に活用すること、アチーブメントテストの入試への活用、同一業者の民間テストとの類似、民間業者の利益誘導につながるおそれ、事前準備に経済力が影響し、教育格差につながるおそれ、個人情報を民間業者に渡す問題、テスト形式や指導要領との関係でのテスト内容の妥当性がどうか、配慮を要する生徒への対応、不受験者の点数のつけ方、入試に活用する際の教科の配点のバランスや換算方法、また、進路決定のスケジュールとのずれ、採点の不透明さ、会場の遠さや交通費の自己負担などもありました。そして、実施当日の問題で、音漏れや前半・後半に分けたことによる問題漏れ、タブレットの使い回し、そんな問題も出ました。当日の問題では、実際に受験された方からこんなことがあったというふうに聞いているものもあります。待機中の自習時間にかばんを開けることが禁止されて、水分補給ができない、そのまま実際の試験を受けることになった。イヤホンのイヤーピースが小さ過ぎて耳の奥まで入れなくてはいけなくて、とても不快だった。遮音用のイヤーマフが最大にしてもきつくて痛かった。遮音のためのノイズ音がダイレクトに耳に入り気持ち悪くなった。入試に使われるのにベストコンディションで受けられない、それは私は、初めての実施だったと言っても、プレテストがありましたけれども、そのままこんな状態で受ける生徒がいたことは、どうにかしなくてはと思います。など、多くの問題が指摘されています。
東京都教育委員会は、令和4年度実施状況及び令和5年度実施について取りまとめたものを発表しましたが、指摘された多数の問題についての検証はほとんど載せていません。先日、令和5年度の中学校英語スピーキングテスト(ESAT−J)実施要項が──これですね、インターネットから出したものですが──東京都教育委員会より発表されました。令和4年度に大きな問題になった、都立高校の入試に活用するのに、同一問題であるのに、同一会場で前半・後半組で実施すること、前半か後半かは当日会場に行ってから分かり、後半組が試験前の待機時間に自習できることは一切変わっていません。公平とは言えないのではないでしょうか。長時間拘束の問題、昨年度実施後に問題漏えいに関する証言があったことは反映されていないと言えるのではないでしょうか。録音機材を使い回すこともそのままです。進路選択・決定をするのにスケジュールが厳しいことも問題になりましたが、試験日も、結果の返却日もほとんど変わらず、進路選択・決定のスケジュールが厳しいことはそのままです。登録する個人情報も、組・番号が公立中学校の生徒のみになったことと、eメールアドレスの登録が、国や私立中学校の生徒は必須となった以外は変わりません。
個人情報の取扱いの項には、民間事業者が個人情報をどう取り扱うかは書かれていませんが、東京都教育委員会が5月に発表した中学校英語スピーキングテスト募集要項、事業者を募集する要項ですけれども、こちらには、事業者が個人情報を取り扱う、収集・取得とありますので、事業者に個人情報を提出しなくてはいけないという問題は変わっていません。また、事業者の国外における個人情報の取扱いについて、国内の取扱いに準じた管理を行いますとこちらにあります。今年度も、個人情報が国外まで持ち出される場合があることも、ここから分かります。この中に、さらに実施及び運営というところに、東京都教育委員会が設定する実施方針に基づき、事業者が実施計画を作成し、東京都教育委員会の承認を受け実施しますとあります。試験結果が公立高校の入試に一律に使われ、受験生の合否に関わるのに、その試験、ESAT−Jの実施・運営の主体が事業者でいいのでしょうか。新大学共通テストでは、民間業者のスピーキングを含むテスト導入が計画されましたが、公平性が保障されないと中止されました。英語スピーキングテスト(ESAT−J)の都立高校の入試への導入見直しを求め、質問します。
1、個人情報の取扱い、民間業者のアチーブメントテストの結果を都立高校の入試に活用するなど、多くの問題があり、様々な面で客観性・公平性が心配される英語スピーキングテストの実施と、生徒の進路決定という一大事に関わる都立高校入試への結果を活用することは見直すべきだと思いますが、市の認識を伺います。
2、東京都に向けて、英語スピーキングテスト実施、都立高校入試への活用の問題点を指摘し、見直しの意見を上げていただくことを求めますが、市の見解を伺います。
以上、壇上からの質問とさせていただきます。御答弁をよろしくお願い申し上げます。