
大野あつ子
映像ID: 2469
当事者・家族に寄り添う不登校支援、ひきこもり支援等について
・不登校や学校に行きづらい子どもたちへの支援(COCOLOプラン)等について
・孤独・孤立対策推進法成立後のひきこもり支援について
・チャットGPTの行政における活用について
5475◯3 番(大野あつ子君) 市議会公明党の大野あつ子でございます。真心の御支援をいただき、この場に立つことができました。お約束をした、福祉、教育、DXを政策の柱とし、市民の皆様のために一生懸命働いてまいります。
さて、今回は、不登校支援、ひきこもりの支援、そしてチャットGPTの自治体利用について質問いたします。
まず、不登校やひきこもりについてですが、自治体としてどんな支援ができるのかを探るために、当事者や家族の手記などを多数読ませていただきました。その中で、居場所がないことの不安、孤独、どうにもできない焦燥感、一度レールから外れると全てが終わってしまうという恐怖感、日に日に落ちていく自己肯定感などに触れられており、胸が詰まりました。とても苦しいのに診断された病気ということではないため、これまで十分な支援もなく、自力で何とかするしかない状況に追い込まれる場合が多かったのではないでしょうか。
本市においてやっと福祉総合相談窓口ができ、SOSが出せる場が少し広がったことはよかったと感じておりますが、まだまだ十分ではないとも考えております。不登校やひきこもりのつらさが何に起因しているのかを考えるとき、人間がつくったシステムに人間が苦しめられているというように見えます。
ユヴァル・ノア・ハラリのベストセラー「サピエンス全史」によれば、宇宙の誕生は約137億年前であり、地球は46億年前、そして約600万年前に人類種が出現し、ネアンデルタール人など多数の人類種が存在していましたが、筋力も脳の大きさも特に秀でていないホモ・サピエンスだけが生き残り、現在は世界人口約80億人という、ほかの種を凌駕する存在となっています。
なぜホモ・サピエンスがこれほど繁栄したのか。それは虚構を信じることができる認知革命が起き、それゆえに大きな集団をつくることができたから。さらに農業革命、科学革命と続きます。この認知革命によって形成された現代社会は、私たちが当たり前に考えている国家、貨幣、宗教、そしてイデオロギーなど、全て虚構であり、人類は時代によってその虚構を上書きしてきた。こうしたサピエンスによる地球支配で人間は幸せになったのかという問いを、最後に問いかけております。
ハラリが言う認知革命によって形成された現代社会の中で、学校や社会、会社などに適応できないことが、イコールその人自身の価値がないことには全くならないと私は思います。そもそも人間がつくったストーリーなので、人間が幸福になるように書き換えればいいのではないでしょうか。社会に出られなくても、学校に行けなくても、全ての人には命というすばらしい価値があります。その命を守るためにSOSを発信してほしい。そのSOSをできる限り多く受け止められるよう努力してまいりたいと思います。
そこで大きな1問目、不登校や学校に行きづらい子どもたちへの支援(COCOLOプラン)等について。
不登校の子どもたちが急増していることを受け、文部科学省は3月末、COCOLOプランを策定しました。誰も取り残さない学びへの保障。冒頭に永岡文科大臣のメッセージが掲載されており、「私は、不登校により学びにアクセスできない子供たちをゼロにすることを目指します。そして、子供たちに、「大丈夫」と思っていただけるよう、徹底的に寄り添っていきます」という、力強いメッセージが載せられております。
第1回定例会で提案いたしました不登校特例校の増設なども含む、1)学びの場の確保、2)心の小さなSOSを見逃さず、チーム学校で支援、3)学校の雰囲気を見える化し、安心して学べる場所にという3つの柱を掲げ、不登校対策の速やかな推進を求めています。
そこで本市における不登校対策をどう推進していくのか、以下お伺いいたします。
1の1、本市の家庭と子どもの支援員の現在の配置状況、学校に行きづらい子どもに対しての支援員は十分な状況か伺います。
1の2、COCOLOプランは、自分のクラスに入りづらい児童生徒が、落ち着いた空間の中で、自分に合ったペースで学習、生活できる環境を学校内に設置することを促進していますが、スペシャルサポートルーム等の設置についてはどのようにお考えか伺います。
1の3、同プランでは教育支援の機能強化として、より広域の子どもたちや保護者につなげられるよう、オンラインによる支援機能を強化するとともに、在籍校とつなぎ、オンライン指導やテスト等も受けられ、その結果が成績に反映されるようにするとしておりますが、オンラインによる教育支援はどのように取り組まれるのか伺います。
1の4、不登校の児童生徒への支援において、当事者に対面で会うことが困難な場合も多いと推察します。その中で戸田市や広島県などの教育委員会は、官民連携でメタバース空間を活用した不登校支援を開始し、居場所は教室だけではない、どこにだって居場所はあるのだというメッセージを発信しながら、不登校の生徒に対する支援に当たっています。メタバース空間やアバターを活用したオンライン不登校支援プログラムを導入し、支援の選択肢を増やしてはどうか、お考えを伺います。
1の5、令和元年10月25日に通知された文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」によれば、フリースクールやオンラインフリースクール、ICTを活用した学習活動についても、出席要件を満たし、校長が適切と認めれば出席扱いとし、その成果を評価に反映することができるとしています。これらの要件を満たす民間のフリースクールやオンラインフリースクールによる学習の場を活用できるよう、民間との連携を強化し、不登校生の多様な学びの場を確保してはどうでしょうか。御見解を伺います。
1の6、フリースクールやオンラインフリースクールについては有効であっても、保護者の経済的負担が重くなることが懸念されます。1の5の文科省が示す出席扱いの要件を満たすと判断される場合には、市として授業料の支援をすべきではないかと考えますが、御見解を伺います。
1の7、東京都の「令和5年度フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業への調査研究協力者の募集について」の事業スキーム、周知の状況、本市の応募状況を伺います。
1の8、不登校の児童生徒の学びの場として、多様な居場所として図書館等の社会教育施設の活用を周知し、周りの視線を気にせず、不登校の子どもたちが図書館等で学べる環境づくりを促進すべきと考えますが、御見解を伺います。
1の9、不登校児童生徒や保護者の精神的負担軽減のためにも、教員の負担軽減のためにも、特に不登校の児童生徒の出欠連絡は、タブレット端末などICT活用で行うべきではないかと考えますが、現状と今後の取組について伺います。
1の10、不登校や学校に行きづらい子どもに対し、早期支援が重要であると考えます。保護者が学校を通さないで直接相談できる、学校に行きづらい子どもたちのためのプロジェクトチームのような分かりやすい窓口を設置し、オンライン予約で相談できる体制を組んではいかがでしょうか。御見解を伺います。
1の11、約10年の不登校を経験後、高校3年で起業、「#不登校は不幸じゃない」発起人である小幡和輝氏は、著書「学校は行かなくてもいい」の冒頭で、「「不登校でも大丈夫な生き方」を伝えたい(中略)今、学校に居場所がなくてつらい思いをしているみんなへ。こんな生き方もあるよ」と語りかけています。不登校の子どもたちの支援では、子どもたちにとっては、なぜ学校に行けないのか、言語化することが難しく、保護者や先生に説明できないことから、保護者や先生が当事者のつらさをまず正しく理解することが初めの一歩であり、その上で保護者や当事者の不安を払拭し、孤立することがないよう支援することが重要と考えます。現在の支援の状況と今後についての見解を伺います。
1の12、不登校経験者からの助言や保護者同士の懇談の場も必要だと考えますが、市がサポートする形で懇談できる場をつくってはどうでしょうか。御見解を伺います。
大きな質問の2番目、孤独・孤立対策推進法成立後のひきこもり支援について。
孤独・孤立対策推進法が、5月31日、参院本会議で賛成多数により可決、成立し、来年度施行されます。コロナ禍で深刻化した社会的孤立に悩む人への支援を強化するため、政府内に首相をトップとする対策推進本部をつくり、対策の指針ともなる重点計画を作成するとしています。孤独・孤立についてはひきこもり以外にも多くの課題を含みますが、新法が成立したことで、これまで公的支援がほとんどないまま、家族で背負うしかなかったひきこもり支援が前進するよう、本市においても加速度的に取り組んでいただきたいと考えます。そしてひきこもり支援を推進することは、同時に孤独・孤立対策を推進するための知恵の蓄積になっていくと考えます。
そこで、2の1、多様な安心できる居場所の設置。江戸川区では、オンライン(メタバース)とリアル会場によるハイブリッド型居場所を、年6回開催しています。リアル会場では、実際に対面する居場所と、のぞき部屋と言われる別室からオンラインで居場所の様子を見ることができる、3つの参加方法をハイブリッドで運用しています。
また国立市では、社協に委託し、月2回のからふらっとという居場所を提供しています。ひきこもり当事者は知り合いに会うことが怖いと感じるため、自宅近くに出かけることが困難な方もいらっしゃるので、あちこちの自治体が設置した、地元でない居場所も含めて、面的に自由に活用していくことで、ひきこもり支援全体を推進していけると考えます。ぜひ本市においても、定期的に開催できるひきこもりの居場所事業を、リアルとオンラインのハイブリッドで設置してはどうでしょうか。御見解を伺います。
2の2、デジタル技術を活用した居場所への参加。神戸市では、分身ロボットOriHimeを活用した居場所参加事業を始めています。ひきこもり当事者にとって、リアルな居場所への参加は戸惑いがあり、難しい場合もありますが、まず分身ロボットで居場所の雰囲気を知り、安心だと思えてから次の一歩を踏み出すことも有効な取組だと考えますが、御見解を伺います。
2の3、ひきこもり支援協議会の設置。ひきこもりは早期支援が望まれます。そのために、単独の支援機関、団体だけでなく、学校、病院、地域包括支援センター、民生委員・児童委員などによる、身近な地域におけるネットワークづくりが必要と考えます。また、支援側の思いだけでは逆効果となる場合もあるので、ひきこもり支援専門家、ひきこもり経験者、ひきこもり経験者の家族も含む支援協議会を設置すべきではないでしょうか。御見解を伺います。
2の4、情報発信、普及啓発。当事者や家族が必要としているときに必要な情報が届く広報、情報発信が必要で、ひきこもりは誰にでも起こり得ること、相談してよい悩みであるという意識、風土の醸成と、それに向けた啓発、周知が必要であると考えますが、情報発信について御見解を伺います。
2の5、相談員、支援員のスキルアップ。当事者の心情に寄り添うことができる相談員を増やすため、相談員や支援員等の理解促進や資質向上が必要と考えます。福祉総合相談窓口の担当者をさらに手厚く配置し、スキルアップに努めていただきたいと考えますが、御見解を伺います。
2の6、相談窓口の明確化、相談体制の強化。福祉総合相談窓口のさらなる周知が必要と考えますが、御見解を伺います。また、当事者やその家族だけが問題を抱え込み、孤立することがないように、相談体制の強化を望みますが、御見解を伺います。
2の7、切れ目のない支援体制の確立。相談者から、個人情報のやり取りに係る同意を得た上で、必要な支援を提供するほかの機関へリレー形式でつないでいくためのツールとして、支援シートの作成は有効であると考えますが、現在の本市の状況と今後について伺います。
大きな質問の3番目、チャットGPTの行政における活用について。
横須賀市役所でチャットGPTの全庁的な活用実証を開始したとの報道があり、ほか複数の自治体でも、試験導入する動きも進んでいます。一方でリスクを懸念する声も出ています。本市においても、早期にチャットGPTの行政活用についてメリット、デメリットを明らかにし、ツールとして有効なのかどうか検証するチームを立ち上げ、本市としての向き合い方を明らかにするべきと考えますが、御見解を伺います。
以上、壇上からの質問とさせていただきます。御答弁よろしくお願いいたします。