
橋本しげき
映像ID: 2475
介護保険制度、健康保険証の廃止問題、大軍拡・大増税の市民への影響について
・介護保険制度について
・健康保険証の廃止問題について
・大軍拡・大増税の市民への影響について
5540◯19番(橋本しげき君) 日本共産党の橋本しげきでございます。今回の一般質問は、私は、介護保険制度について、健康保険証の廃止問題について、大軍拡・大増税の市民への影響についてと題して、大きく3点の質問をいたします。
まず、大きな1つ目に、介護保険制度についてです。
2000年度に始まった介護保険制度は、今年、制度開始24年目となります。その間、自公政権の下で、社会保障予算の自然増を毎年削減する政治の下、介護分野では、介護報酬の連続削減、1割負担の利用料の2割、3割への引上げ、介護施設の食費、居住費の負担増、要支援1・2の訪問・通所介護の保険給付外し、要介護1・2の特養入所からの締め出しなどの改悪が連打され、介護の基盤が崩されてきました。家族の介護のために仕事を辞める介護離職は、年間10万人に上っています。介護を苦にした殺人、心中などの痛ましい事件も各地で起こっています。コロナ危機は、介護、医療、福祉など、人間の命を守るケアの重要性を明らかにし、それを粗末に扱う政治がいかに有害であるかを浮き彫りにしました。
日本共産党は、自己責任や小さな政府の名で社会保障を切り捨てる新自由主義の政治を終わらせ、ケアを支える政治へ転換します。現役世代も高齢者も安心できる公的介護制度にするための改革を推進します。来年度は3年に一度の介護保険制度改定の年度であり、今年度は、武蔵野市において、次期の第9期介護保険事業計画の策定が進められます。これに関連する幾つかの点について、以下質問をいたします。
1点目の質問です。介護保険料についてです。2021年度から2023年度までの現在の第8期介護保険事業計画では、介護保険料の基準額が月額6,240円になっています。これはその前の第7期介護保険事業計画の基準額と同じです。つまり、今の第8期介護保険事業計画においては、介護保険料の基準額を引き上げず、据え置きました。各所得階層の介護保険料もほとんど据え置きました。そして、所得200万円以上210万円未満の方と、所得300万円以上320万円未満の方の介護保険料は引き下げました。こうした努力が大変大事だったと思います。次期の第9期介護保険事業計画の策定においても、介護保険料を引き上げない、こうした努力が求められます。そこで、3つ質問いたします。
1)コロナ禍や物価高騰で暮らしが大変な中、応能負担を強めるなどで低所得者層の介護保険料を軽減することを求めますが、市長の見解を伺います。
2)介護給付費等準備基金は、当初予算ベースの2023年度末残高で11億4,818万円となっています。この介護給付費等準備基金を活用するなどして介護保険料を引き上げないことを求めますが、市長の見解を伺います。
3)国に対して、介護保険に対する国の予算を大幅に増額することを求めますが、市長の見解を伺います。
2点目の質問です。介護利用料の負担増についてです。厚生労働大臣の諮問機関である厚生労働省社会保障審議会の介護保険部会は、昨年末に、介護保険制度見直しの意見をまとめました。その中で、介護利用料の2割負担の対象者を拡大する所得基準引下げや、老健施設、介護医療院等の多床室(相部屋)の室料、部屋の料金の負担導入などについて、今年の夏までに結論を得るとしていましたが、結論を年末に先送りするようです。コロナ禍や物価高騰で暮らしが大変な中、利用者負担の増大をしないように、市として国に意見を上げる必要があると考えますが、市長の見解を伺います。
3点目の質問です。介護保険利用者負担額助成事業(以下、5%助成制度といいます)についてです。これは一定の所得要件に該当する低所得の方を対象に、介護予防を含む訪問介護サービスの利用者負担額10%のうち、5%分を市が助成するものです。ただ、第8期介護保険事業計画159ページでは、「今後の事業のあり方については、第9期介護保険事業計画策定時において再検討します」となっています。この制度は年に八百数十人が利用している実績のある制度であり、今後も制度を継続することが望まれます。そこで、3つ質問します。
1)5%助成制度についてどのように評価をしているか、市長の見解を伺います。
2)5%助成制度を継続することを求めますが、市長の見解を伺います。
3)低所得者などに対する利用料助成のサービス対象の拡大や収入要件を緩和することを求めますが、市長の見解を伺います。
4点目の質問です。介護サービスの水準についてです。現行の第8期介護保険事業計画の129、130ページでは、介護サービスの水準と負担の在り方として、3つのパターンを示していました。パターン1は、現状の居宅サービス水準を維持拡充しつつ、第7期介護保険事業計画期間中に開設を予定していた施設等について、引き続き整備を図るというものです。パターン2は、パターン1に加えて、新たな方策により介護施設を整備するというものです。パターン3は、パターン2に加えて、居住系サービスを積極的に推進するというものでした。結局、パターン2の方向性を選択しますと記述されています。そこで、3つ質問します。
1)次期介護保険事業計画で、介護施設の整備についてどのような検討がなされていくのか、市長の見解を伺います。
2)先ほど述べたように、これまでの介護保険事業計画では、介護サービスの水準と負担の在り方に関するパターンが示されてきました。次期計画ではどのようなパターンを想定しているか、市長の見解を伺います。
3)次期計画において、介護サービスの水準を下げないことを求めますが、市長の見解を伺います。
次に、大きな2つ目に、健康保険証の廃止問題についてです。
岸田政権は、現行の健康保険証を来年秋に廃止して、マイナンバーカードに一本化して、マイナ保険証に置き換える、マイナンバー法改正案を今国会に提出し、自民、公明、維新、国民民主の多数で、可決、成立を強行しました。任意であるマイナンバーカードの所持を、事実上、強制するもので、許されません。
マイナ保険証とは、12桁の個人番号が記載されている顔写真つきのマイナンバーカードを健康保険証として利用することです。マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには、事前の申込みが必要となります。マイナ保険証では、過去に処方された薬剤や診療の情報、医療費情報、予防接種情報、特定健診情報などが、自分専用のサイトであるマイナポータルのほか、医療機関や薬局で閲覧できます。医療機関や薬局では、窓口に設置されたカードリーダーという顔認証つきの読み取り機にマイナ保険証を置き、顔認証、または4桁の暗証番号で本人確認をします。暗証番号を3回続けて間違えると、ロックがかかり、市区町村の窓口で解除の手続が必要になります。
この間、公的医療保険を運営する健康保険組合などの保険者は、加入者の情報とマイナンバーカードをひもづける作業を進めてきました。データはオンライン資格確認等システムに登録されます。しかし、2020年12月時点で約3.5万件の誤登録、間違った登録が判明をいたしました。そのため、厚生労働省は、マイナ保険証システムの本格運用開始を、予定していた2021年3月から約半年延期をしていました。誤登録の是正作業を進め、2021年6月に誤登録がゼロになり、データの正確性が担保されたとして、2021年10月20日から本格運用を始めました。ところが、その後も誤登録が次々と発生し、厚生労働省は5月12日、マイナ保険証に別人の情報がひもづけされた事例が2021年10月から2022年11月に計7,312件あると公表しました。このうち5件で、別人の薬剤情報や医療費情報が閲覧されていました。別人の情報に基づいて医療行為や薬剤の投与が行われれば、重大な医療事故につながりかねず、命に関わる事態になりかねません。
マイナンバーカードの普及をごり押しする、行き着く先はどこでしょうか。政府は、2020年12月に、デジタル・ガバメント実行計画を発表しました。この計画では、マイナンバーカードの保険証利用を先頭に、各種カード機能との一体化を進めていく工程が示されています。医療機関では、お薬手帳、介護保険証、母子健康手帳などが挙げられています。就労関係では、ハローワークカード、ジョブカード、各種国家資格証──医師免許などいろいろありますけど──などを、各種証明書等では、在留カード、教員免許状、大学の教員証、学生証、障害者手帳、運転免許証、さらに公共サービスでは、例えばSuicaとか公共交通サービス、それから図書館カードなどを一体化するとしています。最終的にはマイナンバーカードを唯一の身分証明書にしていくことが狙いです。マイナンバーカードを保持しないと生活が困難となり、カード取得が事実上義務化される形です。保険証を廃止してマイナンバーカードと一体化する狙いは、医療機関や自治体が持つ医療情報等を利活用して財界のもうけの種にすることと、国民一人一人の経歴、資産、健康状態を国が把握しながら、医療費や社会保障費をさらに削減することです。マイナンバーカードを活用してもらうために、枚数が突出して多い健康保険証をまずはマイナンバーカードと一体化して、起爆剤、つまり、先兵として利用しようというわけです。そうすればマイナンバーカードに対する心理的ハードルも下がり、サービス全般での利用も進みやすいという狙いがあります。
これらを踏まえ、以下質問いたします。
1点目の質問です。現在のマイナンバーカードの普及状況について、市長の見解を伺います。
2点目の質問です。先ほど述べたマイナ保険証に別人の情報がひもづけされた事例に加え、マイナンバーカードに関するトラブルが相次いでいます。5月段階での報道によると、分かっているだけでも、コンビニ交付サービスでの証明書を誤って交付したものが、住民票等で4自治体で14件、印鑑登録証明書が3自治体で11件発生しています。また、公金受取口座が他人のマイナンバーに誤って登録されたものが14自治体で20件、マイナポイント事業で別人にポイントが付与されたものが90自治体で113件、それぞれ発生しています。6月4日に発表されたJNNの世論調査によると、マイナンバーの活用に不安を感じないという方が27%、不安だという方が何と72%に及んでいます。体制が不十分なままマイナ保険証を推し進めようとする政府の責任は重大です。こうしたトラブルが発生していることは、マイナンバー制度の根幹に関わる重大問題だと考えますが、市長の見解を伺います。
3点目の質問です。マイナ保険証について、2つ質問いたします。
1)保険証を加入者に届けることは、国と公的医療保険を運営する保険者の責務です。しかし、マイナ保険証は、加入者本人の申請が必要で、5年に一度の更新手続も必要です。現行の保険証廃止後は、マイナ保険証を持たない加入者に対しては資格確認書を発行して、保険診療を受けられるようにするとしています。しかし、資格確認書を得るには本人の申請が必要です。有効期間は最長1年とされ、更新手続をしなければなりません。申請や更新をしなければ無保険の扱いとなり、窓口で10割負担となるおそれがあります。加入者にとって不利益が生じる可能性があるのではないかと考えられますが、市長の見解を伺います。
2)資格確認書を発行する保険者の事務負担も増えると考えられますが、市長の見解を伺います。
4点目の質問です。マイナ保険証の医療機関における対応について、3つ質問します。
1)マイナ保険証を利用するためのオンライン資格確認整備は、医療現場に多大な負担を課すものです。システム整備が煩雑な上、セキュリティの確保をはじめ、運用面でのストレスが大きいと思われます。支払基金から顔認証機能つきのカードリーダーが無償で交付されますが、オンライン資格確認専用回線を整備した上、回線に接続するオンライン資格確認用の端末の導入設定、資格確認を取り込むレセプトコンピューターの改修、医療情報閲覧のための電子カルテシステムなどの改修などが必要です。
厚生労働省は、セキュリティの確保を医療機関の自己責任に委ねています。医療機関にとって、オンライン資格確認システム導入に関わる負担が大きく、導入メリットが低いことから、システム導入義務化によって、医師や歯科医師の1割前後が閉院、もう病院を閉めてしまう、それから廃業を検討するとしています。これは愛知県、神奈川県、大阪府の各保険医協会の調査です。
コロナ禍で医療機関に大きな負担がかかってきている下で、さらなる負担をかけることは、困難を増すばかりだと言えます。このようにマイナ保険証の導入で医療機関における負担が増していると考えられますが、市長の見解を伺います。
2)全国保険医団体連合会──保団連といいますが──が行った会員の医療機関への調査では、約6割で、顔認証つきカードリーダーまたはパソコンの不具合によりマイナ保険証の読み取りができなかったなどのトラブルが発生しています。市内医療機関において、こうしたトラブルは発生していないのか、また、トラブルが発生した場合にどのような対応を取っているのか、市長の見解を伺います。
3)マイナンバーカードの取得はあくまでも任意です。医療機関側が患者に対してマイナンバーカードの取得や利用を促進させるようなことはあってはならないと考えますが、市長の見解を伺います。
5点目の質問です。この状況の下で健康保険証を廃止することは許されません。マイナンバーカードを持ちたくない人に対する人権侵害はもとより、システム障害時には資格確認ができなくなります。高齢者をはじめ、マイナンバーカードの管理に不安を抱えている方は相当数に及びます。健康保険証の廃止によって国民の命と健康が危険にさらされているとの認識を持ち、国に対してマイナ保険証システムの運用中止を求めるべきだと考えますが、市長の見解を伺います。
次に、大きな3つ目に、大軍拡・大増税の市民への影響についてです。
今国会では、先ほど質問した健康保険証を廃止してマイナンバーカード所持を強要するマイナンバー法等改定案の強行をはじめ、難民認定申請中の本国への送還を可能とする入管法改悪案、原発運転期間を60年超に延長して原発回帰に大転換する原発推進5法案、5年間で43兆円の大軍拡のため、防衛力強化資金を創設する軍拡財源確保法案、政府が国内の軍需産業を財政的に支援する軍需産業支援法案など、様々な悪法が一気に強行されるという異常な事態が展開されています。ここでは大軍拡、大増税について質問します。
岸田政権は、安保3文書に基づき、敵基地攻撃能力保有や、今後5年間で43兆円もの大軍拡、そしてそれに伴う大増税への暴走を加速させようとしています。敵基地攻撃能力の保有は、平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない──これは1959年の答弁ですが──としてきたこれまでの国会答弁を自ら覆すもので、憲法に違反することは明らかです。敵基地攻撃能力は、敵国のミサイルが発射される前にその基地などをたたくという、事実上の先制攻撃であり、日本を守ることとは全く関係ありません。日本が攻撃されていなくても、米軍が軍事行動を始めたら、安保法制イコール集団的自衛権を発動し、米軍と一体となって相手国に敵基地攻撃で攻め込むというのが事の本質です。これは専守防衛を投げ捨てるものです。
また、大軍拡の財源は、社会保障などの切捨てと、庶民大増税を押しつけるしかありません。戦後初めて軍事費のために国債を発行しようとしていますが、戦時国債の無制限の発行が侵略戦争拡大につながった過去の反省に立って財政法4条で禁止された禁じ手に踏み出すもので、許されません。まさに今、日本が国民の命を危険にさらす戦争国家の道へと大暴走を加速させようとしている下で、戦争国家への道を許さない声を広げることは急務です。日本は今、戦争か平和かという、重大な局面に立たされています。
以上を踏まえ、以下幾つかの点について質問します。
1点目の質問です。松下市長が共同代表を務める全国首長九条の会は、3月13日に、安保関連3文書の閣議決定に抗議し撤回を求める声明を発表しました。声明の内容を、途中省略しながら、一部紹介します。
この3文書は、アメリカの世界戦略に沿って、ミサイル網の配備など、台湾有事を前提に自衛隊の軍備増強と日米共同軍事行動の一体化を図ろうとするものである。しかし敵基地攻撃能力の保有などは、憲法9条で、紛争を解決する手段としての戦争を否定した日本が、最初にミサイル等の引き金を引き、相手国民の殺りくを行うことになる。それは当然報復攻撃を招き、全国民をも戦火にさらすこととなる。さらに、3文書では5年間で計43兆円という軍事費の大幅増が明示された。これでは軍事費がGDP比2%の水準となり、日本は米国、中国に次ぐ世界3位の規模となる。これは従来から政府が示してきた、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るという専守防衛さえ投げ捨て、9条に真っ向から反することは明白である。よって、全国首長九条の会は、安保関連3文書を閣議決定した政府に抗議し、その撤回を厳しく求めるものである。
以上、声明の一部を紹介しましたが、全くそのとおりだと思います。そこで、2つ質問します。
1)市長はどのような思いで、この声明の作成、発表に当たられたのか、見解を伺います。
2)声明の中では、ロシアによるウクライナ侵攻が我々に教えるものは、戦争が市民に与える悲惨さ、いとも簡単に人権が踏みにじられる現実、そして一旦始まった戦争の終止符を打つことの困難さである。これらを思うとき、まずは戦争の準備よりも、戦争をしないための外交努力や国際連帯などに政府は全力を尽くすべきであると述べられています。国に対して外交努力を求めるとともに、市としてどのようなことができると考えられるか、市長の見解を伺います。
2点目の質問です。声明では、今、物価の高騰、異常な円安、格差社会が進行し、憲法25条の生存権さえ脅かされる中、大増税であれ国債の大増発であれ、また生活予算の削減にせよ、いずれも国民負担の増大によって軍拡財源を生み出す考えも到底容認し得ないと述べられています。国の予算の在り方は、当然、地方自治体にも大きな影響を与えます。大軍拡によってどのような市民負担増や社会保障費などの削減が行われ、どのような市民への影響が考えられるか、市長の見解を伺います。
3点目の質問です。今年度の市の予算では、平和憲法啓発事業として、平和施策の在り方について、有識者や市民から成る平和事業のあり方懇談会(仮称)で意見を伺い、検討を進めるとされています。軍事対軍事、力には力をは、軍拡競争の際限ない悪循環のエスカレーションをもたらします。日本は憲法9条を持つ国として、東アジアにおける軍拡競争を軍縮へと転換させるための外交的イニシアチブを発揮すべきです。憲法9条があったからこそ、日本は第二次世界大戦後、アメリカが起こす侵略戦争に軍事力をもって加担することはできませんでした。まさに憲法9条が、現実に日本の平和も、自衛隊員の命も守ってきたのです。
戦争の準備ではなく、平和の準備こそが必要です。戦争を起こさないためにはどうすればよいかということについて議論を深める必要があると考えますが、市長の見解を伺います。
以上、大きく3点について市長の答弁を求めまして、壇上からの質問を終わります。