
深田貴美子
映像ID: 2491
5771◯4 番(深田貴美子君) 議案第54号 武蔵野市立武蔵野公会堂改修等工事設計事業者選定委員会設置条例に、日本維新の会武蔵野市議団を代表して、反対の立場で討論をいたします。
首都直下型、南海トラフ、千島海溝・日本海溝型地震が今後30年の間に発生する確率が、60%から80%と予測されており、東京都は10年ぶりに被害想定を見直しました。冬の午後6時に風速8メートルの中、都心南部直下型地震、マグニチュード7.3が東京を襲う想定です。
武蔵野市は震度6強に見舞われると予測されています。帰宅ラッシュ、繁華街にあふれる人々、部活を終えた学生、塾に向かう子どもたち、ビルからの落下物でけがをした人々は井の頭公園に避難するでしょう。救急車を公園に寄せたくとも、道路幅は狭く、限られた道路しか公園に近づけない構造です。最悪の事態は、倒壊した建物で緊急輸送道路である井ノ頭通りが塞がることであります。夕飯時、火災も発生するでしょう。
このたび有望視されております武蔵野公会堂改修事業は、国の安全耐震基準を満たさない、築60年を迎える公共施設の躯体の一部を切除する事業です。駅前の災害時の課題や市民の安全はもとより、市民の夢、希望、願いを振り切り、吉祥寺駅南口の都市の未来の可能性に蓋をし、公共施設の既存不適格のみを改善せんとする事業とお見受けしました。
吉祥寺駅南口の防災力を上げるわけでもなく、交通錯綜課題を受け止めるでもなく、施設のリノベーションを図り、都市力を上げていくわけでもなく、20年間塩漬けにする事業でもあります。しかも市民からの貴重な税金、20億円相当を投入するということに、市民の多くの方々から、いいかげんにしてほしいとの声が聞こえています。
本議案の根拠となります2023年4月策定の武蔵野公会堂改修等基本計画については、機能性、安全性、利便性、公共性といった基軸に対して、法的欲求、工期、利用者ニーズ、興業者ニーズといったクロス評価はもとより、評価結果の数値化も示さず、箇所ごとの工事金額の積算根拠も示さず、予算の正当性も明らかになっていません。
加えて質疑により、駐車場については、現状あまり利用されていないことから、駐車台数を削減してもよいという、誤った認識に立って設計されていることが分かりました。エレベーターもなく、使い勝手の悪さが利用者を遠ざけているのであって、車で来場されたい足元の弱い高齢者の方々やお子様連れの御家族に、喜んで御利用いただける施設を目指すべきではないでしょうか。
東京都建築安全条例や東京都駐車場条例に鑑み、駐車場の付置義務台数や駐車場の安全動線確保に足る空間が、明らかに十分に確保されている図面ではありません。公共事業は民間の範となる設計と施工でなければなりません。東京都に特段の配慮をお願いするような仕事は、厳に慎んでいただきたいと申し上げます。
さらにあろうことか、基本計画書19ページには、「改修等の具体案については、有識者会議の助言も踏まえ、既存建物を活用した複数の選択肢が想定されるため、基本計画の段階では改修の詳細な範囲は限定せず、設計提案により判断することとする」と記載されており、もはや基本計画のていをなしていません。かてて加えて、工事設計事業者選定委員会設置を、庁内内規に定めたプロポーザルガイドラインに沿って選定するという、市民の皆様からは、結論ありきの既定路線である、このような御指摘もいただいています。
吉祥寺駅南口は井の頭公園につながる一等地であり、公会堂は唯一の市有地であり、最大限に生かす責務が武蔵野市にはあります。今設計は吉祥寺駅南口のまちづくりの致命傷になりかねません。行政が率先して課題解決に取り組むのであれば、近隣の市民は、武蔵野のため、吉祥寺の未来のためにと協力を惜しまないでしょう。市民の公共への思いを尋ねることもせず、協力要請も行わず、思い込みで爆走する市政に対して、権利関係者はもとより、多くの市民が沈黙し、諦念の境地に至ることでしょう。
もはや住民は自衛するしかありません。公会堂は置き去りにして、建築基準法に基づき、民間連携で、建て替え再生に街区で取り組んでいただくしかなくなったという声も聞こえています。自分の家の前だけの雪かきをするような了見、このような仕事を改めていただくことを願って、反対の討論とさせていただきます。
(26番 深沢達也君 登壇)(拍手)