令和5年第3回定例会

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橋本しげき
橋本しげき
日本共産党武蔵野市議団現職

6082◯19番(橋本しげき君)  日本共産党の橋本しげきでございます。今回の一般質問は、私は、震災対策について、健康保険証の廃止問題について、核も戦争もない世界をつくることについてと題して、大きく3点の質問をいたします。
 まず、大きな1つ目に、震災対策についてです。
 今年は関東大震災が発生してからちょうど100年になります。1923年9月1日土曜日午前11時58分32秒、相模湾を震源とするマグニチュード7.9の地震が発生しました。観測された最大震度は6でしたが、現在の基準に直すと、広範囲にわたって震度7に達する大きな揺れが襲ったと考えられます。当日は能登半島沖に台風が去った直後で、風が強かったこともあり、同時多発的に起こった火災が広がり、約21万棟が焼失したとされています。死者が、当時の東京市で約7万人、横浜市で約2万5,000人など、約10万5,000人が亡くなったと言われます。もし火災が起こらなかった場合の死者数は約1万4,000人と見られることから、大部分が火災により亡くなりました。日本の歴史上、最大の被害をもたらした災害と言われています。
 関東大震災では、火災の被害のみならず、津波や土砂崩れも発生しています。早いところで地震の5分後に津波が押し寄せ、熱海では12メートルに達したとのことです。鎌倉市由比ヶ浜海岸では津波にさらわれて約100名が行方不明に、藤沢市江の島桟橋では約50名が行方不明になったと言われています。神奈川県を中心に、土砂崩れで500名以上が巻き込まれて亡くなったとのことです。関東大震災を引き起こした関東地震は、関東地方がその一部分である北米プレートの下に南東方向から押し寄せてくるフィリピン海プレートが潜り込む境目である相模トラフで起こった地震です。名古屋大学の武村雅之教授によると、関東地震の震源域は、長さ130キロメートル、幅70キロメートルにもなる広い地域です。この広い地域でプレート同士のずれが起こり、大地震となりました。本震はマグニチュード7.9でしたが、その本震の3分後にマグニチュード7.2の1回目の巨大余震が起こり、本震の4分半後にマグニチュード7.3の2回目の巨大余震が起こったと見られ、数分間にわたり、大きく揺れ続けたとのことです。関東地震は、他の大地震と比べても、巨大余震の発生数が多かったと記録されています。これは将来再び関東地震が起こった際にも大規模な余震が発生することが考えられることを意味します。
 この関東大震災を引き起こした関東地震から100年を経た現在において、今後30年以内に首都直下地震が起こる可能性が70%と言われています。この根拠は何か。1923年の大正関東地震が起こった220年前の1703年に、マグニチュード8.2の元禄関東地震が起こりました。元禄関東地震から大正関東地震までの220年間に、関東地方で8つの直下型大地震が起こっています。この220年間を前半と後半に分けると、その間に起こった8つの直下型大地震のうち、7つが220年間の後半部分に起こっていることから、大正関東地震から100年たった現在において、首都直下地震の可能性が高まっていると考えられるとされています。物理学者であり、随筆家の寺田寅彦が残した言葉に、天災は忘れた頃にやってくるという有名な言葉があります。関東大震災の記憶を継承し、次の地震に備えることが非常に重要だと考えます。
 以上を踏まえ、震災対策に関連する幾つかの点について、以下質問します。
 1点目の質問です。関東大震災についてです。先ほど述べたように、1923年に起こった関東大震災は、10万人以上が亡くなるなど、大きな被害をもたらしました。私たちが住むこの東京で起こった震災について、その被害体験を継承していくことは、防災の観点から非常に重要だと考えます。そこで、2つ質問します。1)関東大震災当時の記録によると、武蔵野村の被害は、倒壊家屋件数が境で2件、吉祥寺で1件、橋梁破損欄干が境で3か所、吉祥寺で1か所、土造壁の落破、落ちて壊れたのが30件、家屋の壁落ちが800件、屋根瓦の墜落が約100件、鳥居倒壊と破損が各1か所、神社石灯籠の倒壊が6か所、寺院・墓地・石塔の倒壊が約8割、振り子時計の全停止が全部、井戸水が濁水となるなどであったとのことです。武蔵野村は都心と呼ばれている中央線があったことから、多くの被災者が移り住み、武蔵野村は郊外住宅地という様相を急速に強め、その後、人口が増加をしていったとのことです。武蔵野市における関東大震災の被害、東京全体の被害など、忘れてはいけない歴史ではないでしょうか。関東大震災の記憶の継承について、市としてどのような取組がなされているか、市長の見解を伺います。2)関東地震発生の翌日には戒厳令が発せられ、東京府全域と神奈川県、埼玉県、千葉県に戒厳区域が拡大されました。朝鮮人が暴動を起こした、井戸に毒を入れた、放火したなどのデマが広がりました。しかも、こうしたデマを政府が公式に広めたのです。9月3日には、内務省が、朝鮮人は各地に放火して爆弾を所持しているということを各地に伝達し、デマを抑えるどころか、デマを拡散しました。そして、軍や警察は、デマを信じた民衆による自警団と一体になって、多数の朝鮮人や中国人などを虐殺しました。朝鮮人組織の集計では、犠牲者は6,000人以上に上ります。中国人の虐殺も700人以上と言われます。軍は、朝鮮人や中国人だけではなく、社会主義者や労働活動家らも虐殺しました。こうした歴史を忘れてはなりません。震災という混乱時において、不確かな情報が広がることの危険性は、現在においても教訓とすべきことだと考えます。東日本大震災時においても、デマがSNSなどで拡散されたと言われています。こうしたことを繰り返さないために、関東大震災時の、朝鮮人、中国人殺害の歴史についても伝えていく必要があります。市長の見解を伺います。
 2点目の質問です。今後想定される地震の被害想定についてです。東京都が昨年5月25日に公表した首都直下型地震等による東京の被害想定では、8つの地震が想定されています。そのうち、今後30年以内の発生確率が70%とされているのが、都心南部直下地震、多摩東部直下地震、都心東部直下地震、都心西部直下地震、多摩西部直下地震の5つの地震です。この5つの地震は、いずれも規模がマグニチュード7.3と想定されています。このうち、多摩東部直下地震は、多摩地域に大きな影響を及ぼすおそれのある地震とされています。そこで、2つ質問します。1)武蔵野市の被害想定については、2012年度に策定された被害想定(東京湾北部地震)よりも2022年度に策定された被害想定(多摩東部直下地震)のほうが項目によってはより大きな被害が想定されています。2012年度の被害想定と10年後の2022年度の被害想定を比べると、死者数が41人から60人に、負傷者数が796人から934人に、焼失棟数が1,041棟から1,649棟に、建物倒壊棟数(全壊)が414棟から451棟に、停電率が6.7%から8.5%に、避難所避難者数が2万472人から2万6,232人という具合に被害想定が大きくなっています。もちろん、想定される地震が、2012年度想定では東京湾北部地震だったのが、2022年度想定では多摩東部直下地震に変わっているということはありますので、単純比較はできないかもしれませんが、なぜ想定される被害がより大きくなったのか、市長の見解を伺います。2)想定される地震とは違う想定外の地震が発生することも当然あり得ます。その場合、この程度の被害で収まるだろうということではなく、想定を上回る被害が生じることもあり得るという構えが必要だと考えますが、市長の見解を伺います。
 3点目の質問です。震災対策についてです。地震が発生することは避けられないとしても、被害をできるだけ小さくするにはどうするか、つまり、減災、災害を減ずるという考え方が重要だとされています。関東大震災発生時に東京帝国大学助教授だった今村明恒氏は、1905年の時点で、今後50年以内に東京で大地震が発生することを警告し、それが現実のものとなりました。その今村氏は後に次のように語っています。「地震は人の力で押さえつけることはできませんが、震災は人の力で防ぎ止めることはできます」。まさにこれこそが減災の発想であり、私たちは日々努力し、震災対策に力を注がなければならないと思います。そこで、5つ質問します。1)武蔵野市における民間住宅の耐震化、不燃化の現状について、全国や東京都の現状も踏まえ、市長の見解を伺います。2)耐震改修事業を、地域経済の振興策、福祉のまちづくり、バリアフリー化などと結びつけて推進するという観点が必要だと考えますが、市長の見解を伺います。3)上下水道、電気、ガスなどのライフラインの耐震化の促進が求められます。武蔵野市地域防災計画では、上水道の断水率が29.6%と、約3割の被害想定となっています。水道管、下水道管の耐震化、電線類の地中化の現状と今後の方向性について、市長の見解を伺います。4)通電火災の発生を抑制する対策、感震ブレーカーの普及等、市民事業者への啓発を促進することを求めますが、市長の見解を伺います。5)同時多発的に被害が発生した場合、救助や復旧がなかなか進まないということが考えられます。消防と救急体制の抜本的強化が必要だと考えますが、市長の見解を求めます。
 次に、大きな2つ目に、健康保険証の廃止問題についてです。
 8月8日、マイナンバーの誤ったひもづけに関する政府の総点検本部が中間報告を公表しました。健康保険証を一体化したマイナンバーカードに他人の保険証の情報が登録されていた事例が新たに1,069件確認され、既に判明していたものと合わせて8,441件に上りました。公務員の共済年金や障害者手帳のひもづけの誤りも見つかりました。調べれば調べるほど、深刻な実態が明らかになっています。にもかかわらず、岸田政権は2024年秋に健康保険証を廃止することに突き進んでいます。他人の保険情報を基に診察、処方が行われれば、命に関わる事故が起きかねません。1件でもあってはならない重大な誤りが8,000件以上もあったことに危機意識がありません。総点検といっても、全数調査ではありません。今回公表された件数は氷山の一角でしかない可能性が濃厚です。混乱をこれ以上広げてはなりません。マイナ保険証やオンラインによる資格確認の運用は直ちに停止をすべきです。
 河野太郎デジタル担当相は、他人の保険情報をひもづけた責任を、作業に当たった現場の認識が薄かったとして、現場に責任を転嫁しました。河野氏は、マイナカードが普及して、マイナポータルを見てくださる方が増えたことによって、ひもづけの誤りが分かってきて、総点検に結びついたと開き直りました。中間報告の関連資料に、自分の情報が正しく登録されているかを確認する方法まで載っています。マイナ保険証の誤りは自分で見つけよということです。無責任極まりないのではないでしょうか。
 中間報告の公表後もさらに深刻な事態が広がっています。マイナンバーカードで受診できるようにするためのひもづけがされず、健康保険証として利用できない状態が約77万件あることが8月24日に厚生労働省の調査で分かりました。トラブル続きにもかかわらず、無反省にも、健康保険証の廃止ありきの態度を変えないために、混乱と迷走が拡大しています。国民の怒りは広がり、岸田政権の支持率は低下を続けています。毎日新聞の8月26、27日の世論調査では、内閣支持率が26%、不支持率が68%でした。保険証をマイナンバーカードに一体化させることは、財界の要望です。経団連は、2020年の新成長戦略で、健康保険証、運転免許証などの公的証明書だけでなく、診察券や学生証までマイナンバーカードに一体化することを求めました。多様なひもづけで集まった個人情報をもうけのために活用しようというのです。個人情報保護は基本的人権の問題です。金もうけ最優先の誤った方針はやめるべきです。
 結局、なぜ健康保険証を廃止しなければならないのか、岸田首相はいまだに説明ができません。健康保険証をこれまでどおり使いたいという多くの国民の願いを無視することは許されません。岸田政権は、健康保険証廃止によって国民全員にマイナンバーカードを押しつけることをやめるべきです。私は6月の一般質問でも健康保険証の廃止問題について質問しましたが、その後の情勢の変化も踏まえ、以下質問いたします。
 1点目の質問です。現在のマイナンバーカードの普及状況について、市長の見解を伺います。
 2点目の質問です。全国でマイナンバーカードに関するトラブルがさらに拡大しています。市内の状況について、市長の見解を伺います。
 3点目の質問です。マイナ保険証についてです。現行保険証廃止後、マイナンバーカードを持たない被保険者に対しては、資格確認書を発行して、保険診療を受けられるようにするとしています。岸田首相は、8月4日、申請不要の交付を行う方針を表明し、資格確認書の有効期間を最長5年に延ばすという方針が出されました。しかし、その後、8月9日、厚生労働省は、資格確認書について、本人からの申請によらずプッシュ型で更新する期間は少なくとも2年間との考えを示しました。つまり、2年がたてば更新手続が必要となる可能性があります。結局、申請か、交付かの問題も迷走しています。しかも、必要となる資格確認書は全国で数千万枚と見られます。業務を担う保険組合や自治体の負担は膨大です。マイナ保険証について、2つ質問します。1)武蔵野市の国民健康保険証は今年10月に更新され、2年間は保険証が使えることになっています。その後、保険証がなくて無保険状態となる被保険者が出ないように、市としてどのようなことができるか、市長の見解を伺います。2)国の迷走により自治体が振り回され、市の業務はさらに複雑化し、業務量が増えることが想定されます。健康保険証に関する市の業務がどう変化すると考えられるか、市長の見解を伺います。
 4点目の質問です。厚生労働省は、8月24日、健康保険証と一体化したマイナンバーカードが使えない医療機関や薬局が一定数あるため、カードをまだ取得していない方などが対象の、資格確認書とは違う、新たな文書である「資格情報のお知らせ」を交付し、受診時に提示させるなどという案を社会保障審議会の部会に示しました。全国市長会からは、一緒に持つ紙が膨れ上がってくるなどの苦言が相次ぎました。さらなる迷走と混乱が想定されます。こうした政府の方針について、市長の見解を伺います。
 5点目の質問です。マイナ保険証の医療機関におけるトラブルが続いています。受診のためにマイナ保険証を窓口でかざしたら、本当の負担割合は3割なのに、2割が表示されるエラーが絶えません。6歳未満の子どもなのに、高所得現役並みと、後期高齢者医療の表示がされた例もあります。全国保険医団体連合会(保団連)が全国の医療機関から寄せられた5,050件のアンケート回答を集計したところ、693機関で健康保険証の券面と違う負担割合が表示されるエラーが起きていました。また、患者対応の受付業務が増えたと答えた医療機関は4,170機関、これは82.5%に及んでいます。医療機関の対応の現状について、改めて市長の見解を伺います。
 6点目の質問です。岸田政権は、健康保険証に続いて、2年後の運転免許証の廃止を表明するなど、暴走を加速させています。6月に発表したデジタル重点計画では、マイナンバーカードに一体化する対象を、母子手帳、介護保険証などに広げることを掲げました。各種機能をマイナンバーカードへ一体化し、各種情報のひもづけを広げることは、さらなる混乱を招き、国による監視社会を強化することにつながると考えられます。マイナンバーカードの利用拡大は既に破綻しています。カードの在り方を根本から見直すべきです。各種機能のマイナンバーカードへの一体化を拡大することについて、市長の見解を伺います。
 7点目の質問です。国に対して、マイナ保険証システムの運用中止と健康保険証の廃止の中止を求めるべきだと考えますが、市長の見解を伺います。
 次に、大きな3つ目に、核も戦争もない世界をつくることについてです。
 私は、8月7日と8日に長崎市で行われた原水爆禁止2023年世界大会に参加しました。ちょうど台風が九州地方を直撃する可能性があったために、世界大会は、3日間のところを2日間に、1日、日程を短縮して行われました。今、ロシアによる核使用の威嚇、自民党の一部や維新の会などによる核共有の主張など、核軍拡競争と核戦争の危険が懸念されています。一方で、人類史上画期的な、核兵器禁止条約を批准する国が増えています。核兵器禁止条約に署名した国は92か国と、国連に加盟している196か国の47%となり、約半数を占めています。批准国は68か国になりました。このような情勢の下で、自治体として平和施策を推進することの大切さを改めて考えるために、以下、幾つかの点について質問します。
 1点目の質問です。今年度は、今後の武蔵野市の平和施策の在り方について検討を進めるために、市民や有識者などから成る平和施策の在り方懇談会が設置され、議論が進められています。この議論の状況について、市長の見解を伺います。
 2点目の質問です。広島市が8月6日に開いた平和祈念式典では、松井市長が、核抑止論は破綻していると述べ、核抑止論からの脱却を促すことが重要だと強調し、日本政府に一刻も早く核兵器禁止条約の締約国となるよう求めました。長崎市が8月9日に開いた平和祈念式典では、鈴木市長が、核保有国と核の傘の下のリーダーに対して、核抑止への依存からの脱却を勇気を持って決断すべきです、対決ではなく、対話によって核廃絶への道を着実に進むよう求めますと訴えました。広島市長も、長崎市長も、核抑止論からの脱却を求めています。一方、岸田首相は核抑止論にしがみつき、核兵器禁止条約を敵視し続けています。岩波書店の広辞苑によると、核抑止とは、核兵器によって相手国を恐れさせ、攻撃を思いとどまらせるとして核兵器保有を正当化する説とあります。まさに核抑止論というのは、歴史的には核兵器を持つことを正当化するためにアメリカが生み出した口実であり、仮説なのです。核兵器で相手を脅して威嚇すること自体が国際法違反です。そもそも、本当に核抑止力で戦争が防げるなら、世界中の国が核兵器を持てばよいことになってしまいます。実際は、第2次世界大戦後、核を持つ米ソが多くの戦争を起こしてきました。そして、世界は何度も核戦争の危機に直面しました。最も有名なのが1962年のキューバ危機です。これはソ連がキューバに核基地を建設しようとし、アメリカがそれを阻止しようと核戦争の一歩手前まで行った事件です。キューバ危機の際、沖縄にアメリカの核兵器が1,300発持ち込まれたと言われています。日本が核戦争の戦場にされかねない重大事態でした。また、コンピューターの誤作動など、偶発的な核戦争の危機も何度も起こっています。核戦争をなくすためには核兵器をなくすしかない、これは真理ではないでしょうか。核抑止論や核の傘論を克服しない限り、核兵器の廃絶は実現しません。市長の見解を伺います。
 3点目の質問です。NPT(核不拡散条約)第6条では、核保有国に核軍備縮小撤廃のための交渉を誠実に行うという義務を負わせています。しかし、核保有国が核抑止論を盾にNPT第6条に基づく核軍備縮小撤廃という義務の履行に背を向けています。日本政府は、NPT第6条に基づく義務の履行をアメリカをはじめとする核保有国に迫るべきだと考えますが、市長の見解を伺います。
 以上、大きく3点について市長の答弁を求めまして、壇上からの質問を終わります。

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