
山本ひとみ
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6287◯22番(山本ひとみ君) どうも時間がかかりまして失礼いたしました。会派に属さない議員、山本ひとみでございます。
それでは、ただいま議題となっております2022年度の決算について、3件とも賛成、認定をいたしますので、討論をさせていただきたいと思います。
まず、概括から申し上げたいと思います。2022年度の決算は、第六期長期計画、そして自治基本条例、議会基本条例の3年目に当たる年でした。新型コロナウイルス感染症が本格化して3年目に当たり、くらし地域応援券第3弾の実施もありました。私自身は、引き続いて新型コロナ災害緊急アクションに加入をして、困難に直面している方と向き合ってまいりました。やはりこの年も事業が不振である、仕事がなくなる、あるいは経済的な困窮が進んだり、病気で働けない、様々な困難が降りかかる方も多いのでしたが、個人の責任ばかりでないということを明らかにして、今後、制度や取組の創設や改善に向かう必要があるということを痛感しております。
この前の年度の終わりには、ロシアがウクライナに軍事侵攻し、戦争が始まりました。このことは、国政の行方にも、また、国民の意識にも影響を与えており、政治の役割は、戦争を起こさないこと、起きた戦争は早く終わらせることにあるということを改めて肝に銘じておきたいと思います。食料自給、エネルギーを自給していくこと、こうしたことも極めて大切な課題となっております。
さて、武蔵野市の財政状況ですが、一般会計は、歳入が約1,096億円、歳出は約1,047億円と、前年より幾分か減少したものの、基金の残高は、2022年度末で一般会計約533億円と前年度から増加をし、財政は引き続いて堅調であるということが明らかになりました。全国では、ウクライナ情勢等も影響して、物価の高騰が大きな課題になっています。武蔵野市でも、エネルギー価格を含め、物価の高騰は大変多くの市民に影響を及ぼしています。また、入札不調などで工事に手を挙げる業者がいないという事態をももたらしておりますので、行政としても大変だと思いますが、対応が必要であるということを訴えておきたいと思います。
それでは冒頭に、私が重大と思っている点、大きく2点について見解を申し上げ、その後は各款ごとに評価と課題を述べたいと思います。
1点目は、住民投票に関わることであります。2021年12月21日に行政が提案した住民投票条例案は否決されました。私は、常設型であること、住民投票の参加資格が外国籍市民と日本国籍市民で同じであることなどを高く評価をし、賛成の立場を取りましたが、否決となったことを残念に思っています。その際、市内で、住民投票が参政権につながるとか、特定の国に乗っ取られるといった、事実でなかったり、制度とは関係ないような宣伝も繰り返しあったことは大変残念でした。そして、昨年度は自治基本条例の周知が行われました。この自治基本条例の中に住民投票制度が規定されておりまして、制度は当然必要です。そして、常設型であることによって、その都度議会での議決を必要とすることはありません。議会の多数派と住民の意思が必ずしも一致しないということはあり得ますので、常設型で住民投票制度をつくっていくことは極めて重要であると考えております。
重要な点の2点目として、事故があった福島原発からの汚染水の海洋放出に関して申し上げたいと思います。福島は東京から遠いとは私は思っておりません。事故によって放出された放射能の人体や環境への影響を私は一貫して心配してまいりました。例えば、市の給食調理場へのゲルマニウム半導体測定器という精度のよい放射能の測定器の導入、そして個人的にも、福島の子どもたちの夏季キャンプへの取組、避難者に対する支援活動など取り組んでまいりました。今、東京電力や、あるいは関係の機関、政府もそうですけれども、汚染水に関しては、それをためるタンクの置き場所がなくて、海洋に流すしかないというふうに主張しておりますけれども、私はそうだとは思っていないのです。第二原発の広大な敷地もありますし、福島第一原発の周辺には、国が中間貯蔵施設として確保した広大な土地もありますから、新たにタンクを造るということは可能であり、汚染水を海に流さないことはできると主張する専門家の声を聞いております。以上を踏まえまして、私は、今後とも放射能に関しては、武蔵野市がこれまで同様、注意した対応を取っていただきたいということを改めて申し上げたいと思います。
それでは、各款ごとに評価と課題を申し述べたいと思います。
まず総務費です。前年にパートナーシップ制度のための条例が可決され、運用が始まりました。17件の利用があったことを評価しています。この条例は、同性のパートナー関係にとどまらず、事実婚を選択している方にも適用される優れた条例だと思います。いまだ国政において選択的夫婦別姓制度は実施されておりませんが、武蔵野市の制度は、異性間の関係にも適用されますので、今後多くの方の活用を望んでいます。
また、この制度とは一定別の概念として、男女平等を目指していただきたいと思います。女性の貧困、就労での格差など、現実に差別はありますので、差別の解消に努めていただきたいと思います。
さらに、昨年度は多文化共生推進プランが策定されました。このプランは、日本人と外国人がともに理解し尊重し合う環境整備を目指していますので、外国人への差別解消がより進むことを期待しております。
続きまして民生費です。武蔵野市においては、保育園の充実が年々推進されてきたこと、とりわけ、以前4つの公立保育園が存続となり、公立保育園での保育士の復活採用もあって、公的な役割を重視した対応であると高く評価をしています。全ての方が希望する保育園を選ぶことができる社会が私の希望です。今、一部の保育園で補助金の不正があったことが明らかになりましたが、今後武蔵野市としても、こうした不正に対応できる仕組みをつくるものと私としては期待をしております。
介護保険制度は、全国的には後退をしていると言わざるを得ない状況であり、自治体として可能な対応をお願いしたいと思います。高齢者のひとり暮らしも増えておりまして、こうした方が使いやすい介護保険制度となることも期待をしています。
障害者への支援は、日中活動もできるグループホームなどの増設、高齢化や重度化に対応できるということが極めて重要です。また、各施設での送迎体制の充実や、医療と福祉の連携とともに、一層の御尽力をお願いしたいと思います。
民生費の最後に、生活保護についても要望をいたします。扶養照会は希望者のみに対応していただき、そして、無料低額宿泊所に関しては、広域的には貧困ビジネスとしか言えない劣悪な環境の場所もありますので、こうしたことを踏まえた利用者の居住環境を私としてもお願いしていきたいと思います。
衛生費です。武蔵野プレイス前の公園に、昨年度、新しいトイレができました。高額だという声もありましたけれども、決算で金額についての議論もありました。そして私は、あのトイレは清潔で安全であり、とりわけ女性の利用が増えたということを高く評価しています。まちの発展、商業振興にとってもよい効果を上げていると思います。一方で、背が高い人があの中のシートを使う上では、例えばおむつを替えるとかですけど、そういう点では、現状のシートは少し長さが足りないということも言えますので、今後、スペースを確保するということは難しい点もあると思いますが、誰でも使えるトイレとなるように、御検討をお願いしたいと思います。
土木費です。緑と生物多様性の保全について、前年は、ナラ枯れに対応した境山野緑地での樹木の伐採とドングリまきがありましたが、このことによって、以前より多くの生き物が今見られ、生物多様性に貢献したと考えております。
武蔵野プレイス前の公園については、緑の拡大が必要です。行政も、今、公園の在り方を検討されており、心強く思っております。私は、雑草を活用したらと訴えてきました。もちろん雑草という草はありませんけれども、今後、市民が自分で持ち寄れる様々な草花を持ち寄る形で市民参加を深めていただければ一番よいなと考えております。
もう1点は、住まいの貧困について要望をいたします。住宅の購入は、武蔵野市においてはやはり高額であって、家賃も決して安くはない状況ですから、他市へ引っ越す方も少なくありません。改めて公的な住宅の役割が見直されております。生活困窮者への対応を考えて、家賃補助制度への検討をお願いしたいと思います。
教育費です。子どもの権利条例が2022年度末に制定されました。当事者である子どもの意見など、多くの市民の意見を生かした制度の運営に期待をしております。昨年度も申し上げましたが、子どもへの対応で、教職員の方も今後時間が取られると思いますので、教育予算の増額など、体制整備に当たっていただきたいと思います。
不登校対策です。不登校の児童生徒の数は、昨年度で小学生が106人、中学生は151人と、前年より大きく増えて、ここ5年間で2倍以上になっています。不登校の子どもの居場所が学校だけではないことをさらに周知して、義務教育段階の子どもへの経済的支援の導入については考えていただきたいと思います。
インクルーシブ教育です。子どもが通常学級を選択できるインクルーシブな教育が必要です。特別支援学級の子どもたちも、中学校に入学した場合に、送迎の手段を行政としても確保できるように、御尽力をお願い申し上げます。
給食に関しては、昨年、今年と、予算要望でも無償化を主張いたしました。全国でも制度導入に踏み切る自治体も増えており、これは物価高騰対策にもなります。行政も積極的な方向だと私は受け止めておりますので、実現を大いに期待しております。
食の安全について申し上げます。武蔵野市の安全でおいしい給食は高く評価をされております。有機フッ素化合物(PFAS)をめぐる報道もありますので、PFASや放射能、残留農薬等、健康への影響が出ないよう、今後とも食材選定に臨んでいただきたいと思います。
最後に、特別会計、事業会計について申し述べます。
国民健康保険に関しては、財政健全化計画という名前での負担増には賛成できないということと、現在の医療保険制度そのものの見直しの必要を訴えてまいりました。
水道事業に関して言えば、東京都との一元化の計画は、その後、東京都が民営化する可能性を私としては払拭できませんので、極めて慎重に当たっていただきたいと思います。物価高騰対策ともなりますが、水道料金、基本料金部分を当面無償化することは可能ではないかと考えておりますので、これも御検討をお願いいたします。
以上、幾つか評価と課題を述べてまいりました。
最後に、繰り返しになりますが、今ある基金なども活用していただいて、市で決定できる税金や社会保険料等の減免も含め、困窮者への支援の強化、そして、様々な差別に対して解消に向けた取組を強化していただくことを最後に要望しておきたいと思います。
今回の決算審査に当たられました全ての職員の皆様、関係者の皆様に感謝を申し上げまして、私の認定賛成の討論といたします。
(21番 本間まさよ君 登壇)(拍手)