令和5年第3回定例会

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小林まさよし
小林まさよし
会派に属さない議員現職

映像ID: 2570

6290◯9 番(小林まさよし君)  自由民主・市民クラブを代表して、令和5年度全ての会計に賛成の立場で討論いたします。
 令和4年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大の波が繰り返される中、ウクライナに対する軍事侵攻、円安、金利上昇などの金融市場の変化、人手不足、また、原材料やエネルギー等の価格高騰など、社会情勢の変化が著しく、市民生活、市政運営に大きな影響を及ぼした1年であった。令和4年度決算について、会派内では不認定を検討する声も多くありましたが、コロナ禍の影響やロシアによるウクライナ軍事侵攻などの社会情勢、想定以上の急激な変化など混乱があったこと、そして、副市長から、入札が難しい状況にあるという率直な問題意識を決算委員会の場で発言いただいたことに敬意を表し、今後、武蔵野市政が、隠し事なく、そして議会と問題意識を共有し、武蔵野市民の最善の利益を追求するための市政運営が行われることを強く期待して、認定することといたしました。
 しかしながら、令和4年度の決算において、不認定に足る事業は複数あった。
 1つが、一中の入札不調になったことである。予算だけではなく、工期についても見誤りがあり、児童生徒、保護者、そして市民生活に影響を与えることになった。児童生徒を含める関係者に対して、丁寧にその影響を周知することを求める。また、この教訓を、今後の学校改築計画だけではなく、市の公共施設再整備計画に生かしてもらいたい。
 2つ目が、東町1丁目市有地利活用事業の入札不調である。会派として、事業コンセプト、事業内容などの問題点を指摘してきた。この事業の今後の展開については、事業コンセプトにこだわることなく、しっかりと地元の住民の方の意見を聴いて、前に進めていただけるようにしてもらいたい。
 3つ目が、吉祥寺本町1丁目27街区の土地を購入した件である。不整形にもかかわらず、正常価格に4%の価値を加えて限定価格で評価したことについて、本来、収益還元法による定量的な裏づけを取って検証しなければならないところ、裏づけがないまま、また、1者鑑定で土地を購入したのである。正常価格の4%となる2,370万を加えて土地を購入したことは、必要以上に多額の税金を投入した、このように考えられる。ガバナンス強化、法令遵守の徹底を図り、このような状況が二度と生み出されることがないようにお願いしたい。
 これらの事業以外にも指摘しておきたい問題は数多くあった。意見と提言を申し上げます。
 最初に苦言を呈したいのは、内部統制、ガバナンスの問題である。委員会においては、駐輪場関連において確認された法令遵守の問題、文書管理の問題を取り上げたが、これに加えて、決算委員会では、委員からの指摘によって様々な資料における数値の誤りが発覚した。さらに、市職員がそれぞれの担当となる専門の事業について、委員から説明を求められても即座に回答することができない場面も多く見受けられた。委員は、限られた時間内でできるだけ多くの資料に目を通し、市民福祉の向上のために委員会に臨んでいる。理事者を筆頭に、強い問題意識を持って、市職員の決算における事務執行の意識を高めるように指導願いたい。我々としては、このような法令遵守、ガバナンス、財務報告の信頼性が不十分であるという内部統制の不備を改善するためには、武蔵野市には内部統制制度導入が不可欠であると評価せざるを得ない。執行部には、研究ではなく早急な対応をお願いしたい。
 武蔵野市は、三鷹市と比較すると1年間当たり市税収入において120億円も財政的に余裕があって、市政運営ができる豊かな自治体である。財政力において日本一と表現しても過言ではない。そして、市税収入は担税力のある市民に支えられ、増収が続いていることが確認されている。一方、武蔵野市の令和4年度の751億円の歳出の状況を見ると、天下り先を含めた外郭団体への委託費を含めた物件費が毎年3億円以上の規模で右肩上がりに増加し続ける一方で、災害危機に強いまちづくりのための防災対策関連事業には、年間2.5億円程度、まちづくりとして、吉祥寺駅周辺開発事業には年間2,000万円程度、商工費では、くらし地域応援券を除くと6億円程度しか支出されていない。防災対策関連事業、くらし地域応援券を除いた商工費、吉祥寺駅周辺開発事業の総事業費は約9億円で、歳出総額に対して僅か1.2%のみの支出となっている。金額だけで評価するものではないとはいえ、松下市長が就任した後の平成30年度におけるこれらの総事業費は約10億円であり、令和4年度は、平成30年度対比で1億円以上減少しているのである。
 住民投票条例などのイデオロギーに基づく政策には、市職員の労働力やかかる事業費は積極的に投入されているが、この支出状況からは、市民が最も要望している災害危機に強いまちづくり、そして、武蔵野市の活性化事業は後回しにされると見受けられる。多額の税金をお支払いいただいている市民が、このような歳出の状況を認識したら、どのように考えるのだろうか。昨今のインフレが高コスト化にある武蔵野市の財政に与える影響も大きい。事務事業を厳しく見直し、物件費の増加は抑制すべく対応し、市民の安全・安心につながる事業や、市の発展、魅力向上につながる事業への投資を増やすように強く要望する。市民ニーズに応えていただきたい。
 次に、公共施設再整備に関してである。令和4年度は、学校改築を推進するための事業を進めたが、一中の入札は不調となった。令和5年8月に一中の再入札が行われて落札されたが、予算は当初予算の1.3倍以上となったことが確認されている。第2期公共施設等再整備計画における総事業費は約3,000億円であるが、1.3倍となると、単純計算では900億円の財政的な負担が増えることになる。社会状況に大きな変化がある中、このまま学校改築や保健センターの増築計画を推進するべきだろうか。特に、二中と六中の統廃合の議論をコスト目的で進めようとしているときに、4,500平米で当初予算の1.3倍では52億円と試算される保健センターの増築を、このまま進めるのではなく、再検討が必要ではないかということを指摘しておきたい。最適化の議論も十分ではないと認識している。
 公共施設の再整備については、設置義務のある学校改築は最優先課題といえるが、この非常時においては、一刻を争わない事業について、計画推進を見合わせて再検討をするのが望ましい、このように考える。
 現在の武蔵野市の将来人口推計は、14万8,000人の人口が2049年に16万人、8%増加するという見通しである。一方、隣の三鷹市の将来人口推計は、現在の人口が2049年に1%増加にとどまるというものである。算出方法は、同じコーホート要因法である。現在の市の推計値に懐疑的だという意見は多くの市民から届いているが、もし武蔵野市が三鷹市と同様に1%程度しか人口が増えなかったらどうなるのだろうか。税収が減少することになる一方で、コストは同じように減ることにはならない。財政的な負担増から、現在の将来人口推計値に基づき想定している社会保障などのサービスが提供できなくなる懸念がある。また、状況によっては、想定より多くの財政負担を30年後の市民である次世代に求めることになってしまう、このような懸念も生じている。現在の推計値よりも人口推移が下回った場合の影響を示せるのは、武蔵野市のみである。市は、武蔵野市民に対して、現在の将来人口推計の見通しを下回った場合の影響を説明する責任があると考える。松下市長には、問題意識を持って説明責任を果たしていただきたい。強く要望する。
 ふるさと納税については、令和4年度の税収減少は11億4,300万円の影響となり、令和3年度の9億1,300万円から2.3億円程度増えた。令和5年度は13億円を超えるという見通しであり、年々増加する傾向にある。このことについて、委員会での執行部の答弁は、寄付をできる所得の高い方が多いこと、そして、制度の問題であるということが答弁としてあったものの、市には責任があるというような発言は感じられなかった。問題意識としてそれでよいのか。市民生活に直結するまちづくりの政策を後回しにする現状について、市への不満がふるさと納税の市税の流出をもたらしている可能性はないのか。また、市に対するふるさと応援寄附は3,568万円と伸び悩む状況であるが、市の魅力的な返礼品の調査、商品開発、市の豊富なコンテンツの活用、積極的な市の魅力のPRは十分行われたのか。執行部には、このような問題意識を強く持ち、市民がふるさと納税よりも市に納税したいという魅力あるまちづくり、武蔵野市民の最善の利益を追求する政策を推進していただきたい。
 武蔵野市立0123施設の4・5歳児受入れについて言及したい。施設の設計コンセプトは、ゼロから3歳児の利用を前提としたものであり、4・5歳児が利用することはなじまなく、また、事故の発生も懸念される。4・5歳児の本格使用については反対という意見をお伝えしたい。
 市長が、税金が不正に使われている事実を重く受け止めと言うコスモズの補助金不正受給問題について、2,834万円の返還命令をしたというが、報告のあった資料だけでは、その正確性について確認することができない。コスモズが正式な見積りができないと言っていた問題である。なぜ急に返還額が確定したのかについて、強い疑問が残る。返還額については、議員全員で確認する必要があると考える。この金額について根拠となる資料を提示するとともに、全議員への説明を行うことを強く要望する。
 最後に、委員会にて、道場委員が市長に対して、委員会での居眠りを心配することがあった。万一にも居眠りをしていたら言語道断だが、市長には、議案の提出者として、強い緊張感を持って、議会、委員会に臨んでいただきたい。
 以上、令和4年度における問題点について指摘し、対策として要望、提言した。市政運営に当たっては、市関係者には、これまで以上に強い問題意識を持ち、問題を隠すことなく議会と共有し、武蔵野市民の最善の利益を追求するように心がけていただきたい。
 今回の決算、認定することとしましたが、今後の大きな変化を期待します。変化がなかった場合、これまで以上に厳しい追及や評価をせざるを得ないことをお伝えしたい。
 今回の決算審査審議に当たって御尽力いただきました職員の皆様には、心から感謝を申し上げます。
 以上をもって令和4年度武蔵野市決算の認定に対する討論といたします。

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