令和5年第3回定例会

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川名ゆうじ
川名ゆうじ
立憲民主ネット現職

映像ID: 2570

6289◯25番(川名ゆうじ君)  それでは、立憲民主ネットを代表し、令和4年度全ての決算を認定、委員長報告に賛成の討論をいたします。
 令和4年度は、当初予算を「誰もが安心して暮らし続けられるまちへ くらしと地域を守り育む予算」と位置づけられると同時に、令和2年度から令和11年度を計画期間とする第六期長期計画の3年目、調整計画へとつながる大切な年度でもありました。しかし、新型コロナウイルス感染症による社会的な影響が多く、決算資料によれば、縮小、中止、延期した事業費は約1億円となる影響がありました。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻を発端とした社会の変化、物品や人件費の高騰などによる工事費の高騰、入札の不調など、予期せぬ事態もあった年度でもありました。
 このような状況で、財政力指数を確認しますと、3年間の平均の財政力指数は前年度と同じ1.484、単年度では1.517と、前年比0.103ポイント増で、多摩26市では最も高く、公債費負担率は2.6で、前年度より0.2ポイント低下し、これも多摩26市では最も少ない数値となっています。経常収支比率は81.2%で、前年よりも3ポイント低下しているように、財政面で見れば、極めて優秀な年度となっていました。これは、単年度だけの努力ではなく、長年の努力のたまものと評価をいたします。
 歳入は、コロナ禍であり、減るのではないかと予想していましたが、武蔵野市の歳入の根幹である個人市民税、法人市民税、固定資産税が前年比約32億円、8%増加となったように、堅実でありました。
 一方で、ふるさと納税による税の流出額は約11億4,300万円と、看過できない額となっています。ふるさと納税による歳入は約3,600万円と、流出額が大幅に多く、住民福祉向上のための費用が少なくなっているとも言えます。ふるさと納税による歳入は、前年比で約1,300万円が増えており、評価をしますが、さらなる努力が必要と言えます。そもそもで言えば、制度自体の廃止、見直しが必要であり、国政へと市から提言をしていくことが必要です。
 改めて市民の皆様の担税力に感謝をするとともに、税金を納めていただいている以上、効率的、効果的に支出をしなければなりません。そのために、議会としての監視、評価、改善の提言、政策実現が必要と改めて認識をいたしました。
 それでは、市民生活に最も密接に影響が出る歳出面について、以下、意見と提言を述べさせていただきます。
 まず、決算審査では、令和4年度一般会計予算に対してつけられた付帯決議についてどのように対応したのか、確認をさせていただきました。付帯決議は、保健センター及び子どもと子育て支援施設の今後の在り方について、早急な大規模改修が必要であるが、事業の在り方については精査を行い検討する必要があること、専門的知見の活用を含めた検討を重ねるとともに、基本設計の予算執行に当たっては、基本計画案の議会への報告など議論を尽くす場を求めるという内容でした。この予算審議を行う前には、公共施設の管理を行う総務委員会への行政報告だけで、保健センターを所管する厚生委員会、子ども支援施設を所管する文教委員会に報告がなく事業を進めようとしていたことから、当時の副市長、正副議長で協議の上、所管する3委員会に行政報告も行い、議論を重ねてきた経過があります。その後に、令和4年度予算審査となり、この付帯決議がついたことは、伝わる情報とは何か、情報共有とはどのようにしていけばいいのかが問われたことにもなります。この決議を経て、全員協議会を2回開会するなど異例の対応を行い、保健センター及び子どもと子育て支援施設の事業が進められていることを考えれば、決算資料に何ら記載されていないことには疑問を持ちます。今後の改善を提案いたします。
 それでは、審査内容と各款ごとに意見と提案を述べさせていただきます。
 まず、監査委員審査意見と人件費、総括です。監査委員審査意見については、毎年のことでもありますが、市長部局だけではなく、教育委員会も含めて詳細にわたり監査をされていること、ほかの自治体と比較しても、内容を高く評価をしたいと思います。今後は、決算審査に当たって当該年度の監査計画を示すことで、より業務の内容への理解が市民へ伝わると考えます。代表監査委員、議選監査委員、それぞれに視点は異なると思いますし、合議制の組織ではないと考えますので、それぞれに持ち出しを出しての監査意見を記してもいいのではないでしょうか。今後の参考にしていただければと考えます。
 総括としては、令和4年度は、ウクライナ侵攻以降の物価高騰など様々な困難の中、子どもの権利条例制定に向けて、多岐にわたるきめ細やかな取組、特に子どもたちの声を聴き取る努力を重ねたこと、気候市民会議への果敢な取組を評価いたします。今後も多くの市民の意見を聴く、特に子どもたちの意見を大切にするよう提案をいたします。
 人件費については、職員の残業が、経年変化を見ると削減が進められたとはいえ、26市と比較すると多い実態がありました。コロナ禍であり、単純に比較はできませんが、削減していく努力も今後続けていかれるよう提案をいたします。また、若い世代の早期の転職が多い社会的な傾向があり、武蔵野市の職員でも同じ傾向がないかを質問いたしました。世代間の意識が異なることもありますので、前向きに仕事を続けていける対応策をさらに行うことを提案させていただきます。
 次に、総務費です。令和4年度予算に行政評価の導入が掲げられたこと、令和2年4月に施行された自治基本条例の第28条には行政評価があることから、必要性、効率性、有効性の観点から評価を行い、予算の執行額だけではなく、執行したことにより、どのように市民福祉に結びつくのかの成果、アウトカムに着目して款ごとに審査をさせていただきました。現在策定中の調整計画で一定の反映はされていますが、毎年度の決算で、事務事業だけではなく、施策体系での評価、政策レベルでの評価も行うことが必要と改めて思いました。評価するための指標をどのように設定するのか、課題になりますが、自治基本条例に書かれている以上、今後もさらに取組を続け、決算でも本来の成果を示していくことを提案いたします。現状では、予算を執行したことにより何がどうなったのか、本来の成果の記載がありません。今後の改善を提案いたします。
 次に、CIO補佐官を任用し、本市のDXの全体マネジメントへの支援、デジタル化推進アドバイザー業務にてICT導入の妥当性評価や利活用の支援を実施しましたと、資料には書かれていました。予算審査時では、実際に成果が出せるのか不安に思えていましたが、書かない窓口の実現などに成果が出ているとの説明がありました。ほかの分野も含めてさらに助言をいただき、デジタル技術による庁内業務の効率化をより進めていただくよう提案をいたします。
 パートナーシップ制度が開始され、17組が制度を利用したことや、想定をやや上回る件数であったことは確認ができました。
 昨年来報道が続いている芸能事務所による性被害の問題で、性暴力被害者は女子だけではないことと捉え直す必要があります。第五次男女平等推進計画策定に合わせ、性によらず権利が守られる施策を一層強めること、また、ファミリーシップ制度に取り組むことも提案をいたします。
 次に、令和4年2月から試行運用を行い、令和4年5月から本格運用を開始したコミュニティセンターのWi−Fi運用について、成果を確認しました。利用者には好評と判断をしますが、使用できることにより、本来の目的である地域社会と市民活動の活性化にどのように効果があったのか、明確な答弁はありませんでした。また、令和4年度予算参考資料には、Wi−Fi環境を効果的に活用し、地域におけるオンラインの取組を支援し、市民活動の継続、発展を図ると書かれていますが、決算資料には、この事業の項目も書かれていませんでした。この項目だけではありませんが、予算は熱心に説明をしても、決算では書かれていない事例があります。使ってしまったから関心がないのでは、決算を審査し、これからの事業執行、次年度予算に反映していく決算審査の目的も果たせなくなってしまいますので、今後の改善を提案いたします。Wi−Fiは、今やあって当たり前で、インフラとも言えます。設置することを目的とするのではなく、市民活動へどのような効果があったのかの検証、さらには、日進月歩で進む技術革新に応じた設置を今後も進めていくよう提案をいたします。
 次に、民生費です。
 市立保育園に給食・食育振興財団から職員を派遣するに当たり、人員配置、単価などで食の質を保つ方向性が確認できました。その根拠ともなっている武蔵野市保育のガイドラインは、現在、改定案への意見を募集中です。株式会社コスモズによる補助金不正受給事件により、保育の質は、現場での活動のみならず、運営側の質にも注視しなくてはならないことが分かりました。今後のガイドラインの見直しの際に、その視点を考慮することを提案いたします。
 2018年にスタートした地域包括ケア人材育成センターの特徴的な取組として、プロジェクト若ばの現状を質問いたしました。福祉の仕事をするなら武蔵野市で、離職を減らし定着を促す取組や、介護職・看護職Reスタート支援事業などを今後もさらに活用し、2025年問題に向けて、福祉人材の確保、継続的に働ける環境確保に努めることを提案いたします。
 養育費確保支援事業は、予算に対しての執行率が少なく、市民への支援になるのか疑問でしたが、言わばセーフティネットとしての役割として位置づけられていることを質疑の中で確認をいたしました。本来はこのような事業がないことがよいとは言えますけれども、予算額の算定を再考し、今後も継続的に続けていくよう提案をいたします。
 次に、保育士・幼稚園教諭などへの処遇改善事業については、支援をしていることは評価をしますが、国が想定している配置基準よりも多くの人材が幼稚園や保育園には必要であり、全員に行き渡っているのかの疑問が残ります。また、2000年に認可保育園への営利企業の参入が認められた際、委託費の弾力運用が大幅に規制緩和され、人件費は人件費に使わず、事業や管理費への流用が可能となっています。雇用の改善につながっているのか、働き続けられる状況にあるのかの視点も持ち、支援を今後も続けていかれるよう提案をいたします。
 次に、学童クラブの第三者評価です。おおむね高い評価と受け取りました。しかし、保護者の苦情や意見を受け付ける窓口は特に設置されていない、苦情解決のための仕組みを確立し、保護者に周知していくことを期待するとの指摘に対する対応が現状ではありません。保護者へ第三者評価の内容を伝え、保育の中身の共有化をしていくことを提案いたします。
 いきいきサロン事業では、資料に書かれていた多世代交流プログラムの実施回数2回、対象者数4人であった理由を確認したところ、掲載の数字が間違っていることが分かりました。これでは審査が難しくなります。人間には誰しも間違いはありますが、なぜこのようなことが起きるのか。業務の改善、資料作成の手順などを見直すことを提案いたします。
 次に、衛生費では、境南ふれあい公園のトイレについて、現状を確認しました。予算審査時では、費用が高い、店の正面に設置するのでは営業妨害だなどの批判がありましたが、現状を確認したところ、利用率は増えていて、好評であり、苦情や批判はないこと、メディアの取材があったこと、建設に当たって約4,000万円の東京都補助金を得ており、実際の費用はかなり下がっていることも分かりました。今後も清掃などの管理には十分留意し、市民が使いやすいよう運用を行うことを提案いたします。
 次に、地域における要支援動物の相談支援体制構築モデル事業です。令和4年度の実績数が少ないとはいえ、今後はペットの多頭飼育や飼い主の高齢化などによる飼育困難は増えると想定され、必要な事業と言えます。今後の継続的な取組をしていくべきですが、持続可能性を考えると、ボランティアに頼る構造は変えていくべきです。必要な事業費、支援策を拡充するよう提案をいたします。
 商工費では、アンテナショップ事業麦わら帽子について確認をいたしました。これまでの努力は認めますが、一向に経営の改善が見られません。店舗販売という形式がこれからの時代に合っているのか、地元商業の活性化という目的を果たしているのかを考えると、このままで事業を続けることは難しいと判断をしています。一般消費者だけではなく、飲食店などへの卸、いわゆるBtoBや飲食も行うなど、改善策が必要と考えております。十分検討していただくよう提案をいたします。
 土木費では、「未来へ育て!苗木すくすく大木計画」事業について確認をしました。毎年500本程度の苗木を配布していますので、すくすく育っていれば、今頃は市内に大木が増えていることになります。しかし、その様相は見受けることができません。苗木を配布することが目的化されていることになります。配布は必要と考えますが、何のために行っているのか、配布した後にどのようになっているのか、事業成果の見直しを提案いたします。
 次に、教育費です。保護者から要望のあった中学校の通級学級へのバス通学について、多くの委員から質問がありました。今回請求した資料で、小学校の通級学級でも実施していない自治体があることが分かり、武蔵野市がなぜ行っているのか、その経過や理由についてさらに調べることが必要であることも分かりました。生徒が公共交通機関を使えるようになることは重要ですが、3月に小学校を卒業して、4月にいきなり公共交通機関を全ての通級学級に通う生徒が対応できるとは思えません。個人差もありますし、新たに設置が予定されている五中のバス路線には課題があります。児童生徒一人一人への合理的な配慮が必要です。この合理的配慮については、答弁でも示されていましたので、個々に対応ができるよう配慮していくことを提案いたします。
 令和4年度の都立高入試で行われたスピーキングテスト、ESAT−Jには多くの課題が指摘され、事業者が撤退し、新たな事業者で今年度は実施されるなど、事業自体に疑問が残ります。何よりも、授業への反映ができないことや、機械との対話となり、本来の目的であるコミュニケーションに役立つかの課題もあります。市教育委員会としての対応には限りがあるとは思いますが、本来の目的を達成できるよう、市教育委員会としての取組を期待いたします。
 武蔵野市の学校給食については、質について保護者の皆さんや地域の方に知っていただくための試食会、4年度は再開できていることを確認しました。民間給食事業者の自己破産により給食提供ができないニュースを聞くと、武蔵野市の学校給食が、物価高騰に見舞われても不確実性から逃れていることの価値を痛感します。今後もよりよい、質を重視した給食の提供に努めることを提案します。
 また、学校給食施設の工事内容と改修工事期間について資料請求をしました。確かに、夏休み期間中に改修が多いことは理解をしましたが、学童保育や不登校児童生徒への対応、高齢者など、給食があればと願う意見は少なくありません。他市ができて武蔵野市ができないということはあってはならないと考えます。給食・食育振興財団の新たな事業となるかもしれません。今後、前向きに検討されることを提案いたします。
 次に、特別会計、企業会計です。
 国民健康保険では、被保険者数が減少する一方で、1人当たりの費用が増えている傾向があります。さらに昨今では、高額レセプトの件数が増え、健保連でさえ4割が赤字となる状況です。国保の今後に危機感を感じます。これは自治体だけでは解決できることではありません。診療報酬の改定も近くありますので、持続可能セーフティネットとしての国保を維持できるよう、国が責任を持って取り組むことが必要であり、基礎自治体からも国へ意見を出すよう提案をいたします。
 次に、水道会計です。衛生費でも確認しましたが、3年前から明らかになったPFAS汚染の状況を、飲み水となる水道で的確に把握することを求めてきました。昨年度、2回目となる井戸ごとの検査を実施して公表したことは評価をいたします。地下水を市民の財産、資源と捉え、雨水利活用条例を制定し、水循環の観点で地下水保全を進めてきたことを踏まえ、災害時用井戸、民間井戸を含めた武蔵野市の地下水利用の全体像を資料請求で確認をしています。井戸ごとの検査の頻度を増やす、災害用井戸への逆浸透膜式浄水器設置など、今年度の取組を踏まえ、今後も市民生活の基盤となる水の安全確保に一層努めることを提案いたします。
 最後に、国内の経済情勢や、優良な技術者の奪い合いになっている現状を踏まえ、今後も入札不調の可能性がゼロでないことは確認をしました。事前のサウンディング調査、適正な価格設定を丁寧に行う努力を求めますが、官製談合、癒着と疑われることがあってはなりません。早め早めの情報収集に努め、入札不良を回避できるよう事業期間に余裕を持たせるなど、一層の取組を提案いたします。また、不調となったとき、第2、第3の方策についても検討し、市民生活への影響を最小限にできるよう、職員の皆様の御尽力を期待いたします。
 令和4年度は、コロナ禍、ワクチン接種事業、物価高騰など先の見えない年度であり、この状況で日々奮闘してきた理事者、職員の皆様の健康状態も懸念された年度でありました。今後も十分休息を取り、ゆとりのあるペースで的確に業務を進めてくださるよう提案し、関係者全ての皆さんに市民を代表して感謝を申し上げ、賛成の討論といたします。
             (9 番 小林まさよし君 登壇)(拍手)

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