
蔵野恵美子
映像ID: 2604
認知症初期段階における支援の重要性等について
・認知症初期段階における支援の重要性について
・市民活動団体のホームページサポートについて
・介護保険の基本指針に盛り込まれる、ヤングケアラー支援の展望について
6532◯15番(蔵野恵美子君) 蔵野恵美子でございます。本日最初で最後の一般質問をさせていただきます。今回の質問は大きく3点です。1項目めは、認知症初期段階における支援の重要性について、2項目めは、市民活動団体のホームページサポートについて、3項目めは、介護保険の基本指針に盛り込まれる、ヤングケアラー支援の展望についてでございます。
まず、認知症初期段階における支援の重要性について伺います。
今年10月の厚生委員会視察において、京都府宇治市の「認知症の人にやさしいまち・うじ」宣言の取組について伺いました。現在、宇治市の人口は約17万5,000人、本市人口約15万人と比較的近い自治体ですが、本市の高齢化率21%に対し、宇治市の高齢化率は30%であり、認知症対策は喫緊の課題となっています。2001年度に認知症予防教室を開始して以降、2008年度には認知症地域支援団体構築モデル事業を京都府から受託、2011年には京都府立洛南病院に認知症疾患医療センターを設置、2013年には認知症初期集中支援事業設置促進モデル事業を国から受託、2014年に「認知症の人にやさしいまち・うじ」を宣言し、2018年には京都認知症総合センターが竣工され、現在に至っています。
認知症に関する支援体制が一定整備されている中で、特徴的であるのは、認知症初期段階における支援の徹底であると感じました。各支援の名称に「れもん」という文言を入れて、イメージカラーにレモン色を用いられていますが、そこには、認知症のシンボルカラーのオレンジ色の前の段階のレモン色、つまり認知症の初期段階を意味しているのだそうです。認知症の発症前や発症して症状が進行していく段階に応じた、本人や家族に必要な支援サービスを例示し、支援の流れに沿いながら、自分らしく生きるための道しるべをれもんパスと名づけています。また、後の質問でも紹介します認知症アクションアライアンスの名称、レモンエイドから発生した名称、れもねいどにもレモンが使われています。
認知症の原因となる疾患として一番多く、67.6%を占めると言われているアルツハイマー型認知症の進行段階は、一般的に以下4段階として示されています。段階1、軽度認知障害──以下、MCIと呼びます──の段階。この段階では、日常生活に支障はないが、本人も周囲が物忘れに気づく時期。段階2、軽度。この段階で日常生活で本人が困ることが出てくる時期です。段階3、中等度。目が離せない場面が多く、何らかの介助が必要となる時期。段階4、重度。日常生活全般で介助が必要となる時期と分類されます。
従来の一般的な支援は、日常の困り事が自他ともに認識される第2、第3段階の軽度、中等度からの支援でありましたが、宇治市の取組では、日常生活に支障が出ない第1段階でのMCIからの支援にも力を入れており、その段階での支援の徹底とその重要性について改めて感銘を受け、以下取組を紹介しながら、幾つか質問をいたします。
1、本市では、早期に適切な医療、介護等が受けられるよう、専門職で構成された認知症初期集中支援チーム員が、認知症の疑いのある方、または認知症の方やその家族を訪問し、認知症に関する情報提供、医療機関への受診や介護保険サービス利用の推奨、助言等を行っていますが、認知症の疑いがあると連絡されるのは、認知症の疑いのある本人とどういった関係の方が多いか、過去5年間の連絡件数と、連絡者の属性と、それぞれのおおむねの割合を伺います。
なお、ここで言う初期支援の初期とは、さきに述べた4段階の第1段階を指すのではなく、おおむね第2段階以降での症状に対する初期対応の初期の意味であることを申し述べておきます。
2、宇治市では、認知症アクションアライアンス(認知症行動同盟)として、れもねいど事業を展開しています。これまでの専門的ケア分野での連携に加え、市民や様々な業種の事業者が幅広く参加し、認知症と思われる方の情報提供や積極的な声がけ、活動の場の提供、お茶摘みや農作業などの就労の場の提供など、具体的な支援や生きがい活動につなげています。現在登録団体は83団体、まちぐるみの支援の輪をつくっています。
以上のような専門分野の方以外での取組について、本市の取組の現状と展望について伺います。
3、宇治市の平等院鳳凰堂から由来する名称の認知症カフェ「カフェほうおう」では、認知症初期支援プログラムとして、様々な音楽、マージャン、スポーツ、カラオケなどの活動の機会を提供し、初期のうちにしかできない交流、仲間づくりを支援し、認知症がある程度進行しても輪に溶け込めるような、事前の生きがいづくりに力を入れています。初期段階にスポットを当てた活動の機会提供について、本市の取組の現状と展望について伺います。
4、認知症初期段階における支援の重要性が認識されている一方、一般の人が初期の段階で認知症かどうか見分けることは非常に難しいという現実もあります。令和5年度における東京都の認知症施策では、認知症とともに暮らす地域あんしん事業として、早期の診断・対応の推進事業があります。
それを受けて小金井市では、70歳から79歳までの方全員に、もの忘れ予防検診を実施しています。対象者全員に郵送される検診問診票、自分でできる認知症のチェックリストを実施し、検診問診票の点数が20点以上で、かつもの忘れ予防検診を希望される方は、検診実施医療機関での受診が無料となっています。
名古屋市では、2020年1月からもの忘れ検診を開始し、認知症と診断されていない65歳以上の市民を対象に、年に1回、市内の協力医療機関で認知症を調べる簡易テストを無料で受けられるようにしました。その結果、今年3月までに検診を受けた約2万5,600人、受診率約1%ですが、そのうち約27%の6,900人が精密検査を必要とされ、約1,900名が実際に検査を受け、そのうち約60%が認知症、27%が前段階の軽度認知症と診断されました。精密検査の費用が自己負担で、対象者の7割が受けていないことから、今年4月より精密検査の費用も全額助成する制度をスタートしました。
本市においても同程度の割合での対象者が潜在していると思われますが、検診と精密検査の実施と費用助成をすることで、症状の早期発見につながると考えますが、見解を伺います。
次に、大きく2項目め、市民活動団体のホームページサポートについて伺います。
厚生委員会で9月にお話を伺ったある市民活動の会より、会の高齢化により、その存続が難しくなっている。会報誌を定期的に発行はしているが、配布にも限界がある。また支援を必要としている方に広く存在を知っていただくには、ホームページ作成が必要であることは分かっているが、なかなかできない。サイト事業者に依頼するには高額である。ページを作成しても更新が大変そうなどのお話がありました。
一方、同時に参加されていた、他自治体で同様の活動をされている市民団体のお話では、ボランティアの若者の中にたまたまウェブ関係が得意な方がいるので、更新も比較的タイムリーにでき、若年層の会員やボランティアも増えているとのお話でありました。
持続可能な市民活動推進のためにも、たまたまできる方がいれば発信が可能という状況から、恒常的に発信できる環境が望ましく、それを支える支援が必要であると考えます。更新が大変ということもありますので、まずは会報誌の掲載だけでもできるような簡単なウェブページをつくり、市の関連するページにリンクをつけるということも有効ではないかと考えます。ホームページサポートはこれからの市民活動推進に不可欠な支援と考え、以下伺います。
1、現在、本市が行っている市民活動団体へのホームページサポートについて。1、支援の内容、2、支援の周知、3、支援実績数について伺います。
2、団体の高齢化で後継者問題がある中、団体活動を紹介するインターネットサイトの必要性は高いと考えます。またサイトの閲覧に伴い、団体だけでなく、その団体の活動を必要としている市民がつながる有効な支援策と考えますが、見解を伺います。
3、同様のサポートを行っている他自治体の取組について、実施している自治体名、支援内容について伺います。市民活動推進の一環としてホームページサポートを行っている自治体は存在すると思われますが、継続的な支援事業を行っている自治体の取組事例が見当たりませんでした。
例えば京都市伏見区の取組として、先着3団体に、市民活動、地域団体のウェブサイトを大学生が無料で作成するという、伏見いきいき市民活動センターと学生団体PROJECT.Fとのコラボ事業の募集宣伝など、対象者や期間を限定した作成サポートや、短期学習会などの宣伝案内をしている自治体の事例は見つけることができました。そこで、恒常的な支援を実施している自治体について把握されているか伺います。
最後に大きく3項目めとしまして、介護保険の基本指針に盛り込まれる、ヤングケアラー支援の展望について伺います。
厚生労働省は来年度、家族を介護する若者、ヤングケアラーへの支援強化に乗り出すことを発表しました。介護保険事業の方向性を決める新たな基本指針に盛り込むことで、介護保険の実施主体である市区町村が、介護サービスを実施するための事業計画に支援方針をそれぞれ反映させ、地域での相談体制を拡充することが期待されています。それに伴う本市のヤングケアラー支援の展望について、以下伺います。
1、1年前の2022年12月定例会において、ヤングケアラーへの認識と支援について一般質問を行いました。支援内容としては、2021年度はヤングケアラーに関する職員研修を実施し、2022年度はヤングケアラーである子どもに関わる可能性がある支援者に対し、支援につなげるための研修等を実施するとの答弁であり、研修にとどまる印象でありました。そこで、研修実施の成果とその後の支援の進捗について伺います。
2、ヤングケアラー支援が介護保険の基本指針に盛り込まれることにより、介護サービスの一環としてヤングケアラー支援が組み込まれ、地域での相談体制が拡充されると言われていますが、本市での現状での展望を伺います。
今年度7月の社会保障審議会介護保険部会での資料として示された基本指針案を拝見しますと、認知症高齢者の家族、ヤングケアラーなど、家族介護者支援に取り組むことが重要である、また、地域包括支援センターは、重層的支援体制整備事業において属性や世代を問わない包括的な相談支援を担うことが期待されていることも踏まえ、障害分野や児童福祉分野など他分野と連携促進を図っていくことが重要であるとの文言が加えられています。また、全世代型社会保障の構築を進める観点から、ヤングケアラーも含めた家族における介護の負担軽減のための取組を進めることが重要であるとの記載も追加されています。
これらの文言から、地域包括支援センターを中心に、分野を横断した包括的な支援と介護を担う全世代の家族支援の充実が図られるものと思われますが、介護を受ける方への支援に特化している現在の介護保険制度の仕組みの範囲で、ヤングケアラーやその他家族等への支援とは具体的にどのような内容か、イメージすることが難しくもあります。
そこで具体的に、1、介護保険サービスの中でどのような支援メニューが増えるのか、2、地域での相談体制はどこで誰が担うのか、3、他関連部署との連携はどう変わるのか等、伺います。
以上で壇上での質問とさせていただきます。よろしく御答弁をお願いいたします。