
さこうもみ
映像ID: 2622
6680◯13番(さこうもみ君) 議案第98号 武蔵野市国民健康保険条例の一部を改正する条例に反対、国保税の値上げに反対の立場で討論をいたします。
今回の国保税の改正は、国保の加入者の減少や高齢化等による保険税額の減少、医療の高度化などによる医療費の増額などの影響を踏まえ、国民健康保険事業の財政健全化計画に基づき、所得割率や均等割額の引上げを行うものです。委員長報告にもありましたとおり、過去最大の約2億円の増収となります。国保は、加入者の約7割が所得の低い非正規雇用の労働者や年金生活者で占められているにもかかわらず、国保税がとても高いという構造的な課題を持っています。国保の制度は既に疲労を起こしていると言えると考えます。その原因は、国が支出すべき費用を出さずに、その負担の多くを被保険者である市民に負担をさせ、結果として保険税の値上げを強いていることです。一般会計からの法定外の繰入金も多く、自治体、市民に負担が大きくかかっていると言えます。今回の値上げでは、均等割額の基礎(医療)分が2万7,400円から3万1,000円、後期高齢者支援金等分が1万600円から1万1,300円、介護分が1万2,900円から1万3,600円と、全ての人の均等割額が5,000円の値上げになります。所得割率の引上げも含めると、平均で1人8,000円強の値上げとなります。均等割は収入のない子どもにも税金がかけられていますが、このような形になっているものは国保だけです。会社に雇用されている方の社保では、所得に応じた保険税となるため、家族の人数には関係がありません。均等割は、所得の低い、家族の数が多い家庭には、明らかに大きな負担となっています。未就学児、無収入の方に関しては軽減の措置はあるものの、今回の値上げに伴う軽減措置の拡大などはないことを委員会の質疑で確認をいたしました。今回の値上げに当たっては、純粋に市民の負担金額が増えることになります。
今回、低所得者層の負担を抑え、現役世代の負担を大幅に増やすという選択肢もある中、現役世代の負担を大幅に増やすのではなく、全ての人に少しずつ負担を増やすという選択肢になったということで、現役世代や中間層の負担の大きさについても考慮をいただいていることは評価をいたしますが、一方で、均等割の大幅な増額というのは、やはり低所得者層にとって負担があまりに大き過ぎます。そのどちらかしか選択肢がないのではなく、値上げをしないという選択をすべきだったと考えます。落ち着いてきたとはいえ、まだコロナ禍の影響も続き、貧困や格差は拡大をしています。エネルギー貧困とも言われますが、エネルギー価格の高騰をはじめとした物価高騰により、市民の暮らしは本当に厳しい状況にあります。そのような状況下での今回のような大幅な値上げは、市民にとって大きな負担になることは明白です。
また、低所得者層や中間層の負担増という観点に加え、フリーランスや個人事業主の加入の多い国保の負担が大きくなることは、イノベーションの阻害要因にもなる可能性について、委員会で触れました。企業を辞めてフリーランスとして働く、起業することを目指して、その準備期間として無収入となる、社会課題の解決に取り組むために個人事業主として働くなど、イノベーションや課題解決、地域での仕事づくりにつながるチャレンジをする人たちにとっても、国保の負担が大き過ぎることは一つのハードルになっていると言えるのではないでしょうか。武蔵野市が他自治体よりも負担を低く抑えていること、様々努力を重ねてきていることは理解していますが、このまま値上げを続けていくことは、市民の負担を増やし滞納者を増やす、医療へアクセスできなくなる、受診控えをするなどの深刻な事態を招きかねないと考えます。保険税の産前産後の免除制度の創設には賛成をいたしますが、ただでさえ高額な国保税をこれ以上値上げすることには反対をいたします。
国や都に対しても、国保の制度がセーフティネットとして市民一人一人の命と暮らしを守るという本来の役割を果たすために、値上げを抑える努力をすることを求め、反対の討論といたします。
(3 番 大野あつ子君 登壇)(拍手)