
山本ひとみ
映像ID: 2622
6684◯22番(山本ひとみ君) それでは、ただいま議題となっております議案第98号 武蔵野市国民健康保険条例の一部を改正する条例、私はこの条例に反対の立場でございますので、討論をさせていただきたいと思います。
まず、国民健康保険の持つ構造的な問題ということをお話ししなければならないと私は思います。国民健康保険は、現在だったら、自営業の人、そして、フリーランスの方も含まれますが、非正規雇用の労働者、さらに年金生活者、こうした方が加入している保険でありまして、このような方たちの生活の困窮の度合いは、例えば、今年10月から始まった消費税のインボイス制度や物価の高騰、食料品やエネルギー価格の高騰が中心の物価高騰などにも大きく影響されて、生活の困難さが増していると考えています。加えて、雇用の形態でいっても、例えば、飲食を配達する、そういう仕事も増えていますけれども、それは本来だったら雇用者として企業が責任を持たなければいけないと私は思いますが、そうではなくて、個人営業の形になっている方もいるわけで、こうしたことを考えてみると、国民健康保険という制度に、加入の問題から大きな問題があると私は考えております。
そして、今回の議案について申し上げます。今回の議案の中では、例えば、産前産後免除制度の創設や以前から続いている多子減免制度の継続など、必要であり、評価できる内容もありますが、今回は何よりも大幅な値上げである。困窮する人をさらに苦しめることになりますので、これは本当に賛成できません。具体的に言いますと、所得割、均等割ともに税率を引き上げております。均等割の値上げは、先ほど討論した人も何人もおっしゃっておりましたけれども、これまで合計で5万900円だったものが5万5,900円へ、5,000円も引上げになります。これは赤ちゃんからお年寄りまで、どのような年齢であってもかかる均等割でありますので、多人数の世帯、低所得者に関しては、非常に大きな負担となると私は思います。所得割は基礎分の5.1%を5.62%へ引き上げることになり、さらに課税限度額が、これまで102万円だったものを104万円へと引き上げる、このような内容で、非常に大きな負担増と言わざるを得ません。今回、これによる影響額は、約2億円が増収となる。つまり、2億円税負担が増えるということです。今回、産前産後の免除制度に関して、これは私も評価しておりますが、これは多くても80人から90人程度ということでありますので、その金額と比べますと、負担増のほうが格段に大きいと言わざるを得ない状況だと思います。
さて、そもそもの問題を私は話したいと思います。国民健康保険というのは、雇用している人というか、企業が保険料を出しているわけではありませんので、どうしても社会保険と比べると保険料が高くなってしまいます。それで、武蔵野市も含めて、これまで各自治体が一般会計から繰入れをして、過大な負担を避けるようにしてきました。これに対して、広域化をするのだということで、財政健全化計画を立てて繰入金をなくすというような方向を出した、この計画そのものが、私は間違っていると思います。私は、全国一律の医療保険制度が必要である、つまり、所得がこれぐらいだったらどこで働いていても同じような保険料でなければそもそもおかしいと思います。2年に1回であっても、財政健全化計画に基づいて増額を繰り返していくというのは、結果的には、もう保険料が払えない人、そして差押えだってあるような人を増やしていくことになり、これは国民の命と健康に深刻な影響を与えかねません。無保険状態になる人もいるということを考えなければならないと思います。
以前は、政府は、国民健康保険に関しても、国から援助を強化しておりました。しかし、それがどんどん減っている。国の財政援助が減り続けているということを問題にしなければならないと思います。先ほど繰入れの問題で何人かの方が意見をおっしゃいました。一部の人に対する負担があるのだとか、赤字繰入れという赤字を強調するような意見もありましたけれども、果たしてそうなのですか。そこをよく考えなければならないと思います。税金というのは様々な形で、全体の人に対して税金が出るということばかりではないことは幾つもあるではないですか。ですから、保険料の問題だけを殊さら社会保険を納入している人との対立、分断をあおるような形で、赤字繰入れなのだ、あなたたちが損をしているのだみたいなことを言うのは、これは間違っている、私はそのように思います。先ほど赤字繰入れということを強調した方はぜひその点を考えていただきたいと思います。社会保険の制度、それと別に国民健康保険という制度があって、本来だったら、同じ収入だったらみんなが同じ金額のほうがいいにもかかわらず、全然負担が違うということが問題なのであって、それを自治体が援助していくということは、現状においては当たり前のことである、ここで分断を深めるような議論をしてはいけないということを、私はこの値上げに賛成した人には強く申し上げたいと思います。そして、今後の問題として言えば、公平、簡素な制度をつくる。国民皆保険を維持する。こうしたことを国が先頭に立って財政援助をして行うことを強く求めたいと思います。
以上で本議案に対する反対討論といたします。