16727【山本委員】 それでは、私も、この陳情に対して賛成の立場で討論をしたいと思います。
まず、今回、昨年12月の市内の公立小学校で起きた盗撮事件を、これが問題だというふうに考え、若い世代の方がこのような形で陳情を出されたこと、これはこの社会をよくしていく上で大変希望が持てる、よかったことだというふうに私自身は理解をしています。この陳情は、記書きのところで、「子どもたちが将来にわたって性犯罪、性暴力の加害者、被害者、傍観者とならないように市内教育機関において「生命(いのち)の安全教育」の指導を一層充実させること」、そして2番目として、「市内教育機関において発達の段階や子どもの実態に応じた性と人権に関する指導(包括的性教育)を一層充実させること」とあることは、両方とも現在極めて重要なことだと考えますので、私としてはこれに賛成です。
そして、本日質疑でも述べさせていただきましたが、討論ですので、改めて発言をいたしますと、この盗撮事案に関する当該の当事者、保護者に対する情報公開の現状までの在り方としては、やはり私としては、少し考え直して、もう少し十分にやっていく必要があると今でも思っております。当事者や保護者の知りたいこと、なぜこんなことが起きたのか、これからどうなっていくのかということに対して万全な情報提供ができたというふうには、申し訳ありませんが、思っておりません。
一方で、盗撮に関しては問題であるということに関しては、広く今日の議論でも情報が共有されたと思っております。問題は、今後どうするかということがあると思うのですけれども、情報公開をさらに進めていくとともに、公立学校でできる対応はやっていただきたいと思います。それは、まずは被害当事者に寄り添った対応を行うということであり、加害者に対する教育の場を十分に持つということでありますし、また、更衣、着替えということに関しても、早い段階で具体的な措置を取っていくことが必要だと思います。そして、教育委員会のみならず、男女平等にずっと努めてきた市長部局の人たちとも連携協力関係を深めていただきたいというふうに思います。
包括的性教育に関して、本日はいろいろな意見がありました。2009年にできた国際セクシュアリティ教育ガイダンスの中にこういう言葉がありまして、最近、そのキーコンセプトとしては8つ挙げられていますが、1、人間関係、2、価値観、人権、文化、セクシュアリティ、3、ジェンダーの理解、4、暴力と安全確保、5、健康とウェルビーイングのためのスキル、6、人間の体と発達、7、セクシュアリティと性的行動、8、性と生殖に関する健康という8つのキーコンセプトが挙げられておりますが、これはどれも大切な内容でありまして、包括的に性教育を考えていくということは、特定のイデオロギーに基づいた考えではなくて、今まさに内容の面でも年齢の面でも必要なことであると私は考えております。お互いの人格を尊重すること、自分の意見を相手に押しつけないこと、相手の同意を大事にすること、差別があるということを認めていくこと、性が多様であることを認識すること、このような人権を大切にする姿勢というのは、どのような人間関係を培っていく上でも大切だと思います。
なお、今日の質疑で、教育委員会が教育内容を決めていくということに対して御意見もありましたが、私ども議会がこの陳情を採択するかどうかということと、教育委員会の権限に対して踏み込むかということは、私はそれは一定、別の問題であると考えております。今後、予算委員会もありますが、我々議員には、条例を決める、予算を決定する、そういう権限もございますので、教育委員会の権限をこの陳情の賛否に関して侵すということは、私はちょっと別の問題ではないかと考えております。
また、保護者の意見ということを問題にされた方もいらっしゃいました。確かに現在、性教育に関しても様々な見解があると思います。私も公立の小学校、中学校の保護者をやってきましたので、もちろんいろいろな意見の方がいらっしゃるということは当然だと思います。だからといって、この陳情を今、上げないということにはならないのです。意見が違うということは、議論ができるということでありますし、教育がどうあるべきか、人権教育はどう進めていくべきかということに対して意見を言っていって、より社会が発展をする、より多くの人の人権が保障され、民主主義が守られていく、そういう方向になるために教育はあるのだと私は思っておりますので、家庭での教育も大事ですが、今、問題になっているのは、公の教育、公教育がどういう内容で行うべきかだと思っております。より進んだ、より現在必要な教育を行っていくということと、今、保護者の中で幾つかの意見があるということは、これはまた別の問題で、積極的に振る舞っていくことが私たち議員には求められていると思います。
以上のような趣旨で、この陳情には、記書きの1、2とも賛成ですので、賛成討論といたします。