11918◯6 番(宮代一利君) 6番、宮代一利です。会派ワクワクはたらくを代表して、施政方針及び令和6年度予算編成方針について代表質問をいたします。
本年1月1日に起きた能登半島大地震、続いて1月2日に起きた航空機事故、大変な年明けとなりました。まず、亡くなった方々の御冥福をお祈りし、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
大地震は自然災害であり、我々人類はこれを回避することはできません。しかし甚大な被害を考えたとき、やはり備えるしかなく、それが大変重要であることを再認識しました。飛行場における事故、こちらは人災であります。原因の究明、そして事故を起こさないシステムの構築が必須であることが分かります。一つの取組として、日頃よりリスクマネジメントを実施することが有効であるという考えがあります。
そこでまず、リスクマネジメントについて考えてみたいと思います。リスクマネジメントとは、組織を取り巻くリスクを網羅的に把握し、重要と思われるリスクを抽出した上で対応策を講じる事前策と、リスクが顕在化したときの緊急時対応である事後策、いわゆるクライシスマネジメントと呼んだり、危機管理と言ったりもしますが、この2つを合わせたものを言います。これらの活動を日常的に継続する必要があります。
その内容は、リスクを特定し、シナリオ、ストーリーをつくるというものです。発生確率と被害。民間会社の場合は、被害額で評価をし、この2つを数値化して掛け算して評価を行います。それをベースに対応方針を決めていきます。行政の場合は、被害を金額だけで評価するのではなく、もう少し別の視点での評価が必要になると思いますので、価値観を共有することも重要です。
評価の後、対応方法を決定していきます。大きく言うと、回避、低減、移転、容認という4つの対応があると言われています。リスクを見つけたから全て取り除くというわけにはいきません。回避を選択すると、人手もコストもかかります。せめて低減するという選択肢もありますし、確率が低い、あるいは被害が小さいと判断した場合は、容認するという判断もあるということです。
次に、行政並びに議会の仕事について考えていきます。究極的には、予算の配分、すなわち市民の皆様から預かっている税金、公金を配分することに尽きると考えます。私は配分の視点として、横の配分、すなわち各年度の分野ごとのバランスを検討するという内容と、縦の配分、すなわち時系列における配分、いつ投資をするのか、どこまでやるのか、過去、現在、未来の予算配分を考えるという2つの側面があると理解しています。予算配分を考える際には、前述したリスクマネジメントの手法を活用できると考えています。
それでは質問に入ります。まず最初に計画行政について。
昨年の代表質問において、計画行政に関する議論をさせていただきました。1つは吉祥寺東町1丁目市有地活用事業において、公募をしたにもかかわらず応募が出なかったという事象についてでした。今回の施政方針において、暫定活用を含めて検討するとの方向性を示していただきました。ありがとうございます。
また、高齢者総合センター大規模改修について、公共施設等総合管理計画に書いてあるからそのとおりにやるという説明だったことに対し、劣化度調査など、データに基づき判断することが大切なのではないかとの指摘をさせていただいています。今回、大規模改修工事に着手しますとの御説明をいただいていますので、ぜひこれまでに実施した調査のデータなどを生かして進めていただきたく、こちらもお願いしたいと思います。
さて、続いて直近では、武蔵野市立保健センター増築及び複合施設整備に係る基本設計に関することです。こちらは午前中からずっと出ていますが、全員協議会において、行政側と市民の間にある圧倒的な情報量の違いに関する指摘があり、一旦立ち止まり、よく考えるべきとの声が多数上がりました。施政方針では、実施設計を進めますとありますが、実施設計の前提となる基本設計について、金額が極端に跳ね上がっており、見直しが必要との指摘があります。費用削減のために仕様を見直すとの説明が繰り返されましたが、求められる機能についても再検討を図り、この建物のみの増築にとらわれず、市内のほかの施設との関連性も含め検討が必要と考えます。市長のお考えを伺います。
2つ目です。持続可能なまちづくりについて。施政方針において、基本政策のイの一番に、市民の命が最優先、首都直下地震から市民の命を守ると宣言していただきました。具体的な方策として家具の転倒防止を示していただき、身の回りでできる、大変身近で大切なことだと感じました。さらに災害への備えの拡充の項目において、沿道建築物の倒壊による耐震化に要する費用の助成と、東京都との連携に触れていただいています。
関連し、特定緊急輸送道路の井ノ頭通り沿道を中心に、吉祥寺に再投資という表現を使っており、とても大切な考えだと感じております。正直に申し上げると、吉祥寺駅周辺の再開発事業はなかなか難しい課題が山積しており、進んでいるとは言えないと感じます。現状の認識と今後の進め方について、市長のお考えを伺いたいと思います。
まちの持続可能性を高めるためには、ハードの充実と並行して、ソフトにも注力することが肝要と考えます。これまで地域防災として様々取り組んできていますが、例えば避難訓練を見ると、まだまだ参加人数が多いとは言えません。これまで積み上げていただいた地域の皆様も高齢化が進み、いわゆる担い手不足が指摘されています。まず訓練に参加する。若者も赤ちゃんも高齢の方も障害をお持ちの方も、とにかく地域に関わっている全ての市民が訓練に参加することから始まると考えます。
先日、障害児者親の会の皆様と厚生委員での懇談会において、避難所での居場所の確保について課題が指摘されました。当然のことながら、避難所を目指すとき、元気な方が早く到着する。高齢の方や障害を持っている方は後から到着するので隅に追いやられると、そういう御指摘でした。こういった視点にも御留意いただきたいと希望します。施政方針の中で、ペットの同行避難について触れていただいていますので、これらを総合的に取り組むことが必要と考えます。市長の御見解を伺います。
3つ目です。ゼロカーボンシティの実現。これも午前中の川名議員の議論の中にありました。ムーバスを水素燃料電池バス、EV(電動)バスに変更することの検討に入ると御発言をいただいている件です。この検討に際しては、どんな将来像を描いているのか。例えば水素ステーション、あるいは充電ステーションの整備に関する見通し、また、いつ導入するのが適切か、タイミングの検討をしていただきたい。新しい技術は実用化するまでに時間が必要であり、初期は高価になる傾向があります。先駆けになるという考えも悪くはないですが、何のためにその選択をするのかは慎重に検討が必要と考えます。施政方針の中で、象徴的な事業としてとの御説明をされていますが、この事業に費用を投じ、どのような効果を想定しているのか、市長の御見解を伺います。
また、2050年ゼロカーボンシティの表明についても、何を、いつ、どこまでやるのか、そのことを明確にする必要があると考えます。第六期長期計画・調整計画の検討の過程においても、完全にゼロを目指すという判断については疑問視している専門家の意見もありました。また執行部から、これは意気込みの表現であるとの発言もありました。昨年代表質問においても指摘させていただきましたが、環境問題は国家間の覇権争いのネタになっているという側面があります。地球温暖化一つ取っても、まだまだ考えには幅があり、対応策を考えようとするとき、真実の捉え方が長期にわたるため、何に取り組めばよいのか、何が効果的なのかの判断が難しくなっています。
さらに、環境の悪化を食い止めるという、ある意味ネガティブな課題であるため、できるだけコストをかけたくないとの思いが働き、経済との関係性も考えなければなりません。この取組について、これから国単位でどう取り組むことにするのか。そのルールをつくっている最中であり、各国は、自分に都合のよい、自国が得意で有利になるルールをつくろうと考えることになります。省エネルギー、省資源、廃棄物の削減といった、市民レベルの取組はとても大切なことだと思う一方で、こういった取組が定量的にどこまで効果があるのか、さらなる検討が必要と考えます。ゼロカーボン、ゼロを目指すということに関する市長の御意見を伺います。
新型コロナウイルス感染に関する予防策として、二酸化炭素モニターの設置についてお話がありました。厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策本部専門家検討会の見解では、クラスター(集団)感染発生リスクの高い状況を回避するには、1番、換気を励行する、2番、人の密度を下げる、3番、近距離での会話や発声、高唱を避けるの3つが指摘されていることは、3密、もう皆さん、十分に周知のこととなっています。
ただし、この広報の中にはさらに続きがあります。「なお、「換気の悪い密閉空間」はリスク要因の一つに過ぎず、一人当たりの必要換気量を満たすだけで、感染を確実に予防できるということまで文献等で明らかになっているわけではないことに留意していただく必要があります」と記載されています。換気が大切なことは十分に認識されていて、各公共施設においてもそれぞれルールを決め、換気に努めている現実があると思います。
二酸化炭素が1,000ppmになるまで密閉空間を保つといったらかなり異常な状態で、そんなことが実際に起こるというのはほとんど考えられない。コロナの時期に二酸化炭素濃度計をつけていたお店等はいっぱいございましたが、もう今や、ほとんど電池が入っていなくて動いておりません。そういったことを考えると、二酸化炭素モニターの設置による効果について、市長の御意見、御所見を伺います。
教育は子どもだけのものなのか。昨年の代表質問でも指摘させていただきましたが、教育基本法第1条にある、人格の完成を目指すという表現についてです。我々大人は既に完成された人格になっているのか。あるいは、年齢を重ねるごとに完成に近づいているのでしょうか。そして子どもは未熟な存在なのでしょうか。大切なことは、大人と子どもは存在として対等であり、それぞれ人権を持っているということではないでしょうか。
さらに、子どもを未来の担い手として、例えば地域で子どもでできるように教育を施し、育てようとしていないでしょうか。もちろん子どもには未来があります。しかし我々大人にも、残り少ないかもしれませんが、未来はあります。同時に今を生きていて、大人たちは今を楽しんでいる方も多いと思います。一方、子どもは未来の担い手として教育をされて、大変忙しく過ごしていませんか。今を楽しく生きているでしょうか。この基本的な流れについて考える必要があると思います。新市長の御見解を伺います。
地域共生社会の実現を目指すためには、インクルーシブに対する正しい理解が必須と考えます。現在の日本における教育システムにおいても、また大人の一般的な考え方においても、線引きをして人を特定する、いわゆるセグリゲーションが主たる考え方になっていると私は感じております。困っている人を特定し、その人を助けるという考え方から、困難を抱えているという状態を見つけ出し、その状態を改善するという考えに移行することが大切と考えますが、市長の御意見を伺います。
AI(人工知能)を活用した教育について触れていただいています。その中で、教員の研修が充実するよう支援するとの御発言がありますが、こちらはぜひ推進していただきたいのですが、同時並行で、我々大人が子どもと共に学ぶ必要があると痛感しています。大人が子どもを教える、先生が生徒を教えるという、日本の教育観を変えていく必要があると思います。ぜひ共に学ぶ取組にも注力いただきたいです。
そしてオンライン授業は一つの選択肢だと考えています。コロナ禍をきっかけに議論が進みましたが、本来的に、災害時のみならず通常から活用することを検討すべきと考えます。オンライン授業を実施すればアーカイブを残すこともできますので、自宅や図書館など、学校外における復習にも活用できると考えます。AI活用、オンライン授業について、市長の御見解を伺います。
安全・安心なまちづくり。令和4年4月に、つきまとい勧誘行為の防止及び路上宣伝行為等の適正化に関する条例の一部改正によって、客引き行為、スカウト行為及び客待ち行為が新たに禁止行為として追加されました。この条例の下、吉祥寺南口を中心に、ブルーキャップが呼びかけを行ってきました。さらに吉祥寺北口側、かつて近鉄裏と呼ばれていた地域においては、地元市民の皆さんが環境浄化に取り組んできた長い歴史があり、かつてに比べると浄化は進んでいると言われていますが、いまだに満足できる状況とは言えません。
今回の施政方針において、市民安全パトロール隊やホワイトイーグルによるパトロール、商店会などに対する防犯カメラの管理支援、特殊詐欺被害防止対策などを行います。また、ブルーキャップ及び吉祥寺ミッドナイトパトロール隊の隊員を増員し、客引き行為などに対する体制を強化しますとしていただいています。昨年のやり取りでは、時間の延長をするなど工夫するというところにとどまっていたところから、隊員の増員というところまで言及していただいておりますので、一歩大きく踏み込んでいただいたということを高く評価しております。
安全・安心のまちづくりは、日々、市民が自らのまちを守るという意識を持ち、常に目を光らせることが大切であり、それを行政が支援する。もちろん我々議員も行動する。こういった全員参加での活動こそが効果的と考えます。またパトロールにおいては、ぜひ同時に受動喫煙対策として、路上喫煙禁止の取締りも実施していただきたいと考えます。安全・安心なまちづくりについて、いまだ課題は残っているという指摘について、また今後の取組について、市長の御見解を伺います。
日本一市民のために働く市役所。先ほど日本一とは何なのかというお話がございましたが、これを目指すと宣言していただきました。我々議員も市民のために働く議員であり、議会にしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
以上、壇上からの質問といたします。よろしく御答弁のほどお願いいたします。