12332◯20番(三島杉子君) 議案第11号 武蔵野市介護保険条例の一部を改正する条例に反対の立場で討論いたします。
介護保険制度は3年ごとの保険料改定で、この23年間の間に、第1号被保険者、第2号被保険者とも、2倍以上の大幅な値上げとなっています。物価高騰、国民健康保険税、後期高齢者医療保険料も上がり、市民の生活状況の厳しさが増している中で、高過ぎる保険料や利用料の引下げは切実な問題です。日本共産党武蔵野市議団は、これまでも、国が負担すべき負担額の引下げで市民にさらなる負担を押しつけないようにすること、介護給付費等準備基金を取り崩すこと、低所得者負担を抑えるために、保険料の累進性を高めることや介護保険料所得段階の多段階化を求めてまいりました。
今回、提出議案の武蔵野市介護保険条例の一部を改正する条例につきましては、所得段階を、国の13段階に対して、武蔵野市が20段階とし、住民税課税で合計所得金額が1億円以上の段階も新たにつくり、累進性を高めてきていること、低所得者への対応として、所得段階の第1段階から第7段階の方の介護保険料を据え置いたことは評価いたします。また、市民税非課税世帯の方の訪問介護の利用者負担額の半額、5%を助成する、介護保険利用者負担助成事業の第9期存続も評価いたします。
ただ、物価高騰、国民保険税、後期高齢者医療保険料も上がる中で、第8段階、第9段階、所得が125万円以上から210万円未満の方も家賃を払うことなどを考えると、かなり厳しい状況になると思われませんか。さらに値上げをすることには反対です。値上がり前の金額でももともと負担が大きい金額だと思います。
昨年度、日本共産党武蔵野市議団が行った市民アンケートでも、介護保険料や国民健康保険税や後期高齢者医療保険料の負担が厳しい、どうにかしてほしいとの声が複数ありました。物価高騰の中、夏場に電気代を抑えるためにクーラーをつけないようにしている。1日2食にしてやりくりしている。電話代が払えず、電話やスマホが使えない。契約をやめたので公衆電話を使っている。そういうお話も複数の方から直接伺いました。
高齢者の介護予防・日常生活アンケート調査でも、サービス内容を見直して、過度な保険料負担にならないようにするべきと、サービス水準は下がっても、保険料は安いほうがよいの回答を合わせると、76%以上、サービスの充実を求めるより保険料の負担をどうにかしてほしいという、どちらかを選ぶなら、保険料の負担をどうにかしてほしいという、深刻な状況がうかがえます。そして、どちらかを選ばなくてはいけないことがそもそも問題です。ここにも、サービスの充実を図ると介護保険料や利用料に跳ね返るという、介護保険制度の矛盾が表れています。
委員会質疑の中で、2023年度は、先ほども委員長報告がありましたけれども、給付が実は減り、予想以上の剰余金があること、第7期までは基本的に全額取り崩していた、保険料値上がりを抑えることに充てる介護給付費等準備基金ですが、第8期は2億円残しての取崩し、そして今期は2億5,000万円残しての取崩しであることが分かりました。
今回値上がりとなる第8段階、住民税課税で合計所得金額125万円以上160万円未満の方の値上げは、404万円あれば抑えられるのです。ちょっと一応見せます。この数字です。404万円あれば値上げを抑えられるのです。そして第9段階、160万円以上210万円未満の方は、777万円あれば値上げを抑えることができるのです。介護給付費等準備基金をあと1,180万円取り崩しても、2億5,000万円残しているので、まだ残金は2億3,820万円あるのです。取り崩して保険料の値上げを抑えるべきではないですか。
所得に対して介護保険料が占める割合を見てみます。所得金額が1億円の方は0.31%です。一応計算がこれです。20段階の方は0.31%です。そして、保険料が値上がりする中で一番所得が低い、所得金額125万円の方は7.22%です。この数字を比べてみていかがお考えでしょうか。1桁違います。例えば、所得金額5,000万円から1億円以上の方にもう少し、0.0何%かを御負担いただけば、所得金額210万円までの方の値上げは抑えられます。累進性をもう少し高めることができるのではないでしょうか。介護給付費等準備基金を取り崩すこと、累進性を高めることで、第8段階や第9段階へと広げて保険料の値上げを抑えることを求めます。
日本共産党は、介護保険の国庫負担割合を直ちに10%引き上げることを提案しています。将来的には国庫負担割合を現在の4分の1から2分の1まで引き上げ、公費負担を全体の4分の3に引き上げること、その財源は、国民生活にも日本経済にも大打撃となる消費税ではなく、富裕層や大企業への優遇を改める税制改革、国民の所得を増やす経済改革で確保すること、65歳以上の介護保険料を全国単一の定率制に改めることも提案しています。
介護を社会全体で支えることを目的としてきた介護保険制度ですから、その目的が果たせるよう、本来、国がしっかりと責任を持って介護事業への国庫負担割合を大幅に増やし、国民の保険料や利用料の負担軽減をする中で、国民の介護をしっかり支え、進めていけるようにするべきです。現行の介護保険は、サービスの利用が増えたり介護職の労働条件を改善したりすれば、直ちに保険料、利用料の負担増に跳ね返るという、基本的な矛盾を抱えています。
保険料、利用料の高騰を抑えながら制度の充実や基盤の充実を図り、本当に持続可能な制度とするには、公費負担の割合を大幅に増やすしかありません。今までも物言う保険者で国に要望してきたことは存じておりますが、引き続き国がしっかりと責任を持って、介護事業への国庫支出割合を大幅に増やし、国民の保険料や利用料の負担軽減をする中で、国民の介護をしっかり支え、進めていけるようにするよう、強く国に求めて、要望していただくことを求めて、反対討論を終わります。
(13番 さこうもみ君 登壇)(拍手)