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令和6年第1回定例会

3月12日(火曜日)

令和6年第1回定例会
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山本ひとみ
山本ひとみ
無所属むさしの現職

映像ID: 2681

12445◯22番(山本ひとみ君)  それでは、ただいま議題となっております陳受6第2号 子どもを性犯罪、性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないために市内教育機関において「生命の安全教育」及び発達の段階や子どもの実態に応じた包括的性教育を充実させることに関する陳情に関しては、この陳情に賛成ですので討論をしたいと思います。
 この陳情は、昨年の12月に市内の公立小学校で起きた、児童による着替えを盗撮するという事件を受けて、市内の教育機関において、生命の安全教育及び性と人権に関する指導、包括的性教育の一層の充実を求めております。私は、若い世代の方からこのように性教育の充実を求める陳情が出されたことは重要で、大いに評価すべきことだと感じました。
 その上で、文教委員会における議論について、私の意見を4点にわたって述べたいと思います。文教委員会は3月5日に審査されまして、先ほど委員長報告のありましたように、この陳情は委員会で賛成多数となっております。
 1点目に、情報公開と当事者、保護者の認識に関することです。今回の盗撮事件に関して、どのように事実を伝えるか、今後の対策を伝えるか、これを児童や保護者に伝えてきたかということに関して、保護者が何を知りたいと考えているか。これもありますが、残念ですが私は、不十分な点があったと思います。これまで会合を開いたり、学習者用コンピューター通信で情報共有を図ってきたということはありますけれども、加害者の特定ではない、この事件の背景や原因、そして今後の対応方針ということが、すっきりと納得できたのかというと、やはりそれは違うのではないかと私は感じております。この点では、今後も当事者や保護者の声を十分に聞いていただいて、そして今後の情報公開に生かしていただきたい、これを様々な手法で行っていただきたいということを、まずお願いしたいと思います。
 2点目は、盗撮をどう見るかに関することです。盗撮というのは、決して軽いものではない、犯罪であるということの認識が重要だと思います。私が話をした中では、一部だと思いますが、スカートめくりみたいなものだ。もちろんスカートめくりというのもよくないことだと私は思いますが、しかし本当に軽いものではないと思うのです。今日、陳情にもありますが、盗撮ができる機器というのが身近にあることから、そのハードルが下がっているということも大いにあり得ることで、教育機関をはじめ多くの方に、盗撮は犯罪であり、被害者にならないだけではなくて、加害者になってはならないということを伝える必要があると思います。
 また、私は委員会でも、複数以上の加害者がいたにもかかわらず、途中で中止をするという選択がなぜなかったのかということも質問いたしましたが、性と人権に関する教育がもっと児童の中で広く深く共有されていたら、どこかで誰かが、こんなことはやめようというふうに言えた可能性があり、こうした人間関係をつくっていくということは、教育の大きな目標になると思います。
 3点目には、これからどうするか、何を変えるべきかという方針に関することです。まず、家庭で保護者が児童に教えるという家庭教育のみならず、公教育の充実が必要であると思います。その上で、着替え行為に関しては、性加害が起きないような、例えば男女別室にするとか、様々な対応が必要であると思います。また私は、委員会でも述べたのですけれども、被害者に対する寄り添った対応、例えば加害者と当面会いたくないとか、いろいろな考えを持つと思うのです。大きく傷ついた被害者の心情に寄り添った対応をお願いしたいと思います。
 さらにもう1点ですが、教育委員会や市立の学校、それと男女平等に関する市の機関との連携を強化していただきたいと思っています。いまだこの社会において男女の差別がありますし、また差別に関しては、一部には男性だって差別されているということを言う方も、残念ですがいらっしゃいます。だけど、ドメスティックバイオレンスとか、離婚をしたいとか、深刻な相談もずっと後を絶たないわけであります。児童生徒に対しても、こうした対等、平等な関係をどうつくっていくのか。これに関しては、教育委員会や市立の学校と男女平等に関する機関との緊密な連携が必要であると、私は思っております。
 4点目に、包括的性教育に関することです。今回の事件、あるいは陳情を受ける過程で、一部に、包括的性教育を一つの極端な考えと見るケースも実際ありました。私はこれはそうではない、イデオロギー対立によるものではないと思っています。包括的性教育というのは、2009年にユネスコ等が作成しました性教育についての指針、国際セクシュアリティ教育ガイダンスの中に、Comprehensive Sexuality Educationという言葉が使われておりまして、そのことによって広く社会に知られるようになってきました。
 重要な内容としては、包括的性教育のキーコンセプトとして、以下のようなことが、これはネットであったので、それをそのまま紹介したいと思います。1、人間関係、2、価値観、人権、文化、セクシュアリティ、3、ジェンダーの理解、4、暴力と安全確保、5、健康とウエルビーイング(幸福や喜び)のためのスキル、6、人間の体と発達、7、セクシュアリティと性的行動、8、性と生殖に関する健康、この8つのキーコンセプトがあり、これが掲げられております。
 今年度から政府も生命の安全教育をすることになりましたけれども、この内容を深めていくことが必要であり、現在の日本の性教育はまだ課題があると言えるのではないかと思います。陳情者もお話をされておりましたが、お互いの人権を尊重する姿勢、力によって強制しない、相手の同意を大切にするといった、人権を尊重する姿勢が極めて重要であり、また、現在男女で差別があるという事実を踏まえる必要があります。
 さらに、性の多様性に関する視点も大切です。望まない妊娠を避けるというだけではなくて、それは被害から避けるということですが、加害者に、つまり性暴力の加害者や、それが分かっていても見ている傍観者にならないことが必要だと私は感じております。
 なお、学習指導要領と性教育との関係をお話しされた方もいらっしゃいましたが、学習指導要領は数年に1回改訂されて、内容を深めていっております。学習指導要領は大切ですが、ない場合には、新しい内容、視点を盛り込むことが大切だと私は思っております。
 つまるところ、包括的性教育というのは、生物学的な性教育だけではなくて、人権の問題、ジェンダー平等の問題、差別の問題、様々に視野を広げていく。そして年齢も、若い人、小学校の入学前のそういう世代に対してもきちんと行っていく。そういう意味でもこの包括性は大切であり、包括的性教育は、私は何ら問題はないと考えております。
 この陳情に関して幾つか反対の意見がありましたので、これに関しても私の意見を申し述べます。
 まず、教育委員会は確かに教育内容を決めていく機関であります。そのことを問題にした方もいらっしゃいました。そして記書きのところでは、確かにちょっと強い言葉を使っている。生命の安全教育の指導を一層充実させることとかありますけれども、私はこの強い言葉を使っているということが、この陳情に賛成しない、そういう理由には当たらないと思っています。市民の方の陳情は、なるべくその要旨、趣旨を生かしていただきたいと思います。教育委員会も様々な市民の声を聞いていただいて、それを今後の教育内容に生かしていただきたいと考えております。
 また、保護者の中で性教育に関して様々な見解がある、理解が得られない人もいるということをおっしゃった方もいらっしゃいましたが、私は陳情の内容とその保護者の方の中に意見の違いが一定あったとしても、それは陳情に反対する理由にはならないと思います。性教育を今後公教育として行っていく上で、いつからどのように行うのかということについて、全ての保護者が一致しているということからスタートすることは、現実的に不可能なことでありますし、議員として、性教育を早い段階から内容を深めて広く行っていくということが、今大変求められている、意義のあることだと思っております。
 以上のような趣旨で、この陳情には賛成をいたします。どうぞ多くの皆様も賛成の立場を取っていただくようにお願いいたしまして、賛成討論といたします。
              (7 番 本多夏帆君 登壇)(拍手)