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令和6年第1回定例会

3月26日(火曜日)

令和6年第1回定例会
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橋本しげき
橋本しげき
日本共産党武蔵野市議団現職

映像ID: 2703

12493◯19番(橋本しげき君)  私は、日本共産党武蔵野市議団を代表して、2024年度の一般会計予算に賛成、3特別会計予算のうち、後期高齢者医療会計予算に賛成、国民健康保険事業会計予算と介護保険事業会計予算に反対、2公営企業会計予算のうち、水道事業会計予算には賛成、下水道事業会計予算には反対の立場で討論いたします。
 物価高騰が続いています。2023年の年間の消費者物価は、生鮮食料品を除いた総合指数で、前年比3.1%増となりました。しかし、それに見合うだけの賃金上昇は起きていません。中小企業やパート労働者も含めた全労働者の平均賃金は、名目で前年同月比1から2%程度の伸びであり、実質賃金はマイナスです。物価高騰の中で、消費税の負担はますます重くなっていますが、岸田政権は、世界で100か国を超える国・地域で実施した消費税もしくは付加価値税の減税を拒否しています。相変わらずの大企業・富裕層減税を続け、中小企業予算や農業予算は軒並み減額です。こうした亡国の政治を大本から改め、大企業や富裕層への優遇税制の見直しや軍拡の中止で財源を生み出し、消費税の減税や社会保障・教育予算の拡充にこそ踏み出すべきではないでしょうか。
 さて、2024年度の武蔵野市の予算案は、一般会計が815億円余り、これは前年度比11.8%増という大型予算となりました。物価高騰支援策など、市民の暮らしを支える自治体の役割を今こそ発揮することが極めて重要です。日本共産党は、2024年度の予算案が市民の暮らしを支える予算であるかどうかを基準に審議に臨んできました。2024年度予算案の骨格は、松下前市長の下でつくられたものであり、これまでの議論の積み重ねの下で、市民要求が反映されているものと考えます。
 以下、時間の関係で、質疑の中で触れられなかった点も含めて、今回の予算案で評価できる主な点を述べたいと思います。
 1点目に、健康・福祉の分野についてです。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の扱いは5類となりましたが、依然として、この冬は全国的に感染者が増加しました。日常生活が戻りつつありますが、新型コロナ感染症がなくなったわけではありません。感染対策や検査、治療への公的責任、医療体制の強化など、市民の命と健康を守るための公的責任を果たすことこそが求められます。武蔵野市においては、引き続き、高齢者施設及び障害者施設におけるPCR検査等費用助成事業が行われます。コロナ対策への基本的な支援や体制に対する公的責任を引き続き果たしていくことを求めます。
 日本共産党が求めてきた加齢性難聴者への補聴器購入費助成制度が盛り込まれました。この補聴器購入費助成は、全国でも都内でも広がってきています。2024年度予算案では、高齢者の聞こえの支援として、普及啓発事業、相談事業、補聴器購入費補助事業が盛り込まれています。補聴器購入費助成の対象は65歳以上で、費用の半額、最大5万円を補助するとされています。大きな一歩として評価をいたします。
 高齢者総合センター大規模改修工事と、高齢者総合センター、障害者福祉センター仮設施設設置の予算が組まれています。これらの福祉施設のサービスが継続的に提供できるように、着実な取組を進められることを求めます。
 ほかにも、市有地活用による看護小規模多機能型居宅介護事業所の整備、認知症高齢者グループホーム等防災改修等支援事業補助金、介護人材確保定着支援事業などが新たに実施されます。また、引き続き、福祉相談窓口による支援、生活困窮者自立支援事業、高齢者等緊急訪問介護事業(レスキューヘルパー事業)、がん検診などの各種検診事業などが進められます。
 一方で、岸田政権は、2024年度の政府予算において、社会保障の自然増を1,400億円も削減いたしました。岸田政権による社会保障改悪に対して、市民の暮らしを守る立場から、福祉都市宣言を行っている武蔵野市にふさわしく、さらなる社会保障の充実を求めます。
 2点目に、子ども・教育の分野についてです。
 2020年4月に、長年の懸案だった待機児童の解消が実現し、以後、待機児童ゼロを維持しています。保育の質のさらなる向上へ向けて、保育士の処遇改善や配置基準の拡充などを進めていただきたいと思います。
 学校改築事業が進められています。来年度予算においては、第一中学校と第五中学校の改築工事が進められ、第五小学校と井之頭小学校については、基本設計に基づき実施設計が行われます。地域の意見を反映し、着実な学校改築が進められることを求めます。
 昨年5月に施行された子どもの権利条例に基づいて、子どもの権利擁護機関が設置され、子どもが直接相談できる窓口となります。子どもが相談しやすい体制をつくることを求めます。
 不登校対策と教育相談の総合的推進では、家庭と子どもの支援員(常駐型)配置校を8校から13校に、教育相談員を12名から13名に、チーフスクールソーシャルワーカーを新規に配置する予算が盛り込まれています。こうした支援体制の強化をさらに進めることを求めます。
 また、来年度予算案には盛り込まれていませんが、全国でも都内でも広がってきている学校給食費の無償化については、2024年度中に実施し、4月に遡って無償化することが表明されています。憲法第26条2項では、義務教育はこれを無償とするとあります。公教育の無償性は、日本国憲法だけではなく、子どもの権利条約や国際人権規約の社会権規約からも導かれるものです。学校給食の質を確保した上で、できるだけ早い無償化の実現を求めます。
 3点目に、平和・文化・市民生活の分野についてです。
 安倍政権は2015年、安保法制イコール戦争法を強行し、集団的自衛権行使イコール戦争国家づくりの法制面の整備を行いました。岸田政権の安保3文書は、敵基地攻撃能力保有と空前の大軍拡によって、実践面で戦争国家づくりを推進しようとするものです。GDP2%を超える大軍拡が国民生活を破壊することは火を見るよりも明らかです。東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々が実践しているように、紛争を戦争にしない外交的枠組みを日本を含む東アジアでも構築することを日本共産党は提案しています。
 武蔵野市の来年度予算案では、平和憲法啓発事業において、来年1月に、平和首長会議国内加盟都市会議総会を本市で開催するための予算が盛り込まれています。小美濃市長が総会開催都市の市長としてふさわしい役割を発揮することを求めます。今年2月に平和施策のあり方懇談会の報告書も出されましたので、平和施策のさらなる発展を期待します。
 男女平等推進施策事業では、武蔵野市男女平等の推進に関する条例に基づき、研修・啓発、情報収集・提供、団体支援及び相談事業やパートナーシップ制度の推進などが盛り込まれています。古い社会への逆戻りは許さず、多様性を認め、尊重し合う社会をつくっていくための取組を進めていただきたいと思います。
 4点目に、緑・環境の分野についてです。
 岸田政権は、福島原発事故以来の原発政策を大転換して、原発推進へとかじを切りました。原発の運転期間を原則40年としてきたルールを投げ捨て、70年を超える運転を可能にする法改悪を行いました。原発の新規増設、原発の最大限活用という原発回帰へ逆戻りしています。また、岸田政権は、火力発電の延命にも固執し、石炭火力発電の2030年までの段階的廃止を誓約する脱石炭連盟にG7で加盟していないのは日本だけとなりました。
 武蔵野市の来年度予算案には、公共施設における電力の最適化の検討、むさしのエコポイント(仮称)事業などが盛り込まれました。気候危機対策は待ったなしです。気候市民会議の成果を踏まえ、武蔵野市から気候危機を乗り越える取組が大いに広がることを期待します。
 日本共産党は、有機フッ素化合物(PFAS)への対策強化も求めてきましたが、民間井戸におけるPFASの水質調査の予算が盛り込まれました。PFOS・PFOAに加えてPFHxSの調査も行われます。PFAS汚染の実態把握を進め、対策につなげてほしいと思います。
 5点目に、都市基盤の分野についてです。装飾街路灯(水銀灯)LED化事業が2023年度と2024年度の2年かけて行われています。この間、小型街路灯や大型街路灯のLED化事業が進められてきました。引き続き着実なLED化を進めてください。
 景観道路事業について、災害に強いまちづくりの観点からも、電線類の地中化はさらに計画的に進めていただきたいと思います。
 今年元日には能登半島地震が発生し、大きな被害が出ています。日本共産党は、耐震助成の拡充を求めてきました。2024年度は助成対象が拡充され、新たに一般緊急輸送道路沿道建築物が対象となり、2000年5月以前の新耐震木造住宅についての助成内容も拡充されます。首都直下地震の危険が迫る中、民間住宅耐震化の促進に努めていただきたいと思います。
 家具転倒防止金具等購入費助成が盛り込まれました。日本共産党は、予算要望で実現を求めてきました。制度が適切に運用され、市民の命を守ることに貢献できるようにすることを求めます。
 ほかにも、吉祥寺駅南口周辺交通体系検討や、三鷹駅北口周辺の再整備に向けた検討についての予算も盛り込まれています。地域住民の意見が反映される形で進められることを求めます。
 6点目に、行財政の分野についてです。2024年度は、第六期長期計画・調整計画の初年度となります。市民参加、議員参加、職員参加を中心として策定されたこの計画の適切な執行を求めます。
 以上述べてきたように、2024年度予算案は、全体として暮らしを支える予算の中身となっていると考えます。
 次に、問題点について述べます。
 1つ目は、当初予算案の修正案が可決されたことについてです。小美濃市長は、3月12日の予算特別委員会冒頭で、衛生費の保健センター増築及び複合施設整備に係る実施設計部分の9,454万8,000円について、一度立ち止まると発言しました。これを受けて、3月21日の予算特別委員会で、該当部分の9,454万8,000円を削除して、その分を予備費に回し、歳入歳出は変更しないとする修正案が提案され、賛成多数で可決されました。そのため、今回の予算案は、修正された議案となっています。
 保健センターについては、2月8日に開かれた武蔵野市立保健センター増築及び複合施設整備についての全員協議会で、当初40億円と見積もられていた費用が70億円になるとの見通しが示されました。全員協議会で、私は、費用の抑制に努力することを求めましたが、必要な機能は確保すべきです。実施設計は、たとえ一度立ち止まることで時期の遅れはあったとしても、いずれは行うものです。私は、実施設計部分の予算を削るべきとは考えません。
 また、もともとの予算案では、具体的な使い道を決めない予備費が1億円計上されておりますが、この修正された予算案では、予備費を9,454万8,000円増やして、ほぼ2億円に倍増する内容となっています。これでは、議会として行政に対して、予備費に回した9,454万8,000円の使い道を白紙委任することになります。これは、行政をチェックするという、議会としての在り方が問われる問題であると言わなければなりません。こうした手法にも賛成はできません。
 2つ目は、岸田政権が進めようとしている行政のデジタル化についてです。2021年の通常国会で成立したデジタル関連法は、行政機関が保有する個人のデータを企業に開放し、企業のもうけのためにつなげるためのものです。デジタル化の推進と個人情報保護の強化は一体で進められるべきです。本人同意なしに個人情報を提供するなど、個人情報の利活用を図る国の改悪の押しつけから個人情報を守るために、市として取組を進めることを求めます。
 武蔵野市の2024年度予算案では、住民情報系システムの標準化への対応に約10億円、情報システム仮想化基盤更改に約3億円と、多額の費用が盛り込まれています。自治体情報システムの標準化、共通化が推進され、原則全ての自治体が、2025年度までに、ガバメントクラウド上に構築された標準準拠システムに移行するとされました。デジタル庁が統括する情報システムの整備運用に関する経費全体は年々増加する傾向が続いています。個人情報の管理に対する問題とともに、多額の費用負担が生じているという問題があります。
 マイナンバーカードの押しつけも強められています。マイナンバーによって地方自治体が持つ個人情報と、国や民間の情報が関連づけられれば、個人のプライバシーが丸ごと国家権力に握られてしまいます。徴税強化、給付の削減、監視国家につながるマイナンバー制度は廃止をすべきです。
 武蔵野市としては、市民の個人情報を守り、自治体の利益を損なわないようにすることを求めます。
 3つ目は、証明書等の自動交付機廃止についてです。総務費では自動交付機関連機器撤去の予算が組まれています。8月末をもって市内4か所にある自動交付機を廃止することが予定されていますが、引き続き自動交付機のサービスを継続することを求めます。
 4つ目は、住民投票制度に関する市民熟議の予算を削除したことについてです。小美濃市長は市長選挙で、市民を分断する外国人住民投票条例は凍結と公約しました。私は、2021年に住民投票条例が審議された際、市民の中に分断を持ち込み、分断をあおる動きがつくられたことを批判しましたが、私の質問に対して、市長として分断との言葉はこれからは使わないとの答弁がありました。2023年度は、住民投票制度確立に向けた論点整理のための有識者会議が行われました。2024年度は、本来は住民投票制度に関する市民熟議の予算が盛り込まれるはずでしたが、小美濃市長によって削除をされました。市長は、住民投票の議論は凍結すると表明しております。「武蔵野市自治基本条例に基づく住民投票制度─有識者懇談会事務局による論点整理─」と題するまとめが作成されましたが、このまとめが今後生かされることを求めます。
 5つ目は、基金についてです。2023年度末の補正予算では、基金を6億円弱取り崩した一方で、66億円弱積み立てて、差引き約60億円積み増しました。そのため、基金の2023年度末の見込額は606億円となり、ついに600億円を超えました。前年度よりも61億円も増えています。医療や介護、子育て、地域振興や災害対策など、取り組むべき課題が山積しています。こうした課題の解決、住民要求実現にこそ基金を活用することが大事であると考えます。基金を計画的に活用して、市民サービスの拡充を図ることを求めたいと思います。
 次に、特別会計について述べます。
 国民健康保険事業会計についてです。昨年12月の国民健康保険条例の改定によって、2024年度は国保税の大幅な引上げとなります。所得割率が0.52%引き上げられて9.22%に、均等割額が5,100円引き上げられて5万6,000円に、課税限度額が4万円上がって104万円になります。1人当たり平均8,175円の大幅引上げとなります。高過ぎる国保税の最大の原因は、国が国保財政に対する責任を放棄してきたことにあります。国が財政責任を果たすことが必要です。
 日本共産党は、全国知事会も提案している公費1兆円の投入で、高過ぎる国保税をせめて協会けんぽ並みに引き下げることを提案しています。市としても、一般会計から必要な繰入れを行うなど、市の財政力を生かして、国保税を引き上げないことを求めます。日本共産党は、国民健康保険事業会計予算については反対いたします。
 また、政府によるマイナ保険証の押しつけは許されません。マイナ保険証のトラブルが続出し、多くの国民が反対しているにもかかわらず、岸田政権は、財界の求めに応じて、今年12月の健康保険証の廃止を強行しようとしています。健康保険証を廃止しなければならない理由はありません。市長は、国に対して保険証の廃止中止を求めるべきです。同時に、市としても、市民に不利益となることがないようにすることを重ねて求めます。
 介護保険事業会計についてです。2024年度からは、第9期介護保険事業計画が実施されます。岸田政権による介護保険サービスの後退と負担増をストップさせ、国に対して財政責任を果たさせることが必要です。武蔵野市においては、引き続き現状のサービス水準を維持し、充実させ、必要な施設整備を行うことを求めます。2024年度からの介護保険料は、低所得者層は据置きとなるものの、第8段階から引上げとなります。日本共産党は、介護保険事業会計については反対いたします。
 また、公営企業会計のうち、下水道事業会計についてです。2024年度予算案では、下水道施設長期包括業務の試行的導入が、2023年度の当初予算額の倍である約2億5,000万円盛り込まれています。今後の下水道経営においては、市民負担の増大につながらないよう、経営努力を進めることを求めます。日本共産党は、予算特別委員会で、下水道事業会計に賛成の態度を取りましたが、これは誤りでした。おわびをいたします。下水道使用料は引上げとなりますので、日本共産党は、下水道事業会計予算については反対をいたします。
 最後に、私は質疑の中で、昨年の市長選挙で小美濃市長が公約で掲げたことと、選挙後に施政方針や議会答弁で述べていることの違いについて、幾つかただしました。
 年金プラス5万円という公約は、選挙民に誤解を与えかねないものでした。これは、市が5万円を支給するわけではなく、高齢者が働いて、自分で5万円を稼ぐというものでした。2021年の市長選で自民党・公明党が推せんした新人の候補者の選挙公報では、年金プラス5万円の仕事をつくると書いてありました。この記述であれば誤解を生むことはなかったでしょう。今回の市長選の選挙公約は、「高齢者には80歳まで働ける職場を、年金+5万円」です。前段の「高齢者には80歳まで働ける職場を」の部分と、後段の「年金+5万円」の部分の因果関係が不明なため、曖昧な表現になっているのです。こうした市民の間に誤解を生む不誠実な表現についてただした私の質問に対して、市長は、誤解を招いたならば、それは申し訳ないなと思いますけども、そういう意図で書いたわけではないと答弁をいたしましたが、それで済む問題ではないと私は考えます。
 吉祥寺地区の病院ベッドを増床という公約は、私の質問に対して、市長は、増床というのは大変厳しい状況になった、選挙民の方には申し訳ないと謝罪をされました。まさに公約の破綻です。
 「二中・六中の統廃合を白紙に」という公約は、二中と六中だけの統廃合は白紙にして、二中、六中の統廃合の可能性を含む、第一中学校から第六中学校までの6校全体についての統廃合の必要性の議論をするという言い方に変わりました。これは明らかに選挙公報に書かれた選挙公約とは違います。選挙公報の記述は不正確な記述です。市長の主張に基づくならば、「二中・六中の統廃合は白紙に」ではなく、「二中・六中だけの統廃合を白紙に」と書くべきだったのではないでしょうか。
 市長は、選挙公報の記述と選挙後の施政方針以降に述べていることが違うという自覚がないようですが、これは市民を欺くとんでもない態度であると言わなければなりません。市長に就任して間もないのにもかかわらず、早速市長の政治姿勢が問われる事態が幾つも起こっています。こうした事態を見過ごすわけにはいきません。
 日本共産党は、国の悪政の武蔵野市政への持込みを許さず、そして、武蔵野市政の変質や後退を許さず、市民の願いがかなう市政を実現するために、全力を尽くす決意です。
 以上、述べてまいりましたが、基本的には、2024年度予算案に市民要望が多く盛り込まれていると考えますので、この予算案が、市民生活を支え、武蔵野市の発展に寄与するものとして、適切に執行されることを求めまして、討論を終わります。
             (22番 山本ひとみ君 登壇)(拍手)