12494◯22番(山本ひとみ君) 無所属むさしの、山本ひとみです。2024年度予算への討論をいたします。一般会計には賛成、5つのその他の会計のうち、国民健康保険事業会計と下水道事業会計に反対をし、その他には賛成という立場であることをまず表明したいと思います。なお、会派として、下水道事業に関しては、態度が異なりますことを申し添えます。また、私は、予算特別委員会では、下水道事業会計に賛成をしたのですけれども、その態度を改めたいと思いますので、これはおわびをしたいと思います。
今回の討論は、予算への態度、それから概括的な評価、修正案への考え、各款ごとの評価と課題、そして締めくくりというふうになりますことをあらかじめ申し上げます。
今回の一般会計予算は、約810億円の規模であり、来年度から始まる第六期長期計画・調整計画を実施するものとなっています。12月末の市長選挙の結果が、市の計画にどう反映するかを私は関心を持っておりました。市長は、第二次の調整計画を策定するとしたものの、第六期長期計画・調整計画を決定して、その目標の冒頭にある、多様性を認め合う支え合いのまちづくりも継続すると答弁がありました。選挙の公約にあった、武蔵野市を立て直すことを代表質問で伺いましたが、コロナ禍や住民投票での議論があり、市役所と市民との間の距離感などを話され、一つ一つの事業に対しての立て直しはないと表明されました。公約のときの表現とかなり異なっているようにも感じましたが、予算の基本的な骨格は、前市長時代に作成されたものであり、その内容に、市民の意見を踏まえたものがあることから、一般会計予算に賛成することといたしました。
主な賛成できる内容として、1、学校給食の無償化の実施、2、有機フッ素化合物PFASに関する民間井戸の水質検査、3、補聴器の購入助成などが挙げられ、一歩前進した内容として、1、インクルーシブ教育における通常学級でも可能な介助員制度、介助員の導入、2、学童クラブ長期休みの昼食の保護者負担軽減、3、中学生の特別支援学級通学に付添いの対応をすることなどが挙げられます。
さて、予算修正案に関して申し述べます。賛成多数で可決された保健センターの大規模改修と増築に関する修正案ですが、これには反対をいたしましたので、委員長が報告した予算案には含まれておりますが、この部分には賛成はできません。これまで40億とされていた財政規模が70億に増えるということに対して、2月8日、全員協議会での議員の意見を踏まえて、市長が一旦立ち止まるという方針を示して、予算委員会の冒頭でも発言がありました。私は、内容を精査して削減を検討することは否定いたしませんが、物価高騰による建築費の増は、武蔵野市だけの問題ではなく、また、全協の議論も、保健センターが行っている事業の何が無駄かの理解が困難でした。実施設計は、一刻も早く着手すべきと考えています。
現在の保健センター部分を子ども・子育て支援の機能を集約することは必要であり、大野田小学校にある不登校の子どもの居場所、チャレンジルームの移転・拡充、子どもの権利擁護機関の設置など、急ぐべき課題もあると思います。市長の口頭での方針と、予算書や予算参考資料が一致していないことを行政はどうするのか、委員会でも伺いましたが、修正のペーパーなどが出されず、修正を議員が提案することになりましたので、この部分は賛成できないと申し上げたいと思います。
一方で、大きな課題を3点挙げたいと思います。
1番目、二中、六中の統合の問題です。中学校の統廃合計画を2年かけて議論するとなりましたが、統合はするかもしれないし、しないかもしれないという方針です。私は、教育効果の面で見ても、二中、六中の統合には、大きな中学校ができるということには賛成はできません。したがって、この方針には大きな不安を持っています。
2番目、住民投票制度の議論凍結の問題です。住民投票制度は、市民の直接的な意思表示を可能とするもので、市民参加の重要なツールです。市長も、制度には反対ではないということです。しかし、議論を凍結すれば、参政権との混同や、特定の国からたくさんの移住があるなど誤った認識を是正することが行政からはできないのではないでしょうか。熟議は必要です。考えが異なっていても、会話を行い、議論を深めることが必要だと改めて申し上げたいと思います。
3点目、災害対策です。福祉避難所の充実などを訴えましたが、能登半島の震災を見ても、住民の安全を考えたら、原発ゼロ、原発に頼らない社会を目指すということは重要です。原発については、市長と見解が異なっていることは残念です。武蔵野市は、堅調な財政を維持し、市民の担税力の高い状況です。だからこそ、公的な機能、公の役割を重視していくことが大切です。引き続き、自治体独自の政策を磨くことが大切であると強調をしておきたいと思います。
以下、予算特別委員会で指摘できなかったことも含めて、款ごとに評価と課題を指摘したいと思います。
まず総務費です。市民参加の手法として住民投票という方法が重要であることを質問いたしましたが、これはさらに議論が必要であると感じました。
男女平等施策については、職員の中で、男性の育児休業取得が上昇していること、パートナーシップ制度が機能していることを伺い、心強く思っています。いまだ政治や経済の面で、女性への差別があり、これを直視した政策が求められています。
多文化共生社会については、戸籍、住民基本台帳で、国籍にかかわらず、同じ要件で掲載されるということが確認できました。
続きまして、民生費です。
保育園の待機児童が連続してゼロであることを評価します。全ての方が希望する保育園を選ぶことができる社会を期待しています。公立保育園は現在4園ありますが、公的な保育園の存在は、医療的ケアなどを考えても重要です。今後とも重視をお願いいたします。
学童クラブの長期休みの昼食の提供に人員を配置し、保護者負担軽減を進めることを一歩前進と評価いたします。ぜひ早期の昼食の提供ができるよう、御尽力をお願いいたします。
福祉公社と市民社協の社屋改築計画では、これから使用する団体の意見も十分に把握するように求め、前向きな答弁をいただきました。
障害者の住まいに関しては、市長の選挙公約に、障害者には就労・住まい・社会参加をとあり、今後の政策に強い関心を持っています。障害者のグループホームについては、市内施設だけでは十分でないことも話され、今後、安心できる住まいを拡充するよう求めたいと思います。
障害者の地域移行が進められておりますが、事情によっては施設が必要な場合もあります。八王子の精神科病院、滝山病院では、暴行、虐待がありましたが、病院や施設で、こうした虐待が起きない状況をつくり出すことが必要だと痛感をしています。
生活保護に関しては、クーラー設置等の夏季加算や、大学進学による保護者からの離脱などの課題に向き合っていただいていることを評価いたします。扶養照会は希望者のみに限定していただき、無料・低額宿泊所に関しては、貧困ビジネスと言われるような、個人情報を業者が取り上げ、入居者が転居できないようにする場合もありますので、くれぐれも警戒をお願いいたします。
次に衛生費でございます。衛生費に関しては、保健センターの実施設計が含まれていることから、これは再度質問をいたしました。また、新型コロナウイルス感染症への態度は、これから行政でも変わりますが、感染力がなくなったわけではなく、治療の抑制への対応などは必要があると考えております。
また、私は一般質問で、PFAS対策に関し、民間井戸の数や用途を伺いましたが、今回、PFASの民間井戸の水質検査を行うことが盛り込まれ、これを高く評価をしております。
ごみ収集に関しては、私は昨年秋、約40日間ぐらい車椅子を利用したのですけれども、このような介護保険適用でないけがのような場合、なかなか対応が難しかったです。ふれあい訪問収集事業に関して必要な方に行き届くことを、要件の緩和を求めました。
エコreゾート施設には、リサイクル作業所は、やはり必要ではないかということも提案をさせていただきました。
商工費です。家賃やテナント料等の高騰の影響か、個店が減少していることを問題提起させていただきました。一方で、市内で外国籍の方による物販や飲食が大勢の来場者を集めるイベントもありましたので、今後、様々な方のまちづくりへの参加を期待しています。
土木費でございます。武蔵野プレイスと隣接寺院の間の道路について、行政は、都市計画審議会で、並木の景観を大切にし、歩行者の通行に配慮して、道路拡幅計画を中止する方針を提案いたしました。現在の必要性から道路建設を見直していくという姿勢は、大変重要だと思います。高く評価をいたします。
住宅対策では、居住支援協議会の役割を十分発揮し、住宅に困窮する方の支援が進むよう期待をしています。また、公的な共同住宅でのペットを飼育できるフロアを要望いたしました。もちろん、ペットが苦手な方もおられますので、場所を限定して設置してはどうかとの提案です。民間のマンション等では、ペットが飼える物件も珍しくなくなりました。ぜひ前向きに検討をお願いいたします。
武蔵野プレイス前の公園に関しては、来年度のワークショップに期待をしております。緑を増やすことも、イベントを行うことも大切ですが、緑の拡充のためには、例えば一定期間の立入り場所や期間の制限等も考慮する必要もあると考えていますので、この点も御検討をお願いいたします。
石神井川の治水を目的として、八幡町の都立公園の地下をシールドマシンで掘り調節池をつくる計画に関して疑問を述べました。これは都の事業ですけれども、治水計画に関する情報公開は十分なのか、シールドマシンでは、陥没も外環道の工事では起きておりますが、本当に安全と言えるのかなど、住民の理解が得られているのか、さらに説明が必要ではないでしょうか。
教育費です。私は、障害がある、ないにかかわらず、子どもの希望によって、同じクラス、同じ学校で学び、過ごせるインクルーシブ教育が大切だと訴えてきました。新築される学校で、エレベーターの設置など、設備面での改善が進んでいることを評価いたします。また、第六期長期計画・調整計画にインクルーシブ教育が記載されたことも評価をしております。
さらに、東京都の制度ですが、インクルーシブ教育支援員が決定をされました。委員会でこの件を伺ったところ、クラスによる制限はないということですので、通常学級であろうが、特別支援級であろうが、制限がないということなら、これは一歩前進と評価をいたします。ぜひ周知を進めて、希望する人が選択できるように、制度がないから、もう特別支援学校に行くしかないとならないようにお願いをいたします。
中学生の特別支援学級通学に人員が配置され、個別対応ができることになりました。これも一歩前進だと思いますが、介助する方が急に無理になった場合も考えられ、不透明な点もありますので、保護者の方が要望されているように、スクールバスによる通学が安全面でも財政面でも適切ではないかと思いますので、御検討をお願いいたします。
不登校対策では、教育機会確保法の考えは少しずつ広がっているように思いますが、不登校の児童生徒はますます増えています。2022年度は小学校で106人、中学校では151人もいらっしゃいます。どんどん増えています。学校における恒常的な不登校の児童生徒の居場所、そして、最も子どもに対して公平平等な支援として、子どもに対する経済的な支援をぜひとも行うように求めていきたいと思います。
公立学校での盗撮事件が大きな課題になっています。ジェンダー平等や差別反対の視点も含めた早期からの包括的性教育の必要性、そして、着替えの場所等の措置を求めておきたいと思います。学校は、長年続いてきた過度な競争主義、児童生徒の序列化という考えから自由になっているとはなかなか言えません。武蔵野市だけが新しい考えを実施していくことは困難かもしれませんが、教育機会確保法の趣旨も踏まえ、学校だけが学習や生活の場でないことを多くの方に広げていただきたいと思います。
給食に関しては、来年度、無償化が実現できることを高く評価をしています。今、化学肥料や農薬を使わない有機給食が関心を広げています。武蔵野市の安全でおいしい給食を、質を落とさず継続していただくことを訴えました。安全な食材の選定の上でも、放射能測定器による放射能測定は、現在の機械を保守しながら大切に使っていただきたいと思います。
中学校の統廃合に関しては、統合することもしないこともあるということですけれども、学校の規模が大きくなれば、教育効果が十分に上がらないということもあり得ます。当事者の保護者、地域の声を丁寧に聞いていただくように要望をいたします。
特別会計に関して申し述べます。
国民健康保険に関しては、財政健全化計画が前提の負担増には賛成できません。同じ収入でも、入っている医療保険によっては保険料が異なるという不公平は解消すべきで、全国一律の医療保険制度へと見直しが必要ではないでしょうか。
介護保険事業会計に関しては、訪問介護の報酬引下げが決まって、大きな問題となっています。これは、在宅介護の質の低下につながりかねない事態であるということで、賛成できません。市長も代表質問での答弁で、介護現場にはかなり厳しい報酬改定であると述べておられましたので、国にぜひ自治体での現状を伝えていただきたいと思います。
水道事業に関しては、物価高騰対策ともなりますが、水道の基本料金部分を当面無償化するということは市で可能であり、検討していただきたいと申し上げておきます。
なお、下水道事業に関しては、私は反対でありますので、ここでもう一度申し上げます。
以上、幾つか評価と課題を述べてまいりました。今、武蔵野市の今後の在り方を申し述べたいと思います。現在、物価高騰が進んでいまして、市民の生活は厳しさを増しています。年末年始、私が参加をしました大人食堂に参加する方を考えても、生活困窮者の苦難が減少したとはとても考えられません。温かいジャンパー、温かい靴下を求める方はたくさんいたし、温かい汁物を食べたい方もたくさんいらっしゃいました。このような状況の中で、多様性を尊重し、属性によって差別がないまち、様々な人がまちづくりに参加できるまち、そして、市民参加が深まっていくまち、このようなまちを目指して、共に努力いたしましょうと申し上げたいと思います。
最後に、予算の作成と審議に御尽力をいただきました職員の皆様に感謝を申し上げ、今回で退職される職員の皆様には、長い間お疲れさまでしたとお伝えをいたしまして、私の討論といたします。
(14番 藪原太郎君 登壇)(拍手)