13143◯13番(さこうもみ君) 会派無所属むさしの、さこうもみです。通告に従い一般質問をいたします。よろしくお願いします。
大きく4つ伺います。
1、外国ルーツの子どもと保護者の支援について。
日本国内の在留外国人数は、2023年末時点で約341万人、年々増加傾向にあり、武蔵野市の在留外国人も同様に増加傾向にあります。また、外国籍の市民だけではなく、日本国籍を有していても、文化的背景などが外国にある方、日本語が話せない方、外国籍であっても、日本で生まれ育った方、日本語以外の言語は話せない方、国際結婚により親の一方が外国籍であるダブルルーツの方など、国籍や在留資格などにかかわらず、外国にルーツを持った市民も多く武蔵野市内で暮らしています。今回の質問では、国籍にかかわらず、広く外国ルーツの子どもとその保護者について取り上げます。
武蔵野市では、多文化共生推進プランを策定し、「多様性を認め、お互いに支え合う 誰もがいきいきと暮らし、誇りを持てるまちへ」と掲げています。多文化共生プランの中でも、教育機会の確保として、教育を受ける機会が失われないよう、教育制度の理解促進と就学の手続の支援をすること、帰国・外国人教育相談室で相談支援、日本語の学習支援などを行うこと、また、ライフステージに応じた支援の連携として、出産、子育て、介護などライフステージに応じた支援を外国人市民が利用できるよう、様々な組織や部署、人の連携を図ることが記載されています。特に、様々な文化を背景に持つ子どもは、特別な配慮を必要とする場合が多いことから、外国ルーツの子どもとその保護者の実態を適切に把握し、丁寧に支援する必要があると考えます。
さらに、2023年12月に閣議決定した「こども大綱」においては、幼児期の教育、保育は生涯にわたる人格形成の基礎を養う重要なものとした上で、外国籍の子どもをはじめ、様々な文化を背景に持つ子どもなど特別な配慮を必要とする子どもを含め、一人一人の子どもの健やかな成長を支えていくと明記されています。幼稚園、保育園は義務ではありませんが、特別な配慮を必要とする子ども、そして、その保護者が必要なサービスを受けること、そして、スムーズな就学に向けた準備をするためにも、人格形成の基礎を培うためにも、未就学児とその保護者に対する支援、また、保育園などで働く人材の支援は重要であると考え、以下質問をいたします。
1の1、市内保育園における外国籍の子どもの数の直近3年間の推移及び市内小・中学校における外国籍の子どもの数の直近3年間の推移を伺います。また、外国にルーツを持つ子どもが入園している保育園の数、外国にルーツを持つ子どもが通学している小・中学校の数も伺います。
1の2、保育園の入園に向けた手続や準備について、保護者へ伝える際の支援、翻訳や通訳のサポートは実施をしているか、また、そのようなサポートがある場合には、サポートについての情報を多言語で発信しているかどうか伺います。
1の3、入園に当たり、宗教など多様な文化的背景に基づく特別な配慮──例えば宗教上の理由で食べられるものが限られているなど──がある場合の支援体制について、その対応の現状と課題を伺います。また、その支援の主体は各園が担うのか、それとも市が担うのか、その主体となる人と、園が主体となる場合には、市によるサポートの体制についても伺います。
1の4、保育園入園後、保護者会や面談などにおける通訳、配付物や各種証明書などの翻訳のサポートは実施しているか。また、サポートがある場合には、サポートについての情報を多言語で発信しているかどうか伺います。また、その支援の主体は各保育園が担うのか、市が担うのか。園が主体となる場合には、市によるサポート体制についても伺います。
1の5、保育現場へのサポートについて。外国ルーツの子どもの受入れに保育士の加配はありませんが、特別に支援が必要な子どもや保護者がいる場合、通訳ツールの貸出し、保育士に対するガイドラインや研修の提供などの支援は行っているか。行っていない場合、今後の取組の予定について伺います。
1の6、保育園や幼稚園へ通園している外国ルーツの子どもたちの帰国・外国人教育相談室への接続など、スムーズな就学のための支援は行っているか伺う。
1の7、帰国・外国人教育相談室及びMIAの小・中学生のための学習支援は、子どもの権利を守るという点からも非常に重要なものだと考えています。自分の意思で学ぶ権利、差別されずに生きる権利としてはもちろんですが、例えば、意見を表明し参加する権利は、文化や言語の違いによって、情報を得ることができない、自分の意見を伝えることができないという状況に陥れば、その権利が侵害されてしまいます。子どもたち一人一人の権利を守っていくためにも、言語や学習の支援を必要な子どもたちにきちんと届けていくことが重要だと考えますが、ステップルームの利用状況について、在籍学校ごとの人数を伺います。また、利用者のニーズや課題について、市の所感を伺います。
1の8、学齢期及び保護者への言語支援について。保護者会や面談などの通訳、配付物や各種証明書などの翻訳のサポートの利用状況、利用者のニーズや課題について、市の所感を伺います。
1の9、母語や母文化の学びについて。母語とは、個人が最初に接触する、あるいは習得する言語のことです。母国語は、その人が属する国の言語のことをいい、必ずしも母語と母国語は一致しません。この質問では、この定義に基づき、特に母語について質問をします。
子どもの発達にとって、自らの基礎となる言葉、すなわち母語を獲得できるかどうかの影響は小さくありません。外国人幼児や児童について、生活上の様々な課題が言語、文化の違いによるものなのか、それとも障害や発達の状況によるものなのかについての判断がすごく難しい場合があり、実際は言語の違いによるものであるにもかかわらず、障害や発達の状況によるものだと誤って判断されてしまうこともあると言われています。
文科省が令和2年に開いた外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議においては、外国人児童生徒などのアイデンティティ確立や日本語の習得のためには、母語や母文化の習得が重要である。しかし、日本で育った外国人の子どもや、母語を習得する前に来日した子どもの中には、母語でも日本語でも学習が困難な状態──いわゆるダブルリミテッドといいます──に陥ったり、母語しか話すことのできない家族とコミュニケーションが取れなくなったりするという課題が指摘をされています。
子どもたちのアイデンティティの確立を支え、自己肯定感を育むとともに、家族関係の形成も大切にするためには、日本語指導に合わせて、母語、母文化の学びに対する支援に取り組むことも必要であると考えます。学校における母語、母文化に焦点を当てた学習活動及び学校外での母語や母文化の学習機会の提供は行っているか伺います。また、母語学習の重要性について、市の認識を伺います。
大きな2番、多様な性的指向、ジェンダーアイデンティティを抱える市民の支援について。
長崎県大村市が今年5月、男性同士のカップルに対し、住民票の続き柄の欄に「夫(未届)」と記載した住民票を交付しました。大村市の市長は、会見において交付の経緯を、事実婚であることを認めるために交付したわけではないとしたものの、パートナーシップ宣誓制度を導入している自治体として、自治体の裁量の中でできることについては、できる限りの対応を現場で確認して対応したので、問題だとは考えていないと話しました。
東京都内でもパートナーシップ制度を導入している世田谷区や杉並区が検討を始めていますが、一方で、総務省は、住民票について、社会保障制度の適用を判断するための公証書類と指摘、異性間の事実婚に使われる「夫(未届)」、「妻(未届)」の記載を同性カップルに用いれば、各種社会保障の窓口で住民票の続き柄のみで適用の可否を判断できなくなり、実務上の支障を来すおそれがあると説明をしています。
武蔵野市では、パートナーシップ制度を導入し、武蔵野市男女平等の推進に関する条例において、市は、パートナーシップ制度に最大限配慮し、及び当該制度の目的を達成するために必要な措置を講ずるよう努めるものとすると定めていますが、武蔵野市として、同性カップルの権利保障のために何ができるか、もう一歩考えていく必要があると考え、以下質問をいたします。
2の1、同性カップルのうち1人の続き柄を示す欄に、「夫(未届)」もしくは「妻(未届)」と記載し、事実婚と同等の表記とする住民票を交付することは可能か。現状と、未対応の場合は、実施に向けた武蔵野市における検討状況について伺います。
2の2、国では、同性カップルの続き柄には同居人を当てるべきとの考えですが、現在武蔵野市では、同性カップルが同一世帯となる場合、続き柄の記載は同居人かどうか伺います。また、続き柄について、縁故者にすることは可能かどうか、できない場合にはその理由を伺います。
2の3、現在の武蔵野市のパートナーシップ制度は、2者での利用となります。現在の制度では、パートナーいずれかに子どもがいる場合、パートナーの子どもを家族と証明することはできず、医療機関にかかった際の家族としての対応など、パートナー間だけではなく、家族として証明ができる制度が求められています。2者のほかに、子どもや親など近親者を含む家族の関係を届け出た場合には併せて証明をするファミリーシップ制度を導入すべきだと考えますが、市の見解を伺います。
2の4、トランスジェンダー当事者など、性別の記載欄によって困難を感じる市民がいることから、各種書類における性別欄の設問の設置の要否について、丁寧な検討が必要だと考えます。一方、実態調査などにおいては、男女格差が大きい現状などを踏まえると、性別の取得が必要な場合もあります。市の各種書類における性別情報の取得の要否、検討の基準の設置及び性別欄についての補足説明の記載など、対応状況について伺います。
次に、大きな3番、プロボノの活用と地域の担い手不足の解消について。
ボランティア活動は、地域づくり、子育て、障害のある方や高齢の方のサポート、災害支援など、複雑化する社会課題に対処するための重要な手段となっていることが現状です。例えば、子どもが犯罪に巻き込まれないよう地域で見守りをしよう、高齢者が要介護になる前に、みんなで健康のために体操をしようなど、コミュニティの中にある社会的な課題、ニーズに対して、解決の必要性が皆で共有化され、行動に表れることがあります。その問題提起と課題解決のサイクルがうまく回った場合、それは暮らしやすさにつながると言えます。
また、全国1万人の大学生などを対象とした日本財団ボランティアセンターのボランティアに関する意識調査2023によると、過去1年間ボランティア活動を実施したことがある人は約25%、就職活動において有利になるなど、背景は様々ですが、ボランティアに興味を持つ若い世代も一定数いることがうかがえます。
多様化する社会課題、ニーズに対し、行政が全てすぐに対応することは難しく、ボランティアや民間との連携は必須です。しかし一方で、課題に気づいた人にだけ負担が偏ったり、ボランティアによる活動で継続していくことは、持続可能性という点で課題があることもあります。個人やコミュニティの努力だけに依存しないシステムを構築していくことが行政の責任だと考えます。ボランティアやプロボノなど、奉仕活動、地域活動について、個人の自己犠牲を強いることや、行政の責任放棄につなげることなく、市民一人一人がよりよく生きていくための、あくまで自由な活動として捉えていくことが重要だという立場から、以下質問をいたします。
3の1、2024年から始まった武蔵野プロボノプロジェクト(むさぼの)について、プロボノの導入経緯及び期待について、市の見解を伺います。
3の2、ボランティアなどを通じた市民活動へ市民が参加することについて、防災や防犯の観点及び産業振興の観点などから、どのような効果が見込まれるか、市の見解を伺います。
最後に、大きな4番、HPVワクチンの接種についてです。
2023年11月、そして今年2月にも一般質問でHPVワクチンの接種については取り上げてきました。繰り返しになりますが、子宮頸がんのほとんどはHPVウイルスの感染が原因であり、現行のHPVワクチンにより子宮頸がんの60から70%を予防できること、ワクチンと検診の併用により発生率を年間10万人当たり4人以下にする撲滅が可能だとされていることから、HPVワクチンについて適切な広報を行い、必要な人がきちんと接種できるよう取り組んでいただきたいと訴えてきました。
特に、平成9年生まれから平成19年生まれの女性に対して提供されているキャッチアップ接種は、HPVワクチンの接種の勧奨が差し控えられていた期間に接種の機会を逃してしまった方々に対して、公平な接種機会を確保するために設けられたものであり、知らなかったから受けられなかったという方が出ないよう、特段の配慮が必要であると考えます。
また、HPVは男女にかかわらず性交渉で感染し、性交渉経験のある男性の90%、女性の80%以上は生涯に一度は感染されるとするごく身近なウイルスであり、女性だけがワクチンを接種するのではなく、男性も接種することが重要であることから、男性の接種についても、市が接種費用を助成することを求めてきました。1回2万円前後と非常に高額であることから、全額の助成を強く要望してきましたが、自己負担額1回当たり2,500円で市の助成制度が始まったこと、非常に高く評価をしています。
以下質問です。
4の1、キャッチアップ接種対象者への広報について、はがきの送付等による接種者数の増加や問合せの増加はあったか伺う。また、3回全て接種するためには、遅くとも9月頃までには接種開始の必要があり、市報や市LINE、ポスター掲示などで広報の強化をするべきと考えるが、今後の広報の予定について伺います。
4の2、キャッチアップ接種について、2025年3月で終了となりますが、接種開始が遅く、3回全てを3月までに接種できない場合、3月までに接種できた分までは無料となるのか伺います。
4の3、男性HPVワクチン接種費用の助成について、利用状況を伺います。
以上、壇上からの質問を終えます。よろしく御答弁のほど、お願いいたします。