13319◯7 番(本多夏帆君) ワクワクはたらくの本多夏帆です。ようやく暑さも和らいできたかというところで、今月は市内各所で秋のお祭りも多数開催されます。この時期になってくると、もう年末、年度末を意識し始めるのは私だけではないと思います。この3か月ごとの定例会というのを考えても、たった3か月でもとにかくいろいろなことが起きるなというふうに感じています。物すごい速さで社会が動いているように感じます。今回はそうした社会の変化、価値観の変化について、もっと議論したい、議論が必要だという思いで構成をしてきました。他の議員からもかなり近いお話が今回多数出ていると感じていますので、ぜひ一緒に考えていただければ幸いです。
では大きな1番、地域の担い手不足という課題に対する取組の方向性についてです。
今回の背景は、お金を稼ぐことは悪いことなのか、正当な対価とは何なのかという問いです。先日市民からあったお話です。コミセンを借りようと思ったが、人によって営利だから駄目、非営利だからいいと、毎回違うことを案内され、もう疲れてしまったという話がありました。市民の様々な活動においても、営利の側面、非営利の側面が織り交ざったものは多数あると思います。誰がどう判断しているのでしょうか。
そもそも営利と非営利という言葉を調べると、利益を追求するか、しないかということになります。営利団体なら利益の分配があり、非営利団体では分配がありません。取組として幾ら社会的によいと言われることをやっていたとしても、公共に関わったとき、営利団体だから駄目ですと言われることがあります。何が駄目なのでしょうか。私自身もいろいろ言われてよく分からなくなっている一人です。
営利と非営利という考え方にはグラデーションがあり、団体の取組においても営利と非営利が共存しているケースもあるわけで、なぜこうも営利だから非営利だからとばっさり区分けをする世の中なのか分からないと常に思っています。しかも先ほどのコミセンの運用においては、判断基準も個人によってばらばらということになります。本来的にはやっている内容、活動のほうで区分けをしていかないといけないのではないかという問題提起も一つかなというふうに思っています。
そしてまた、営利だから駄目ということではなくて、例えばこれはコミセンに限った話ではないのですが、公共施設において、利用料を分けるといったやり方で営利と非営利を共存させることが可能な場合もあると思います。
私が議員になって初めての一般質問で、エコreゾートに災害時のことを考えてWi−Fiをつけてテレワークをできるようにしたら、職住近接、これは働くと住むというのが近くなるということですが、そういった職住近接も促進されて、地域防災にもコミュニティにもいいのではないかという提案をしたことがありますが、そのときもテレワークは営利目的だから駄目と言われたことを覚えています。何で駄目なのか、いまだに分かりません。では、その人がNPO法人に勤めていたらテレワークをしていてもいいということなのでしょうかと、よく分からないことを考えてしまいます。
ふらっと立ち寄れる公共施設を増やそうと言っているさなか、市民がそこでテレワークをするということは駄目なのでしょうか。民業圧迫とのラインはあるとは思っていますが、そこは工夫、バランスを取るにしても、公共施設の利用の考え方として、社会の変化、ライフスタイルの変化に追いついていないと思っています。
そして以前の一般質問で、福祉とは何なのかということについても取り上げたことがあります。「福」も「祉」もどちらも幸せの意味で、その幅はとても広いという話でした。福祉サービスを行う営利事業者は多数いるわけですが、それについては公共性の高いものとして、いわゆる非営利のように何となく扱っているところがないでしょうか。
エッセンシャルワーカーという言葉もコロナ禍でよく聞かれるようになりました。日常生活を送る上でなくてはならない仕事に従事する人という意味ですが、日常生活を送る上でなくてはならない仕事というのは、一体どこからどこまでなのでしょうか。コロナ禍で様々な事業者向け支援金制度がありましたが、職業に貴賤なしという言葉がキーワードになるほど、この辺りの整理の難しさ、私たちの中にある感情の部分、何となく否定したり、ネガティブな目で見たりすることがあるというのが浮き彫りになったと感じています。
このように私が政治に携わるようになってから、この場でたくさんの価値観に触れてきました。何でも区切ろうとする考え方があります。制度設計上必要だという側面があることも分かりますが、そこからこぼれる人たちが必ず出てきます。その基準に納得感があるか。なぜそこに線を引くのか分からない。市民を含めて認識の共有はされているのか。根拠はどこにあるのか。こうした疑問がたくさん出てきます。そしてこれは時代の変化とともに、本当は変わっていかなくてはならないのに、制度設計をした当初からずっと変わらないということも多いです。過去の経緯を守ろうというほうが強くなってしまい、今の価値観に合わない制度を無理やり続けてしまうということです。
武蔵野市のことに話を戻すと、今回、市長公約にあった、就労を含む高齢者の社会参加の支援が議論されています。これについては先日、第六期長期計画・第二次調整計画策定のプロセスの中で、なぜ高齢者だけなのかということについて問題提起をさせていただきました。高齢者の社会参加を議論するのはもちろん構わないのですが、なぜそこだけ就労を含めてなのかということです。少なくとも第六期長期計画・調整計画の中でも、担い手不足についての記述は十数回にわたっています。市民参加が求められているのは高齢者だけでなく、子どもから大人まで、ある意味全世代においてです。どの世代もまちにとっては当事者なわけですから、市民参加は全世代ということは当然のことです。また就労という観点から、所得を増やすという点においても、今働く世代の所得をどうやって増やしていくのかということも、これは国政において大きな課題として議論されていると思います。
所得制限という制度設計における考え方が変わってきているというのも一つです。この4月から武蔵野市でも、子どもの補装具費支給制度において所得制限が撤廃されました。10月からは国全体で児童手当制度での所得制限が撤廃されます。子どもを権利の主体として捉えるということに加えて、所得を増やしていこうという考え方が国全体に広まってきた変化だと思います。所得制限によってお金を稼ぐことを控えるという、よく分からない施策になっていたわけです。経済成長を阻害するような設定だったとも思えてしまいます。こうした所得を増やすというのは、国策として推し進める必要があり、全世代において施策を強化していく必要があるものと考えています。
市にシルバー人材センターを置かなくてはならないのは、法律で定められているとの説明を以前いただきました。昭和61年(1986年)に施行された高年齢者等の雇用の安定等に関する法律というものです。これ自体はこれまでの時代の経過の中で、国策として行われてきたものだと思います。それをなくそうと言うつもりもありませんが、武蔵野市においてもっと先を行くことはできないのでしょうか。全世代の市民参加を目指すに当たって、どのようなものに対しては対価のお支払いをするのか、そしてその対価とは一体どれくらいのものなのか、何をお支払いするのか、きちんと議論したことはないのではないかと思っています。そうした議論の場をぜひつくりませんか。
今回別の議員からも、コミセンの窓口業務の報酬について、金額が低過ぎるのではないかという意見があったと思います。これはもう以前から出てきている話です。それに対して妥当な金額を検討するといったような答弁もありました。テンミリオンハウスの運営費については、物価高騰に伴う補助金を継続してという話が出ています。物価高騰はどこも受けている話です。なぜこの金額なのかという、どの分野においてもその根拠は一体どこにあるのでしょうか。
一方で、例えばこのコミセンの窓口業務については報酬が出ているわけですが、今回出てきた武蔵野プロボノプロジェクト(むさぼの)においては、特別なスキルを提供してもらうのにもかかわらず、対価は支払いしないということなのでしょうか。プロボノというのは確かに、各分野の専門のスキルを持つ人が、その知識やスキルを無償提供して社会貢献するもののことで、海外では弁護士が無料相談を受けるというのがプロボノの主流だそうです。
ちなみにプロボノのプロというのは、プロかアマチュアかを指すときのプロという意味ではありません。ラテン語の公共性のためにという意味なので、そこは捉え方を間違えないようにしていただきたいのですが、武蔵野市としてそういった専門分野のスキル提供に対し、対価は支払わないという姿勢でやっていくということなのでしょうか。また、対価を支払わないことによるリスクは考えているのでしょうか。
今回プロボノで募集されているのが、コミセンのサイトリニューアルへの助言をというものになっていて、窓口業務については改善をという話が出ているのに、その中でサイトリニューアルの専門的アドバイスについては無償でということになっているのが、頭の中でどうしてもつながりません。この正当な対価というものの考え方について、私はこの国全体での国民性といいますか、非常に難しい価値観の部分でもあると感じています。これくらいもらって当たり前だ、いやいやボランティア精神でやるべきだ、好きこのんでやっているのだからいいではないか、いやいや、やらされているのが実態と、意見や感想もばらばらなことでしょう。
しかしこの対価の支払いというのも、市政において言えば当然原資は税金なわけですから、無償か有償か、支払うものには支払う姿勢だが、それはどんなものなのか、どれくらいなのか、例えばお金やポイントなど何を対価にするのか、きちんと整理をして考えていかないと、活動の維持、そして質の担保を行っていくことはどんどん難しくなると思います。
他の自治体では、有償ボランティアの枠組みの中でも、最低賃金より高い金額を設定し、一方で扶養の範囲に収まる総量を年間で設定して、子どもたちの居場所を運営するスタッフをしっかりと集めているという話を聞きました。担い手不足は武蔵野市だけの問題ではありません。戦略的に取り組んでいかなくては、せっかく育まれてきた武蔵野市の様々な活動のノウハウも、引き継いでいけなくなってしまうのではないでしょうか。
淘汰されるものは淘汰されていく。これは民間で言う営利事業における常です。しかし税金が投入されているものについてはどうでしょうか。自然と淘汰されるという民間の原理ではないところにあるわけですが、だからこそ、そこにはきちんとした根拠が必要だと思います。私自身も何でも支払いが必要と考えているわけではありません。価値観によるところが大きいからこそ、議論が必要だということです。これを踏まえまして、以下まとめて4点質問します。
(1)第六期長期計画・調整計画において、十数回にわたって担い手についての記載があります。これに対する市長の見解を伺います。
(2)第六期長期計画・調整計画における就労を含めた高齢者の社会参加の支援について、市長として現在どのような課題意識を持っているか伺います。
(3)武蔵野プロボノプロジェクト(むさぼの)について、取組を行うこととなった経緯、目指す成果や今後の方向性を伺います。
(4)ボランティア、有償ボランティア、プロボノ、雇用、委託等、市と人材には多様な関わり方があります。これについて庁内でどのような整理をしているのか、基準や考え方、今後の方向性を伺います。
大きな2番目、子ども議会で出た意見や要望を取り入れることについてです。
8月に武蔵野市議会初となる子ども議会が開催されました。今回多くの議員がその内容を取り上げていると思います。はっとさせられる意見や、やはり現場でもそうなのかといったような気づきも多く、リアルな提案に心を動かされた人も多かったのではないでしょうか。他の議員とも重なりますが、私の視点も加えながら質問したいと思います。
まず、通学時の荷物についてです。これは過去にも質疑をさせていただいたことがあり、その際にも、文科省の事務連絡を基に各校へ指導を行っているという説明がありました。今回、私自身の息子も市立小学校に入学しましたので、日々のランドセルが本当に重そうだなという現実を目の当たりにしているところです。
そこで、(1)市立小・中学校における新学期の登校日やふだんの通学時の荷物重量の実態と改善状況を伺います。他の議員からも同様の意見が出ていたと思いますが、基本的にはこの実態を把握するということがやはり重要かと思っております。実際にどれくらいのものを持ち歩いているのか、その指標がないので、取りあえずこれくらいというようなことになっているのではないでしょうか。精神的なストレスもそうですし、健康を損なわないようにするといったことが一番かと思っております。
次にタブレットです。利用頻度や活用方法について様々な意見が子ども議会で出される中、現在意見募集が行われている第四期学校教育計画中間まとめにも、その証拠となるアンケート結果というのが掲載されているというふうに思っております。小学生の頃はたくさん使っていたのに、中学生になるとその数値ががくんと落ちているというものです。すなわちそれにより中学生としては、なぜ今までたくさん使っていたのに使いながら学ぶことができないのか、将来のスキルに向けての不安といったことが出てきているということでした。データの裏づけを基に、現場の子どもの意見がリアルに伝わる機会となったと思っています。
これを受けまして、(2)市立小・中学校でタブレット利用の頻度や質に違いがあることについての実態と課題、スピード感を持った改善の取組について伺いたいと思います。
また、息子が入学したというふうに言いましたが、1年生です。1学期のタブレット配付はありませんでした。夏休み前にマニュアルが配付されて、2学期以降のどこかでタブレットが配付されるようだという、そんな状況に今なっているわけです。これについては、1学期から配付してほしかったという思いは全くありません。これまでどうしていたのか分からないのですけれども、1年生という慣れない新生活の中で、さらに慣れないタブレットというものは導入する必要が恐らくないだろうなというふうに、私自身は思っております。現在、次のタブレット調達に向けて議論がなされているかと思いますけれども、必要台数や学年ごとに必要な仕様の検討に当たっても、ぜひ参考にしていただきたいというふうに思っています。
なお、3年生からが持ち帰りというふうにタブレットのルールとしてなっていたのではないかなとは思っているのですが、2年生でも持ち帰りになっているという話を聞いております。これは、先ほどの荷物の重さについての懸念として市民から意見があったので、うちの息子の学校ということではないのですけれども、この辺りも当初のルールから、各校で様々な運用が変わってきているのではないかなというふうに思っているのですが、こちらとしてはその実態把握ができないという状況にあります。どういう状況になっているのか、きちんとした情報の下に今後の議論をしていかなくてはいけないというふうに思っておりますので、こちらはその実態把握を希望します。
次に、ALTや学校を超えた交流についてです。ALTの先生方による学習は、語学力の向上だけでなく、世界の文化を知るとてもいい機会になっているということが、今回の中学生の提案の中でよく感じることができました。市内にいるALTの先生みんなと会って話してみたらどんな感じなのだろうという、わくわくするようなことというのも想像できます。また学校を超えた交流というのも、今日も昨日もお話がありましたけれども、要望が多数あって、学区を超えたつながりがもたらすものを考えてみると、これもまたいろいろな可能性がありそうだなとイメージが膨らんでいます。
昨今の情報社会というのもあるかもしれませんが、住んでいる目の前の世界だけでなく、距離や時間、言語を超えてたくさんのつながりが生み出されること自体が、当たり前の世代になっているのだと思います。捉えている世界が私たちに比べてもっと広いのではないでしょうか。
そこで、(3)ALTの固定化を解消するための取組や、他校で授業を受けるといった斬新なアイデアが提案されました。オンライン活用を含めたスピーディな取組を求めますが、見解を伺います。
様々子どもたちの要望から、私の視点を取り混ぜながら提案へつなげさせていただきました。施策を具体化していくためには、どこか形として盛り込める先はないかというふうに考えましたけれども、ちょうど今意見募集を行っているということを踏まえまして、4点目の質問です。(4)これまで述べてきたような子ども議会で出た具体的な意見や要望について、現在策定中の第四期武蔵野市学校教育計画の議論に取り入れてほしいというふうに考えておりますが、見解を伺います。
では最後、大きな3番目、広報やDX等過去取り上げたテーマや市民からの相談事項についてです。
(1)広報戦略アドバイザーが決定されました。戦略的な広報の実現に向け、現在取り組んでいることを伺いたいと思います。今回別の議員からも質疑がありました。私自身も以前に広報専門の方をぜひと提案しましたので、今回のことはとてもうれしく思っています。まだ始まったばかりですので、状況の確認レベルにはなりますが、質問いたしました。
(2)今夏、この夏は特に地震について話題になることが多かったと思います。台風でも、この辺りは今回そこまでひどくはなかったかもしれませんが、備えあれば憂いなしと思って、できることに取り組んでいくものというふうに思っています。地震の報道の中ではタイムリーに、武蔵野市は今年始めた家具転倒防止金具等購入費補助事業というのがありましたので、注目もされたのではないかなというふうに思っておりますが、この事業について、現在の申請状況と今後の広報戦略等を伺いたいと思います。
(3)市民参加についてのアプリケーションやシステムの導入が続いています。今月の市報では、地域共助デジタルプラットフォームアプリcommon、第六期長期計画・第二次調整計画や第四期学校教育計画の意見募集に使われているのは、オンラインディスカッションサービスD−Agree、そして武蔵野プロボノプロジェクト(むさぼの)ではGRANTというシステムが導入されています。今ここにいる皆さんは、今お伝えした3つ、開いてみましたか。微妙な顔をされています。私ですらと言うのもなんなのですが、だんだんついていけなくなる感覚があります。
とはいえ、チャレンジの気持ちを持ってまずはやってみようというふうに、私自身も思っているわけなのですけれども、こうした取組は、しっかり使いこなせる、きちんと市民に使ってもらえるように広げていかないと、とてももったいないと思うわけです。この辺りはどう戦略的に運用していくのか、お試しで終わらないためにも質問しますが、各分野でのこうした取組と、CIO、そしてCIO補佐官との関わりについて伺いたいと思います。
そして最後、(4)市民から催眠商法についての相談がありました。近所で行われているのではないか、毎日たくさんの高齢者が中に入って長時間出てこない様子で、もう見ていられないという声です。非常に難しい問題であるというふうに思っております。市のホームページでも、最近最新情報のところにまた挙がっていましたので、注意喚起がされているということを確認しておりますが、恐らくホームページを見るような世代の方々なのかということも疑問があります。市内の状況や相談体制、取組等を伺いたいと思います。
以上、お願いいたします。