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令和6年第3回定例会

9月5日(木曜日)

令和6年第3回定例会
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道場ひでのり
道場ひでのり
自由民主・市民クラブ現職

映像ID: 2800

13397◯1 番(道場ひでのり君)  総務委員会付託議案第57号 グランドピアノの買入れについて、委員長報告賛成多数可決に賛成、また、議案第57号に関しても賛成の討論を、自由民主・市民クラブを代表して行います。
 先日の私の一般質問にありました危機管理におけるプロアクティブの3原則を鑑みについてにもありましたが、組織上のガバナンス、内部統制、安全管理や危機管理、これに関しても非常にかぶるところがあるので、しっかりと受け止めていただきたいと思います。
 本議案買入れ目的は、武蔵野市立武蔵野スイングホールに設置されているスタインウェイ社製のグランドピアノを買い換えるといったものである。議案が上程された令和6年第2回定例会、6月の頃は、物価が著しく高騰し、また、夏に向かい冷房等の使用に光熱費の心配もされる市民感情が働く時期であった。為替動向も激しく円安が進み、対ユーロにおいては最安値を更新、一般市民がふだんの生活にさえ経済的に疲弊し苦しむ中、高価な輸入ピアノに公金を投入することに、まずは自然に違和感を覚えた。第2回定例会で付託された6月の総務委員会では、やはりその高価さ、サイズの適切性、円安における輸入品への市民感情、また、これまで世界一と評されるスタインウェイ社製から新興ブランドであるファツィオリ社製への機種変更という、ある意味コンセプトの変更等が質疑された。
 所管課説明員からは真摯な答弁があった。大変感謝するところである。しかしながら、ピアノという芸術的対象に関しては、各委員も理解が深まり、納得を得るまでには説明が至らず、調査視察も念頭に継続審査が提案され、そのような扱いになった。この6月の委員会では、市長とは、「中途半端な選択」という私の表現をめぐり、これまで最高のものを求めてスタインウェイ社製ピアノを導入していたが、僅か15%程度の価格差しかないものを選ぶこと、その選択自体が中途半端そのものであると主張させていただいた。また、副市長からは、「偏った」という私の表現においても、認知的に一部の人々に偏っていれば、それは偏っているということであり、公金の投入ということを鑑みれば非常に配慮すべきものだと主張させていただいた。質疑、議論の全体的な文脈、文や流れから趣旨をつかまず、ある表現だけに単純に反応されたことには非常に残念であった。
 正副委員長、所管課の早急な手配もあり、7月8日には、該当設置場所である武蔵野スイングホール、また武蔵野市民文化会館へ視察、7月19日には、今回導入予定機種であるファツィオリ社製ピアノが導入設置されている江東区豊洲の豊洲シビックセンターへ視察が行われた。
 設置場所となるスイングホールでは、その管理体制や会場サイズ、今回買換えとなるピアノの不具合について、また文化会館では、セミサイズ、フルサイズの音質の差、そして、なぜ今ファツィオリ社製を導入しようとしているのかの説明を、実に丁寧に現場説明員より受けた。視察参加議員の中には十分納得をされた方もいたようであったが、私はむしろ強烈な違和感を感じてしまい、思わず、あなたが選んだのですかと尋ねてしまったのである。まさにさきの委員会で私が質疑をした模範回答のような説明だった。なぜそのようなポイントをついた説明が先の委員会で得られなかったのか、不思議でならなかった。
 今回、世界一とされるスタインウェイ社製から新興ブランドであるファツィオリ社製への変換、いまだ一般には広く浸透していない、認知度は一部音楽関係者に偏るものへの話題性はあるものの、大きな方針転換となる。また、最高級とされるスタインウェイ社製は見積価格3,910万円から見れば、国産なら1,900万円と、おおよそ半額となるが、経済的見地から、まさに中途半端となる3,232万9,000円を選ぶことは理解が到底苦しく、これには相当な耐久度のある説明が求められることは自明である。本来これらの質疑に対しては、方針、コンセプトの変更があるということ、また、税金という公金の投入ということを鑑みれば、一現場担当者が決めたかのような手続は当然認められるべきではない。
 6月の委員会後、私たち会派からは、今回のピアノ選定における開示請求を行った。当初の開示請求には、「ピアノ選定における議事録、覚書等」としたのだが、これに対しては該当文書が存在しないと返事があった。何も形跡がないとすれば大事件であり、開示請求の表現を「ピアノ選定に関して全て」というもので改めて行った結果、令和5年7月31日付の副市長協議資料、令和6年度概算要求書、スイングホールのピアノ買換えについての検討──これは武蔵野文化生涯学習事業団からの意見です。そして見積書3件、保守点検書が開示された。この中、副市長との協議資料は昨年7月31日のもので、文化生涯学習事業団の意見資料は昨年6月のものであった。副市長にファツィオリ社製を当時に決定したかを委員会で確認したところ、その時点では決まっていなかったと答弁があった。よって、それ以降、すなわち令和5年8月以降にファツィオリ社製導入が決まったことになれば、何とその選定過程は一切形跡が存在しない。
 繰り返すが、これまでの継続的な事業からの方針転換、この場合、世界一とされるスタインウェイ社製から新興のファツィオリ社製へという大きな方針転換、また公金投入ということにおいては、極めて注意を払う必要があったのである。昨年8月以降に文化会館で現場説明員から受けた説明のように選定が決まったなら、その形跡はしっかり残すべきであり、また、関係者も共有した上で議案を上程し、付託委員会で委員会参加説明員から説明がなされるべきであった。全くもって手続の不備である。大きな方針転換、今回の場合、高額な商品購入でもあり、また手続上、随意契約ともなるものである。しっかりとした根拠、手続、形跡が必須であり、欠落していれば、あらぬ疑いをも招きかねないのである。この一連の選定作業は、今年度の予算に向け、前市長時代に、昨年春以降、概算要求が行われたわけだが、機種選定の過程が昨年8月以降、不透明なのである。手続上大変な不備と指摘せざるを得ない。
 江東区の豊洲シビックホールへの視察の際、それまでに導入実績の少ない、言わば新機軸のファツィオリ社製ピアノを導入するに当たって、公金投入をするということから、選定決定にはどのような手続を踏んだのか確認を行ったところ、豊洲文化センターホールピアノ選定委員会設置要領を発し、ピアノ選定委員会の設置を行い、第1次審査、試弾依頼、第2次審査と、公金投入に対し、しっかりとした耐久性のある手続を行っている。ほか自治体に視察に訪れ、議員として実に悔しい思いをした。きちんと手続を踏み、しっかり形跡を残し、公共性、公明性、透明性のある確実な仕事がなされている。なぜ当市にはこのような作業がなかったのだろうか。一現場担当職員が進めたかのようなありさまである。知識、見識、経験のある職員が率先していくことには全く異論はないが、組織における合意形成は必須であり、その過程も記録し、形跡を残す必要がある。一つの理念を求める財団や個人が求めるものなら、ある意味プライベートなわけであるが、公金を投入するパブリックな世界においては、それ相応の対応が求められるのである。
 買換えを予定されているスイングのスタインウェイ社製ピアノは、これまでその事業も評価を受け、高い利用率から相当な負荷にも耐えながら、既にいつ壊れてもおかしくない状態であり、事業運営上、望まざる事故も心配されている。演奏家の大事なコンサート、ピアノ学習者の大切な発表会など、生涯に二度とない瞬間を台なしにしてしまう危険性があり、早急な対応が求められる。サービスを提供する事業者としては、当然のことながら、管理運営責任上、その安全性を確実に担保する必要がある。この点においては、もう少し早く対応を図る必要性もあったと思う。
 また、ファツィオリ社製ピアノ自体の話題性や品質に関しては、近年高く評価もされており、その機種自体には継続審査中に理解はしている。8月の閉会中委員会では、今後二度とこのような手続上の不備のないよう努めると、市長にも答弁をいただいている。なお、視察で分かったことであるが、保守点検には専門性が必要となること、また保管に関しても相応のものが求められること、そのことから、ピアノ自体でなく、保守体制、管理体制にもしっかり予算を組み、決して中途半端な対応とならないよう強く求めておく。
 以上のことから、委員長報告並びに本議案に対し賛成とする。以上。