13477◯22番(山本ひとみ君) それでは、ただいま議題となっております議案第61号 武蔵野市国民健康保険条例の一部を改正する条例に対して、反対の立場で討論をいたします。
まず、議案の内容についてです。政府は、現行の健康保険証をマイナンバーカードと一体化したマイナ保険証とする方針を示し、この12月2日から健康保険証の新規発行ができなくなります。今回出された条例は、政府の方針による既に改正された国民健康保険法に基づき、武蔵野市の国民健康保険に関する条例の一部を改正するというものです。具体的には、法律第9条届出等の中に被保険者証の返還に関わる第3項、第4項がなくなったため、市の条例でもこの部分を削除し、項の字句を変更するものとなっています。
私への問合せなどで、市民から見て分かりにくかったのは、法律では被保険者証の交付に関する項目があり、ここが大きく変わって資格確認書となりますが、武蔵野市の条例では交付に当たる箇所はなく、したがって、削除するべき文章もありません。なぜ被保険者証の返還に関わる項目の削除だけで、交付に関わる条文は削除しないのかとのお尋ねがあり、私も改めて確認をいたしましたが、交付に関わる条例があると思われている市民がおられたことを報告しておきたいと思います。
また、条例に関連して、行政報告で、国民健康保険の今後の取扱いについても説明がありました。それによれば、12月2日以降は資格確認書、資格情報通知書の発行を開始し、当面の間、マイナ保険証を持っていない方へも申請によらず発行する。マイナ保険証を持っていても、申請によって資格確認書は発行できることなどが明らかになりました。
次に、委員会での質疑と私の見解を申し述べたいと思います。
さて、制度に関する私の立場は、マイナ保険証に関しては強制せず、現行の健康保険証を継続して使えるようにするべきであるということです。医療の領域でもIT化を進めるということは必要な面もありますが、国民の医療を守っていくということが基本に置かれるべきであると思っています。以下、厚生委員会での私の質問を中心に、見解を述べていきたいと思います。
7月の調査では、マイナ保険証の利用率は11.13%にとどまっており、マイナ保険証を持っていても使っていない方が極めて多いことが明らかになっています。また、9月2日の新聞の朝刊にありました18の地方紙の合同のアンケートでも、マイナ保険証への一本化支持が18.3%、現行の保険証を残して選択制にが39.8%、マイナ保険証の導入をやめるは42%となっています。ですから、現行のまま選択制にする、こういう意見が8割を占めているのです。不安に思うという理由では、情報が漏れないのか心配だとか、災害や停電など、使えないときはどうするのかなどが挙げられていました。
今、政権政党の自民党の総裁選挙が行われておりますが、複数の候補からこの制度の見直しの声が上がったということは、今変えようとしている制度に対して疑問や不安を持っている市民が多いということの反映ではないかと思っています。保険証そのものに関して言えば、12月2日から使えなくなるというような誤解も一部にありますが、すぐに使えなくなるわけではなく、この保険証の期限まで使用が可能です。しかし、この点を周知していけばよいというふうには思えず、利用者の声に向き合って、現行の保険証の利用を希望者に対して続けていくべきだと思います。
そもそもマイナンバーカードの取得は任意とされているのに、マイナ保険証への一本化を進めるというのは全く道理に合っていません。病気や投薬の履歴などの情報も、これは医療従事者との信頼関係の上に立って伝えられるべきだと思います。また、顔認証か4桁の暗証番号の入力というのが必要ですけれども、これ自体が大きなハードルになります。本人が認知症であったり、あるいは障害があったりということになれば、その本人がマイナ保険証や暗証番号を適切に保有するということが難しく、施設に入居していれば、施設側が預からざるを得ないということになり、懸念を持つ人は多いと思います。私の母親も民間の介護施設に入居しておりますが、本人が被保険者証や暗証番号を管理することは大変困難です。こうした入居者のことを委員会でも質問いたしましたが、納得できる答弁はありませんでした。カードリーダーの読み込みでも、入力した文字の間違いや、他人の情報のひもづけなど、不具合が出ることはあり得ます。こうしたトラブルがあれば、マイナ保険証は使えません。現行の保険証がなければ、確認をすることも困難です。
さらに、負担の問題もあります。現場の医療機関もオンラインでの資格確認事務を既に求められておりますし、自治体も、今回よく分かりましたが、資格確認書の発行などの負担を強いられることになります。当面の間、マイナ保険証を持っていない人に、申請によらず資格確認書が発行されますが、では、当面の間の後はどうなるのでしょうか。もし申請が必要となるならば、今は申請しなくても保険証が届けられる、そういう制度であります。この今の制度の重大な変更となり、国民皆保険を掘り崩すものとなります。医療保険の制度は、全ての人にとって、いつでもどこでも使える制度、簡素で使いやすいものであることが必要です。それが国民皆保険の考え方の基本であるはずです。
以上、現行の被保険者証を12月2日をもって発行できなくするということに反対ですので、このことを前提とするこの条例改正には賛成できないと申し上げまして、反対討論といたします。
(26番 深沢達也君 登壇)(拍手)