13565◯22番(山本ひとみ君) 会派無所属むさしのを代表しまして、2023年度の全ての決算の認定に賛成の立場で討論をいたします。
今回の一般会計予算は、約794億円の規模であり、第六期長期計画の4年目の年度でした。基金は約606億円と増加をし、実質収支も約31億円と、財政は極めて堅調です。内容としては、2023年度は4月に市議会議員選挙があり、そして子どもの権利条例が施行されました。5月には新型コロナウイルス感染症の法的な位置づけが変更され、10月からはインボイス制度が実施されました。また、12月には市長選挙があり、市長が替わりました。市長は、長期計画・調整計画にある大きな目標の、多様性を認め合う支え合いのまちづくりを変えないことを表明しましたので、この点を私は評価をいたしました。さらに、物価高は依然として続いている中で、市民生活にも電気代や食費など深刻な影響を与えており、対応が求められていたと考えます。こうした変化が市政にどのような影響があるかを注視いたしました。
一方で、決算の付属資料には、市長による主要な施策の成果に関する説明書がありますが、国政や都政への言及があまりにも少ないと思います。市政と関連する事業も多いわけですから、それを記載するのは当然ではないでしょうか。
また、エネルギー政策では、原発に関して記載がありませんでした。能登半島地震のことに触れるなら、原発事故が起きなかったことも記載すべきであり、原発に頼らない社会は今日的課題でもあります。武蔵野市民が使うエネルギーの全てを市で賄うことはできません。他自治体に多くの危険や困難、環境負荷をかけるエネルギーなのかどうかという視点が必要です。エネルギーミックスや脱炭素政策が原発稼働への隠れみのにならないようにお願いしたいと思います。
さて、今回の決算審査に当たっては、監査委員による決算等審査意見書に、議会の議決を経ずに行った買入れや、学習者用コンピューターの備品台帳への不記載も書いてありました。職員の仕事の仕方に関して踏み込んだ、思い切った記述があったことを評価いたします。問題の具体的な指摘は簡単なことではなかったと思いますが、前進のために必要な過程であると思います。
それでは、決算特別委員会で指摘できなかったことも含め、款ごとに評価と課題を指摘したいと思います。
まず、人件費を含む総括質疑であります。今回の決算の大きな課題は、会計年度任用職員の待遇に関することでした。資料請求もしましたが、近隣の杉並区、練馬区、三鷹市、小金井市、西東京市との比較では、とりわけ図書館職員の年収や時給に大きな差があることが一目瞭然でした。練馬区の年収約341万円と比べて武蔵野市は約255万円と、80万円以上の差があることは改善すべき事態です。期末勤勉手当も、近隣区市は4.65か月支給なのに、武蔵野市は2.45か月、全体として給与がこのままでよいのかという検討が必要です。さらに、病気休暇や生理休暇など休暇制度も無給のものがあり、忌引の日数も少ないなど、改善が必要です。雇い止めの制度でいえば、練馬区では9月になって上限の撤廃を決めています。武蔵野市も5年での雇い止めの制度を変えていく必要があると思います。待遇改善を行うことによって、熱心な人材の定着につながり、仕事の質の向上にもつながるのではないでしょうか。答弁では、全ての職員が安心して気持ちよく働いていくところがあるという言葉がありまして、ぜひこれを実質化していただきたいと期待をしております。
締めくくり総括の質疑でも行いましたけれども、このところ、正規職員や人件費を減らすということが改革であるような言説が一部にあります。こうした考えはやめるべきだと思います。このことは市長の答弁でも同意があったと私は受け取りましたので、公的な仕事の価値を重視し、その仕事を担う職員も大切にすることが自治体の価値を高め、市民の評価も拡大をするということを強く訴えたいと思います。
また、住民投票制度について申し上げます。昨年度は、有識者懇談会による論点整理が行われましたが、市長交代によって、当面、この議論を凍結することになりました。市長も住民投票制度自体は否定をしていないわけですから、議論を継続する必要はあるのではないでしょうか。私は、武蔵野らしさの重要な部分として市民参加があり、それは長期計画での武蔵野方式だけでなく、条例の形で、常設型住民投票の制度を保障することでもあると考えます。様々な意見があるのは当然であり、違った意見を、それを市民の間で議論を交わして、それを深め、発展の原動力となると考えております。
続きまして、総務費に移ります。
1点目は、子どもの権利条例ですが、昨年度から施行されておりまして、周知が様々な形で進んでいることを高く評価をしております。
男女平等は、男性の育休取得が進んでいることを評価しておりますが、さらにその取得日数を増やすなど、育児に男女双方が格差なく関わることができる平等な社会に向けて前進を期待いたします。
平和施策では、都立中央公園地下に中島飛行機製作所の地下道が存在する可能性が高く、身近な戦争遺跡を保存するということを東京都に訴えていただきたいということを話しました。多くの方が戦争遺跡に触れることができるように御尽力をお願いいたします。自治体から平和を発信する上で、加害も被害もある戦争の全体像を伝えていくことが重要だと思います。
続きまして、民生費です。
民生費で最も驚いたのは、保育園の児童置き去り事件でありました。最後の締めくくり総括でも多くの時間が割かれ、委員長も苦言を呈しておりましたが、私もこの年度の2023年12月に起きたこの事故が、自治体の議員共有が随分後になって、決算での資料請求でやっと明らかになった、9か月も過ぎたということは、行政と市議会との信頼関係を傷つけるものであり、誠に残念であります。なるべく早く協議をするということでありますので、可能な限り早く情報を議会と共有をすることを求めたいと思います。
保育園について言えば、希望する保育園を選ぶことができる社会を期待しています。医療ケアに関しては、児童1名でしたけれども、公立保育園の存在は、医療的ケアあるいは障害児保育を考えても、欠かすことができません。今後とも重視をしていただくようお願いをいたします。
学童クラブの長期休みの昼食の提供に人員を配置して、保護者の負担軽減を進めるということについての検討が昨年度行われまして、今年度の夏は一定の支援がありましたが、さらに父母会の負担軽減につながる対応を求めます。今、学童クラブは利用者も増え、アレルギー対応も大切ですので、ぜひ早期に給食が提供できるよう御尽力をお願いいたします。
グループホームの利用者は、夜間など個室で急変することがありますが、ベッドとマットの間の機械を置くなど、機械を希望者に設置することを検討していただきたいと思います。
また、東学園のグループホーム友愛寮は、9月末──今日です──で終了とされておりましたが、9月27日金曜日夕方時点では、入居している方が10月以降どうなるか不明であり、この点を東京都に対して状況の把握を求めるとともに、これまでどおりの毎日となるのか、市としても、より一層の対応をお願いしたいと思います。
生活保護については、クーラー設置等の夏季加算、大学進学による保護からの離脱など、こうした課題に引き続いて向き合って、要望を国に届けていただきたいと思います。
物価高騰対策は、この民生費でも対応されていましたので、こうした取組があったことは大変よかったと考えております。
続きまして、衛生費です。
雨水浸透事業に関しては、予算額と決算額で開きがありました。今、ダムや堤防など大規模な構造物だけに頼らない流域治水という考え方が注目されており、国でも2021年、流域治水関連法ができております。武蔵野市でも、かねてからこの流域治水という考え方で、雨水浸透ますや透水性の舗装などを進めてきたことを評価しています。都市型水害を大規模なものとしないように、一層の御尽力をお願いいたします。
また、放射能対策の継続を訴えました。東日本大震災から13年が経過いたしましたが、放射能は半減期が長期にわたる物質も多く、継続した対策をお願いしたいと思います。
吉祥寺地域では、病院の数が減少を続けて、ついにこの9月で吉祥寺南病院が診察中止となります。吉祥寺での医療体制を心配する市民は多いということを痛感しております。現在、行政でも会議を開いておりますが、今後のことを考える際に、営業面も含めて、行政が関与することを排除しないで検討をしていただくよう求めたいと思います。
続きまして、農業費です。
PFAS、有機フッ素化合物に対してです。この物質は、農業者の使う井戸水であるのか、どんな値なのかを心配している方は多いと思います。口に入れるものを作るのですから当然ですけれども、でも、万一影響があったときに、生産している農業者にどのような支援があるのかということが重要だと思います。この点でも御検討をお願いしたいと思います。
続きまして、土木費です。
武蔵野プレイスと隣接寺院の間の道路について、行政は都市計画審議会で、並木の景観を大切にして歩行者の通行に配慮し、道路拡幅計画を中止する方針を提案いたしました。このように、状況の変化に合わせて道路に関しても、現在の必要性から見直しを行っていく姿勢は大変重要な姿勢だと高く評価をいたします。
住宅対策では、居住支援協議会の役割を十分に発揮して、住宅に困窮する方の支援が進むように、期待をしております。
あんしん住まい推進事業では、予算と決算で開きがありましたけれども、引き続き利用者の増加に努めていただきたいと思います。
また、浸水の予想も書いてあるハザードマップに関して、不動産の売却や賃貸の際に、これを重要事項として説明することを徹底していただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。
続きまして、教育費でございます。
教育費の最初はインクルーシブ教育です。私は、障害のあるなしにかかわらず、子どもの希望によって、同じクラス、同じ学校で学び、過ごせるインクルーシブ教育が大切だと訴えてきました。新築される学校では、エレベーター設置など設備面での改善は進んでいます。また、東京都で介助員制度がクラスによらない補助を行うということが決定されました。しかし、委員会で質疑したところ、この制度の適用は今ないということで、大変残念に思っています。通常学級、特別学級を問わず、保護者が付添いを必要としない制度をつくって、それを誰もが利用できるようにしていただくということが必要であり、制度がないということを理由にした特別支援学校の通学にならないようにお願いしたいと思います。
2点目、病気等でオンライン授業しか受けられないお子さんへの対応を伺いましたが、これは直ちに対応があり、評価をしております。
また、3点目、昨年度、中学生の特別支援学級通学への個別対応について検討がなされましたが、残念ながら、登校のみの支援となっており、バス停から歩くなど保護者の負担が依然としてあることが明らかになっています。この点でも、希望する方へスクールバスによる通学の支援を行っていただきたいと要望しておきます。
続きまして、不登校対策です。
不登校対策では、該当する児童生徒はますます増えています。資料請求をいたしましたが、2023年度は小学校で134人、中学校は175人で、4年前はそれぞれ48人、87人ですから、2倍以上に増えております。激増です。東京都は、今年度からフリースクール利用者に対して月2万円の支援を始めましたが、多額の費用がかかることも多いので、さらなる経済的支援が求められております。
また、改築される学校において、自分の通常学級には行けないが学校に行けるというお子さんもいらっしゃいますので、恒常的な居場所をお願いしたいと思います。
次に、盗撮事件です。昨年、公立学校での盗撮事件が大きな課題となりました。早期からのジェンダー平等や差別反対の視点も含めた包括的な性教育と、商工会館や武蔵野プレイスなど学校内外での安心できる相談の場が必要だと思います。
給食に関しては、今年度の無償化を高く評価しております。献立や食材選定にも注意を払って、多くの自治体から注目をされております。放射能測定器は今故障中とのことですけれども、今後とも測定を続けて、食の安全を重視していただきたいと思います。
図書館に関しては、会話をしてもよい図書館に関してお願いをいたしました。静かにしなければならないという雰囲気は変わりつつあるかもしれませんが、今後、周知や広報等で後押しをしていただきたいと期待をしています。
中学校統廃合に関しては、学校改築の中で検討するとのことですが、学校の規模が大きくなれば、教育効果が十分に上がらないこともあり得ます。当事者の保護者、地域の声を丁寧に聞いていただくよう要望いたします。
さらに、エアコンのない教室が各学校にあり、設置には差があることも明らかになりました。危険な暑さが続いた状況でありますので、一刻も早い設置を求めます。
最後に、これは持論でありますけれども、学校は、長年続いてきた過度な競争主義や児童生徒の序列化という考えから完全に自由になっているとは言えません。武蔵野市だけが新しい考えを実践していくことは困難かもしれませんが、教育機会確保法の趣旨も踏まえて、学校だけが学習や生活の場でないことを多くの方に広げていただきたいと思います。
次に、特別会計です。
国民健康保険に関しては、財政健全化計画が前提の負担増には賛成はできません。また、それこそ目前に迫っているマイナ保険証への一本化を強行することなく、現行の保険証も使用できる仕組みが望ましいと考えます。国民皆保険の基礎を掘り崩すことのない制度が求められているのではないでしょうか。
介護保険事業に関しては、全国的に訪問介護報酬引下げが大きな問題となっています。武蔵野市では、介護人材の不足にならないのか、在宅介護の質の低下にならないか心配です。あらゆる機会を捉えて国に自治体の実情を伝え、制度の改善を訴えていただきたいと思います。
水道事業に関しては、物価高騰対策ともなりますが、水道の基本料金部分を当面無償化することは市で可能であり、検討していただきたいと思います。また、命に関わる水道料金の支払いが困難になるような事態は、福祉的な措置を必要とする可能性も高いと思いますので、福祉との連携を強化していただきたいと思います。
以上、幾つか評価と課題を述べてまいりました。
最後に、今後の武蔵野市の在り方を述べたいと思います。物価高騰は依然として進んでおり、市民生活にも大きく影響しております。国の取組はありますが、武蔵野市の基金を活用した格差を是正する対応は可能であると思います。多様性を尊重し、属性による差別がないまち、様々な人がまちづくりに参加をできるまち、そして市民参加が深まっていくまち、このようなまちを目指して、共に努力していきましょうと申し上げたいと思います。
最後に、この決算の作成と審議に御尽力いただきました全ての皆様に感謝を申し上げまして、私の賛成討論といたします。