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令和6年第3回定例会

9月30日(月曜日)

令和6年第3回定例会
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菅源太郎
菅源太郎
立憲民主ネット現職

映像ID: 2838

13564◯12番(菅 源太郎君)  私は、会派立憲民主ネットを代表し、令和5年度全ての決算の認定等に賛成の討論をいたします。
 令和5年度は、当初予算を「誰もが安心して暮らし続けられるまちへ 平和が続く未来をつくる予算」と位置づけ、第六期長期計画の4年目として、調整計画の策定を仕上げた年度でしたが、市政に大きな影響を与える2つの出来事が起きました。
 1つ目は、5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更されたことです。このことで、市の施策や行事が少しずつ元に戻っており、生活困窮者自立支援制度の件数がコロナ禍前に戻ったことが確認できましたが、市税収入の数字から、高額所得者も、そうでない方も両方増え、格差が依然広がっていることが分かりました。ウクライナ侵攻以来続く急激な物価高が市民生活を今もなお直撃していることは見逃せません。
 2つ目は、12月に市長が交代し、当該予算案採決を退席し、子どもの権利条例に反対した小美濃新市長が、3か月とはいえ執行することになったことです。その結果として、令和6年度には長期計画・調整計画の一部見直しや保健センター増築・複合施設整備のさらなる検討などが始まりました。
 そんな令和5年度の決算審査について、審査内容と各款ごとに意見と提案を申し述べます。
 まずは監査委員審査意見と総括、人件費です。私たちは、今回の監査意見の踏み込んだ内容に注目しました。「基礎的知識の定着と知見の承継について」との項が立てられ、臨時会での追認議決に至った予定価格2,000万円以上の教師用指導書の買入れについて、その背景が分析されています。そこでは、研修や引継ぎで学んだ知識を日常業務の実践で定着させること、経験豊富な職員の知見を生かすことが課題と指摘されました。答弁では、「勘どころ」との言葉も使われましたが、伝票発行などの業務が会計年度任用職員によっても担われ、常勤職員が知識を実践で定着させる機会が少ないのではとの印象も受けました。私たちは、殊さらガバナンスとか内部統制という言葉を強調してはおりませんが、現状を容認しているわけではなく、この監査の指摘を厳しく受け止めています。市長から、定期監査も含めて監査委員の指摘事項を主管者会議や部課長会議で共有し、自らを先頭に改善を徹底するとの決意が示されましたので、評価するとともに、今後の取組を注視してまいります。
 また、今回の指摘は両監査委員の共通認識だったものの、これは従来から申し上げているように、代表監査委員と議選監査委員それぞれに視点が異なりますし、合議制の組織ではないので、それぞれの監査意見を付すことがあってもよいと申し添えます。
 総括では、決算付属資料の主要な施策の成果に関する説明書について、その成果の定義が今後の行政評価で必要となると指摘しました。また、説明書の冒頭で触れた新たな行政課題は、物価高騰対策と思われますが、新たな行政課題とは、当初予算にないことを補正予算などで執行したわけですから、もう少し詳しく説明するよう提案します。
 人件費では、会計年度任用職員の報酬や休暇を取り上げました。再任用職員とのバランスや報酬月額について説明がありましたが、後で述べるように、多摩26市で最も良好な財政状況にあること、人口が増え続けていることを考えると、待遇改善は急務です。優秀な人材が他の自治体に移れば、それだけ市民福祉が低下します。市報に募集記事を掲載しさえすれば優秀な人材が集まってくるという時代ではなくなりました。執行部の答弁からも、ターニングポイントとの認識は感じられたので、設置される庁内チームで勤勉手当など改善すべき点を早急に整理し、可能な点から実施に移すよう提案します。
 歳入では、市民税が約2億円、固定資産税が約13億円のそれぞれ増と、令和5年度も堅調でした。コロナ禍を経ての財政状況も、財政力指数は単年度1.589、3年間平均1.507、いずれも前年度に比べ上昇、公債費負担比率は2.4%、経常収支比率は79.5%と、いずれも前年に比べ低下し、多摩26市で最も良好な状態です。
 一方で、ふるさと納税による税額控除の影響額が約14億5,000万円と、令和元年度の2倍近くに急増しており、監査意見も「看過できない状況」としています。特に不交付団体にとって不合理な制度であり、国に対して廃止を含めた見直しを求めるとともに、ふるさと納税している納税義務者の分析、対象者への効果的な働きかけを検討するよう提案します。
 ひとえに市民の皆様の担税力に感謝しつつ、執行部も議会も財政的な余裕があるからと油断せず、効率的な財政運営はもちろん、施策をどのように実施したか(アウトプット)から、施策の実施が市民にどのような便益をもたらしたか(アウトカム)に着目した評価へと進化する必要があると考えます。このことはこれまで何度も提案していることです。少しずつ改善されていることは評価しますが、今回の審査をターニングポイントにして大幅に改善することを提案します。
 続いて歳出です。まず、総務費で申し述べます。
 1つ目、芸能劇場など3施設の次期指定管理者が公募によって従来の財政援助出資団体から初めて民間企業に交代することを受けて、指定管理者の公募と財政援助出資団体の指導監督が両立するのか、ただしました。現状では、あと2施設の公募しか決まっていませんが、公募の拡大には議論が必要と感じました。
 2つ目、アール・ブリュット作品について、展示会だけで終わらせるのではなく、市としての事業のポスターとか、内部のデザインとか、様々に活用すること。福祉とアートの分野で急成長しているスタートアップ企業を審査で紹介しましたが、作品を市外に発信すること、商業的にも評価を得られるようにしていくことも重要であり、作品を提供してくれた方々のモチベーションにつながると考えます。
 3つ目、子どもの権利条例と擁護センターについて、子どもの権利の認知度として、「内容を知っている」約5割と「名前だけ知っている」が約4割の計約9割との評価でしたが、その内容を知って行使できる子どもを増やすことが目標でないのか指摘しました。知っているだけでは目的を達成できませんので、指標の修正を提案します。
 4つ目、多文化共生推進事業について、執行率が低い理由として、講演会だと関心の高い市民ばかりが参加してしまうとの説明は一定理解しました。多文化共生に関心がないとか、外国人の増加に否定的な意見の市民の方々にこそ幅広く伝える必要があり、例示された動画制作のように、目的に合った手法を今後も模索すべきと提案します。あわせて、国際交流も、国際情勢のみならず、物価や為替の状況を踏まえたオンラインの積極的活用を提案します。
 5つ目、レモンキャブの協力費や消防団員の報酬を改定する中、コミセンの窓口手当を例に、地域で活動している有償ボランティアの処遇についてただしました。職員ではありませんが、地域を支える人を大切にする観点から、充実を求めます。
 6つ目、男性職員の育休取得率が100%に達しています。次の目標は、日数が取れるか、補充できる体制を整えられるかに移っています。ダブルケア、トリプルケアをも含め、さらにワーク・ライフ・バランスに配慮した人事配置を求めます。
 次に、民生費で申し述べます。
 1つ目、児童虐待相談支援のため、都による子ども家庭支援センターの機能と、都児童相談所との連携強化についてただしました。都多摩中部児童相談所(仮称)の2029(令和11)年市内設置に向けて、職員研修派遣、DXによる業務効率化など、都との連携を進めるよう提案します。
 2つ目、介護職・看護職Reスタート支援金について、市内事業所の従業員の充足に貢献したとありますが、必要数や不足数など分かるのか尋ねました。令和5年度は、市内においてヘルパーが訪問介護を提供できない状況にまでは至っていないとの答弁でしたが、令和6年度は報酬引下げに伴い、訪問介護の人材が不足する危機を感じていますので、市として注視し、状況に応じた対応策の検討を提案します。
 3つ目、市内保育園と学童クラブの月別事故件数の要求資料から、その傾向と背景を伺いました。コロナ禍の自粛を経て、子どもの運動不足及び事故を予測しながら保育する保育者の経験不足が影響していると分かりました。ここは保育者の経験を丁寧に継承するとともに、最後に触れますが、園児置き去り事案を含めて、市内保育園や学童クラブでのこうした事案を議会と共有することが必要と考えます。
 衛生費で申し述べます。
 1つ目、市が都に要望している保健所に感染症対策を担う体制の整備について、都は令和6年度、保健所に市町村連携課を置き、担当を各市町村1名ずつ配置したことや、保健師等の人事交流を進めるとの答弁でした。こうした連携が実効性を上げるよう求めます。
 2つ目、若年層健康診査は、目標1,000名に実績841名だったことを評価します。受診率向上のため、受診勧奨通知年齢の拡大や市報などでの伝わる広報を検討しているようですが、さらなる努力を求めます。
 3つ目、効率的なエネルギー活用推進助成事業でのマンションの窓断熱、住宅の断熱を進める政策を進めることを提案いたします。
 次に、商工費では、観光機構への支援について、特に武蔵境ジャズセッションのための補助金が、そのまま同じ金額でエフエムむさしのに再委託されている点を、また、アンテナショップ麦わら帽子について、黒字との説明でしたが、家賃や冷蔵ケースなどは市が負担しているため、全体の実質的な収支が分からないことを指摘しました。観光機構も麦わら帽子も事業目的は一定理解しますが、市民がその活動状況を正確に把握できるよう、収支決算を明確にできるように計上することや、補助金等の交付方法を工夫するよう求めます。
 土木費では、建築物の耐震化について、執行率の低い理由を尋ねました。特に集合住宅での耐震工事の合意形成が容易でないことは理解しますが、特定緊急輸送道路と言われる幹線道路の沿道建築物の耐震化率が48.6%にとどまっています。当事者の費用負担が難しいなら、国や都による支援の充実を求めるよう提案します。
 消防費では、学校避難所井戸浄水器の補正予算での設置を評価します。家具転倒防止金具だけでなく、携帯トイレのサンプル全戸配布による普及を求めます。災害時のトイレの問題は、重層的に選択肢が複数ある状態が望ましいと考えます。
 そして、教育費で申し述べます。
 1つ目、学習者用コンピューターの台帳未記載は、定期監査で発見されたことはよかったものの、これだけの台数が見逃されたことを深刻に受け止めていただきたいと思います。
 2つ目、中学校部活動指導員について、今年度は予算額を充足する配置とのことで、よかったです。御説明からは、国や都の方針を受けて、拙速ではないにせよ、地域移行へ進むと理解いたしました。
 3つ目、学校、特に校庭開放でも暑さ対策は重要ですが、運動中止・継続の判断は使用団体に任されていることが分かりました。昨今の酷暑を受けて、今後は運動中止を含めたルールづくりを検討するとの答弁でしたが、子どもの命に関わることなので、ぜひ急いで御検討ください。
 4つ目、これも暑さ対策ですが、市立小・中学校のエアコン未設置室について尋ねました。特別教室や生徒会室の設置には時間がかかるので、エアコン設置した教室を活用するよう答弁されました。資料を請求したところ、生徒会室は普通教室よりも面積が小さいことから、可動式の空調機での対応ができ、費用もさほどかからないことが分かりました。子ども議会で提案があったこと、地球沸騰化とも言われるほどの状況を考えれば、緊急性が高いと判断します。早急な設置を提案します。
 また、児童生徒が持参する水筒を小さくするために、給水器の設置も求めます。
 5つ目、フリースクールと公立学校の連携について伺いました。教育委員会としても、フリースクールの状況を把握しているとの答弁があり、評価します。フリースクールに通う児童生徒は、市立小・中学校に在籍をしているのですから、教育内容を含めて、今以上に連携することを提案します。
 スポーツのために校庭や体育館を施設開放として活用することの検討を求めます。
 家庭と子どもの支援(常駐型)は、全18校が目標との答弁だったので、予算と人材の確保に努めていただきたいと思います。
 次に、国民健康保険事業会計では、財政健全化計画で、1人当たり赤字額の10年半減を目標にしたものの、赤字額は逆に増えています。国や都に持続可能な国保制度となる支援を求めるよう提案します。
 水道と下水道の事業会計では、経営状況が厳しいことを理解しつつも、能登半島地震で浮き彫りになった耐震化の加速を提案します。
 最後に、委員会の締めくくり総括質疑でも指摘しましたが、要求資料から判明した市内保育園での園児置き去り事案をめぐる議会と執行部の情報共有の在り方です。幼稚園の通園バスで起きた痛ましい事件から、国を挙げて対策を行い、市としても対応していると以前の審査で答弁をしていました。しかし、今回資料請求したことで、対応すると答弁した以降に、今回の件だけでなく、その前年にも起きていることが明らかになりました。資料を請求しなければ明らかにならず、隠されていたことになります。市としても早急な対応策を実施するとともに、小美濃市長の公約でもある隠し事のない市政の実現を強く提案します。保育園や学童クラブでも、重要な事故について、東京都への義務はあるものの、議会への法的な報告義務はありませんが、私たちは二元代表制の一翼として市政への責任を担っていると考えています。このことは、小美濃市長が議長のときに施行した議会基本条例に明記されていることです。今後は、情報を共有することで、市民福祉を向上していきたいと考えます。市長の答弁で今後の改善が約束されましたので、その点を評価して、決算の認定に賛成いたします。
 最後に、市長交代という局面にあって、事業遂行に当たられた全ての関係者の皆様に市民を代表して感謝を申し上げ、討論を終わります。
             (22番 山本ひとみ君 登壇)(拍手)