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令和6年第4回定例会

12月5日(木曜日)

令和6年第4回定例会
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宮代一利
宮代一利
ワクワクはたらく現職

13788◯6 番(宮代一利君)  6番、ワクワクはたらく、宮代一利です。どうぞよろしくお願いします。
 世の中に存在しない、事故が絶対に起こらないという主張に対し、それの証明を求めることを、悪魔の証明と呼びます。AさんとBさんが、UFOは存在するか、しないかについてディスカッションをしています。
 「僕はUFOは存在すると思う」「その意見には同意できないな」「どうして。この広い宇宙だ。人間以上の知性が存在する確率は十分に高いと思うが」「もしそうだとしても、数十億年の宇宙の歴史の中で、たまたま人類と同時期に生存できた可能性は低いのではないのかな」「その意見も分からなくはないが、高等な知能をもってすれば、そうした時間の壁を乗り越えることも可能だろう」「それはSFの世界の話だ」「どうしても君はUFOの存在を認めたくないというわけだ。ではUFOが存在しないという明確な証拠を示してほしいな」「存在しないという明確な証拠」「ほら、もし君がそれを証明できないならば、UFOはやはり存在するということさ」。
 さて、この会話のどこが問題か、お気づきになりましたか。Aさんが最後、UFOが存在しないことを証明せよと言っていますが、これこそが悪魔の証明を押しつけていることになります。存在しないことを証明することの難しさは想像がつくと思います。正しいディスカッションを進めるためには、悪魔の証明を求めることは避けなければならないと考えています。日常の議論の中でも、それって本当ですかとか、少しでも可能性があるならやはり危険ではないですかといった突っ込みをしていませんか。
 これは本来、本当ではないと考えるのであれば、その根拠を示すべき、危険と考えるならば、なぜ危険と考えるのかを表明するべきところ、それをせずに、発案者に対し証明を求めている行為です。存在するかもしれない、事故が起こるかもしれないといったケースにおいて、絶対ないという証明はできないまでも、対応策の一つの手法として、継続的にモニタリングをする、データ収集を実施することなどにより、安心を手に入れようとする取組は助けになると考えます。これは対象が限定的である際には有効な手段の一つと言うことができます。
 さて、PDCAサイクルという手法は武蔵野市でも活用されていると思いますが、私はさらにPDCADAというサイクルを大切と考えています。プラン・ドゥー・チェック、これは普通のPDCです。ここまでは通常のプロセスです。次のAは、通常アクションとなっているところ、その前にまずアナリシス、分析が必要。そしてそれに続くもう一つのDはデシジョン、判断、決断。最後に通常のA、アクションに移ります。PDCADAです。行政機関ではEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)、証拠に基づく政策決定が大事と言われています。この視点において、以下質問をします。
 1、むさしのジャンボリーの再開について。
 昨日、道場ひでのり議員が十分に議論をしていただいた内容ですが、少し視線が変わっているので、答弁を求めたいと思います。令和6年度のむさしのジャンボリーは中止となりました。中止とした経緯と再開に向けた今後の取組について、以下伺います。
 質問1の1、中止の判断について。武蔵野市のホームページには、令和6年度むさしのジャンボリーについて、「自然の村内で熊が複数回目撃されている状況を受け、児童をはじめとした参加者の安全のため、今年度のジャンボリーは中止とします」との記載があります。この決定をするために、どんな会議が開かれて、誰が決定をしたのか、その経緯が見えません。今年度のむさしのジャンボリーを中止するとの判断に至った経緯について、中止にした理由、判断に至った内容について御説明をお願いいたします。
 質問1の2、市立自然の村における熊の出没とジャンボリーの関係について。自然の村内における熊の目撃回数に関する過去のデータについて伺います。近年都会にも熊が出没するようになりました。一説によると地球温暖化の影響とのことですが、今回はその真偽の議論はしないことにします。熊の主食であるドングリの作柄との関係性を指摘する調査結果もあります。実態として都市部での熊の出現回数は増加しているとのデータがありますが、山間部にはかつてから熊が生息しているのは当然のことです。これまでも自然の村でも当然のように目撃情報があったにもかかわらず、ジャンボリーを実施していて、今年度は中止にするに至った道筋について伺います。
 質問1の3、再開の判断について。来年度以降、ジャンボリー再開に向けて、現在進めている方策はどんなことに取り組んでいるのか、どこまで条件がそろったら再開するのか、判断基準の考え方について伺います。これはまさに絶対の正解はなく、絶対に事故につながることがないことを証明せよとなってしまったら、すなわちこれは、これこそ悪魔の証明となってしまいます。一方で、証明ができないなら再開をしないとなったら、もうジャンボリーはできなくなってしまいます。では今後、どんな道筋で判断をするのでしょうか。まさに参加者の安全・安心の確保の問題です。
 大きな2番です。安全確保のための測定について。
 市内では様々な環境に関わる測定を実施し、データを収集しています。これらを実施している根拠とデータ活用の実態について伺います。
 質問2の1、ダイオキシン類の調査について。市内で実施しているダイオキシン類の調査について、実施している根拠、すなわち法律や条例、対象施設、過去のデータ概要、測定にかかる費用、今後の見通しについて伺います。
 市のホームページ上での情報は以下のとおりです。
 「現在のクリーンセンターは、ダイオキシン類の発生を抑える施設として、国の排出基準よりさらに低い基準を設け、資源化できないプラスチック類については、「燃やすごみ」として焼却しています。定期的に排ガス中のダイオキシン類の調査を行っています。調査結果については「廃棄物の処理及び清掃に関する維持管理情報」をご覧ください」。「廃棄物処理施設情報の透明性を確保し、安心感・信頼感を得ることを目的として、施設の維持管理の状況に関する情報(廃棄物処理法第8条の4の規定による廃棄物処理施設の維持管理に関する記録)を公表しています」。
 以上引用です。ダイオキシン類対策特別措置法によるルールであり、基礎自治体としては守らざるを得ない状況ですが、いつになったらこの法律を見直すのでしょうか。これは国の問題です。もはやダイオキシン類を排出しない設計の技術は積み上がり、実態としてのデータも値はほぼゼロです。費用をかけて継続して取得しているデータがいかに活用されているのか、その実態に合わせて将来法律を見直すことに期待したいと思います。今回は、市内におけるデータの活用について伺いたいと思います。
 質問2の2、食材の放射線測定について。市の関連施設で実施している放射線測定について、厚生労働省が公開している食品中の放射性物質検査データというサイトがあり、そこに武蔵野市のデータも公表されています。それを見ると、2011年6月から測定を開始していますから、きっかけは東日本大震災時の東京電力福島第一原子力発電所の事故であることが分かります。
 主にコマツナ、大根などの野菜に含まれるセシウムを測定しており、2024年5月の測定値まで検出限界以下で、当然規制値をクリアしている状態です。2011年から毎年計測を継続しており、毎年検出限界以下ですが、2012年5月28日の測定において、1回だけ有意値、すなわち一定量存在していることを示す値が見られています。そのときでも規制値はクリアをしています。
 こちらは悪魔の証明を求めているわけではなく、対象物を限定し、継続的モニタリングを続けることで、安全に関するデータをそろえ、安心を得ようとしている例と言えると思います。しかしながら、事故があった過去からデータを取り続け、いつまでこれを継続し続ける必要があるのか、判断、決断が必要と感じる側面もあります。計測を開始したきっかけは、そのときの原因は明らかですから、その原因が取り除かれたのであれば、もはやデータの取得をせずとも安心してよいはずです。
 このような現状を踏まえ、市内で給食などの放射線測定を実施している根拠、対象施設、過去のデータ概要、測定にかかる費用、今後の見通しについて伺います。
 質問2の3、水質調査における有機フッ素化合物(PFAS)について。PFASについて世界的に規制が強化され、日本でも輸入や製造を規制する動きが強まっています。大変便利な化学物質であるため、利用が続いており、自然環境において分解されないために、半永久的に蓄積されてしまい、毒性に関する指摘に基づき、問題視されています。
 日本国内における規制の見直しや取扱いについては、現在検討中の状態ですが、今回は現状について伺いたいと思います。市内における水質調査中の有機フッ素化合物(PFAS)の測定について、継続的に測定を実施している場所、実施している根拠、過去のデータ、測定にかかる費用、今後の見通しについて伺います。
 避難所の井戸についてPFASの検査をしていただき、除去装置をつけていただいたと。この除去装置はそれほど特別なものではないですが、PFASをかなり大幅に少なくすることができるということは、既に知られていることです。もしこのことがはっきりとしてきた場合には、除去装置を活用するというような流れが将来的には見込まれると思っています。これほどにも継続的にデータを取ってまで大騒ぎをしなければいけない話なのかということについて、考えてみたいと思います。
 3、シールドマシンによる工事について。
 外かく環状道路、外環工事が進行し、武蔵野市に近づいてきています。先日、広島県において道路陥没事件が発生しました。道路の陥没事故について調布の事例があり、我々にとっては看過できる問題ではありません。また、都立武蔵野中央公園においても工事が予定されています。工事の在り方について、以下質問します。
 質問3の1、事前調査の実施とそのデータについて。上記2件の工事について、事前準備としてどんな調査を行い、それらのデータの分析、情報の公開はどのような状況であるか伺います。今後は絶対に陥没事件を起こさないことを証明するべきだと主張してしまうと、悪魔の証明の押しつけになってしまいます。しかし市民が安心を求めるのは当然のことです。では、どんな説明をすれば安心と感じることができるのか。それに真摯に取り組むのは事業者の責務と感じています。
 労働災害に関する有名な法則について御紹介します。1931年に初版が発行された「Industrial Accident Prevention - A Scientific Approach」。災害防止のバイブルとして、NASAをはじめ数多くの著作物等に引用されることから、この著者であるハインリッヒは、災害防止のグランドファーザー──おじいさんです──と呼ばれるようになりました。
 労働災害における経験則の一つにハインリッヒの法則があります。これによると、1つの重大な事故の背後には、29の軽微な事故があり、その背景には300の異常、ヒヤリ・ハットが存在するというものです。調布の事故のようなこれまでに起きた事故は死傷者がなく、本当に幸いでしたが、実は、これは今後の死傷者が出るような、さらなる重大な事故の前触れと理解するべきではないのでしょうか。その意味で、これまでのデータを分析し、誠実な説明が必要と考えます。
 先月26日、広島市西区の福島町で、雨水を地下にためる雨水管と呼ばれる設備を造るための地下の掘削工事をしていたところ、道路が陥没し、周辺の建物12棟に被害が出て、今でも少なくとも20世帯34人が避難生活を余儀なくされています。本件に対するNHKの報道は以下のとおりです。
 「先月、広島市西区で地下の掘削工事中に道路が陥没し周辺の建物に被害が出た事故をめぐり、事故の直前、泥水が大型の掘削機械の「シールドマシン」の下の部分からトンネル内部に流れ込んでいたことが関係者への取材で分かりました。本来はトンネル内部に流れ込まない仕組みになっていて専門家は「不具合が発生してシールドマシン前面の土が緩んで地表近くまで達し、陥没が広がった可能性がある」と指摘しています。」
 「掘削工事は地下およそ30メートルで大型の掘削機械の「シールドマシン」を使って行われていましたが、当時、トンネル内部に設置されていたカメラの映像にシールドマシンの下の部分からトンネル内部にむかって泥水が湧き出るように流れ込む様子が写っていたことが関係者への取材で分かりました。」
 「シールド工法に詳しい早稲田大学の小泉淳名誉教授は「隔壁かスクリューコンベヤの付け根付近に不具合が起きたと推察される。不具合によって圧力が下がり、シールドマシン前面の土が緩んで地表近くまで達して陥没が広がった可能性がある」と指摘しています。」
 工事を受注していた共同企業体の1つの企業はNHKの取材に対し「現段階では今回の事故の原因については分かっておらず、引き続き原因究明に向けて市と協議をしながら実施していく」としています。
 「事故をめぐっては工事を発注した広島市が有識者による委員会を設置し、事故原因の究明を行うことにしていて、こうした不具合の可能性と陥没との関係についても調べるものとみられます。」
 このような事故が相次ぐ中、武蔵野市民の安心を確保するために、これまで取り組んできていること、今後の取組について伺います。まだ未解決のこういった相次ぐ陥没事故に対して、この結果を待たずに工事を続けることに対して非常に疑惑を感じます。ここについては必ず慎重に調べた上で、先に進んでいただきたいと思っております。
 質問3の2、武蔵野中央公園における工事について。本年10月に宮崎空港において不発弾が自然爆発を起こしました。不発弾の探査などを行う会社でつくる磁気探査業協会は、過去の報道などを基に、地中に埋まる不発弾などが外から力がかからない状態で突然爆発する、自然爆発の事例を調べました。その結果、太平洋戦争後に不発弾が自然爆発したと見られる事例は、確認できただけでもこれまでに全国で20件起きていたということです。
 年代順には、1940年代に東京都で4件、1960年代に東京都で2件、群馬県、埼玉県、大分県、宮崎県で1件、1970年代に宮崎県で2件、群馬県と東京都で1件、1980年代、東京都と沖縄県で1件、1990年代に大分県で2件、鹿児島県と大分県で1件となっています。
 以上のとおり、これまで日本国内の各地で複数の事例が起きているというデータがあります。地中に不発弾が存在することは、日本において珍しい事象ではないことが分かります。もちろん東京都の事例も多数あります。シールドマシンによる工事を実施すれば、爆発のリスクは大幅に上昇します。不発弾がないことの証明は、これは悪魔の証明ではなく、工事の進路が限定されている条件下においては、リスクマネジメントそのものであると言えます。このリスクマネジメントをどこまでの精度で実施するかなど、工事着手に向けて、事前にどのような調査を行うことになっているのかを伺います。
 以上、壇上からの質問とします。御答弁よろしくお願いいたします。