117【松下市長】 まず、先ほど大野委員、他の自治体の子どもの権利条例では、父母その他の保護者が第一義的責任を有するということが書いてあるとございました。私もいろいろ調べる中で、その時点では、こども基本法というのはできていないのです。子どもの権利条約のみで、子どもに関する総合法というのが日本では、条約批准後も長年できていませんでした。その背景をいろいろ見ますと、そもそも憲法で子どもにも権利は備わっているのだから、あえて総合法をつくる必要はないという時代が30年近くあったわけですけれども、そうした中で、でも、憲法でも規定はされているけれども、そうはいっても子どもの権利が侵害されていることがこれだけある中で、国もそれまでと方針を変えて、総合法であるこども基本法を制定されて、いよいよ今年の4月から施行となっています。
そのこども基本法の基本理念に、子どもの養育は、家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識の下、十分な養育の支援、家庭での養育が困難な子どもの養育環境の確保というのが基本理念に定められています。条約にも定められ、基本理念にもこれだけ明確に定められているということを武蔵野市の条例では、まず条約、日本国憲法その他関連する法令──これはこども基本法も含む──に基づいてということを前提としておりますので、またさらにそこで、あえて第一義的責任ということを書くということにはなっておりません。
今、大野委員がおっしゃった、本来は親に養育されることが子どもにとって幸せとおっしゃいましたけれども、実は子どもにとっての幸せから考えたときに、親に養育されることが幸せなのか、その他の保護者に養育されることが幸せなのかという考えと、本来は親が養育することが子どもにとっての幸せというのは、同じようで、私、違うと思うのです。やはり子どもの権利を考えたときには、子どもにとっての幸せは何かというところから進んでいって、それは親に育てられるのは幸せだよね、でもその親に育てられたら幸せではないよねという場合があるのも虐待等で事実なので、まずは子どもにとっての幸せから発信していくというのが、私は武蔵野市の条例にとって重要な部分ではないかなというふうに思っています。