
大野あつ子
映像ID: 2482
8616【大野委員】 ありがとうございます。非常にバラエティに富んだ先生方を集めていただいたということなのですが、あの混乱の中で、やはり賛成をしてぜひ住民投票条例を制定したいと思われている方と、もう絶対ならぬという2つの勢力の方がいらっしゃって、どうしてもつくりたいという方はいいですよね、理解をしてつくりたいのだと。でも、全く嫌だとおっしゃっている方たちがいた。一定、報道等のミスリードで、住民投票条例イコール選挙権というふうに思っていらっしゃる方もいましたけれども、ある程度分かって議論している方は、住民投票条例はもちろん分かっているけれども、そこから外国人の選挙権に行ってしまうのではないか、そのサンプルに武蔵野市が使われてしまうのではないかというような部分で心配をされていて、あのような大きなことになったというふうに私は見ております。
その中で、非常に今回強く私が思いましたのは、今、この専門家の有識者の懇談会というのは、ちょっと何か違うのではないかなということをすごく思いました。あの当時の住民投票が嫌なのだとおっしゃっていた市民の皆様の声をまず聴く、傾聴というのですか。提案をした市側の主張はあると思います。この先生方が、そこを正しい理論に基づいて正しい論調を展開してくれることはきっとできるのだと思うのですけれども、多分そのことは、反対をされた皆様にとっては逆効果になってしまう。そこではないのだよ、私たちが心配している声を聴いてほしいのだよというのが、あの当時、私が皆様から受けた声だったというふうに思います。今回、論点整理をしていくということで当初予算に出てきて、それを議会でも認めました。それは、この住民投票に対する市民の皆様の理解を深めていただき、賛成の方も反対の方も、きちんと話を理解してほしいという意味で認めている。この有識者会議というのは、どちらかというと、こういう知識をたくさん持っていらっしゃる方が集まって、これでどうだみたいな感じの議論に結局なってしまうのではないかなということを大変懸念します。今、この偉そうな会議、懇談会よりも、まず、そういう市民のいろいろ言われている、あのときの不安は何だったのだ、このときの不安は何だったのだという、市民の皆様の直接の声をまずしっかりと聞き取っていただきたい。それからこれではないかなというふうに私は考えます。それが1つ。
もう一つは、私、最近趣味で、この成田悠輔さんの「22世紀の民主主義」、何かベストセラーになっているのでこういうものを読んだり、一般質問でも触れました「サピエンス全史」とかを読んだりしているのですけれども、昨今の日本の政治の状況を見て、前回の参議院選挙で暴露系ユーチューバーの方が当選をしたけれども、一度も参議院に出ることなく、辞めさせられたのかな、この間逮捕されていたと。ああいうことが何で起きるのかという理由の一つに、非常にSNSが発達をして、情報網が大変な勢いで広がりました。もともと科学技術が発達をして、そういうものが醸成されている中でコロナが起きたので、余計に、本当に私の知り合いの70代、80代の方も、Zoom会議があのコロナでできるようになられました。
そんな中で、やはりツイッターを見たり、ユーチューブを見たり、そういうSNSを駆使する中で、今回の私どもの住民投票条例の混乱があったときにも、市民だけではなくて、全国から私たちの下にも、多分市のほうにももっとたくさんの御意見が寄せられました。それは、テレビや新聞の報道だけではなくて、SNSといった全てのメディアを通じて出てきたからなのです。何かそういうネット状況が、情報網が非常に大きく広がる中で、一つのぽんと起きたことが、今まではそれほどの情報網がなかったから、ここだけで波紋が済んだものが、一挙に全国にばーっと広がるような状況が起きていて、何かそういうものがぽんと起きるたびに、そこにわーっとみんなが吸い寄せられて、100万いいねみたいな、そういうような状況が起きていて、それが政治の状況の中にも、やはりこの住民投票というのは、ある一定の人数の署名を集めたら直接請求ができるというものですけれども、非常に民主主義が危機にさらされているというか、そういうポピュリズムと言われるような、わーっと行くような、何か1個あったらばーっと行ってしまうところが、ネット世界が非常に活発になることによって容易にできてしまう状況になっていると思うのです。
この自治基本条例に至っては、平成27年でしたか、私は議員生活がそんなに長くないので、あまり詳しくはないのですけど、そのもっとずっと前から検討をされていて、検討会ができたのがその平成二十何年で、さらに今に至って、令和2年にやっと自治基本条例ができたという、その長い年月の中で考えてみると、その最初のほうの頃のネット状況と、現在のこの令和5年の一般の皆さんが持っているネットの状況というのは、もう全然違う状況になっていて、そういうものも踏まえて、この住民の皆さんの意思をどう聞いていくのか、民主主義の気持ちで聞いていくのかということを含めて、懇談するなら懇談しなければならない。政治学者とか法律、憲法学者だけではちょっと違うのではないかなということをもう一つ思っていますが、その辺についていかがでしょうか。