4915◯教育長(竹内道則君) 私からは、まず大きい御質問の1番で、今後の職員採用の基本的な考え方についての2番目、学校運営協議会を活用した教員の公募についてにお答えします。まず、学校運営協議会を活用した教員の公募は、市独自に教員を採用するという制度ではなく、学校が学校運営協議会の機能を持つことによって区市町村立学校の教員を優先的に配置できる、東京都の制度を活用できるようになるというものでございます。東京都教育委員会では、従来、公立小・中学校を取り巻く環境の変化や都民の多様な期待に応え、特色ある学校づくりを推進し、区市町村教育委員会の人事構想をより反映することを目的として公立小・中学校の教員公募を行っており、この制度を利用するものです。12月にまとめられた武蔵野市学校・家庭・地域の協働体制検討委員会報告書の中で、今回、開かれた学校づくり協議会に学校運営協議会機能を加えることが示されました。東京都教員公募の一つとして学校運営協議会の機能を有する学校は、学校単位で欲しい人材を公募できることになります。そこで、今回、小学校1校、中学校1校のモデル校において、学校運営協議会の意見を基に、それぞれの学校の特色に合った教員をその学校に異動できる公募として行う予定をしております。
そして、大きい御質問の2、コロナ後の3年間における学校教育の現状と今後についてですが、コロナ禍の中で、学校は、生命の安全と教育の効果の中でいろいろと一つ一つ悩んできたと思います。それぞれに難しい困難があったと思いますけれども、一方で、大事なものと新しい可能性について気づくことができたことも多かったと思っております。その上で、各種体験活動教育の御質問についてお答えいたします。市立小・中学校では、様々な体験学習として、宿泊を伴う学習、音楽や演劇に親しむ活動、職場体験などを行っております。令和2年度は宿泊を伴う学習は全て中止となり、小・中学校が一堂に集う鑑賞教室、職場体験も中止となりました。そして、令和3年度は修学旅行は中止し、日光移動教室は全校で秋から冬での実施、プレセカンドスクール、セカンドスクールは多くの学校で実施をしましたが、時期と日程、内容を変更したり、短縮したりしての実施でした。また、オーケストラ鑑賞教室につきましては小・中学校ともに実施することができましたが、中学校での職場体験は6校中3校が実施し、実施できなかった学校については企業人へのインタビューを行うなどの工夫をして取り組んで行いました。そして、令和4年度は、今述べました取組については感染対策を講じつつ、全て実施をすることができました。これらの経験を通して、市教育委員会としても子どもたちの豊かな情操や感性を育むとともに、自主性や協調性を培うためにも、体験を通した学習の重要性を改めて認識したところでございます。その中でも、特にセカンドスクールについては、期せずして同時期に、武蔵野市長期宿泊体験活動検討委員会にて、充実発展を図るための取組について検討をしてまいりました。報告書では、実施日数のみならず、小中の連携、セカンドスクール等をより充実させるため、事前事後のアンケート調査を行うことが提案されております。そして、今年度、セカンドスクールに合わせてこのアンケート調査は実施できましたので、来年度、その検証を行ってまいります。
次に、武蔵野市民科について、その現状と今後についての御質問ですが、武蔵野市民科は、市民性を高めるため、自立、協働、社会参画という資質能力の育成を目指して、総合的な学習の時間を中心とした教科等横断的な取組として、2年間の準備、試行期間を経て、令和3年度より本格実施をしてまいりました。令和2年度は、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえ、行動制限が生じ、地域の方と対面してお話をしたり、体験活動をしたりする取組ができず、計画の変更や、活動を縮小せざるを得ないこともありました。しかし、教育課題研究開発校として、令和2年、3年、4年度は境南小学校が、また、令和3年、4年度は第二中学校が武蔵野市民科の研究に取り組みました。境南小学校では、児童が目的意識と自己決定ができる場や機会を設けるなどの工夫をして、武蔵境駅に自分たちのブースをつくり、企画の運営や商品づくりを手がけるなど、探求的な学びを実践しています。第二中学校では、校外学習や職場体験において、単に体験するだけでなく、SDGsの観点でどのような工夫をしているか調べたり、考察したりするなど、3年間を見通した教育課程を編成し、実践しています。ほかの学校の取組としては、武蔵境駅のイルミネーションのデザイン作成や、PR活動を通して、まちの魅力や予算を発信したり、キャリア発達をテーマに子どもたちが自分の特徴を振り返るとともに、地域、企業と協力した職場体験や、保護者、地域の方へのインタビューを行ったりしています。このように、各校で地域の特色を生かし、探求的な学びを進めています。今後についてですが、現在、武蔵野市民科の教員向け手引を改訂中であり、これまでの取組をより充実・発展していけるよう、全小・中学校の実践事例を集約するとともに、学習の進め方や考え方などを再整理して配付する予定でおります。
次に、学習者用コンピューターについての御質問ですが、令和3年4月より、1人1台の学習者用コンピューターを児童生徒に貸与して、本市としての学習者用コンピューター活用事業が3年間の試行としてスタートしました。学習者用コンピューターを学習に必要な文具として位置づけ、児童生徒が自己管理し、自律的に活用することや、授業における適切かつ効果的な活用法を見いだしていくことなどを重点的に取り組んでいます。コロナ禍においては、新型コロナウイルス感染症による学級閉鎖の際に、オンライン朝の会やオンライン授業を行ったり、感染予防のため登校できない児童生徒にオンラインによる支援をしたりする活用を行ってきました。学習者用コンピューターを活用した授業では、意見の共有が容易になる、発表の手段が増える、オンラインで遠方の講師とつながるなど、適切かつ効果的な活用に関する知見も蓄積されてきています。令和5年度には、試行事業の成果として、本市としての学習者用コンピューター活用の指針を制定します。指針では、導入の際に定めた基本的な考え方にも示したとおり、これまでの市民性を高める教育や、体験活動、読書活動等の本市の特色ある教育活動とのバランスを大切にし、総合的に生きる力を育むことを目指した学習者用コンピューターの活用の在り方を示す内容にする予定でございます。
以上でございます。