令和5年第1回定例会

  • マッチ発言
  • 発言
  • マッチ箇所

0箇所マッチ

藪原太郎
藪原太郎
立憲民主ネット現職

映像ID: 2430

5161◯14番(藪原太郎君)  会派を代表いたしまして、議案第6号 武蔵野市子どもの権利条例に賛成の立場で討論を行います。
 御存じのように、日本が子どもの権利条約を批准したのは1994年です。しかし、日本政府は現行法で子どもの権利は守られているとの立場を取り、国内法の整備が行われていませんでした。しかし少子化は進み、子どもの自殺数は昨年が過去最悪となりました。児童虐待の相談対応件数、いじめの認知件数、不登校の児童生徒数などのデータも、先進諸国と比較して決してよいものではなく、子どもの育つ環境が決してよいとは言えないのが現状です。
 ユニセフが、経済協力開発機構、または欧州連合に加盟する先進国の子どもの状況を比較分析していますが、2020年のレポートカード16では、精神的幸福度はワースト2位となっていました。原因は何かを特定することは難しいですが、対策として考えられるのは、自分の好きなことを自由にできる環境を整えることが重要で、経済的な支援だけではなく、子どもが一人の人間として、子ども自身の考えや意見が尊重され、その子の人生に反映される社会を大人は用意するべきであるとの指摘があり、私たち会派は大きく賛同するものでございます。この対応策を考えると、それは子どもの権利、人権を守ることにほかなりません。
 このような背景もあってか、子どもの権利条約に基づくこども基本法が国会で成立し、2023年4月から施行されます。この法律に先立って、東京都こども基本条例が2022年4月1日から施行されています。国の法律があり、東京都に条例がある以上、武蔵野市で条例をつくるのは当然です。さきに述べたように、子どもの環境は待ったなしの状況です。大人の責任として、すぐに改善するように条例を制定することは当然のことですし、いたずらに先延ばしをすることは許されません。
 武蔵野市子どもの権利条例の制定過程では、大人だけではなく、多くの子どもたちに意見を聴き、条例に反映してきたことが大きな特徴です。令和3年9月に行った子どもの権利に関する市立学校アンケートでは、回答率76%、回答総数3,743件の意見が寄せられました。令和4年6月の子どもの権利に関する条例検討委員会中間報告に関するパブリックコメントには、子どもからの回答者数996人、自由意見、件数881件が寄せられました。さらに中高生世代ワークショップや、子どもが学び、子どもへと広げることも実施されています。
 学習者用コンピューターが配備された成果でもありますが、これほどまでに子どもから寄せられた意見を基にしているのが子どもの権利条例です。周知が不足しているとか、もっと議論が必要だとか、大人の理屈をつけて先延ばしにすることを子どもに説明ができるのでしょうか。大人として考えるべきです。
 昨年2月には、市内で不登校を経験した子どもの保護者から、市長、教育長、議会宛てに要望書が出されました。要点を申し上げますと、小学校高学年のときに学級崩壊があった。必要だったのはカウンセリングではなく、秩序の回復であり、安心して通える学校だった。当事者の聞き取り調査をしてほしかった。被害者側がチャレンジルームに行く、ではなく、加害者側への指導や支援こそが必要など、既存の枠組みだけでは解決しにくい課題があります。これが現実です。子どもが学び育つ権利を守るために条例が制定され、いじめ防止が強化され、さらに子どもの権利擁護の新たな制度が始まることに大いに期待をしています。
 さて、条例が成立したとしても、そこはゴールではありません。施行日をスタートとして、私たち大人が子どもの権利、人権を真剣に守ることが求められていることになります。これまでの政策を再考し、よりよい政策、子どもにとって最善は何かを常に考え、一歩でも二歩でも前に進むことが求められてきます。
 条例には市の責務もあります。市には議会も含まれていることは御承知かと思いますが、私たち議会もこの責務を負うことになります。今後、子どもの権利擁護委員をどなたに、いつ頼むのか、具体的な計画として次期子どもプラン武蔵野をどのようにつくっていくのか、そこに議会がどのように関与していくのかも考えなくてはなりません。さらに子どもの環境は日々変わります。日々変わる環境に合わせて、子どもの権利、人権が守られる対応策を考え、子どもたちが精神的幸福度を今以上に感じられ、よりよく育つ環境をつくることが、私たち大人、市政、議会のこれからの責務です。
 この条例も、子どもの最善の利益のために常に見直し、必要であれば修正し、条例を育てていくことも必要と提案いたしまして、賛成の討論といたします。
              (7 番 本多夏帆君 登壇)(拍手)

コメント投稿

もうアカウントは持っている? ログインはこちら

登録していない? アカウント作成