令和5年第1回定例会

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本多夏帆
本多夏帆
ワクワクはたらく現職

映像ID: 2430

5162◯7 番(本多夏帆君)  ワクワクはたらくを代表し、子どもの権利条例について、賛成の討論をいたします。
 子どもの権利と言うと少し硬く聞こえてしまうかもしれませんが、子どもの意思、自分とは別の他者の意思に向き合おうということなのだと思っています。乳幼児と暮らす中で、生まれてすぐの赤ちゃんでも、こちらがなかなか分からないだけで、はっきりと意思表示をしていると感じます。
 私たちが当選してから4年ですが、当初から何度も、子どもの権利条例をという言葉を議員の質疑から聞いてきました。そこで市議会の会議録を検索してみると、子どもの権利というワードが初めて出てきたのは1990年(平成2年)のことです。これは児童の権利に関する条約が国連総会で採択された翌年。当時はこの条約を根拠に、放課後の居場所についての質疑がされていました。そこからもうひたすらに議事録としては毎年このワードが出てきて、子どもについての様々な地域課題の解決に向け、議論と政策の実現が重ねられてきたのだと思います。
 そう考えるとこの条例は、ようやくというか、やっとというタイミングだったのかもしれません。もはやそう捉えると、国や都の動きについても、やっとかという感は拭えません。にもかかわらず、陳情にもあったように、拙速ではないか、もっと議論をという声もあります。なぜでしょうか。1,000件を超えるパブリックコメントも全て読みました。どんどんやってほしいという声がある一方で、こんな条例は無駄だ、子どもからの意見にもそういったものがありました。なぜそのように言われるのか、行政の皆さんはここを考えたでしょうか。制度設計を推し進める中で、この声の分析をしたでしょうか。
 この反対の声の原因には、これまでの不満があるのだと思います。今助けてもらえていない。過去に助けてもらえなかった。そうした経験がある中で、このような条例ができたところで期待できない。本当に変わるのか。つくっても無駄なのではないか。こうした気持ちがあるのではないでしょうか。だからこそ、条例をつくるのであれば実効性のあるものにしてもらいたい。現状の条例案でそれがかなうのか。もっとクオリティを高め、準備をしてからのほうがいいのではないか。だからもっと議論や時間が必要だということなのだと私は考えています。
 昨年の9月の決算特別委員会でも、子どもの権利条例策定のプロセスにおいて、期間的には2年だけれども、会議だけではなく、視察やヒアリングなど様々な取組を行い、濃い時間であったということを伺っています。一方で、そのプロセスにおいて多様な意見が交錯するさまを、市民に伝わるようにどんどん見せていってほしいということを、私からお願いしました。経緯を伝わるように見せていくというのはとても難しいことで、それこそ先日の公会堂改修と吉祥寺のまちづくりの話が交錯したように、市民に情報を共有していくことは、かなり高難度、技術の要ることだとも思います。
 有識者会議や策定委員会といった会議体についても、どうやって委員の選定をしているかなど、基準について以前から問いかけをしてきましたが、例えば団体などを代表して、言うならば充て職のようになっているところは、団体の母集団に対してきちんと情報共有、意見収集がなされているのか、そこを丸投げにせずに、そこまで市がフォローする体制を持てているのかといった課題も残されているのではないでしょうか。100%関係者に全て情報共有をというのはなかなか実現できる状態ではないと思います。
 今回は住民投票制度の検討を経ながら策定プロセスに突入していったことからも、当初から緊張感のある、やれることは全部やるのだという気概を職員の方々から感じる場面も多くありました。それでも最後の最後になって、もっとという声が出ることに対し、まだできることがあるのではという視点を持って、今後も市政運営をブラッシュアップしていただきたいと思っています。そこには、市と議会とのルール、これまでの取決めというものも関係しているかもしれません。そうしたことも含めて改革をしていく必要性があると思います。
 先日の文教委員会での質疑、陳情審査におけるやり取りにおいても、そして先ほどの質疑での部長のお言葉においても、大切なのは策定したその後だという声が出ていました。つくって終わりではない、より施策の実効性を高めるためにこの条例を活用していかなくてはならないし、時にこの条例についても点検、見直しをすることも必要だと思います。条例の策定後は、法改正などに対応することはあっても、なかなか積極的に見直しが行われていない現状があるのではと感じることが多いです。策定当時の理念が大切なのも理解はできますし、脈々と継がれてきたという歴史が大事なのも分かります。例えば環境浄化や男女平等関連でもそういったことを感じることがあります。
 それでも、昨今何度もお伝えしているように、社会の変化は日々どんどん起きていて、言葉の意味さえも変化が速い時代です。本来の目的である子どもの権利保障が実現されるようにするためにはどうしたらよいのか、そこに軸足を置いて条例の見直しについても積極的に取り組んでいってほしいですし、議会からもそうした提案を行えるといいのではないかと考えています。
 最後に、この条例制定においては、これまでと違った様々なプロセスを拝見することができ、今後の様々な施策の検討にも活用できる部分が多かったと思っています。ちなみに庁内での意見募集結果というものも公開されていましたので、大変興味深く拝見し、組織内においても多様な価値観があることを改めて認識しました。
 職員の皆さんも、そして市民の皆さんにとっても、新たなチャレンジが多数あったと思いますが、果敢に取り組んでいただいたことに感謝し、今後の施策への期待と議員としての責任を胸に、賛成の討論とさせていただきます。
 あわせて、この条例に関連して出された3つの陳情については不採択の立場を取りますが、子どもたちのためにという思いは共通しているものと思っています。今後の長期計画や子どもプランなど諸計画の策定、そして政策の実行の中でも、共に考え、議論、意見交換をさせていただき、この条例が形骸化せず、しっかりと目的が達成されるように行動していきたいと思っております。ありがとうございました。
             (3 番 大野あつ子君 登壇)(拍手)

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